2025年8月の累積更新プログラム(KB5063878)をインストールした直後から、突然すべてのプリンターが消えて印刷できなくなった──そんな相談が世界中で上がっています。本記事では、Windows 11 Version 24H2/OSビルド 26100.4946 環境で実際に有効だった「元に戻す手順」と、再発防止・トラブル再発時のチェックポイントを、日本語環境向けに整理して解説します。
2025年8月の累積更新(KB5063878)とは?概要を整理
まず、今回のトラブルのきっかけとなっている更新プログラム「KB5063878」がどのような位置づけのアップデートなのかを整理しておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新プログラム名 | 2025-08 Cumulative Update for Windows 11 Version 24H2 for x64-based Systems (KB5063878) |
| 対象OS | Windows 11 Version 24H2(クライアントOS) |
| OSビルド | インストール後:OS Build 26100.4946 |
| 配信日 | 2025年8月12日(日本時間では13日配信の場合あり) |
| 位置づけ | 月例の累積「セキュリティ更新+品質改善」パッチ |
Microsoft公式ドキュメントでも、KB5063878はWindows 11 Version 24H2向けの累積セキュリティ更新として案内されており、OSビルドを26100.4946へ引き上げる更新であることが確認できます。
同更新では、WSUS経由での配信時にインストールエラー(0x80240069)が発生する不具合や、NDIを利用した映像配信のパフォーマンス低下など、いくつかの既知の問題が報告され、順次修正が行われています。
一方で、「アップデート後にプリンターがすべて消えた/追加できない」という症状は公式の既知の問題としては明記されていないものの、Microsoft Q&Aフォーラムなどのコミュニティで複数報告されている“実在するトラブル”です。
症状:KB5063878適用後にプリンターが消えた/追加できない
今回の代表的なケースは、Microsoft Q&Aに投稿された次のような状況です。
- 2025年8月12日公開の累積更新(KB5063878、OSビルド 26100.4946)を適用
- その直後から[設定]→[Bluetooth とデバイス]→[プリンターとスキャナー]に何も表示されない
- [プリンターの追加]をクリックすると、以前使っていた2台のうち1台だけが検出される
- そのプリンターを選択すると画面がフリーズして「応答なし」になり、追加が完了しない
- 結果として、どのアプリからも印刷できない状態に陥る
このような「プリンター一覧が空」「追加ウィザードでフリーズ」といった症状は、ドライバーや接続方式に依存せず、USBプリンター・LANプリンターのいずれでも発生しうる点が厄介です。
| 現象 | 具体的な状態 |
|---|---|
| プリンター一覧が空 | [プリンターとスキャナー]画面に何も表示されず、既存プリンターがすべて消えている |
| 追加ウィザードが固まる | [プリンターまたはスキャナーを追加]で1台だけ検出されるが、選択後に「応答なし」になり進まない |
| アプリから印刷不可 | Word/Excel/ブラウザーなどの[印刷]ダイアログでもプリンターがゼロ件 |
なお、今回紹介する解決策はWindows 11 Version 24H2+KB5063878適用直後にこうした症状が出た場合を想定しています。プリンターが元々不安定だった/別の更新やソフト導入のタイミングと重なった、という場合は、後述のチェックリストも併用してください。
まずやるべき対処:WinREから「直前の更新プログラム」をアンインストール
上記のMicrosoft Q&Aの事例では、Windows 回復環境(WinRE)から「最新の品質更新プログラム(または累積更新)」をアンインストールすることで、2台ともプリンターが復活したと報告されています。
以下の手順は、基本的にWindows 11 Version 24H2の日本語環境でも同様です。
Step 1:Windows 回復環境(WinRE)を起動する
- [Win]キー+[I]キーで[設定]を開く。
- 左メニューから[システム]を選び、右側のメニューから[回復](Recovery)をクリック。
- [回復オプション]の中の[今すぐ再起動](詳細オプション/Advanced startup)をクリック。
- 再起動の確認が表示されたら、保存していない作業がないか確認のうえ[今すぐ再起動]を実行。
- 再起動後、青い背景の「オプションの選択」画面が表示される。
補足:通常のデスクトップが表示できない場合(黒画面/ループ再起動)は、サインイン画面で「Shiftキーを押しながら[電源]→[再起動]」を選ぶ方法でもWinREを呼び出せます。
Step 2:WinREから「最新の更新プログラム」を削除する
- 「オプションの選択」画面で[トラブルシューティング]をクリック。
- 続いて[詳細オプション]を選ぶ。
- 一覧から[更新プログラムのアンインストール](Uninstall Updates)をクリック。
- [最新の品質更新プログラムのアンインストール]または[最新の累積更新プログラムのアンインストール]のどちらかを選択する画面が表示される。
- KB5063878が直近で入ったタイミングであれば、通常は[最新の品質更新プログラムのアンインストール]を選ぶ。
- 画面の案内に従い、アンインストール処理を最後まで実行する。
処理には数分〜十数分かかる場合があります。途中で電源を切らないように注意してください。
Step 3:再起動後にプリンターが復旧しているか確認する
- アンインストール完了後、Windowsが再起動したらサインインする。
- [設定]→[Bluetooth とデバイス]→[プリンターとスキャナー]を開く。
- アップデート前に使用していたプリンターが一覧に戻っていれば成功です。
- 念のため、Wordやブラウザーなどからテスト印刷を行い、問題なく印刷できるか確認します。
Microsoft Q&Aの投稿者は、この手順で「両方のプリンターが元どおり使えるようになった」と報告しています。
注意点:
- BitLocker/デバイス暗号化が有効なPCでは、WinREでドライブにアクセスする際に回復キーの入力が求められることがあります。事前にMicrosoftアカウントや紙・USBに控えておきましょう。
- 会社・学校のPCなど、IT部門が管理している端末ではグループポリシーでアンインストールが制限されている場合があります。その場合は独自判断で操作せず、必ず管理者へ相談してください。
再発防止の暫定策:Windows Updateを一時停止する
せっかくロールバックしてプリンターが復旧しても、そのままにしておくと数日後に同じKB5063878が自動再配布され、再度プリンターが消える可能性があります。そこで、修正版や公式アナウンスが出るまでの間は、Windows Updateを一時停止しておくのが無難です。
Windows Updateの一時停止手順(Home/Pro 共通)
- [設定]→[Windows Update]を開く。
- 上部に表示される[更新の一時停止]のドロップダウンをクリック。
- 1週間~5週間の範囲で、一時停止期間を選択する。
- 画面上部に「更新プログラムは◯◯日まで一時停止されています」と表示されれば完了。
この設定により、指定した期間中はKB5063878を含む新しい更新が自動でインストールされなくなります。後日、修正版が出た・問題が解消されたと判断したら、同じ画面で[更新の再開]をクリックして自動更新を再有効化します。
| 操作 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 更新の一時停止 | 指定期間だけ新しい更新の自動インストールを止める | 一時的な措置であり、期間終了後は自動的に再開する |
| 更新の再開 | 一時停止を解除し、最新の更新を再度受信する | 再適用時に同じ不具合が再発する可能性があるためタイミングを見極める |
追加でやっておきたい対処:ドライバー・設定の見直し
更新のアンインストールと一時停止だけで改善するケースが多いものの、環境によってはプリンタードライバーや周辺の設定が壊れたままになっていることもあります。以下の追加手順も、状況に応じて試してみてください。
メーカー公式のプリンタードライバーを入れ直す
Windows Update経由で適用される汎用ドライバーは便利ですが、アップデートの影響を受けやすいこともあります。可能であれば、各メーカーが提供しているフル機能ソフトウェア+ドライバーを入れ直すのがおすすめです。
- プリンターメーカー(HP/Canon/EPSON/Brother など)の公式サイトを開く。
- 型番を検索し、対応OSがWindows 11(またはWindows 11 64bit)となっている最新のドライバー/ユーティリティをダウンロード。
- インストーラーを右クリック→[管理者として実行]で起動。
- 画面の案内に従ってインストールし、必要に応じてPCを再起動。
- 再起動後、[プリンターとスキャナー]画面で再び検出されるかを確認。
一部のユーザーからは、「KB5063878を削除した際にHPプリンターの構成が壊れたが、更新を入れ直したうえで公式ソフトを再インストールしたら改善した」といった報告も出ています。
Windows Updateの方針を見直す
今回のようなトラブルを機に、「Windows Updateの自動適用をどう運用するか」を見直しておくのも有効です。
- [最新の更新プログラムを優先的に入手する]をオフにしておく(早期ロールアウトを避ける)
- [詳細オプション]→[オプションの更新プログラム]で、ドライバー更新は自動ではなく内容を確認してから適用する
- 大規模なアップデート直後は、数日~1週間ほど様子を見てから自分の環境に入れる
| 項目 | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 最新の更新プログラムを優先的に入手 | オフ | 不具合の多い初期ロールアウトを避け、安定したタイミングで受信するため |
| オプションのドライバー更新 | 内容を確認し必要なものだけ手動適用 | プリンターなど周辺機器のドライバー更新はトラブルに直結しやすいため |
基本メンテナンス:BIOS/チップセット/各種ドライバーの更新
Windows Updateの不具合と思われる症状も、実は古いBIOSやチップセットドライバーとの相性問題が絡んでいる事例が少なくありません。PCメーカーが提供しているユーティリティ(例:Dell Update/MyASUS/Lenovo Vantage など)を使い、次のような項目を最新化しておくと、トラブル全般の予防になります。
- BIOS/UEFIファームウェア
- チップセットドライバー
- ストレージ/SATA/NVMeドライバー
- USBコントローラードライバー
- ネットワーク(有線/無線LAN)ドライバー
ただし、BIOS更新にはリスクも伴うため、ノートPCの場合はACアダプター接続・十分なバッテリー残量を確保し、メーカーの手順に必ず従ってください。
まだ直らない場合のチェックリスト
ここまでの対処(更新のアンインストール+一時停止+必要に応じたドライバー再インストール)を行ってもプリンターが復旧しない場合は、次のチェックリストを上から順番に確認してみましょう。
Print Spooler(印刷スプーラー)の状態確認
- [Win]キー+[R]キーを押し、
services.mscと入力して[OK]。 - サービス一覧から「Print Spooler」を探す。
- 状態が「実行中」になっているか確認。
- 実行していない場合は、右クリックして[開始]。
- 実行中でも不安定な場合は、右クリック→[再起動]を実行。
[プリンターとスキャナー]画面で削除→再追加
- [設定]→[Bluetooth とデバイス]→[プリンターとスキャナー]を開く。
- 問題のプリンターが表示されている場合は選択し、[デバイスの削除]を実行。
- PCを再起動。
- 再起動後、同じ画面で[プリンターまたはスキャナーを追加]をクリックし、再検出させる。
Windows標準のプリントトラブルシューティングツールを実行
- [設定]→[システム]→[トラブルシューティング]→[その他のトラブルシューティングツール](または[その他のトラブルシューティング])を開く。
- 一覧から[プリンター]を探して[実行]。
- 検出された問題に対して、ツールの提案する修正を適用する。
ネットワークプリンターの場合:接続状態とIPアドレスを確認
- プリンター本体のパネルでエラーランプが点灯していないか確認。
- LANケーブル接続の機種は、ケーブルがしっかり奥まで差し込まれているかを確認。
- Wi-Fi接続の場合、SSID・パスワードを再設定してみる。
- PCからプリンターのIPアドレスに対してpingを打つ(例:
ping 192.168.1.50)などのネットワーク疎通確認も有効です。
WinREを使わずに更新をアンインストールする(起動できる場合)
WinREへの入り方に不安がある場合や、PCが普通に起動できている場合は、Windows上のGUIから更新プログラムの削除を試す方法もあります。
- [設定]→[Windows Update]→[更新の履歴]を開く。
- 画面下部の[更新プログラムのアンインストール]をクリック。
- 一覧から「KB5063878」を探し、[アンインストール]を実行。
- アンインストール後、PCを再起動してプリンターを確認。
環境によってはアンインストールに失敗したように見えても、再起動後にプリンターが復活しているケースも報告されています。そのため、「失敗」と表示されても、一度は再起動して状況を確認することをおすすめします。
| 確認ポイント | 確認方法 | 正常時の状態 |
|---|---|---|
| Print Spooler | services.mscで状態を確認 | 状態:実行中/スタートアップの種類:自動 |
| プリンター一覧 | [プリンターとスキャナー]画面 | 使用するプリンターが少なくとも1台表示されている |
| Windows Update履歴 | [更新の履歴]→[更新プログラムのアンインストール] | 問題発生タイミングの更新を特定できる |
KB5063878に関するその他の既知問題とリスク
今回の「プリンターが消える」問題のほかにも、KB5063878周辺のアップデートでは、以下のような副作用が報告されています。
- WSUS経由インストール時のエラー(0x80240069)
企業環境でWindows Server Update Services(WSUS)を使っている場合、KB5063878が正常に配信されず、エラーが発生する問題がありましたが、Microsoftの既知の問題情報によれば既に解消済みとされています。 - Network Device Interface(NDI)利用時の映像・音声の遅延/途切れ
OBS StudioなどNDIを用いる配信環境で、KB5063878適用後にパフォーマンス低下が起きる事例が報告され、後続の更新で解消されたとまとめられています。 - ストレージ(SSD/HDD)の不具合とされる報告
一部メディアやコミュニティでは、KB5063878適用後にSSD/HDDが認識されなくなった、RAW化したなどの報告もあり、Phisonなどのコントローラーメーカーが検証を行った経緯もあります。ただし、原因はまだ完全には特定されておらず、再現性も限定的とされています。
これらの情報は、「KB5063878=必ず危険」という意味ではありませんが、大規模アップデート適用時にはこまめなバックアップと慎重な運用が重要であることを示しています。
ロールバック運用のコツ:セキュリティと安定性のバランスを取る
最後に、「プリンターを直すために更新を戻したけれど、このままで大丈夫?」という疑問に対して、運用上の考え方をまとめておきます。
更新をアンインストールすると、何が戻るのか
- 該当の累積更新に含まれるセキュリティ修正も同時に巻き戻される可能性がある
- 印刷以外の不具合(例えば一部アプリの修正など)も、もとに戻る場合がある
- OSビルド番号は、アンインストール前の値に戻る(例:26100.4946 → 26100.4652 など)
つまり、ロールバックはあくまで一時的な回避策であり、永続的に古いビルドで固定するのはセキュリティ上望ましくありません。
おすすめの運用ステップ
- まずプリンターを使える状態に戻す(WinREから更新アンインストール)
- 更新を一時停止して様子を見る
- Microsoftのリリース情報や各種フォーラムで、KB5063878やWindows 11 24H2に関する不具合報告が落ち着いているか確認する
- 状況が安定してきたと判断したら、一時停止を解除し、最新の累積更新を適用する
- 適用後に再度テスト印刷を行い、問題が再発しないことを確認
また、今回のようなトラブルに備えて、システムイメージバックアップや重要データの定期バックアップを取っておくと、最悪の場合でもOSの復旧や新規インストールへの移行がスムーズになります。
よくある質問(FAQ)
Q1:このプリンター問題は、すべてのWindows 11 24H2環境で起きるのですか?
A:いいえ、すべての環境で必ず発生するわけではありません。現時点では、特定の環境(プリンタードライバー構成や既存の更新履歴など)が重なった場合に発生している「一部のユーザーに限定された不具合」という位置づけです。ただし、発生した場合のインパクトが「印刷不可」と大きいため、本記事のようなロールバック手順を知っておくと安心です。
Q2:更新をアンインストールしたあと、KB5063878が再インストールされないように完全に止めることはできますか?
A:Homeエディションでは完全なブロックは難しく、基本的には「更新の一時停止」でしのぐ形になります。Pro以上であればローカルグループポリシーやWSUSなどである程度制御できますが、セキュリティリスクを考えると「永続的なブロック」はおすすめしません。可能な限り、修正版や後続の累積更新が出たタイミングで最新状態へ追随する運用を検討してください。
Q3:アンインストールしてもプリンターが戻らない場合、どうすれば良いですか?
A:本記事の「チェックリスト」の項目を一通り確認してください。特に、Print Spoolerサービスの状態確認/プリンターの削除→再追加/メーカー公式ドライバーの再インストールは効果的です。それでも改善しない場合は、プリンター本体の故障やケーブル・ネットワーク周りの問題の可能性も含めて切り分けを行い、必要であればメーカーサポートやPCに詳しい担当者へ相談しましょう。
Q4:KB5063878以外の更新(プレビュー版など)もアンインストールしたほうがいいですか?
A:2025年7月のプレビュー更新KB5062660など、KB5063878の前段となる更新が入っている環境では、両方の組み合わせで問題が出ている可能性を指摘する声もあります。 ただし、むやみに多くの更新を削除すると別の不具合を招くリスクもあるため、基本は問題発生直前に入った更新から順にロールバックし、状況を確認しながら慎重に進めることをおすすめします。
Q5:今後、同じようなトラブルを避けるためにできることは?
A:ポイントは次の4つです。
- 大規模な累積更新直後は数日~1週間様子を見てから適用する
- 月に1回~数回、重要データのバックアップやシステムイメージの作成を行う
- プリンターや周辺機器については、メーカー公式ドライバーを基本とし、Windows標準ドライバーはあくまで補助として使う
- 不具合が発生したら、まずは更新のアンインストール+一時停止で「直前の状態に戻す」ことを最優先にする
これらを意識することで、「ある日突然印刷ができなくなった」といったトラブルにも、落ち着いて対応できるようになります。
本記事では、Windows 11 Version 24H2の2025年8月累積更新(KB5063878)適用後に「プリンターが消えた/追加できない」問題が発生した場合の具体的な復旧手順と、再発防止のための運用のヒントをまとめました。まずはWinREからの更新アンインストールで印刷環境を確保しつつ、状況が落ち着いたタイミングで改めて最新のセキュリティ更新を適用する、という二段構えの運用を心がけてください。

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