Microsoft 365 CopilotのMasking in Copilot chatはどうなる?変更点と管理者の確認ポイント

Microsoft 365 Copilotの「Masking in Copilot chat」を調べている場合、最初に押さえるべき結論は、2026年6月に向けた新機能の展開ではなく、ロードマップから削除された項目であるという点です。画像内のオブジェクトや範囲をより正確に選択し、AIで編集できるようにする機能として案内されていましたが、公式ロードマップ上では「内容が正確ではなくなったため削除」とされ、状態はCancelledになっています。つまり管理者が今すべきことは、展開準備ではなく、社内告知・研修資料・検証計画・開発計画から「Copilot Chatでマスキング編集が使える前提」を外すことです。(Microsoft)

目次

Microsoft 365 CopilotのAI/Copilot更新で何が変わるのか

今回の「Microsoft Copilot (Microsoft 365): Masking in Copilot chat」は、Copilot Chatに新しいマスキング編集機能が追加される、という更新ではありません。公式ロードマップ項目としては、画像編集時にユーザーが画像内のオブジェクトや領域をより正確に選択し、AI編集に使えるようにする機能として登録されていました。しかし、2026年5月30日頃の更新で、項目自体が不正確になったとしてロードマップから削除される扱いになっています。(Microsoft)

確認項目内容
ロードマップID537287
対象サービスMicrosoft Copilot (Microsoft 365)
機能名Masking in Copilot chat
想定されていた内容画像内の対象物や範囲を選択し、AIによる画像編集をより正確に行う
対象プラットフォームAndroid、iOS、Mac、Web
リリース段階General Availability
GA予定2026年6月
現在の状態Cancelled
実務上の扱い展開予定として扱わず、導入計画や社内案内から外す

Microsoft 365ロードマップは、商用機能の予定日や説明を掲載するものですが、Microsoft自身が「すべての情報は変更されることがある」と明記しています。さらに、一般提供、キャンセル、延期などが発生した場合は、情報がロードマップから削除されることがあります。したがって、GA dateが「June CY2026」と残っていても、Cancelledの項目を「2026年6月に必ず使える機能」として社内展開計画に組み込むのは避けるべきです。(Microsoft)

「Masking」は情報保護のマスキングではなく画像編集のマスキング

この項目で使われている「Masking」は、個人情報や機密情報を伏せるデータマスキングではありません。画像編集でいうマスク指定、つまり「この人物だけ」「背景のこの部分だけ」「商品だけ」といった範囲選択をAI編集に使うための機能を指します。

ここを誤解すると、管理者向けの判断がずれます。たとえば、次のような理解は誤りです。

誤解しやすい解釈正しい見方
Copilot Chatに機密情報を自動で伏せる機能が追加される今回の項目は画像編集時の範囲選択に関するもの
DLPやMicrosoft Purviewのマスキング機能が変更されるDLP、秘密度ラベル、保持ポリシーなどの管理機能とは別件
画像生成機能全体が削除される削除対象はこのロードマップ項目であり、Copilot Chatの画像生成や関連機能全体を意味しない
管理センターに「Masking」用の新しい設定が追加される少なくともこの項目については、展開予定として扱わない

特にIT管理者は、セキュリティ用語としての「マスキング」と、画像編集用語としての「マスキング」を切り分けて社内に説明する必要があります。

利用者への影響範囲

利用者にとっての影響は、「今まで使えていた主要機能が突然使えなくなる」というより、予定されていた精密な画像編集支援を前提にしないほうがよいというものです。

Microsoft 365 Copilot Chatには、ファイルアップロードや画像生成などの機能が含まれると説明されていますが、これらはサービス容量や提供状況の影響を受ける場合があります。また、Microsoft 365 Copilot ChatはWebを典拠とする安全なAIチャットとして提供され、ITコントロール、エンタープライズデータ保護、エージェント管理などの要素を含みます。(Microsoft Learn)

利用シーン今回の影響推奨対応
Copilot Chatで画像全体を生成するこの項目のCancelledだけで画像生成全体が消えるとは読まない管理者設定で画像生成が許可されているか確認する
画像の一部だけをAIで修正するマスキングUIを前提にした運用は避ける専用の画像編集ツールや、現在利用可能なCopilotの画像機能で代替する
商品画像、バナー、社内資料画像を細かく修正する「対象範囲を正確に選択できる」と案内しない修正範囲を言語で明確に指示し、結果を人が確認する運用にする
研修やマニュアルで紹介予定だった誤案内になる可能性がある該当スライド、手順書、FAQから削除する
2026年6月の展開予定に入れていたスケジュールが成立しない可能性が高いリリース計画を「画像生成・編集機能全般の確認」に変更する

実務では、「Copilot Chatで画像を扱えるか」と「マスク選択で精密に編集できるか」を分けて確認してください。前者は管理ポリシーや提供状況の話で、後者は今回削除されたロードマップ項目の話です。

管理者が確認すべき設定

今回の項目に対して、管理者が新たに有効化すべき「Masking」専用設定は確認されていません。一方で、Copilot Chatで画像生成・編集を使わせるかどうか、Web検索を許可するか、エージェントを利用させるかといった周辺設定は確認が必要です。

Microsoft 365管理センターでは、Copilotの設定が「User access」「Data access」「Copilot actions」「Other settings」などに分かれて管理されます。設定画面はテナントのライセンスや時期によって見え方が変わるため、管理者は自社テナント上の表示を基準に確認する必要があります。(Microsoft Learn)

確認項目主な確認先判断基準注意点
Copilot image generationMicrosoft 365 admin center > Copilot > Settings > Copilot actionsユーザーに画像の作成・デザイン・編集を許可するか許可しても、今回のマスキング機能が提供されることを意味しない
Web searchCopilot Control SystemまたはCloud Policy serviceWebの最新情報を参照させるか無効にするとBing検索サービスへWebクエリは送信されず、基盤LLMのみで回答する
AgentsCopilot > Settings > Data access > Agentsユーザーがエージェントを作成・利用できる範囲画像処理や外部連携を伴う業務では、許可済みエージェントだけを使わせる
Data security and complianceMicrosoft Purview関連設定秘密度ラベル、DLP、監査、保持などが整備されているか画像ファイルや添付ファイルにも機密情報が含まれる場合がある
Pin Copilot ChatUser access > Pin Copilot Chat利用者がCopilot Chatに迷わずアクセスできるか研修対象者にだけ段階展開する場合はグループ単位で設計する
管理権限AI Administratorなどグローバル管理者に依存せず運用できるかAI関連設定の最小権限運用を検討する

Copilot image generationを許可すると、ユーザーはCopilotに画像の作成、デザイン、編集を依頼できるようになります。許可しない場合、Copilot Chatは新しい画像を生成せず、ストック画像やブランド画像も返さないと説明されています。(Microsoft Learn)

また、Copilot ChatのWeb検索は「Allow web search in Copilot」ポリシーで管理できます。未構成の場合はMicrosoft 365 CopilotとCopilot Chatの両方でWeb検索が利用可能になる一方、政府機関向けクラウドでは既定の扱いが異なるため、対象テナントでは別途確認が必要です。(Microsoft Learn)

開発者・Copilot Studio担当者が見直すべきポイント

開発者やCopilot Studio担当者にとって重要なのは、画像マスキング機能を前提にしたワークフローを組まないことです。特に、Copilot Chat上でユーザーが画像の一部を選択し、その選択範囲を後続処理に渡すような設計は、少なくとも今回のロードマップ項目を根拠に進めるべきではありません。

見直すべきポイントは次の通りです。

見直し対象確認すること修正方針
プロンプトテンプレート「マスクで範囲選択してください」という表現がないか「修正したい対象を文章で具体的に説明してください」に変更する
業務フロー画像の一部修正をCopilot Chatだけで完結させる前提になっていないか画像編集専用ツール、人手確認、承認フローを組み合わせる
検証項目「マスキングUIが表示されること」を合格条件にしていないか画像生成・編集の利用可否、出力品質、人手レビューに置き換える
エージェント設計外部画像処理やファイルアクセスを伴うか権限、プライバシー、利用規約、データ保存先を確認する
ユーザー教育新機能として紹介する資料がないかCancelled項目として注記し、代替操作を案内する

Microsoft 365 Copilotは、Graphコネクタやエージェントを通じて外部ツールやサービスの情報を参照できる場合があります。管理者は、エージェントが要求する権限、データアクセス、利用規約、プライバシー声明を確認し、組織内で許可するエージェントを制御できます。(Microsoft Learn)

そのため、画像編集を含む独自ワークフローを作る場合は、「Copilot Chatにマスキング機能が入るから後でつなぐ」という設計ではなく、現時点で利用可能な承認済みツール、保存先、権限、ログ、レビュー手順を明確にしたうえで設計するのが安全です。

展開・移行で失敗しやすいポイント

GA予定日だけを見て展開計画に入れてしまう

今回の項目にはGA dateとして2026年6月が示されています。しかし、状態はCancelledです。ロードマップ管理では、予定月よりも現在のステータスを優先して判断してください。

社内のリリースカレンダーに入れる場合は、「2026年6月提供予定」ではなく「Cancelled、展開対象外」と記録します。過去に作成したロードマップ資料や月次アップデート資料がある場合は、検索して差し替えましょう。

「画像生成機能がなくなった」と誤って案内する

今回削除されたのは「Masking in Copilot chat」という特定のロードマップ項目です。Copilot Chat全体、画像生成機能全体、Microsoft Designer連携全体が削除されたとまでは読めません。

利用者向けには、次のように案内すると誤解を減らせます。

Copilot Chatで画像の一部を正確に選択してAI編集する「Masking in Copilot chat」は、公式ロードマップ上でCancelledとなりました。画像生成やその他のCopilot機能の利用可否は、管理者設定と現在提供されている機能に基づいて確認してください。

管理センターで存在しない「Masking」設定を探し続ける

管理者が確認すべきなのは、Masking専用トグルではなく、画像生成、Web検索、エージェント、データ保護、アクセス制御などの周辺設定です。Copilot Chatの管理では、ピン留め、画像生成、エージェント、Web検索、アクセス削除などを管理でき、AI Administratorロールを使うことでグローバル管理者権限に頼らない運用もできます。(Microsoft Learn)

ネットワーク制限で無理に制御しようとする

Copilot Chatは複数のMicrosoft 365アプリに深く統合されるため、特定のドメイン、URL、IP、プロトコルをネットワーク側で選択的にブロックして制御する方法は、予期しない不具合やアプリ利用への影響につながる可能性があります。Microsoftは、Copilot Chat関連の管理にはMicrosoft 365管理センターや各アプリの管理機能を使う方針を示しています。(Microsoft Learn)

代替運用:画像編集を業務で使う場合の現実的な進め方

Masking in Copilot chatがCancelledになったからといって、画像を使った業務改善をすべて止める必要はありません。ただし、「細かい範囲選択をCopilot Chatだけで正確に行う」前提は外してください。

おすすめの進め方は次の通りです。

手順実施内容判断基準
要件を分ける画像生成、画像の雰囲気変更、部分修正、機密画像の加工を分けるすべてをCopilot Chatだけで処理しようとしない
管理設定を確認するCopilot image generation、Web search、Agents、Purviewを確認利用者が実際に使える機能と禁止事項を明確にする
代替ツールを決める精密な範囲選択が必要な作業は専用ツールも候補に入れる再現性、監査、権限管理、商用利用条件を確認する
プロンプトを標準化する修正したい対象、残したい要素、避けたい変更を文章で指定する出力のばらつきを人が確認できるレベルにする
承認フローを入れる社外公開画像、広告、営業資料は人が確認するロゴ、人物、著作権、機密情報の混入をチェックする
小さく検証する代表的な5〜10件の画像で試す成功率、手戻り、作業時間、利用者の迷いを記録する

たとえば、社内向けの簡易バナーを作る程度であれば、Copilotの画像生成機能が役立つ場合があります。一方で、製品写真の一部だけを正確に修正する、人物の輪郭だけを残して背景を自然に差し替える、ロゴ周辺だけを編集するといった作業では、専用の画像編集ツールやデザイナーによる確認を組み合わせたほうが安全です。

社内告知で使える説明文

利用者や部門責任者に短く伝える場合は、次のような文面にすると誤解を避けやすくなります。

Microsoft 365 Copilotの「Masking in Copilot chat」は、画像内の一部を選択してAI編集する機能としてロードマップに掲載されていましたが、公式ロードマップ上でCancelledとなりました。2026年6月の展開予定機能としては扱わず、社内マニュアルや研修資料から該当説明を削除します。画像生成やその他のCopilot Chat機能については、管理者設定と現在提供されている機能に基づいて利用可否を案内します。

この文面では、「機能が消えた」と過度に表現せず、「予定として扱わない」「該当説明を削除する」と実務上の対応に寄せている点がポイントです。

管理者向けチェックリスト

公開情報を確認したあと、管理者は次の順に見直すと抜け漏れを減らせます。

チェック項目完了の目安
Roadmap ID 537287をCancelledとして記録したリリース管理表、月次アップデート資料、社内Wikiを更新済み
2026年6月の展開計画から外した研修、検証、問い合わせ対応の予定を修正済み
Copilot image generationの設定を確認した画像生成を許可する範囲と禁止事項が明確
Web searchポリシーを確認したWeb参照の既定値と例外グループを把握済み
Agentsの利用範囲を確認したユーザーが使えるエージェントとデータアクセスを確認済み
Purviewや権限設計を確認した機密画像、添付ファイル、共有範囲の扱いを整理済み
利用者向けFAQを更新した「マスキングは使えますか?」への回答を用意済み
代替手順を決めた精密編集が必要な業務で使うツールと承認フローが決まっている

まとめ:展開準備ではなく、前提の修正が必要

Microsoft 365 Copilotの「Masking in Copilot chat」は、Copilot Chatで画像内の範囲をより正確に選択してAI編集する機能として案内されていたロードマップ項目です。しかし、公式情報ではCancelledとなり、ロードマップから削除される扱いになっています。

管理者や開発者が次に取るべき行動は明確です。2026年6月のGA予定として案内しないこと、社内資料から該当機能の説明を外すこと、画像生成・編集に関する既存の管理設定を確認すること、精密な画像編集が必要な業務では代替ツールや人手レビューを含めた運用に切り替えることです。

特に注意すべきなのは、「Masking」という言葉を情報保護機能と混同しないことです。今回の話は画像編集の範囲選択に関するロードマップ項目であり、DLPや秘密度ラベルのようなセキュリティ機能の変更ではありません。

まずは自社のリリース管理表、Copilot研修資料、FAQ、検証シナリオを確認し、Roadmap ID 537287を「展開予定」ではなく「Cancelled」として扱うところから着手してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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