Microsoft 365 CopilotのDeclarative Agentsが画像理解に対応|変更点と管理者の確認事項

Microsoft 365 CopilotのDeclarative Agentsを社内FAQ、業務手順案内、提案書レビューなどに使っている場合、今回の更新で特に確認すべき点は「ファイル内の画像情報も回答の根拠に使われるようになること」です。これまでテキスト中心だった回答が、Word、PowerPoint、PDFに埋め込まれたグラフ、図解、スクリーンショットの内容も踏まえやすくなります。

結論から言うと、利用者にとっては「図表入りの資料を読ませたときの回答精度向上」が期待できます。一方で、管理者や開発者は、ナレッジソースの権限、埋め込みファイルの扱い、画像の品質、既存エージェントの検証手順を見直す必要があります。特に、画像に重要情報を載せている業務資料が多い組織では、単なる機能追加ではなく「社内ナレッジ設計の見直しポイント」として捉えるべき更新です。

目次

Microsoft 365 CopilotのDeclarative Agentsで何が変わるのか

今回の更新は、Microsoft 365 Copilotの拡張機能であるDeclarative Agentsが、Word文書、PowerPointプレゼンテーション、PDFファイルに埋め込まれた画像を解釈し、回答の根拠として利用できるようになるものです。Microsoft Learnのリリースノートでは、対象は「Smarter answers with embedded image understanding」とされ、Windows向けのMicrosoft 365 Copilot extensibility更新として記載されています。ロードマップIDは531758です。(Microsoft Learn)

Declarative Agentsは、Microsoft 365 Copilotを特定の業務シナリオ向けに調整するエージェントです。作成時には、エージェントの指示、アクション、ナレッジを指定し、ユーザーの業務に合わせた応答を行わせます。Microsoftの説明では、Declarative AgentsはMicrosoft 365 Copilotと同じオーケストレーター、基盤モデル、信頼されたAIサービス上で動作します。(Microsoft Learn)

今回のポイントは、エージェントが参照するファイルの中にある「画像として埋め込まれた情報」を、回答生成時の文脈に含められるようになることです。たとえば、次のような資料で効果が出やすくなります。

対象ファイル画像として含まれやすい情報期待できる使い方
Word文書(.docx)レポート内のグラフ、業務フロー図、画面キャプチャ報告書の要点抽出、手順説明、リスク整理
PowerPoint(.pptx)組織図、プロセス図、比較表の画像、アーキテクチャ図提案資料の要約、図解内容の説明、発表準備
PDFスキャン資料、操作マニュアルのスクリーンショット、図表マニュアルの手順抽出、図表を含むQ&A、レビュー支援

Microsoftのリリースノートでは、Declarative Agentsが.docx、.pptx、.pdf内の埋め込み画像を分析し、グラフや図表などの視覚要素を応答に反映できると説明されています。利用例として、グラフ入りのWord文書から主要な洞察を要約する、図解入りPowerPointの流れを説明する、スクリーンショット入りPDFの手順を説明するといったケースが挙げられています。(Microsoft Learn)

変更前と変更後の違い

この更新を理解するには、「画像を含むファイルを読めるようになる」というより、「画像の中にしか書かれていない業務情報をエージェントが回答に反映しやすくなる」と捉えると分かりやすいです。

観点これまで起きやすかったこと更新後に期待できること
グラフ入りレポート本文の説明だけを拾い、グラフの傾向を十分に反映できないことがあるグラフやチャートの内容も踏まえて要約しやすくなる
業務フロー図図の中の分岐や担当者を読み落とす可能性がある図解の流れを説明し、手順化しやすくなる
画面キャプチャ入り手順書スクリーンショットにあるボタン名や画面遷移が回答に入りにくい画面イメージを踏まえた操作説明がしやすくなる
社内FAQエージェント画像中心のマニュアルでは回答が薄くなることがあるテキストと画像の両方を使った回答が期待できる
監査・レビュー図表に含まれる前提条件を人が確認する必要が大きい図表の確認補助として使いやすくなる

ただし、これは「画像内の情報を常に完全に読み取れる」という意味ではありません。小さすぎる文字、低解像度のスクリーンショット、複雑な凡例を持つグラフ、画像化された表などは、誤読や抜け漏れが起きる可能性があります。重要な数値や判断条件は、画像だけに閉じ込めず、本文やキャプションにも明記しておくのが安全です。

利用者にとっての実務メリット

利用者側のメリットは、資料の読み込みや確認作業が楽になることです。特に、図表やスクリーンショットが多いファイルを扱う部署では、Copilotへの質問の仕方が変わります。

たとえば、営業企画部門なら、提案書のグラフを見ながら「売上が伸びている製品カテゴリと、資料上で根拠になっている図表を要約して」と聞けます。情報システム部門なら、PDF化された操作マニュアルを基に「このスクリーンショットの流れに沿って、初回ログイン手順を利用者向けに5ステップで説明して」と依頼できます。

実際に試すなら、次のようなプロンプトが使いやすいです。

シーン試すプロンプト例
グラフ入りの報告書を確認する「このWord文書に含まれるグラフから、売上の増減が大きい箇所と考えられる要因を要約してください」
PowerPointの図解を説明する「このPowerPointの業務フロー図を、担当者・入力情報・出力情報に分けて表にしてください」
PDFマニュアルを手順化する「このPDFのスクリーンショットを踏まえて、初心者向けの操作手順に書き直してください」
会議前に資料を把握する「この資料の図表から、会議で確認すべき論点を3つ挙げてください」
監査・レビューで使う「図やスクリーンショットに含まれるリスク、未定義の条件、不明瞭な箇所を指摘してください」

ポイントは、「画像も見て」と曖昧に頼むのではなく、何を抽出したいのかを明確にすることです。「傾向」「例外」「分岐条件」「担当者」「数値」「操作手順」など、確認したい観点を指定すると、実務で使いやすい回答になりやすくなります。

影響範囲はどこまでか

今回の更新対象は、Microsoft 365 CopilotのDeclarative Agentsです。通常のCopilot Chat全体の画像機能、PowerPoint単体のデザイン機能、PDFリーダーの要約機能とは分けて考える必要があります。

Microsoft 365 Copilotのリリースノートは、一般提供済みの変更やプラットフォーム別の変更を掲載するページであり、Copilot機能はテナント内の一部ユーザーから段階的に展開され、その後組織全体へ広がる安全な展開モデルで導入されると説明されています。(Microsoft Learn)

そのため、管理者は「公式情報に掲載されたから全ユーザーで同時に使える」と決めつけないほうがよいです。対象ユーザー、対象プラットフォーム、テナントへの反映状況、ライセンス条件を確認しながら、段階的に検証するのが現実的です。

対象になりやすい組織

次のような組織では、今回の更新による効果が大きくなります。

  • 社内マニュアルがスクリーンショット中心で作られている
  • 提案書や報告書にグラフ、チャート、業務フロー図が多い
  • PDF化された手順書や設計書をCopilotで検索・要約したい
  • 社内FAQエージェントやナレッジ検索エージェントを運用している
  • Agent Builder、Microsoft 365 Agents Toolkit、Copilot StudioでDeclarative Agentsを作成している

逆に、ナレッジソースがほぼテキストのみで構成されている場合、体感できる変化は限定的です。その場合でも、今後の資料設計として「画像だけに重要情報を置かない」「図表には説明文を添える」というルールを整えておく価値があります。

管理者が確認すべき設定とガバナンス

今回の更新で最も注意すべきなのは、画像理解そのものよりも「どのファイルを、誰が、どのエージェント経由で参照できるのか」です。

Declarative Agentsは、SharePoint、OneDrive、Copilot connectors、アップロードファイルなどのエンタープライズデータをナレッジとして利用できます。また、Microsoft 365 Copilotのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスの保護を継承し、管理者はMicrosoft 365管理センターからエージェントの配布を制御できます。(Microsoft Learn)

権限とライセンスを確認する

SharePointやOneDriveをナレッジソースにする場合、Copilotはユーザーがアクセス権を持つファイル、フォルダー、サイトを対象にグラウンディング情報を検索します。Microsoftのドキュメントでは、SharePointとOneDriveのナレッジソースには、サインイン中のユーザーに有効なMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要とされています。(Microsoft Learn)

管理者は、次の点を確認してください。

確認項目見るべきポイント
対象ユーザーMicrosoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーか
対象ファイルエージェントが参照すべきファイルだけが含まれているか
SharePoint権限サイト、ライブラリ、フォルダー、ファイル単位で過剰共有がないか
OneDrive利用個人管理のファイルが業務ナレッジとして使われていないか
感度ラベル機密資料が想定外のユーザーに見える設定になっていないか
退職者・異動者所有者不在のエージェントやファイルが残っていないか

特に注意したいのは、「エージェントを共有すること」と「ナレッジソースのファイルを共有すること」は別の論点である点です。エージェントだけ共有しても、ユーザーに元ファイルへの権限がなければ回答に反映されない場合があります。一方で、ファイル権限を広げすぎると、Copilotを通じて見えてほしくない情報まで回答に入るリスクがあります。

埋め込みファイルの扱いに注意する

Agent Builderで作成したエージェントでは、デバイスやクラウドからファイルをアップロードし、エージェントのナレッジとして埋め込めます。Microsoftのドキュメントでは、埋め込みファイルコンテンツはSharePoint Embeddedに保存され、テナントのOneDriveおよびSharePoint容量にカウントされると説明されています。さらに、埋め込みファイルにはMicrosoft Purview Information Barriersがサポートされず、エージェントにアクセスできるユーザーは埋め込みファイルを根拠にした応答を見られる可能性がある点も明記されています。(Microsoft Learn)

これは重要です。社内規程、顧客情報、未公開の財務資料、開発中製品の画面キャプチャなどを、安易に埋め込みナレッジとして追加しないでください。

安全に運用するには、次の判断基準を使うとよいです。

ファイルの種類埋め込みナレッジ化の判断
全社員向けマニュアル比較的向いている。ただし最新版管理が必要
部門限定の操作手順書対象部門だけに共有するエージェントで扱う
顧客別提案書顧客名、価格、契約条件のマスキングを検討
人事・評価資料原則として慎重に扱う。権限と監査体制を優先
セキュリティ設計書必要最小限のユーザーに限定し、公開前レビューを必須にする
画像だけの古いPDF読み取り精度を検証し、重要情報はテキスト化する

エージェント共有の管理設定を見直す

Microsoft 365管理センターでは、組織内で誰がエージェントを利用できるか、どの種類のアプリやエージェントを許可するかを設定できます。Microsoftの管理者向けガイドでは、Copilot Control Systemから「Copilot > Settings > Data access > Agents」を選択して、All users、No users、Specific users/groupsを選べると説明されています。(Microsoft Learn)

また、Agent Builderで作成したエージェントの組織内共有については、テナント管理者が共有可能なユーザーを制御できます。選択肢は、全ユーザー、特定ユーザーまたはグループ、組織全体共有の無効化です。ただし、管理設定の変更は新しい共有操作に適用され、既存の共有済みエージェントは手動で更新しない限りアクセス可能なまま残る点に注意が必要です。(Microsoft Learn)

今回の更新後は、画像を含むファイルから得られる情報量が増えるため、共有範囲の見直しがより重要になります。これまで「マニュアルの本文しか拾わないだろう」と考えて許可していたエージェントでも、今後は図やスクリーンショットに含まれる情報まで回答に反映される可能性があります。

開発者・作成者が見直すべき設計ポイント

Declarative Agentsを作成している開発者や業務部門の作成者は、既存エージェントをすぐ作り直す必要があるとは限りません。今回のリリースノートだけを見る限り、新しい専用マニフェスト設定や移行手順が必須とは示されていません。

ただし、実務上は「画像が読まれる前提」で、ナレッジソースと指示文を見直すべきです。

画像に依存しすぎた資料は補足テキストを追加する

Copilotが画像を理解しやすくなっても、業務上重要な判断を画像だけに任せるのは危険です。特に、次のような情報は本文にも明記しておくと回答品質が安定します。

  • グラフの結論
  • 異常値や例外条件
  • 業務フロー図の分岐条件
  • 画面キャプチャ内のボタン名
  • 承認者、担当部署、期限
  • 表の数値や単位
  • 図中の略語や社内用語

たとえば、PowerPointに「申請 → 承認 → 差戻し」のフロー図だけがある場合、スライド下部に「差戻し条件:入力内容に不備がある場合。承認者:部門長」といった短い説明を入れておくと、エージェントの回答が安定しやすくなります。

指示文とナレッジソースを混同しない

エージェントの動作ルールをSharePoint文書などのナレッジソースに逃がす運用は避けるべきです。Microsoftは、8,000文字の指示制限を回避するために、Declarative Agentの指示をSharePoint文書などのナレッジソースに保存しないよう注意しています。ナレッジソースは事実情報の根拠であり、エージェントのシステムレベルの指示として扱うものではないためです。(Microsoft Learn)

今回、画像も回答根拠に使われるようになることで、ナレッジソース内の図やスクリーンショットに「運用ルールのような文言」が含まれている場合、その扱いが曖昧になる可能性があります。

設計上は、次のように分けるのが安全です。

種類書く場所
エージェントの役割Instructions「社内ITヘルプデスクとして回答する」
回答形式Instructions「手順は番号付きリストで出力する」
参照すべき業務情報Knowledge sources社内マニュアル、FAQ、手順書
図表の解説Knowledge sources内の本文やキャプション「図1は申請から承認までの流れを示す」
禁止事項Instructions「不明な場合は推測せず、確認先を提示する」

検索対象ファイルを増やしすぎない

画像理解が強化されると、「関連しそうな資料をすべてナレッジに入れればよい」と考えがちです。しかし、ナレッジソースが多すぎると、古い資料や類似資料が混ざり、回答の一貫性が下がります。

Microsoftの最適化ガイドでは、SharePointファイルを指定する場合は関連性の高いファイルを選び、フォルダー全体ではなく必要なファイルを個別指定することが推奨されています。また、20ファイル以下なら全内容を検索できること、関連ファイルの総ページ数は300ページ以下を目安にすることなども示されています。(Microsoft Learn)

画像入り資料が多い場合は、次のように整理すると運用しやすくなります。

状況推奨対応
旧版と新版のマニュアルが混在旧版をアーカイブし、エージェントの参照対象から外す
似たPowerPointが大量にある正式版だけをナレッジソースに指定する
図表だけが古い図表を更新するか、本文で最新版の数値を補足する
部門ごとに表現が違う用語集や凡例を作成し、解釈を統一する
PDFが長すぎる章ごとに分割し、エージェントの目的に合う範囲だけ使う

展開前に行うべき検証手順

管理者や開発者は、いきなり全社展開するのではなく、画像を含む実ファイルで検証してから展開範囲を広げるべきです。

検証用ファイルを用意する

まず、次の3種類のファイルを用意します。

検証ファイル含める画像確認したいこと
Word文書グラフ、表のスクリーンショット、本文説明グラフの傾向を正しく要約できるか
PowerPoint業務フロー図、組織図、構成図図の流れや関係性を説明できるか
PDF操作画面のスクリーンショット手順や画面要素を正しく抽出できるか

テストでは、成功しやすい資料だけでなく、あえて失敗しやすい資料も入れてください。たとえば、低解像度の画像、小さな文字、複数の図が1ページに密集している資料、凡例が複雑なグラフなどです。

検証観点を決める

検証時は、単に「回答できたか」ではなく、次の観点で評価します。

観点確認内容
正確性グラフの傾向、数値、図の関係性を誤っていないか
網羅性重要な図表やスクリーンショットを見落としていないか
権限権限のないユーザーに情報が出ていないか
再現性同じ質問で大きく異なる回答にならないか
表現利用者向けに分かりやすい言葉で説明できているか
不明時の挙動読み取れない場合に推測せず確認を促せるか

パイロット展開する

最初は、画像入り資料をよく使う少人数のチームに限定して試すのが安全です。営業企画、情報システム、カスタマーサポート、人事労務、製品企画など、資料レビューの頻度が高い部門が候補になります。

パイロット期間中は、次の情報を集めます。

  • どの資料で回答精度が上がったか
  • どの画像で誤読が起きたか
  • 利用者がどのような質問をしたか
  • 権限不足やライセンス不足のエラーが出たか
  • 回答に含めてはいけない情報が出ていないか
  • 資料側に追加すべきキャプションや説明文は何か

ここで得た結果を基に、ナレッジソース、共有範囲、指示文、社内利用ガイドを更新してから展開範囲を広げます。

失敗しやすいポイントと対策

今回の更新は便利ですが、運用を誤ると「回答がそれらしく見えるのに間違っている」「思ったより多くの情報が回答に含まれる」といった問題が起きます。

失敗しやすいポイント起きる問題対策
画像だけに重要情報を載せている数値や条件の誤読が起きやすい本文やキャプションにも重要情報を書く
旧資料がナレッジに残っている古い図表を根拠に回答する正式版だけを参照対象にする
スクリーンショットが小さいボタン名や項目名を読み違える解像度を上げ、必要部分を拡大する
共有範囲が広すぎる本来見せない情報が回答に含まれるユーザー・グループ単位で限定する
検証プロンプトが少ない本番で想定外の回答が出る業務別にテスト質問を用意する
エージェント指示が曖昧回答形式が安定しない出力形式、禁止事項、不明時の対応を明記する

特に「画像が読めるようになったから、画像中心の資料でも問題ない」と考えるのは避けるべきです。AIに読ませる資料ほど、人間にも読みやすい構造にしておく必要があります。図にはタイトルを付ける、凡例を明確にする、結論を短く添える、画像の近くに説明文を置く。こうした基本的な資料設計が、Copilotの回答品質にも直結します。

既存エージェントの移行は必要か

今回の更新について、既存のDeclarative Agentsに対して必ずマニフェストを変更する、作り直す、といった明確な移行作業は示されていません。したがって、まず行うべきなのは移行ではなく検証です。

ただし、次のようなエージェントは見直し対象にしてください。

見直し対象理由
WordやPDFの手順書をナレッジにしているエージェントスクリーンショットの内容が回答に影響しやすい
PowerPoint提案書を参照する営業支援エージェントグラフや図解の読み取り結果が提案内容に影響する
部門限定資料を扱うエージェント画像内に機密情報が含まれる可能性がある
古い資料が混在しているエージェント古い図表を根拠に回答するリスクがある
作成者が退職・異動したエージェント所有者不在で更新や責任範囲が曖昧になりやすい

移行作業として大がかりな再構築を考える前に、まずは「どの資料の、どの画像が、どの回答に影響するのか」を確認しましょう。そのうえで、資料の整理、指示文の調整、共有範囲の見直しを行うのが効率的です。

社内展開時に利用者へ伝えるべきこと

利用者には、機能名よりも「何ができるようになるのか」「どう聞けばよいのか」「何に注意すべきか」を伝えるほうが定着します。

社内向けには、次のような短い案内が分かりやすいです。

Microsoft 365 Copilotの一部エージェントでは、Word、PowerPoint、PDF内のグラフ、図解、スクリーンショットも踏まえた回答ができるようになります。資料の要約や手順確認に使えますが、重要な判断は元資料を確認してください。小さい文字や古い資料は誤読される可能性があるため、回答に違和感がある場合は資料の該当箇所を確認してください。

利用者向けガイドには、次の3点を入れておくと効果的です。

  • 「この図表から何を知りたいのか」を具体的に聞く
  • 数値や判断条件は、Copilotの回答だけで確定しない
  • 機密情報を含む資料を安易にアップロードしない

管理者側では、利用者に任せきりにせず、利用できるエージェント、参照してよい資料、禁止される使い方を明文化しておく必要があります。

よくある疑問

画像が入ったファイルなら何でも正確に読めますか

いいえ。グラフ、図解、スクリーンショットを踏まえた回答が期待できるようになりますが、低解像度の画像、小さい文字、複雑な表、古いスキャンPDFでは誤読や抜け漏れが起きる可能性があります。重要な情報は本文にも書き、画像には見出しやキャプションを付けるのが安全です。

Excelファイル内の画像も対象ですか

今回のリリースノートで明記されている対象ファイルは、Word文書(.docx)、PowerPoint(.pptx)、PDFです。Excel内の画像については、この更新だけを根拠に対象と断定しないほうがよいです。Excelを使う場合は、実際のテナント環境で検証してください。

管理者が新しい設定を有効化する必要はありますか

今回の機能について、専用の有効化スイッチが必要だとはリリースノート上では示されていません。ただし、Microsoft 365 Copilotやエージェント全体の利用設定、共有設定、ライセンス、対象プラットフォーム、段階的ロールアウトの状況は確認が必要です。

画像内の機密情報も回答に出る可能性がありますか

可能性があります。特に、エージェントが参照できるナレッジソース内に機密情報を含む画像がある場合、ユーザーの権限やエージェントの共有範囲によっては回答に反映されることがあります。埋め込みファイルを使う場合は、アクセスできるユーザー、情報バリア、感度ラベル、共有範囲を必ず確認してください。

既存の社内マニュアルは作り直すべきですか

すべて作り直す必要はありません。まずは画像が多く、利用頻度が高く、誤読されると業務影響が大きい資料から点検しましょう。優先度が高いのは、操作マニュアル、申請フロー、障害対応手順、顧客向け提案書、セキュリティ手順書です。

まず何をすべきか

この更新は、Microsoft 365 CopilotのDeclarative Agentsをより実務向きにする重要な改善です。特に、社内資料の多くが図表やスクリーンショットを含む企業では、エージェントの回答品質を高めるきっかけになります。

一方で、画像が回答根拠に使われるようになるほど、資料の品質、権限設計、共有範囲、検証プロセスの重要性も高まります。管理者や開発者は、次の順序で進めると安全です。

  1. Roadmap ID 531758とMicrosoft 365 Copilotリリースノートで提供状況を確認する
  2. 画像入りのWord、PowerPoint、PDFを使って既存エージェントをテストする
  3. 誤読されやすい画像、古い資料、過剰共有された資料を洗い出す
  4. 重要情報を本文やキャプションにも補足する
  5. Microsoft 365管理センターでエージェントの利用者、共有、展開設定を見直す
  6. 小規模なパイロット展開後、社内ガイドを整えて全体展開する

最初に取り組むべきなのは、機能の有無を確認することではなく、「自社の重要資料で、期待どおりに回答できるか」を検証することです。画像を含むナレッジが多い組織ほど、この確認がCopilot活用の成果を左右します。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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