2026年6月17日時点で確認すべき主な変更は、Microsoft Copilot Studioの現行英語版ドキュメントで、利用可能なエージェントテンプレートの一覧から「Voice」が外れていることです。旧Voiceテンプレートの案内も、現在は共通のテンプレート作成ページへ集約されています。
ただし、音声エージェント機能そのものが廃止されたわけではありません。新しく音声エージェントを作る場合は、通常のエージェントを作成してから「Settings > Voice」で音声機能を有効にする流れを確認します。既存エージェントの強制移行、提供終了日、今回の変更に伴う料金改定は、対象ページでは告知されていません。(Microsoft Learn)
Microsoft Learnの「Create a custom agent from a template」で変わったこと
Microsoft Learnの英語版「Create a custom agent from an agent template」は、ページ上の最終更新日が2026年6月16日となっています。日本時間では2026年6月17日に確認された更新に当たります。
今回の更新で特に注意したいのは、英語版と日本語版で掲載内容が一致していない点です。
| 確認項目 | 現行英語版 | 更新の古い日本語版 |
|---|---|---|
| 掲載テンプレート数 | 8種類 | 9種類 |
| Voiceテンプレート | 一覧に掲載されていない | 一覧に掲載されている |
| 最終更新表示 | 2026年6月16日 | 2026年3月10日 |
| 判断時の優先順位 | 最新情報として優先 | 翻訳反映前の可能性がある |
現行英語版には、Citizen Services、Financial Insights、IT Helpdesk、Safe Travels、Weather、Website Q&A、Sustainability Insights、Benefitsの8種類が掲載されています。一方、日本語版にはVoiceを含む9種類が残っています。(Microsoft Learn)
この差から、少なくとも公式ドキュメント上では、Voiceを「最初に選ぶテンプレート」として案内する方式から、通常のエージェントに音声機能を設定する方式へ整理されたと判断できます。
ただし、すべての環境で同じタイミングに画面が切り替わるとは限りません。実際に利用できるテンプレートは、自社テナントのCopilot Studio画面でも確認してください。
現在掲載されているエージェントテンプレート
現行英語版で案内されているテンプレートは次のとおりです。
| テンプレート | 種類 | 想定される用途 |
|---|---|---|
| Citizen Services | カスタムエージェント | 公共サービスや行政情報の案内 |
| Financial Insights | カスタムエージェント | 財務資料や金融情報の検索・整理 |
| IT Helpdesk | カスタムエージェント | 社内IT問い合わせやサポート受付 |
| Safe Travels | カスタムエージェント | 出張・渡航情報の案内 |
| Weather | カスタムエージェント | 天候情報を使った案内 |
| Website Q&A | カスタムエージェント | Webサイトの内容に基づく質問対応 |
| Sustainability Insights | カスタムエージェント | サステナビリティ情報の確認 |
| Benefits | Microsoft 365 Copilotエージェント | 社内の福利厚生情報の案内 |
Benefitsだけは、ほかの7種類と異なり「Microsoft 365 Copilot agent」として分類されています。利用者、公開先、ライセンスを確認するときは、カスタムエージェントと同じものとして扱わないようにしましょう。(Microsoft Learn)
Voiceテンプレートが見当たらない場合の対応
Voiceテンプレートが一覧から消えていても、音声エージェントを作れなくなったわけではありません。
現在の公式手順では、通常のエージェントを作成した後、音声機能を追加します。
新しく音声エージェントを作る手順
- Copilot Studioで新しいエージェントを作成します。
- 対象のエージェントを開きます。
- 「Settings > Voice」を開きます。
- 「Enable voice」を有効にします。
- Basic voiceまたはReal-time voiceを選択します。
- 音声、会話制御、言語などを設定します。
- Dynamics 365 Contact Centerと接続します。
- テスト後にエージェントを公開します。
- Dynamics 365 Contact Center側で音声チャネルを設定します。
現在のCopilot Studioでは、Basic voiceとReal-time voiceという2種類の音声エージェントが案内されています。音声入力のほか、電話キーによるDTMF入力、コンテキスト変数、担当者への転送などを構成できます。(Microsoft Learn)
音声チャネルを利用するには、Copilot Studioだけでなく、Dynamics 365 Contact Centerの環境や電話番号なども必要です。Azure Communication Servicesで新しい電話番号を取得する方法と、既存番号を利用する方法があります。
既存のVoiceエージェントは作り直すべきか
テンプレート一覧からVoiceが外れたことだけを理由に、既存エージェントを作り直す必要はありません。
対象ページには、次のような告知は掲載されていません。
- 既存Voiceエージェントの停止
- 強制的な再作成
- 移行期限
- 特定日以降の利用不可
- 旧エージェントの自動削除
既存環境では、再作成より先に次の項目を確認してください。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 公開状態 | 現在の公開バージョンが正常に応答するか |
| 電話接続 | 着信、発信、転送が正常に動くか |
| 音声設定 | Basic voiceまたはReal-time voiceの設定状態 |
| 言語 | 音声認識と読み上げの言語が想定どおりか |
| DTMF | 電話キーによる選択操作が正常に動くか |
| 接続先 | Dynamics 365 Contact Centerとの接続が維持されているか |
| 認証・権限 | 接続所有者やサービスアカウントが有効か |
本番環境を直接変更せず、可能であれば検証用環境で同じ設定を再現してから更新するのが安全です。
テンプレートからエージェントを作成する基本手順
Voice以外のテンプレートについては、従来と同様にCopilot Studioの「Agents」ページから作成します。
- 「Agents」ページを開きます。
- 「Start with an agent template」からテンプレートを選びます。
- エージェント名、説明、指示を確認します。
- 必要に応じてアイコンを変更します。
- データ接続を確認し、接続先サービスへサインインします。
6.プライマリ言語を選択します。 - 必要に応じてナレッジソースを追加します。
- 「Create」を選択します。
- 「Overview」画面でテストし、応答を調整します。
- 問題がなければ公開します。
公開処理や認証情報の反映には、数分かかる場合があります。公開ボタンを繰り返し押すのではなく、処理完了を待ってから再テストしてください。(Microsoft Learn)
テンプレート利用時に必ず変更する項目
テンプレートは完成済みの業務システムではなく、エージェント作成の出発点です。作成直後に公開せず、少なくとも次の項目を確認します。
指示文を自社の業務に合わせる
初期状態の指示文には、汎用的な役割や回答方針が設定されています。
たとえばIT Helpdeskであれば、次のような内容を追加します。
- 対応する製品やサービス
- 回答してよい問い合わせの範囲
- 管理者へ引き継ぐ条件
- パスワードや個人情報を扱う際の制限
- 解決できない場合の連絡先
- チケットを作成する条件
「ITの質問に答えてください」だけでは、回答範囲が広すぎます。「社内Windows端末とMicrosoft 365に関する一次問い合わせを担当し、アカウント停止や権限変更は管理者へ案内する」といった具体的な指示に変更しましょう。
デモ用のナレッジソースを置き換える
テンプレートによっては、サンプルのWebサイトやデータが登録されています。そのままでは、自社と関係のない情報を回答する可能性があります。
公開前に、次の点を確認してください。
- サンプルURLが残っていないか
- 古い社内文書が登録されていないか
- 閲覧権限を持たない情報を検索できないか
- 回答の根拠として使う文書が最新版か
- 外部公開してよい情報だけが含まれているか
Safe Travelsなどのテンプレートでは、初期状態の対象地域やナレッジソースを、自社の利用条件に合わせて置き換える必要があります。(Microsoft Learn)
接続と認証を作成者個人に依存させない
テンプレートには、ServiceNowなど外部サービスとの接続を利用するものがあります。作成者個人のアカウントだけで接続すると、異動、退職、パスワード変更によってエージェントが停止するおそれがあります。
本番利用では、次のような運用を検討します。
- 管理対象のサービスアカウントを使う
- 接続の所有者を記録する
- 必要最小限の権限だけを付与する
- 接続エラーの確認担当者を決める
- 定期的に認証期限を確認する
IT Helpdeskテンプレートを利用する場合は、Copilot Studioのライセンスや容量に加え、ServiceNowの環境と接続権限も確認が必要です。(Microsoft Learn)
日本語で利用するときの注意点
複数の個別テンプレートページでは、マネージドテンプレートが英語で提供され、組織内部での利用を前提とする旨が案内されています。日本語環境で選択できたとしても、そのまま日本語業務へ投入できるとは限りません。(Microsoft Learn)
日本語で利用する場合は、次の項目を実際の質問文でテストしてください。
- 日本語の固有名詞を正しく認識できるか
- 敬語や社内用語が不自然にならないか
- 日本語文書から適切な箇所を参照できるか
- 日付や時刻が日本形式で表示されるか
- 円、住所、電話番号の表記が適切か
- 英語の初期メッセージが残っていないか
- 音声利用時に人名や製品名を正しく認識できるか
特に音声エージェントでは、テキストチャットで正しく回答できても、音声認識で固有名詞を誤認することがあります。代表的な問い合わせを録音または実際の通話で試し、認識結果と回答内容を分けて確認しましょう。
誰に影響する変更なのか
新しくVoiceテンプレートを使う予定だった作成者
最も影響を受けるのは、古い手順書を見ながらVoiceテンプレートを探している作成者です。
一覧にVoiceが表示されない場合は、障害と判断する前に通常のエージェントを作成し、「Settings > Voice」から音声機能を有効にしてください。
既存のVoiceエージェントを運用している担当者
直ちに移行する必要があるとは案内されていません。ただし、今後の保守に備えて、現在の設定、接続先、利用チャネル、音声方式を記録しておく必要があります。
更新後は、少なくともテスト通話、担当者転送、DTMF操作を確認します。
社内手順書を管理する管理者
次のような記載がある場合は、手順書の更新対象です。
- 「Voiceテンプレートを選択する」
- 旧Voiceページを直接開くURL
- 9種類のテンプレートが利用できるという説明
- 日本語版Microsoft Learnだけを参照する手順
- 古いCopilot Studio画面のスクリーンショット
製品画面、最新の英語版Microsoft Learn、日本語版の3つを比較し、実際のテナントで再現できる手順を正式版としてください。
Voiceを利用しない一般ユーザー
既存のチャット型エージェントを利用するだけであれば、今回のドキュメント変更による直接的な操作変更は限定的です。
ただし、管理者がテンプレートを使ってエージェントを作り直した場合は、回答内容や公開先が変わる可能性があります。利用者向けの案内が出ているか確認してください。
料金・ライセンスで確認すべきこと
今回のテンプレートページには、新しい料金、価格改定、追加課金の開始日は記載されていません。ただし、テンプレートを選択できることと、本番公開・継続利用に必要なライセンスがあることは別です。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 作成者の権限 | Copilot Studioへアクセスして作成・公開できるか |
| Copilot Studioの利用料 | プリペイドまたは従量課金など、組織の契約形態 |
| Copilot Credits | エージェント実行による消費量と環境への割り当て |
| Microsoft 365 Copilot | 対象エージェントで利用権が適用されるか |
| 音声チャネル | Dynamics 365 Contact Centerの契約と音声機能 |
| 電話番号 | Azure Communication Servicesなどの要件 |
| 外部接続 | ServiceNowなど接続先サービスの契約 |
| 運用監視 | 利用量の上限、予算、消費レポートの確認方法 |
Copilot Studioでは、Copilot Creditsが利用量を管理する共通単位として使われています。プリペイドと従量課金など複数の方式があるため、管理者はPower Platform管理センターで環境ごとの割り当てと消費量を確認してください。(Microsoft Learn)
テンプレートから作成できても、試用ライセンスの条件や容量不足によって公開できない場合があります。公開前には、作成者のライセンスだけでなく、対象環境に利用可能な容量が割り当てられているかも確認が必要です。(Microsoft Learn)
期限と移行についての結論
2026年6月17日時点の対象ページには、Voiceテンプレートに関する移行期限やサービス終了日は記載されていません。
現時点では、次のように判断するのが妥当です。
- 新規作成ではVoiceテンプレートを前提にしない
- 音声エージェントは通常のエージェントから設定する
- 既存エージェントは動作確認を優先し、慌てて再作成しない
- 社内手順書とブックマークは最新の導線へ更新する
- 料金やライセンスは別の公式ライセンス資料で確認する
- 今後の提供終了や移行告知はMicrosoft 365メッセージセンターなどでも確認する
Real-time voiceには、モデルの配置リージョンやクロスジオ処理、データ境界に関する制約があります。音声方式を変更するときは、機能だけでなく、自社のデータ保存・処理要件に適合するかも確認してください。(Microsoft Learn)
今すぐ行う確認手順
今回の変更に対応するには、次の順番で確認すると効率的です。
- Microsoft Learnを英語表示に切り替え、最終更新日を確認する
- Copilot Studioの「Agents」画面で実際のテンプレート一覧を確認する
- Voiceを使う場合は「Settings > Voice」が利用できるか確認する
- 既存音声エージェントでテスト通話と担当者転送を実施する
- ナレッジソース、接続、認証、言語設定を再確認する
- 管理者がライセンスとCopilot Creditsの残量を確認する
- Voiceテンプレートを前提とする社内手順書を修正する
- 検証環境で公開テストを行ってから本番へ反映する
今回のポイントは、「Voiceという選択肢が公式テンプレート一覧から外れたこと」と「音声機能そのものの提供終了」を混同しないことです。まず自社テナントの画面と既存エージェントの動作を確認し、新規作成時のみ現在の「Settings > Voice」を使う手順へ切り替えてください。

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