OneNoteのMultimodal captureとは?Copilot Notebooks iPhone更新の影響と管理ポイント

Microsoft 365 CopilotのOneNote向け更新「Multimodal capture in Copilot Notebooks(iPhone)」は、iPhoneのOneNoteモバイルアプリで、音声の文字起こし、写真撮影、テキストメモを1つのセッションでまとめて記録できる機能です。記録後はCopilotが内容を整理し、洞察とユーザーが取り込んだ情報を含む構造化されたCopilot Pageとして、ユーザーが選んだCopilot Notebookに保存します。対面会議、ホワイトボードでの議論、現場メモ、立ち話の記録を後から業務資料に変換しやすくなる一方で、管理者はライセンス、iOS展開、録音・文字起こしの同意、OneDrive/SharePointの権限、Microsoft Purviewの保持・監査を事前に確認する必要があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)

目次

OneNoteのMultimodal capture in Copilot Notebooksとは

「Multimodal capture in Copilot Notebooks」は、Microsoft 365 CopilotのCopilot Notebooksに、現場で発生する複数種類の情報をまとめて取り込むための機能です。

従来、対面の打ち合わせを記録する場合は、音声は録音アプリ、ホワイトボードはカメラ、メモはOneNoteや別のノートアプリというように、情報が分散しがちでした。この更新では、OneNoteのiPhoneアプリ内で音声、画像、テキストを同じセッションとして扱い、Copilotが後から読み返しやすいページに構造化します。

特に効果が出やすいのは、次のような場面です。

  • 顧客訪問後に、その場の会話とホワイトボード写真をまとめて残す
  • 社内の立ち話やブレインストーミングを、後でタスク化できる形にする
  • 展示会、現場調査、店舗巡回など、PCを開きにくい状況で気づきを記録する
  • 個人メモ、写真、口頭説明をまとめてプロジェクトノートに集約する

重要なのは、単なる「録音機能」ではない点です。音声、画像、テキストをまとめてCopilot Notebookの文脈に入れられるため、後から「決定事項だけ抜き出して」「次のアクションを整理して」「この写真に写っているホワイトボードの内容を議事メモに反映して」といった使い方につなげやすくなります。

Microsoft 365 CopilotのAI/Copilot更新で何が変わるのか

今回の変更は、Copilotを「チャットで質問する道具」から「現場で集めた未整理情報を、後から仕事に使える形へ変換する道具」に近づける更新です。

変更点これまで起きがちだった課題更新後に期待できること
音声・画像・テキストを1セッションで記録録音、写真、メモが別々の場所に散らばる会話、ホワイトボード、メモを同じ文脈で保存できる
Copilotが構造化されたCopilot Pageを作成後から手作業で議事録や要点に整理する必要がある決定事項、論点、次の作業を抽出しやすくなる
ユーザー指定のCopilot Notebookに保存どの案件のメモか分からなくなるプロジェクトやテーマごとのNotebookに集約できる
iPhoneのOneNoteモバイルアプリが対象PC前提の記録になりやすい外出先や対面作業でも記録を始めやすい

Microsoft 365 Roadmap ID 559095では、対象プラットフォームはiOS、サービスはOneNoteおよびMicrosoft Copilot(Microsoft 365)、クラウドはWorldwide(Standard Multi-Tenant)として示されています。ステータスはRolling out、プレビューは2026年3月、一般提供は2026年5月の予定として記載されています。なお、Microsoft 365 Roadmapの情報は予定であり、提供時期や内容は変更される可能性があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)

影響範囲:対象ユーザー、ライセンス、対応環境

この更新の影響を受けるのは、主にCopilot Notebooksを利用できるユーザーと、iPhoneでOneNoteモバイルアプリを使う業務ユーザーです。

確認項目内容管理者の確認ポイント
対象アプリOneNoteモバイルアプリ(iPhone / iOS)Android、Windows、Web版も同時対象と誤解して案内しない
対象サービスMicrosoft 365 Copilot、OneNote、Copilot NotebooksCopilot Chatだけの利用者に同じ体験を案内しない
ライセンスCopilot NotebooksにはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要。Notebook作成にはSharePointまたはOneDriveのサービスプランも必要対象ユーザーにMicrosoft 365 CopilotとSharePoint/OneDriveの割り当てがあるか確認する
保存先ユーザーが選択したCopilot Notebook案件別、部門別、個人用などNotebookの使い分けルールを決める
提供状況段階的に展開される可能性あり一部ユーザーで表示されない場合に備え、アプリ更新状況とロールアウト状況を確認する

Microsoft Supportでは、Copilot Notebooksの利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要であり、Notebookを作成するにはSharePointまたはOneDriveのライセンスが必要と説明されています。また、一部機能は段階的に展開されるため、同じテナント内でも表示タイミングがずれる可能性があります。(マイクロソフト サポート)

利用者にとってのメリットと注意点

利用者にとって最大のメリットは、「後から整理する前提で、今の情報を逃さず残せる」ことです。

たとえば、営業担当者が顧客との対面打ち合わせで、相手の要望を音声で記録し、ホワイトボードの構成図を撮影し、気になった点を短いテキストでメモしたとします。これまでは、録音を聞き返し、写真を見ながらメモを補足し、別途議事録を作る必要がありました。Multimodal captureでは、それらを同じセッションとして取り込み、Copilot Notebook内で次の作業につなげやすくなります。

一方で、便利だからといって何でも録音・撮影してよいわけではありません。特に次の情報を含む場面では慎重に扱う必要があります。

注意が必要な場面理由推奨対応
顧客との会話録音・文字起こしに同意が必要な場合がある開始前に目的、保存先、利用範囲を説明する
人事評価、面談、相談対応個人情報やセンシティブ情報を含みやすい利用可否を社内規程で明確にする
ホワイトボード写真顧客名、金額、未公開情報が写り込むことがある撮影前に不要な情報を消す、または撮影範囲を限定する
複数案件が混在する会話誤ったNotebookに保存すると文脈が混ざるセッション開始時に保存先Notebookを必ず確認する
Copilotの要約結果AIの出力は常に完全とは限らない共有前に人が事実確認する

Microsoftは、Copilotの生成AI出力は100%事実であることを保証するものではなく、送信や共有の前にユーザーが確認すべきものとして説明しています。議事録、顧客提出資料、契約・人事に関わる要約では、Copilotの出力をそのまま正式記録にせず、人による確認プロセスを残すべきです。(Microsoft Learn)

管理者が確認すべき設定と展開上の注意点

管理者は、機能の紹介より先に「誰が、どの場面で、どの範囲まで使ってよいか」を決める必要があります。特に録音・文字起こし・写真撮影を伴うため、通常のCopilot機能よりも利用ルールの重要度が高くなります。

ライセンスとサービスプランを確認する

まず、対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているか確認します。加えて、Copilot Notebooksを作成するにはSharePointまたはOneDriveのサービスプランが必要です。Copilotライセンスだけを見ていると、Notebook作成や保存まわりで利用者がつまずく可能性があります。(マイクロソフト サポート)

展開前には、次のような対象者リストを作ると運用しやすくなります。

対象部門優先度想定シナリオ展開判断
営業高顧客訪問、商談後の整理、提案メモパイロット候補
プロジェクト管理高対面会議、ホワイトボード議論、進行管理パイロット候補
フィールドサポート中現場状況の写真、口頭説明、作業メモ業務ルール整備後に展開
人事・労務低〜中面談記録、研修メモ同意・保存・閲覧権限を厳格化して限定利用
全社一般低個人メモ、簡易記録ガイドライン整備後に段階展開

iOSアプリの展開とモバイル管理を見直す

対象はiPhoneのOneNoteモバイルアプリです。管理者は、Microsoft Intuneなどのモバイル管理を利用している場合、OneNoteアプリの配布、更新、アプリ保護ポリシー、条件付きアクセスの設計を確認します。

特にBYODを許可している組織では、業務データを含む音声、写真、メモが個人端末上で扱われることになります。アプリ間コピー、ローカル保存、スクリーンショット、 unmanaged appへの共有など、既存のモバイルアプリ保護ポリシーが実態に合っているかを点検してください。

録音・文字起こしの同意ルールを明文化する

この機能で最もトラブルになりやすいのは、録音や文字起こしに対する同意です。法律や業界規制、社内規程、顧客契約によって扱いが異なるため、「Copilotでできるから使ってよい」とは言えません。

最低限、利用者向けガイドラインには次の文言を入れるべきです。

ルール具体例
録音前に同意を取る「この打ち合わせ内容を議事メモ作成のためにOneNoteで文字起こししてもよいですか」と確認する
保存先を説明する「記録は社内のCopilot Notebookに保存され、プロジェクト関係者が参照します」と伝える
機密情報の扱いを限定する契約交渉、個人相談、未公開人事情報では原則使用しない、または承認制にする
AI要約を正式記録にしない顧客送付前、社内承認前に必ず担当者が確認する

SharePointとOneDriveの権限を棚卸しする

Microsoft 365 Copilotは、ユーザーが少なくとも表示権限を持つ組織データを基に応答します。つまり、Copilot自体が新しい権限を作るわけではありませんが、既存の過剰共有があると、Copilotによって見つけやすくなる可能性があります。(Microsoft Learn)

Multimodal captureで作成されたCopilot PageやNotebookの内容も、保存先や共有設定の影響を受けます。展開前に、次のような点を確認してください。

  • 「全社員」や大きすぎるグループに共有されたNotebookがないか
  • プロジェクト終了後も共有が残り続けていないか
  • 外部ユーザーを含む共有チャネルや共同作業領域に機密メモが保存されないか
  • Copilot Notebookを個人用、部門用、案件用でどう分けるか
  • 退職者、異動者、外部委託者のアクセス権が定期的に見直されているか

SharePointとOneDriveのアクセス制御は、Copilotが発見・参照できる内容に影響します。検索・発見設定、共有設定、メンバーシップ、ライフサイクルポリシー、感度ラベルやDLP条件を含めて確認することが重要です。(Microsoft Learn)

Purview、保持、監査の対象を確認する

Copilot利用データはMicrosoft Purviewの保持、監査、eDiscoveryなどの観点でも確認が必要です。Microsoftの資料では、Copilotのやり取りに関するデータはMicrosoft 365サービス内に保存され、Purviewの機能で検出、監査、保持の対象にできると説明されています。(Microsoft Learn)

ただし、実際にどのデータがどの保持ポリシーにかかるかは、テナント設定、保存先、ライセンス、Purview構成によって異なります。展開時には、セキュリティ管理者、コンプライアンス担当、法務担当を巻き込んで確認するのが安全です。

既存のOneNote運用からの移行で注意すること

この更新は、既存のOneNoteノートブックを自動的にCopilot Notebookへ移行する機能として捉えるべきではありません。むしろ、今後の記録をどのNotebookに集約するかを決める運用設計の問題です。

移行・整理で失敗しやすいのは、既存のOneNote運用をそのままCopilot Notebooksに持ち込むことです。たとえば、部門全員が1つの巨大なNotebookに何でも入れている場合、Copilotが扱う文脈も広くなりすぎ、検索性や権限管理が悪化します。

おすすめは、次の粒度でNotebookを分けることです。

Notebookの単位向いている用途注意点
プロジェクト単位会議、要件、決定事項、課題管理プロジェクト終了時のアーカイブルールを決める
顧客・案件単位商談、提案、訪問記録顧客情報の共有範囲を限定する
部門ナレッジ単位研修、FAQ、業務手順個別案件や個人情報を混ぜない
個人作業単位下書き、調査メモ、アイデア共有前提の情報と分ける

「便利だから全部入れる」ではなく、「Copilotにどの文脈で考えさせたいか」からNotebookを設計することが、精度とガバナンスの両面で重要です。

開発者・社内アプリ担当が確認すべきポイント

このRoadmap項目は、現時点では新しいAPIや開発者向けSDKの提供を主目的とした更新ではありません。開発者が見るべきなのは、コード変更よりも、業務データの流れと情報設計への影響です。

特に次の点を確認してください。

観点確認すべきこと
データ連携Copilot Notebookに保存された情報を、既存の業務システムへ自動連携する要件があるか
参照設計プロジェクト資料、会議メモ、画像、音声由来の文字起こしをどの単位で整理するか
権限境界開発チーム、業務部門、外部委託先でNotebookの閲覧範囲が分かれているか
自動化非公式な画面操作やスクレイピングではなく、Microsoft Graphなど公式に提供される手段を使う方針になっているか
AI利用ルールCopilotの出力をワークフロー承認、チケット起票、顧客連絡に使う場合、人の確認をどこに入れるか

「他のエンドポイントは今後」とされているため、iPhone以外の環境や追加連携を前提にした開発計画は、公式情報が出るまで断定しない方が安全です。まずは、Notebookに入る情報の分類、命名規則、権限、保持期間を整えるところから始めるべきです。(Microsoft 365 Message Center Archive)

展開前に作るべき利用ガイドライン

管理者が最初に作るべきものは、長いマニュアルではなく、ユーザーが録音開始前に判断できる短いガイドラインです。以下のような形にすると、現場で使いやすくなります。

判断項目利用してよい例利用を避ける・承認が必要な例
参加者の同意全員に録音・文字起こしの目的を説明し、了承を得た会議相手に知らせず録音する会話
情報の種類プロジェクトの論点、一般的な議事内容、公開可能なホワイトボード個人評価、健康情報、契約上制限された情報
保存先案件専用のCopilot Notebook関係者以外も見られる共有Notebook
出力の扱い下書き、議事メモ、社内確認用確認なしで顧客送付、公式記録化
端末管理されたiPhone、最新版OneNote管理外端末、セキュリティ設定が不明な端末

ユーザー向けには、次の一文を徹底するだけでも事故を減らせます。

「録音・撮影する前に、相手の同意、保存先Notebook、共有範囲を確認する」

パイロット展開の進め方

全社に一斉展開するより、まずは利用シーンが明確な部門でパイロットを行うのがおすすめです。

ステップ実施内容成功基準
小規模対象を選ぶ営業、PM、フィールド担当など10〜30名程度で開始実際の業務で記録したい場面がある
利用ルールを配布同意取得、保存先、共有、AI出力確認のルールを1枚にまとめるユーザーが録音前に判断できる
Notebook設計を決める案件単位、プロジェクト単位などの作成ルールを決める情報が個人メモに埋もれない
週次でレビュー便利だった場面、困った場面、誤要約、権限ミスを収集利用継続の価値とリスクが見える
全社展開可否を判断部門別の利用可否、追加ポリシー、教育資料を整える管理者、法務、現場が納得している

パイロットでは「何回使われたか」だけで判断しない方がよいです。見るべきなのは、会議後の議事録作成時間が減ったか、決定事項の抜け漏れが減ったか、誤ったNotebookへの保存や無断録音が起きていないかです。

ユーザーに案内する基本操作の流れ

実際のUI名や表示位置は展開状況によって変わる可能性がありますが、ユーザーには次の流れで説明すると理解しやすくなります。

手順操作注意点
1iPhoneでOneNoteアプリを開く最新版に更新しておく
2保存先のCopilot Notebookを選ぶ案件やプロジェクトに合ったNotebookを選ぶ
3Multimodal captureのセッションを開始する録音前に参加者の同意を得る
4音声、写真、テキストメモを記録するホワイトボードや資料に機密情報が写り込まないようにする
5セッションを終了するCopilotが作成した内容を確認する
6Copilot Pageを見直す決定事項、担当者、期限、事実関係を人が確認する

利用者には、「記録すること」よりも「後で使える形にすること」が目的だと伝えると定着しやすくなります。単に録音データを増やすのではなく、次の会議、提案書、タスク管理、ナレッジ化につなげる運用を意識しましょう。

失敗しやすいポイント

Multimodal captureは便利な機能ですが、導入時に次のような失敗が起きやすいです。

失敗例起きる問題防止策
「AIで議事録が作れる」とだけ案内する無断録音や過信につながる同意取得と人による確認をセットで案内する
保存先Notebookを決めずに使い始める案件情報が個人メモや別案件に混ざるNotebook作成ルールと命名規則を用意する
iPhone限定であることを伝えないAndroidやPCユーザーから問い合わせが増える対象環境を明記して段階展開と説明する
Copilotライセンスだけ確認するNotebook作成や保存でつまずくSharePoint/OneDriveサービスプランも確認する
写真の写り込みを軽視する機密情報や個人情報がNotebookに残る撮影前の確認、不要部分の除外をルール化する
AI要約をそのまま外部共有する誤記、抜け漏れ、ニュアンス違いが残る共有前レビューを必須にする

まとめ:次にやるべきこと

OneNoteのMultimodal capture in Copilot Notebooksは、Microsoft 365 Copilotを「現場で発生した情報を逃さず集め、整理し、次の成果物につなげる」ための機能に近づける更新です。特にiPhoneを使う営業、プロジェクト管理、フィールド業務、対面会議の多い部門では、会話、写真、メモをまとめてCopilot Notebookに残せるメリットがあります。

一方で、録音・文字起こし・写真撮影を伴うため、展開前に確認すべきことは明確です。まず、対象ユーザーのMicrosoft 365 CopilotライセンスとSharePoint/OneDriveサービスプランを確認します。次に、iPhoneのOneNoteアプリ展開、録音同意ルール、保存先Notebookの設計、SharePoint/OneDrive権限、Purviewの保持・監査を見直します。最後に、小規模パイロットで実際の利用シーンとリスクを確認し、全社展開の前にユーザー向けガイドラインを整備しましょう。

この機能を安全に活かす鍵は、「録る」ことではなく「正しいNotebookに、同意を得て、後から使える形で残す」ことです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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