Microsoft Viva Copilot Analyticsのプロンプトカテゴリ指標とは?2026年6月の変更点

2026年6月9日の更新により、Microsoft Viva InsightsのCopilotダッシュボードで、Microsoft 365 Copilot Chat(仕事)に送信されたプロンプトを用途別に確認できる「プロンプトカテゴリメトリック」がパブリックプレビューとして利用可能になりました。

プロンプトは「確認と検索」「キャッチアップ」「下書きとブレーンストーミング」「その他」の4種類に分類されます。管理者や導入担当者は、Copilotが社内で何に使われているかを、単なる利用回数ではなく利用目的から把握できます。

ただし、Microsoft 365 Roadmap ID 486698のステータスは「Cancelled」です。一方、説明文ではパブリックプレビューの提供継続と、一般提供時期を今後改めて案内する方針が示されています。そのため、現時点では「機能が終了した」のではなく、一般提供の計画やカテゴリ設計を再評価している段階と捉えるのが適切です。(Microsoft)

目次

2026年6月9日の変更点

今回のMicrosoft Viva Copilot Analyticsの変更では、Copilot Chat(仕事)のプロンプト総数に加え、プロンプトの目的ごとの内訳を確認できるようになりました。

確認項目変更前変更後
プロンプトの把握方法Copilot Chat(仕事)のプロンプト数を集計用途別の4カテゴリでも集計
主な利用目的数値からは判断しにくい検索、要約、作成などの傾向を確認可能
提供状況開発・評価段階パブリックプレビューを提供
一般提供過去に予定あり時期未定。今後改めて案内
対象環境―Worldwide Standard Multi-Tenant、Web
ロードマップ状況開発中Cancelled

Microsoftは初期の顧客フィードバックを反映したうえで、カテゴリ構成や画面を含む基盤エクスペリエンスを引き続き評価するとしています。プレビュー期間中に分類基準や表示方法が変わる可能性があります。(Microsoft)

プロンプトを分類する4つのカテゴリ

Copilot Analyticsでは、Copilot Chat(仕事)に送信されたプロンプトを次の4種類に分けて集計します。

カテゴリ集計される用途プロンプト例
確認と検索(Ask and find)質問への回答や、文書・情報の検索「先月のプロジェクト会議の資料を探して」
キャッチアップ(Catch up)会議や会話の要約、重要事項、アクション項目の確認「不在中に行われた会議の決定事項をまとめて」
下書きとブレーンストーミング(Draft and brainstorm)新しい文章、メール、コード、アイデアなどの生成「顧客向けの進捗報告メールを作成して」
その他(Other)上記3種類に当てはまらないプロンプト雑談、分類が難しい質問、業務外の依頼など

「確認と検索」には、組織内の文書を探す依頼だけでなく、質問して回答を得ようとするプロンプトも含まれます。「下書きとブレーンストーミング」は文章作成だけでなく、コード生成やアイデア出しも対象です。(Microsoft Learn)

これらはプロンプトの件数を用途別に集計するメトリックです。プロンプトの回答品質や、業務成果への貢献度を直接評価する指標ではありません。

誰に影響するのか

一般ユーザーへの影響

一般ユーザーがCopilot Chatを使う操作方法は変わりません。アプリの更新や、プロンプトの書き方を変更する必要もありません。

一方、Copilot Chat(仕事)へ送信したプロンプトは、組織のCopilot Analytics上で用途別の利用指標として集計されます。管理者は、社内向けのAI利用ガイドやプライバシーに関する説明に、用途別メトリックが存在することを追記しておくとよいでしょう。

Microsoft 365管理者への影響

管理者が確認すべきなのは、カテゴリ機能そのものの設定よりも、Copilotダッシュボードの利用条件とアクセス権です。

特に次の項目を確認します。

  • Copilotダッシュボードを閲覧する担当者がアクセス権を持っているか
  • テナントでCopilot Chatレポートが有効になっているか
  • CopilotまたはViva Insightsのライセンス数がデータ処理条件を満たしているか
  • Microsoft Entra IDの組織階層やマネージャー情報が正しいか
  • プレビュー機能の利用を社内のプライバシー方針で許容できるか

経営層・部門責任者への影響

利用回数だけでは、「Copilotを何のために使っているのか」までは分かりません。カテゴリ別の傾向を見ることで、部門ごとの活用段階を判断しやすくなります。

例えば「確認と検索」だけが多い部門では、情報収集には定着していても、文章作成やアイデア出しには十分活用されていない可能性があります。この場合は、メール作成や企画立案に使える具体的なプロンプト例を研修に追加できます。

Viva Insightsアナリストへの影響

4つのカテゴリメトリックは、高度な分析のメトリックとしても定義されています。Viva Insightsアナリストは、カスタムクエリや組織属性を使い、部門や職種ごとの利用傾向を詳しく分析できます。(Microsoft Learn)

Copilotダッシュボードで確認する手順

  1. 組織アカウントでViva Insights Webアプリを開きます。
  2. 左側のメニューから「Copilotダッシュボード」を選択します。
  3. 「導入」または「影響」ページを開きます。
  4. 必要に応じて、ライセンスフィルターで「Microsoft 365 Copilot」または「Copilot Chat」を選択します。
  5. Copilot Chat(仕事)の分析情報を開きます。
  6. 次の4つのメトリックが表示されるか確認します。
  • 確認と検索
  • キャッチアップ
  • 下書きとブレーンストーミング
  • その他
  1. 組織、チーム、職種などのフィルターを切り替えて傾向を確認します。

Copilot Chatフィルターは、テナントでCopilot Chatレポートが有効な場合に表示されます。CopilotダッシュボードはViva Insights Webアプリから利用できます。(Microsoft Learn)

メトリックが表示されないときの確認項目

プロンプトカテゴリが表示されない場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。

確認項目判断基準
アクセス権対象ユーザーがCopilotダッシュボードを開けるか
ライセンス条件Copilotライセンスが1つ以上、またはViva Insightsライセンスが50以上割り当てられているか
データ処理期間ライセンス割り当てから最大7日経過しているか
Copilot ChatレポートライセンスフィルターにCopilot Chatが表示されるか
利用実績対象期間にCopilot Chat(仕事)のプロンプトが送信されているか
データ遅延直近の利用から最大6日程度待ったか
対象クラウドWorldwide Standard Multi-Tenant環境か
サービス状態Microsoft 365管理センターのサービス正常性に問題がないか

ダッシュボードの「準備」「導入」「影響」ページは原則として過去28日間のデータを扱い、現在日から最大6日の遅延があります。ライセンス割り当て後にデータ処理が開始されるまで、最大7日かかる場合もあります。(Microsoft Learn)

設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント

設定

プロンプトカテゴリだけを有効にする専用設定は、公式ロードマップでは案内されていません。

ただし、次の設定は確認が必要です。

  • Copilotダッシュボードへのアクセス許可
  • Copilot Chatレポートの有効化状況
  • 組織・職種フィルターに使用する組織データ
  • ダッシュボードを閲覧できる管理者、リーダー、アナリストの範囲
  • 最小グループサイズなどのプライバシー設定

更新

対象プラットフォームはWebです。PCへ更新プログラムを配布したり、Microsoft 365 Appsのバージョンをそろえたりする作業は、ロードマップ上では案内されていません。

表示内容はクラウド側で更新されるため、管理者はクライアント更新よりも、ダッシュボードの表示とデータ反映状況を確認する必要があります。

移行

既存のCopilotダッシュボードから別の環境へ移行する作業や、過去データを変換する手順は発表されていません。

一方、プレビュー中にカテゴリ定義や計算方法が更新されると、同じ期間でも数値の見え方が変わる可能性があります。社内レポートへ転記する場合は、取得日と「パブリックプレビューの値」であることを記録しておきましょう。

料金・ライセンス

プロンプトカテゴリメトリックに対する個別の追加料金は発表されていません。

Copilotダッシュボード自体は、ビジネスまたはエンタープライズ向けのMicrosoft 365/Office 365サブスクリプションと、アクティブなExchange Onlineアカウントを持つ顧客が利用できます。閲覧だけであれば、有料のViva InsightsライセンスやMicrosoft 365 Copilotライセンスは必須ではありません。

ただし、データ処理を開始するには、原則として次のいずれかが必要です。

  • Copilotライセンスを1つ以上割り当てる
  • Viva Insightsライセンスを50以上割り当てる

利用できる分析機能の範囲も、CopilotおよびViva Insightsの割り当てライセンス数によって変わります。(Microsoft Learn)

期限・一般提供時期

管理者が設定変更や移行を完了しなければならない期限は発表されていません。

2026年6月9日時点でパブリックプレビューは利用可能ですが、一般提供の時期は未定です。Microsoftは、カテゴリ構成と利用体験を引き続き評価し、今後のリリース計画を後日案内するとしています。(Microsoft)

プロンプトカテゴリを実務で活用する方法

カテゴリ別の件数は、単独で評価するよりも、アクティブユーザー数や利用頻度と組み合わせると役立ちます。

「確認と検索」が多い場合

社内情報の検索や質問への回答が主な用途になっています。

次の施策が有効です。

  • SharePointやOneDriveの文書を整理する
  • ファイル名、タイトル、所有者、更新日を見直す
  • 古い情報や重複文書を整理する
  • 検索用プロンプトの例を配布する

検索利用が多くても、参照元の情報が古ければ業務成果にはつながりません。Copilot研修だけでなく、情報管理の改善も必要です。

「キャッチアップ」が多い場合

会議、メール、チャットの要約が定着している可能性があります。

会議の文字起こし、録画、保存期間、機密会議の扱いなど、TeamsとMicrosoft Purviewを含めたガバナンスも確認しましょう。

「下書きとブレーンストーミング」が少ない場合

生成AIを検索ツールとしてしか使えていない可能性があります。

次のような業務別テンプレートを用意すると、活用の幅を広げられます。

  • 営業向けの提案メール
  • 会議後のフォローアップ
  • FAQやマニュアルの初稿
  • プロジェクト計画のたたき台
  • プログラムコードのサンプル
  • 企画案の比較表

「その他」が多い場合

「その他」が多いからといって、不適切な利用が多いとは限りません。カテゴリに収まりにくい業務や、複数の目的を含むプロンプトが集計されている可能性があります。

また、Microsoftはカテゴリセット自体を再評価しています。「その他」の増減だけでユーザーの習熟度や生産性を判断しないことが重要です。

利用時の注意点

カテゴリ件数は成果指標ではない

「下書きとブレーンストーミング」が増えても、作成物の品質や作業時間が改善したとは限りません。

カテゴリ別利用数は「どの用途が使われているか」を確認する指標です。業務成果を評価する場合は、処理時間、修正回数、顧客対応時間など、実際の業務指標と組み合わせます。

個人の評価に直接使わない

Copilotダッシュボードのデータは、最小プライバシーしきい値を満たすように集計されます。また、Microsoft Learnでは、プレビュー中のメトリックが個人データを処理する可能性についても注意を促しています。(Microsoft Learn)

プロンプトカテゴリを個人の人事評価や監視へ直接利用するのではなく、組織や部門単位の導入支援に使うのが適切です。

管理センターの数値と単純比較しない

Microsoft 365管理センターとCopilotダッシュボードでは、対象ユーザー、集計期間、データ反映までの時間が異なる場合があります。

管理センターの利用状況レポートと比較するときは、少なくとも次の条件をそろえます。

  • 対象ユーザー
  • ライセンスの有無
  • 集計期間
  • データ取得日
  • 除外ユーザー
  • 組織フィルター

プレビュー中の数値を固定的な基準にしない

今回のカテゴリはパブリックプレビューです。カテゴリ名、分類基準、計算方法、画面構成が一般提供までに変わる可能性があります。

四半期ごとのKPIなどに利用する場合は、カテゴリ定義が変わっていないか、Microsoft 365 Roadmapとメッセージセンターを定期的に確認してください。

まず管理者が行うべきこと

今回の変更に伴う必須の移行作業や対応期限はありません。まずはViva Insights Webアプリを開き、Copilotダッシュボードに4つのプロンプトカテゴリが表示されるか確認してください。

表示を確認できたら、次の順で対応します。

  1. 現在のカテゴリ別件数を導入状況の基準値として記録する
  2. 閲覧権限とプライバシー設定を確認する
  3. 部門ごとの利用目的を分析する
  4. 不足している用途に合わせて研修やプロンプト例を用意する
  5. 社内マニュアルにパブリックプレビューであることを明記する
  6. 一般提供時期とカテゴリ変更の続報を確認する

プロンプトカテゴリメトリックの価値は、利用回数を増やすことではなく、社員がCopilotをどの業務に使い、次にどの活用方法を支援すべきかを判断できる点にあります。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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