Microsoft Viva Insightsでは、Copilot CoworkとWork IQ APIで消費したCopilot Creditsを、グループやチーム単位で把握できる分析機能の展開が始まっています。Microsoft 365 Roadmap ID 566302は、日本時間の2026年7月10日に実質更新され、ステータスが「Rolling out」へ移行しました。
今回の更新は、新しい課金を自動的に開始するものではありません。すでにCoworkやWork IQ API向けの従量課金を有効化している組織に対し、利用量と支出状況をViva Insightsから確認できるようにするものです。対象サービスを利用中、または検証中の組織は、料金上限だけでなく、誰がどの範囲のデータを閲覧できるかも早めに確認する必要があります。(Microsoft)
Microsoft Viva Insightsのロードマップ更新で何が変わるのか
公式ロードマップの項目名は「Copilot Analytics – Insights in Cowork and WorkIQ spend and usage」です。現在の登録内容は次のようになっています。(Microsoft)
| 項目 | 現在の内容 |
|---|---|
| Roadmap ID | 566302 |
| ステータス | Rolling out |
| 対象サービス | Copilot Cowork、Work IQ API |
| 提供機能 | Viva Insightsのダッシュボード、Advanced Insights |
| 主な対象者 | 一定規模以上のチームを持つマネージャー、Insights Analyst、Global Administrator |
| 課金上の前提 | Microsoft 365管理センターのCost Managementで従量課金を設定済みであること |
| 対象クラウド | Worldwideの標準マルチテナント環境 |
| 提供形態 | Web、一般提供 |
| 対象外 | リーダーによるテナント全体データへのアクセス |
公開履歴を比較すると、今回の主な差分は説明内容の大幅な追加ではなく、開発中だった機能がロールアウト段階へ移ったことです。つまり、「今後提供される予定の機能」から、「各テナントへの展開が始まった機能」へ変わった点が重要です。(Microsoft 365 Message Center Archive)
ただし、「Rolling out」は全テナントで同時に利用可能になったことを意味しません。Microsoft 365 Roadmapの日付や提供状況は予定であり、テナントや地域によって反映時期が異なる可能性があります。管理センターやViva Insightsの実画面で利用可否を確認してください。(Microsoft)
Viva Insightsで確認できるCowork・Work IQの利用状況
今回の機能では、CoworkとWork IQ APIで消費されたCopilot Creditsを、単なる合計値だけでなく、利用者数、セッション数、サービス、組織属性などの観点から分析できます。
公式ドキュメントでは、主に次の情報が案内されています。(Microsoft Learn)
| 指標・分析項目 | 分かること | 実務での使い方 |
|---|---|---|
| Active users | 実際に対象サービスを利用した人数 | 契約・展開対象に対して利用が広がっているかを確認する |
| Total Copilot credits | 消費されたCopilot Creditsの合計 | 予算上限や想定消費量と比較する |
| Total session count | CoworkやAPIが利用されたセッション数 | Credits増加が利用回数によるものか、1回当たりの負荷によるものかを判断する |
| サービス別内訳 | CoworkとWork IQ APIのどちらで消費しているか | 利用目的や担当部門ごとに支出を整理する |
| グループ・職務別内訳 | 部門、チーム、職務ごとの利用傾向 | 導入支援が必要な組織や利用が集中している組織を見つける |
| 利用強度別セグメント | 上位1%、上位5%などの利用集中度 | 一部のヘビーユーザーに消費が偏っていないかを確認する |
| Spending policyの状況 | 上限に近いポリシーやユーザー | 月途中の利用停止を防ぐため、上限やアラートを調整する |
ダッシュボードの数字は請求書そのものではない
Viva Insightsに表示されるCopilot Creditsの利用情報は、利用傾向を分析するための参考データです。正式な請求額や課金明細は、Microsoft 365管理センターのCost Managementを確認する必要があります。(Microsoft Learn)
そのため、次のような運用は避けるべきです。
- Viva Insightsの数値だけを使って部門請求額を確定する
- Creditsの多いチームを、成果確認なしに「使いすぎ」と判断する
- 利用者数だけを見て、AI活用の定着度や投資対効果を評価する
Copilot Creditsは「どれだけAI処理を利用したか」を示す指標であり、「どれだけ業務成果が出たか」を直接示す指標ではありません。利用時間の削減、処理件数、作業完了率、手戻り件数など、業務側のKPIと組み合わせて評価することが重要です。
誰がどこまで閲覧できるのか
Viva InsightsのConsumption Dashboardは、ユーザーの役割によって閲覧範囲と利用できる機能が異なります。(Microsoft Learn)
| 役割 | 閲覧できる範囲 | Advanced Insightsの消費量クエリ | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| マネージャー | 自分に割り当てられたグループやチーム | 利用不可 | テナント全体は閲覧できず、代理閲覧にも現時点では対応していない |
| Insights Analyst | Global partitionの場合はテナント全体 | 利用可能 | 非Global partitionのアナリストは、現時点ではConsumption insightsを利用できない |
| Global Administrator | テナント全体のダッシュボード | 利用不可 | 日常的な分析担当として常用せず、最小権限の原則を優先する |
| Leader | 今回はテナント全体へのアクセス対象外 | 対象外 | 既存のLeader向け機能と混同しない |
「直属部下5名以上」と「最小チームサイズ5名」は同じではない
ロードマップでは、マネージャー向けダッシュボードの対象を「直属部下が5名以上」と説明しています。一方、Viva InsightsのManager settingsでは、管理者が最小チームサイズを設定でき、設定可能な最小値は5名です。このチームサイズにはマネージャー本人も含まれ、必要に応じて5名より大きい値を設定できます。(Microsoft Learn)
公式情報で人数の数え方が異なるため、単純に「5人のチームなら必ず表示される」と判断しないほうが安全です。実際の閲覧可否は、次の条件を組み合わせて確認してください。
- ロードマップ上の対象条件を満たしているか
- Manager settingsの最小チームサイズを満たしているか
- 対象マネージャーがアクセス許可の範囲に含まれているか
- テナントへの機能展開が完了しているか
- Consumption insightsが管理者によって無効化されていないか
なお、マネージャーへConsumption insightsを許可するには、先にCopilot insightsへのスコープ付きアクセスを許可する必要があります。対象者は、すべてのマネージャー、Microsoft Entra IDのグループ、CSVで指定したマネージャーから選択できます。設定変更の反映には最大1時間程度かかる場合があります。(Microsoft Learn)
利用条件はCoworkとWork IQ APIで異なる
CoworkとWork IQ APIは、どちらもCopilot Creditsを消費しますが、利用者、ライセンス、認証方式、実行できる処理が異なります。
| 項目 | Copilot Cowork | Work IQ API |
|---|---|---|
| 主な利用者 | Microsoft 365を利用する一般ユーザー | AIエージェントや業務アプリを開発する開発者 |
| 主な用途 | 調査、資料作成、メール、会議、ファイル操作などをまとめて依頼する | Microsoft 365のメール、会議、ファイル、Teams情報などをAIアプリから参照する |
| 課金 | Copilot Creditsによる従量課金 | Copilot Creditsによる従量課金 |
| ライセンス・利用条件 | 有効なMicrosoft 365 Copilotライセンス、Coworkの有効化、従量課金設定など | Work IQ APIの利用設定、従量課金設定、Microsoft Entra IDによる認証など |
| 権限 | サインインしたユーザーのMicrosoft 365権限を継承 | サインインしたユーザーの委任権限で実行 |
| 実行形態 | ユーザーの承認を挟みながら複数の作業を進める | A2A、MCP、REST APIなどからアプリに組み込む |
Copilot Coworkの利用条件
Coworkの現行スタートガイドでは、主に次の条件が案内されています。
- 有効なMicrosoft 365 Copilotライセンスがある
- テナントでCoworkが有効化されている
- Copilot Creditsの従量課金が設定されている
- 対応ブラウザやアプリから利用する
- Coworkで使用するモデルがテナントで許可されている
モデルに関する要件や提供範囲は変更される可能性があるため、導入時点の管理画面と最新ドキュメントで再確認してください。(Microsoft Learn)
Coworkは、メール送信、会議設定、ドキュメント作成、Teamsへの投稿、組織内検索など、Microsoft 365をまたぐ作業を扱えます。実行前にユーザーの承認を求める仕組みがあり、ユーザーがアクセスできないメールやファイルを勝手に参照できるわけではありません。(Microsoft Learn)
Work IQ APIの利用条件
Work IQ APIは、Microsoft 365の業務データをAIアプリやエージェントから利用するための開発者向け機能です。メール、予定表、会議、OneDrive、SharePoint、Teamsメッセージ、組織情報などを、既存の権限とコンプライアンス設定を維持したまま扱えます。(Microsoft Learn)
認証ではMicrosoft Entra IDの委任認証を使用し、サインインしているユーザーのコンテキストで処理します。On-Behalf-Ofフローには対応しますが、ユーザーを伴わないアプリ専用認証は現時点でサポートされていません。(Microsoft Learn)
CoworkがMicrosoft 365 Copilotユーザー向けのサービスであるのに対し、Work IQ APIは従量課金を前提とした開発者向けの利用経路です。Microsoft 365 Copilotライセンスとの関係は、組み込むアプリ、利用ユーザー、提供形態によって異なるため、導入前に契約条件を確認してください。(Microsoft Learn)
データ境界とプライバシーで確認すべきこと
今回の分析機能を安全に利用するには、「AIが参照できるデータ」と「分析担当者が見られる利用データ」を分けて考える必要があります。
| レイヤー | 基本となるデータ境界 | 注意点 |
|---|---|---|
| Coworkの処理 | サインインユーザーがアクセスできるMicrosoft 365データ | Coworkの有効化、モデル、プラグイン、ブラウザー操作を管理者が制御する |
| Work IQ APIの処理 | 委任されたユーザー権限、感度ラベル、Microsoft 365のコンプライアンスポリシー | アプリ専用権限では動かない。マルチテナントアプリではトークン発行元にも注意する |
| マネージャーダッシュボード | 許可されたグループやチーム | テナント全体を閲覧できるわけではない |
| Insights Analyst | Global partitionでは組織全体の分析が可能 | 人単位に近い詳細データを扱う場合はアクセス制御が必要 |
| Cost Management | 課金方法、予算、上限、アラート | 正式な請求情報を確認する基準になる |
| Power BIなどへの出力後 | 出力先のレポート設計に依存 | Viva Insights側のグループサイズ制限が自動的に維持されるとは限らない |
CoworkとWork IQ APIはいずれも、サインインユーザーのアクセス権を基準にデータを扱います。Work IQ REST APIでは、ユーザーが参照できるコンテンツのみが結果に含まれ、Microsoft 365のテナント分離や権限が維持されます。(Microsoft Learn)
一方、Advanced Insightsの分析結果をCSVやPower BIへ出力すると、Viva Insightsの画面外でデータが扱われます。AIコスト用のカスタムクエリでは、ユーザー単位の行や組織属性を含むデータを取得できる場合があります。また、Viva InsightsのPower BIコネクタは、クエリ結果に対して最小グループサイズを自動適用しません。レポート作成者が集計単位、閲覧権限、少人数データの非表示を設計する必要があります。(Microsoft Learn)
「Viva Insightsの画面では少人数データが保護されているから、エクスポート後も安全」とは限らない点が、運用上の重要な注意点です。
管理者が今確認すべき設定
Cost Managementで課金方法を確認する
Microsoft 365管理センターの「Copilot」から「Cost Management」を開き、CoworkとWork IQ APIに利用する課金方法を確認します。
Microsoftは、課金関連の役割を次のように分けています。
- Global AdministratorまたはBilling Administratorは、課金方法の追加や変更、Spending policyへの割り当てを行える
- AI AdministratorまたはLicense Administratorは、ポリシー、上限、アラート、ダッシュボードを管理できる
- AI AdministratorやLicense Administratorは、課金方法そのものを変更できない
日常的な利用量の確認だけを目的にGlobal Administratorを付与するのは避け、必要な操作に応じて役割を分けることが重要です。(Microsoft Learn)
Spending policyの対象と上限を見直す
Spending policyでは、月間上限、ユーザーごとの上限、アラート、対象サービス、課金方法を設定できます。
特に確認すべき項目は次のとおりです。
- 対象を全社にするのか、特定のセキュリティグループに限定するのか
- 月間予算を超えた場合に利用を停止するのか
- ユーザー単位の上限を設定するのか
- 予算の70%など、上限到達前に通知するアラートを設定するのか
- 新しいサービスやエージェントを自動的にポリシー対象へ追加するのか
対象をカスタマイズしない場合、組織全体やすべてのユーザーが対象になる設定があります。また、月間上限に達したユーザーは、月が切り替わるまで対象サービスを利用できなくなる可能性があります。(Microsoft Learn)
「新しいサービスやエージェントが利用可能になったら許可する」設定は既定で有効と案内されています。新機能を事前審査してから許可する組織では、無効化を検討してください。(Microsoft Learn)
また、作成済みのSpending policyでは、課金方法を後から変更できません。変更が必要な場合はポリシーを削除し、作り直す必要があります。課金方法、対象グループ、月間上限を決めてから本番ポリシーを作成したほうが安全です。(Microsoft Learn)
マネージャー向けConsumption insightsを確認する
Consumption insightsのマネージャー向け設定は、既定で有効と案内されています。部門責任者にコスト情報を見せたくない場合や、組織再編中でチーム情報が安定していない場合は、対象者と最小チームサイズを見直してください。(Microsoft Learn)
確認する項目は次のとおりです。
- Consumption insightsをマネージャーに許可するか
- すべてのマネージャーを対象にするか
- 特定のEntra IDグループやCSVで対象を限定するか
- 最小チームサイズを5名より大きくする必要があるか
- Global partitionを利用するInsights Analystが適切に限定されているか
Coworkのモデル、プラグイン、ブラウザー操作を確認する
Coworkでは、利用可否だけでなく、プラグイン、モデル、ブラウザー操作も管理対象です。
Cowork Browsingを利用すると、ローカルのMicrosoft Edgeを介してWeb操作を実行できます。Conditional AccessやDLPなど既存の制御を引き継げますが、管理者はCowork Browsing自体の有効・無効、アクセス可能なサイト、閲覧専用サイトなどを確認する必要があります。関連する操作は監査ログの対象になります。(Microsoft Learn)
Work IQのAPIとMCP接続を確認する
Work IQを開発で利用する場合は、次の項目を設計段階で決めておきます。
- アプリ登録をシングルテナントにするか、マルチテナントにするか
- 必要な委任権限だけを付与しているか
- 開発環境と本番環境でSpending policyを分離するか
- MCPサーバーを組織全体で許可するか、特定ユーザーだけに許可するか
- 利用ログをMicrosoft Defenderや自社アプリのログで追跡できるか
Work IQのMCPサーバーは、Microsoft 365管理センターから組織全体または対象を限定して許可・ブロックできます。利用開始前に、開発者が任意のMCPサーバーを接続できる状態になっていないか確認してください。(Microsoft Learn)
業務での使いどころ
部門別の予算管理
部門ごとにSpending policyや課金方法を分けている場合、Viva Insightsで利用量を確認し、Cost Managementで正式な費用を確認する運用ができます。
たとえば、営業部門のCredits消費が急増した場合、単に上限を下げるのではなく、次の順序で確認します。
- Active usersが増えているか
- セッション数が増えているか
- 1ユーザー当たり、1セッション当たりのCreditsが増えているか
- CoworkとWork IQ APIのどちらで増えているか
- 商談準備時間や提案書作成時間など、業務成果も改善しているか
利用量の増加と成果の増加が一致しているなら、予算を増やす判断も可能です。反対に、Creditsだけ増えて成果が変わらない場合は、プロンプト、ワークフロー、対象業務の見直しが必要です。
利用定着の確認
利用者数が少ないチームには、ライセンス不足だけでなく、使い方が分からない、対象業務が決まっていない、上限が低すぎるといった問題が考えられます。
| 利用状況 | 考えられる状態 | 次に行うこと |
|---|---|---|
| 利用者数は増加、Creditsは横ばい | 軽い利用が広く定着している | 成功事例を共有し、対象業務を広げる |
| 利用者数は横ばい、Creditsだけ増加 | 一部ユーザーの処理が重くなっている | サービス別、セッション別、利用強度別に確認する |
| セッション数は横ばい、Creditsが増加 | 1回当たりの処理が大型化している | タスク分割やモデル・ツール構成を見直す |
| 上位1%や5%に利用が集中 | パワーユーザーへ偏っている | 上限を一律に下げず、役割別ポリシーを検討する |
| Creditsと業務成果がともに増加 | 有効活用できている可能性が高い | 予算拡大や他チームへの展開を検討する |
| Creditsは増加、成果は横ばい | 利用方法に改善余地がある | 対象業務、教育、ワークフローを再設計する |
異常利用や設定ミスの早期発見
利用人数が変わっていないのにCreditsが急増した場合、次のような原因を疑えます。
- Coworkで大規模な調査や長い処理を繰り返している
- Work IQ APIの再試行処理が過剰に発生している
- 開発環境のテストが本番用ポリシーに課金されている
- 一部ユーザーの上限が想定より高く設定されている
- 新しく追加されたサービスが既存ポリシーで自動許可されている
Viva Insightsで傾向を見つけ、Cost Management、監査ログ、アプリログを使って原因を確認する流れが実用的です。
開発での使いどころと設計上の注意
Work IQは、Microsoft 365の業務データをAIアプリへ安全に組み込む用途に向いています。
利用方式ごとの選び方
| 利用方式 | 向いている用途 |
|---|---|
| A2A | 複数のAIエージェント間で処理を委任する |
| MCP | AIクライアントや開発ツールからMicrosoft 365の機能を利用する |
| REST API | 自社のWebアプリ、業務システム、バックエンドへ会話機能を組み込む |
たとえば、社内問い合わせアプリで「来週の顧客会議に関連するメールと資料を要約する」といった処理を実装できます。ユーザーの権限を使ってメール、予定表、SharePoint、Teamsなどを検索できるため、独自の検索インデックスを別途構築せずに済むケースがあります。(Microsoft Learn)
Work IQ REST APIをCoworkと同じものとして設計しない
Work IQ REST APIは、現時点ではテキスト中心の会話・検索用途です。ファイル作成、メール送信、予定登録などのアクション、コード実行、画像処理、長時間実行タスクには対応していません。Webによるグラウンディングは既定で有効で、無効化はメッセージ単位で指定します。(Microsoft Learn)
そのため、次のように役割を分けると設計しやすくなります。
- 情報検索や要約はWork IQ REST API
- エージェント間連携はA2A
- AIクライアントへのツール提供はMCP
- Microsoft 365をまたぐユーザー主体の作業実行はCowork
- 自社システムへの書き込みは、自社APIや承認済みの別処理
マルチテナントアプリではトークン発行元を確認する
Work IQ APIでは、トークンの発行元テナントと、サインインユーザーが所属するテナントの一致が必要です。マルチテナントアプリで認証先を誤ると、APIが認証エラーを返す場合があります。アプリ登録をマルチテナント対応にするだけでなく、ユーザーのホームテナントを使って認証する設計が必要です。(Microsoft Learn)
コスト分析だけで障害原因を特定しない
Viva Insightsで分かるのは、Credits、利用者、セッション、サービスなどの利用傾向です。APIエラーの内容、個々のレスポンス品質、再試行理由までは判断できません。
開発チームでは、Viva Insightsとは別に次の情報を記録してください。
- 処理の成功・失敗
- APIの応答時間
- 再試行回数
- 業務処理の識別子
- ユーザーに返したエラー種別
- Credits上限到達時の挙動
- 機密情報を除外した監査用ログ
テスト環境と本番環境でEntra IDグループとSpending policyを分けると、開発中の大量実行が本番予算を消費する事故を防ぎやすくなります。
対応が必要かを判断するチェック表
| 現在の状況 | 対応優先度 | 行うべきこと |
|---|---|---|
| CoworkまたはWork IQ APIを本番利用している | 高 | ダッシュボードの提供状況、閲覧者、予算上限、アラートを確認する |
| パイロットやPoCを実施している | 高 | 開発・検証用ポリシーを分け、ユーザー単位の上限を設定する |
| 従量課金を有効化しているが、利用予定はない | 高 | 対象ユーザー、新規サービスの自動許可、Coworkの公開設定を確認する |
| Microsoft 365 Copilotだけを利用し、従量課金は未設定 | 中 | 直ちに今回の消費データは発生しないが、有効化前にガバナンスを設計する |
| Insights Analystを複数配置している | 中 | Global partitionの対象者とエクスポート権限を確認する |
| Power BIで利用量レポートを作成する | 高 | 少人数グループの非表示、行レベルセキュリティ、共有先を設計する |
| Cowork・Work IQとも利用予定がない | 低 | 今後のロードマップとCost Managementの設定変更を定期的に確認する |
失敗しやすいポイント
Rolling outを「全社で利用開始済み」と判断する
ロードマップのステータスだけでは、自社テナントへの反映を確認できません。実際のViva Insights画面と管理センターを確認してください。
Viva Insightsの数値をそのまま請求額として扱う
Viva Insightsは利用分析用です。正式な課金情報はCost Managementで確認し、必要に応じて経理データと照合します。
Global Administratorを分析担当者へ付与する
ダッシュボードを見せるためだけに強い管理者権限を付与すると、権限過多になります。Insights Analystなど、目的に合う役割を利用してください。
グループサイズ制限がPower BIでも維持されると思い込む
Advanced Insightsのクエリ結果をPower BIへ持ち出す場合、最小グループサイズは自動適用されません。レポート側で少人数データを非表示にする必要があります。(Microsoft Learn)
月間上限を低く設定しすぎる
ハード上限に達すると、ユーザーが月末までCoworkやWork IQ APIを利用できなくなる可能性があります。重要業務で使用する場合は、予算超過を防ぎつつ業務停止も避けられる上限とアラートを設定してください。(Microsoft Learn)
Spending policyを作成してから課金方法を考える
作成後に課金方法を変更できないため、部署別課金、プリペイド、従量課金の構成を先に決める必要があります。(Microsoft Learn)
新しいサービスの自動許可を見落とす
変更管理が厳しい組織では、新サービスを既存ポリシーへ自動追加する設定を無効にし、セキュリティ、費用、データ境界を確認してから許可します。
まずCost Managementと閲覧権限を確認する
2026年7月10日のロードマップ更新で重要なのは、CoworkとWork IQ APIのチーム単位の利用・支出分析が、計画段階からロールアウト段階へ進んだことです。
対象サービスを利用している組織は、次の順序で対応すると抜け漏れを減らせます。
- Cost Managementで課金方法と現在の消費量を確認する
- Spending policyの対象、月間上限、ユーザー上限、アラートを見直す
- 新しいサービスを自動許可する設定を確認する
- マネージャー、Insights Analyst、Global Administratorの閲覧範囲を整理する
- Coworkのモデル、プラグイン、ブラウザー操作を確認する
- Work IQの認証、MCP、開発・本番環境の予算を分離する
- Viva Insightsの利用量を、業務成果やアプリ品質のKPIと組み合わせて評価する
今回の更新を単なる「コスト表示機能」と捉えると、予算超過の監視だけで終わってしまいます。利用が集中している業務、定着していないチーム、投資効果が出ている部門を見極めるための運用データとして活用することが、Viva Insightsを導入する最大の意味です。

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