Lenovo Slim 3(Core i5-13420H/Intel UHD内蔵GPU)で、これまで普通に遊べていたゲームが突然1FPSまで落ち込む、Zoom会議だけでも底面が熱くなる――そんな症状は、サーマルスロットリングや電力制限が原因の可能性があります。本記事では、原因の切り分けと実用的な対処手順を整理します。
Lenovo Slim 3で突然ゲームが1FPSになる症状の整理
まずは、今回のケースでよく挙がる具体的な症状を整理しておきます。
- 以前は Far Cry Primal などを問題なくプレイできていた
- Call of Dutyシリーズ など比較的重いタイトルで、序盤はGPU使用率50〜60%で普通に動作
- しばらくすると、GPU使用率が突然99%に張り付き、フレームレートが約1FPSまで落ちる
- 数十秒〜数分で復帰し、また同じことを繰り返す
- Intel XTUでは「熱によるスロットリング(Thermal Throttling)」が発生と表示
- しかし、Windowsのタスク マネージャー側には特にスロットリングの表示は出ない
- ゲーム時だけでなく、Zoom会議など比較的軽い用途でも底面がかなり熱い
- タスク マネージャーのGPUグラフでは、VRAM使用量が9〜10GBと表示されることがある
- これらは「購入初期には出ていなかった症状」で、途中から発生し始めた
このあたりの情報から、単純な「スペック不足」だけではなく、サーマルスロットリング(高温)と電力制限(PL1/PL2)が絡んでいる可能性が非常に高いと考えられます。
サーマルスロットリングとは? i5-13420Hと内蔵GPUの前提
Core i5-13420Hは、薄型ノート向けのHシリーズCPUで、ターボ時にはかなり高いクロックまで自動で引き上がります。その一方で、薄型筐体の冷却能力やACアダプタの給電能力には限界があります。
このギャップを安全側に調整する仕組みがサーマルスロットリング(Thermal Throttling)と電力制限(PL1/PL2)です。
- サーマルスロットリング:CPUパッケージ温度が許容上限(おおむね100℃前後)に近づくと、自動的にクロックを落として発熱を抑える仕組み
- PL1/PL2:CPUや内蔵GPUの消費電力が、あらかじめ決められた上限(電力リミット)を超えないように、クロックや電圧を制御する仕組み
これらが働きすぎると、ゲーム中にCPU・GPUクロックが急激に下がり、フレームレートが一気に1桁まで落ちる、といった挙動になります。タスク マネージャーはこの「スロットリングのフラグ」を直接表示しないため、Intel XTUやHWiNFOでの確認が必須です。
原因の切り分け:温度・電力・ソフト・ゲーム設定を順番に疑う
闇雲に設定をいじるのではなく、「何がボトルネックになっているのか」を順番に切り分けるのが近道です。まずはログと環境の確認から始めます。
HWiNFO/Intel XTUで温度と電力をログ取得する
最初にやるべきことは、症状が出るタイミングで以下の項目をログに残すことです。
- CPUパッケージ温度(Package Temperature)
- Thermal Throttlingの有無(Yes/No)
- PL1/PL2(電力制限)が発生しているか
- CPUクロック(P-core/E-core)とGPUクロックの推移
目安として、高負荷時でも95℃未満に収まっていれば理想的です。短時間だけ100℃近くに跳ねるのはノートでは珍しくありませんが、長時間100℃付近に張り付き、Thermal Throttlingが頻発しているなら冷却側に問題がある可能性が高くなります。
| 確認項目 | 正常な目安 | 異常のサイン |
|---|---|---|
| CPUパッケージ温度 | 高負荷時でもおおむね95℃未満 | 長時間95〜100℃、かつクロックが急落 |
| Thermal Throttling | ゲーム中でも基本「No」 | ゲーム中に頻繁に「Yes」へ変化 |
| PL1/PL2 | ピーク時のみ一瞬PL2が点灯 | PL1/PL2がほぼ点きっぱなし |
| クロック | 負荷に応じてなだらかに変化 | 一定時間ごとに急落→復帰を繰り返す |
ゲームを数分プレイし、FPSが1まで落ち込む瞬間に何が起きているかを記録すれば、ほぼ原因の方向性が見えてきます。
冷却系のチェック:埃・吸排気・設置環境
ノートPCの冷却性能は、意外なほど埃と置き方に左右されます。まずは以下を確認しましょう。
- 底面・側面の吸気口/排気口が塞がれていないか
- ベッドの上や布団の上など、柔らかい場所で使っていないか
- ファン付近に埃が溜まっていないか(エアダスターで慎重に清掃)
- ファンの回転に異音がないか、最大回転まできちんと上がっているか
簡単にできる工夫として、
- 底面をゴム足やスタンドで1cm程度浮かせる
- 安価な冷却パッドを併用する(風量重視のもの)
といった方法があります。これだけでも、ピーク温度が数℃下がり、スロットリングの頻度が目に見えて減るケースがあります。
| 状態 | 考えられる影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 吸気口が机に密着 | 吸気量低下→温度上昇→サーマルスロットリング | スタンドで底面を浮かせる |
| 排気口付近が壁に近い | 熱風がこもり、内部温度が下がらない | 壁から数cm以上離す |
| ファン付近に埃 | 風量低下→冷却効率低下 | エアダスターで清掃(自己責任で) |
清掃と設置環境の見直しで改善しない場合は、ヒートパイプやグリスの状態、ファンそのものの故障の可能性も視野に入ります。
電源アダプタと電力制限を確認する
薄型ノートは、ACアダプタの能力=パフォーマンスの上限と考えてよいほど、電源の影響が大きいです。
- 純正ACアダプタを使用しているか
- 出力は少なくとも65Wクラスか
- USB-PD充電器で代用していないか(特に45W以下)
出力不足のACアダプタを使っていると、ベンチマークやゲームでPL1/PL2が頻発し、クロックが強制的に下げられ、結果としてカクつきや1FPS落ちを誘発します。「ACにつないでいるのにバッテリー残量がじわじわ減る」ようなケースも要注意です。
ソフトウェア・設定面の対処:Lenovo VantageとWindowsの見直し
Lenovo Vantageでサーマルモードを「パフォーマンス」にする
Lenovo Slim 3には、Lenovo Vantageで切り替え可能なサーマルモードが用意されています。まずは以下を確認します。
- サーマルモードが「バランス」や「静音」になっていないか
- 「パフォーマンス」モードに切り替えて挙動が変わるか
- Intelligent Coolingを一時的にON/OFFして、ファン制御の差を確認
「静音」など静かさ優先モードでは、ファンの回転数を抑えるかわりにCPUクロックが早めに絞られるため、重いゲームには不向きです。一方で、パフォーマンスモードにしても温度がすぐに100℃に張り付くようなら、そもそもの冷却能力不足やハード不良を疑う材料になります。
BIOS・ドライバー・電源/熱関連ドライバー(DPTFなど)の更新
次に、Lenovo公式サイトのサポートページから、以下のドライバー/ファームウェアを最新化します。
- BIOS/UEFIファームウェア
- チップセットドライバー
- Intel グラフィックスドライバー(UHD用)
- 電源/熱管理系のドライバー(Intel DPTFなど)
これらは、電力制御や温度・ファン制御のロジックに直結しており、バージョンによって挙動が結構変わる領域です。特に、突然症状が出始めたタイミングでドライバーやBIOSを更新していた場合は、
- Windowsの「更新の履歴」から最近の更新を確認
- 問題が出始めた直後の更新をアンインストールして挙動を比較
といったロールバックも有力な手段です。
Windowsの電源プランと「最大の状態=99%」設定
Windows側の電源プランも、サーマルスロットリングの頻度に直結します。まずは以下を試します。
- 電源プランを「高パフォーマンス」または「究極のパフォーマンス」に変更
- 詳細設定で「プロセッサの電源管理」→「最大のプロセッサの状態」を99%に設定
最大の状態を99%にすると、Intelのターボブーストが事実上無効になり、クロックの上限が少し下がる代わりに、温度のピークが抑えられ、サーマルスロットリングが発生しにくくなります。
この状態でゲームを動かしてみて、
- FPSは多少下がるが、1FPSまで落ち込むような極端なカクつきが減る → 原因はほぼ「温度」起因
- 相変わらず定期的に極端なカクつきが出る → 電力リミットやソフト側の問題の可能性
といった切り分けができます。
クリーンブートで常駐ソフトの影響を除外する
ウイルス対策ソフトや常駐型のユーティリティが、CPU・ディスク・ネットワークを定期的に占有していると、一時的にFPSが1桁まで落ちるといった現象が起こります。これを切り分けるには、以下のようなクリーンブートを一度試してみると効果的です。
Win + Rで「ファイル名を指定して実行」を開き、msconfigと入力- 「サービス」タブで「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェック
- 残っているサードパーティのサービスを一旦すべて無効化
- 「スタートアップ」タブからタスク マネージャーを開き、不要な常駐アプリを無効化
- 再起動してゲームを試す
これで症状が大きく改善する場合は、無効化した中に「犯人」が紛れています。あとはひとつずつ戻しながら、どの常駐が原因かを絞り込んでいきます。
ゲーム側の調整:内蔵GPU前提の“現実解”
Call of Duty系タイトルはdGPU前提であることを理解する
Core i5-13420H内蔵のIntel UHDは、あくまで「軽めのゲームやeスポーツ系タイトル向きのGPU」です。Call of Dutyシリーズのような最新タイトルは、基本的に専用GPU(dGPU)前提で設計されており、内蔵GPUではかなり厳しい場面が出てきます。
そのため、以下のような「設定を徹底的に落とす」方向が現実的な落としどころになります。
- 解像度を1280×720まで下げる
- レンダースケールを70〜80%程度まで下げる
- テクスチャ、影、ポストプロセスなどを最低設定に
- フレームレート上限を60fps(もしくはそれ以下)に固定
- FSRなどのアップスケーリング機能があれば積極的にON
| 項目 | 推奨設定(内蔵GPU) | ポイント |
|---|---|---|
| 解像度 | 1280×720(フルHDからダウン) | 描画負荷を大幅に削減 |
| レンダースケール | 70〜80% | 内部解像度を下げてフレームレートを稼ぐ |
| テクスチャ | 低〜中 | VRAM使用量とメモリ帯域の削減 |
| 影・反射 | 最低またはOFF | 負荷の高いエフェクトは全カット |
| モーションブラー等 | OFF | 体感のカクつき減少、見やすさ向上 |
| FPS上限 | 60fps固定 | 無理に高FPSを狙わず、安定重視 |
「以前はFar Cry Primalが普通に遊べていた」のに「Call of Dutyで急に厳しくなった」場合、タイトルそのものの重さの違いも大きく影響している点は押さえておきましょう。そのうえで、サーマルスロットリングを抑えながら、内蔵GPUでできる範囲の妥協点を探るイメージです。
「VRAM 9〜10GB使用」と表示される理由と対処
内蔵GPUはVRAMをシステムメモリと共有している
Intel UHDのような内蔵GPUには、専用のVRAMがありません。その代わり、システムメモリ(RAM)の一部をVRAMとして使う仕組みになっています。Windowsのタスク マネージャーで「GPUメモリ」の欄を見ると、
- 専用GPUメモリ(Dedicated) → 内蔵GPUでは基本0
- 共有GPUメモリ(Shared) → システムメモリから拝借している部分
と表示され、さらにキャッシュ用途も含んでカウントされるため、9〜10GB程度の使用量が表示されても、それ自体は必ずしも異常ではありません。
ただし、ここで効いてくるのがメモリ帯域です。シングルチャネル構成だと帯域が半分になり、
- CPUとGPUが同じメモリを取り合う
- VRAM使用量が多い場面で突然カクつく
といった症状が出やすくなります。可能であれば、同容量のメモリを2枚挿してデュアルチャネル化するのが非常に効果的です。
| メモリ構成 | 帯域 | ゲーム時の傾向 |
|---|---|---|
| 8GB ×1枚(シングルチャネル) | 1レーン分(理論値の約50%) | 平均FPSは出るが、シーンによって急なカクつき |
| 8GB ×2枚(デュアルチャネル) | 2レーン分(帯域2倍) | 最低FPSが底上げされ、急激な1FPS落ちが減る |
| 16GB ×2枚 | 2レーン+余裕の容量 | VRAM表示が増えても余裕があり、安定しやすい |
同時に、ブラウザの多タブ・Discordのオーバーレイ・動画配信・録画ソフトなど、メモリとGPUを同時に食う常駐アプリはできるだけ閉じておくと、突発的なフリーズが起きにくくなります。
Zoomや日常利用でも本体が熱いときの対策
背景ぼかし・エフェクト・ハードウェアアクセラレーションを見直す
ZoomやTeamsなどのビデオ会議アプリは、意外とGPUとCPUを酷使します。特に、
- 背景ぼかし(バーチャル背景/背景エフェクト)
- 美肌効果などの映像処理
- 画面共有+動画再生の組み合わせ
は、内蔵GPUにはかなり重い処理です。以下の点を確認し、負荷を軽くしてみましょう。
- 背景ぼかし・背景エフェクトをOFFにする
- アプリの設定からハードウェアアクセラレーションのON/OFFを比較する
- ブラウザ版を使っている場合は、ブラウザのハードウェアアクセラレーション設定も見直す
また、ZoomやTeamsの最中に別のウィンドウで動画を再生したり、重いWebサイトを開いたりしていると、メモリとGPU負荷が高まり、本体温度が一気に上がることがあります。ビデオ会議中は、できるだけ他の重い作業を控えるのが無難です。
| 設定・使い方 | 負荷レベル | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 背景ぼかし+画面共有+動画再生 | 非常に高い | 内蔵GPUでは非推奨 |
| 背景OFF+画面共有(静止資料中心) | 中程度 | 妥当なバランス |
| 背景OFF+カメラOFF | 低い | 発熱を抑えたいときに有効 |
ここまでやっても改善しないときの修理相談ライン
冷却・電源・ソフト設定・ゲーム設定を一通り見直してもなお、
- 中〜軽負荷でも95℃超が続く
- HWiNFOでThermal Throttlingが常時「Yes」に近い
- ファンが最大回転まで上がらない/異音がする
- ACアダプタ接続時なのにクロックが低いまま、PL1が点きっぱなし
といった症状が見られる場合、以下のようなハードウェア不良の可能性が高くなります。
- ファンの故障(回転数不足)
- ヒートパイプの不良、グリスの塗布不良
- 温度センサーの異常
このレベルになると、ユーザー側でできる対処には限界があります。購入店やLenovoサポートに対し、
- 発生している症状の詳細(ゲーム名・時間・FPSの変化)
- HWiNFOやXTUのログ(温度グラフとThermal Throttlingのフラグ)
- 試した対処(清掃、電源変更、ドライバー更新/ロールバックなど)
をセットで伝えると、サポート側でも原因を判断しやすくなります。「なんとなく重い」だけではなく、95℃を超えてThermal Throttlingが出ている証拠を残しておくと話が早くなります。
すぐ試せる“短時間チェックリスト”
時間がない場合でも、最低限ここだけは押さえておくと原因にかなり近づけます。上から順番に試してみてください。
- 純正ACアダプタを接続した状態で、Lenovo Vantageのサーマルモードを「パフォーマンス」に変更
- 吸排気口をチェックし、エアダスターで清掃+底面を約1cm浮かせる
- HWiNFOで温度・PL1/PL2・Thermal Throttlingの有無をログ取りしながらゲームを数分プレイ
- Windowsの電源プランを「高パフォーマンス」にし、「最大のプロセッサの状態=99%」でターボブーストを抑えて挙動を比較
- Lenovo公式からGPU/チップセット/BIOS/電源関連ドライバーを最新に更新
- 直近のWindows更新で症状が出始めたなら、「更新プログラムのアンインストール」や「以前のビルドへ戻す」でロールバックを検討
- ゲーム設定を一度720p/ほぼ最低設定に下げ、フレームレートの落ち込み方が変わるか確認
- メモリ構成を確認し、可能なら同容量×2枚のデュアルチャネル化を検討
まとめ:冷却・電源・ソフトの三方向から攻めるのが近道
Lenovo Slim 3(i5-13420H/Intel UHD内蔵GPU)で、ゲームが突然1FPSまで落ち込む、Zoom会議だけでも異常に熱い――といった症状は、
- 高温によるサーマルスロットリング
- ACアダプタや電源設定による電力制限
- 内蔵GPUの性能限界+メモリ帯域不足
が重なって表面化しているケースがほとんどです。
タスク マネージャーだけを見ていても原因は分からないため、HWiNFOやIntel XTUで温度・電力・スロットリングのログを取るところから始め、
- 冷却系(掃除・設置環境・冷却パッド)
- 電源系(純正AC・電源プラン・PL制御)
- ソフト/ゲーム設定(Lenovo Vantage・Windows更新・ゲーム内設定)
の三方向から一つずつ潰していくのが、最も効率的なアプローチです。内蔵GPUという前提を踏まえ、解像度や画質を現実的なラインまで落とすことで、「ヌルヌルではないが遊べる範囲」に持っていくことは十分可能です。
それでもなお、中〜軽負荷でも常時高温・スロットリングが続くなら、ファンやヒートパイプなどハードウェア側の不具合を疑い、早めにLenovoサポートや購入店へ相談することをおすすめします。

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