ゲーム中や動画編集中に突然ブルースクリーン「VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR」が出て、Acer Nitro 5 の GeForce GTX 1650 が消えてしまう──。この記事では、実際に報告されている症状をベースに、ソフト・設定の切り分けから電源まわり、ハードウェア故障の見極め方まで、修理費を抑えながらできる対処手順を詳しくまとめました。
VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERRORとは何か
「VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR」は、Windows 10 / Windows 11 で発生するブルースクリーン(BSoD)の一種で、DirectX のグラフィックスカーネル(dxgkrnl.sys)まわりで致命的なエラーが起きたことを示します。簡単にいうと、GPU ドライバーや GPU 本体、あるいは電源・メモリなど、描画処理を担当する経路で深刻なトラブルが発生したときに出るエラーです。
典型的には次のようなタイミングで発生しやすく、今回の Acer Nitro 5 + GeForce GTX 1650 のケースとも強く一致しています。
- 3D ゲームや GPU を多用するアプリを起動した瞬間・プレイ中
- AC アダプタの抜き差し時に「バッテリー駆動 ↔ AC 駆動」が切り替わる瞬間
- Windows の電源プランやパフォーマンスモードを切り替えた直後
- GPU が一度クラッシュしたあと、再起動時の初期化フェーズ
エラー名だけを見ると「ドライバーを入れ直せば直りそう」と感じますが、実際にはハードウェア側の劣化・トラブルが原因になっていることも多く、ソフトだけで完治しないケースも少なくありません。
Acer Nitro 5(GeForce GTX 1650)で起きている症状の整理
まずは、今回想定している環境と症状を整理しておきます。自分の環境とどれくらい似ているかを確認するために、ざっくりと表にしてみましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| PC モデル | Acer Nitro 5 シリーズ |
| dGPU | NVIDIA GeForce GTX 1650 |
| OS | Windows 10 / Windows 11(工場出荷状態から初期化後) |
| 発生するエラー | VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR のブルースクリーン |
| 発生タイミング | GPU 使用時、電源モード切替、AC アダプタ抜き差し、GPU クラッシュ後の再起動直後など |
| クラッシュ後の状態 | デバイス マネージャーから GTX 1650 が灰色表示・黄色警告+事実上「未接続」扱い |
| 復帰条件 | 完全シャットダウンを行うと一時的に dGPU が復活する |
| 実施済みの対策 | BIOS / ドライバー更新、Windows 再インストール、内部清掃、CPU/GPU 再塗布、VRAM テスト(エラーなし) |
| アンダーボルト | 電圧を下げることで負荷時の安定度は改善するが、なおクラッシュが残る |
ここまで手を入れてもなお、「VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR」が出続ける、あるいは dGPU が定期的に消えてしまうのであれば、単純なドライバー不具合ではなく、ハードウェア寄りのトラブルを疑う方が自然です。
なぜハードウェア要因が濃厚なのか
ソフトウェアトラブルであれば、初期化やドライバーの再インストールで改善するケースが多いのですが、今回のように「ある条件下で必ず落ちる」「クラッシュ後に dGPU が一時的に消える」という挙動は、電源や基板側の問題を強く示唆します。
| 症状 | 読み取れるヒント |
|---|---|
| GPU 使用時・電源切替時に BSOD | 負荷変動や電力切替に弱くなっている可能性(VRM・電源ライン・電源制御) |
| クラッシュ後 dGPU がデバイス マネージャーから消える | OS から「物理的に外れた」ように見えている。電源遮断やバスリセット失敗の典型 |
| 完全シャットダウンで一時的に復帰 | 残留電源・EC(組み込みコントローラ)・電源管理状態がリセットされると動く |
| アンダーボルトである程度マシになる | 電力と熱のマージンが不足しており、負荷ピークで限界を超えている可能性 |
とくに「アンダーボルトで安定性が向上する」というのは、GPU チップそのものよりも、電源供給側(VRM や電源 IC、はんだクラックなど)がギリギリの状態になっていることを示していることが多いです。電圧とクロックを少し抑えてやると、ピーク電流が下がるため、結果として落ちにくくなるわけです。
とはいえ、いきなり「基板交換しかない」と決めつけるのは早計です。修理に出す前に、ソフトウェア・設定・周辺機器の切り分けをしっかり行えば、「やっぱりハード故障だ」と納得してから判断できますし、場合によってはソフト側の調整だけで実用レベルまで安定させられる場合もあります。
前提として確認しておきたいこと
すでに多くの対策を試している方も多いと思いますが、念のため、以下のポイントは一度整理しておきましょう。すでに実施済みであれば読み飛ばしても構いません。
- Windows Update および Acer 提供の BIOS / ファームウェアアップデートは適用済みか
- Windows を工場出荷状態に戻した際、怪しい常駐ソフト・OC ツールを追加で入れていないか
- 内部のホコリ清掃、CPU / GPU グリスの再塗布はおおむね適切に行われているか
- VRAM テスト(例:OCCT / 3DMark 等で長時間テスト)で明確なエラーが出ていないか
これらを踏まえたうえで、以降では「ソフト側の可能性を極力つぶしつつ、電源・熱・ハードウェアまで順番に疑っていく」形で解説していきます。
ソフトウェアと設定の切り分け
まずは、比較的リスクの少ない「ソフトウェア・設定側」から原因を切り分けます。ここで改善すればラッキーですし、改善しなくても「ここまでやってダメならハード寄り」と判断しやすくなります。
内蔵グラフィックス(iGPU)のみで運用してみる
もっともシンプルな切り分けは、「dGPU を無効化してもエラーが出るか」を見ることです。Acer Nitro 5 の多くのモデルでは、CPU 内蔵グラフィックス(Intel UHD / Iris Xe など)を iGPU として利用できます。
- Windows のスタートボタンを右クリックし、「デバイス マネージャー」を開く。
- 「ディスプレイ アダプター」から「NVIDIA GeForce GTX 1650」を右クリックし、「デバイスを無効にする」を選択。
- その状態で、普段エラーが出やすい作業(ブラウジングや動画再生、軽いゲームなど)をしばらく試す。
この状態で VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR がまったく出ないのであれば、ほぼ dGPU 側(もしくは dGPU への電源・接続まわり)に原因が絞り込めます。逆に iGPU のみでも類似エラーが発生する場合は、メモリやストレージ、OS 自体の問題も視野に入れる必要があります。
DDU を使って NVIDIA ドライバーを完全入れ直し
すでにドライバーの更新は試していても、「前のバージョンの設定・ファイルが残ったまま」だと、不具合が引き継がれてしまうことがあります。そのため、一度セーフモードでドライバーを完全削除し、クリーンな状態から入れ直すのがおすすめです。
- Display Driver Uninstaller(DDU)をダウンロードして準備。
- Windows を「セーフモード」で起動する。
- DDU を起動し、「GPU: NVIDIA」を選択して「削除して再起動」を実行。NVIDIA ドライバーを完全削除する。
- 再起動後、まずは Acer のサポートサイトから提供されている「Acer 推奨版 NVIDIA ドライバー」をインストール。
- しばらく安定性を確認し、必要に応じて NVIDIA 公式サイトの最新版ドライバーも試して比較する。
ポイントは「Acer 提供版」と「NVIDIA 最新版」の両方を試してみることです。モバイル GPU はメーカーごとのカスタマイズが入っているため、必ずしも最新版が最も安定するとは限りません。また、Windows Update による自動ドライバー更新が勝手に入らないよう、一時的にドライバー更新を止めておくと検証しやすくなります。
チップセット/Intel ME/電源関連ドライバーを整える
意外と見落としがちなのが、チップセットや Intel ME(Management Engine)、電源管理関連のドライバーです。これらは、CPU・GPU の電源制御やスリープ復帰に深く関わっており、不整合があると「電源切替の瞬間にだけ落ちる」といった症状を生みます。
基本的な手順は次の通りです。
- Acer のサポートページから、対象モデルのドライバー一覧を開く。
- 「Chipset」「Intel Serial IO」「Intel ME(Intel Management Engine)」などをダウンロード。
- インストールする順番は「チップセット → Intel ME → GPU ドライバー」の順が無難。
- 最後に Windows を再起動してから挙動を確認する。
とくに、スリープ復帰や休止状態からの復帰が不安定な場合、これらのドライバー更新で改善することがあります。
電源プランと NVIDIA 電源管理モードを固定する
今回のケースでは「AC アダプタの抜き差し」や「電源モードの切り替え」がトリガーになっているため、あえて電源設定をあまり変動させないように固定するのが重要です。
Windows 側では次のように設定します。
- 「設定」→「システム」→「電源とスリープ」→「電源の追加設定」を開く。
- 「高パフォーマンス」または「バランス」のどちらか一つに統一し、頻繁に切り替えない。
- ノート PC の独自ソフト(NitroSense など)がある場合も、パフォーマンスモードを一つに固定する。
NVIDIA コントロール パネル側では、次の項目を確認します。
- デスクトップを右クリックし、「NVIDIA コントロール パネル」を開く。
- 「3D 設定の管理」→「電源管理モード」を「最適電力」または「パフォーマンス最大化を優先」のどちらかに設定。
- どちらが安定するかは個体差があるため、エラーの出方を見ながら切り替えて試す。
電源設定をころころ変えると、そのたびに GPU の電圧・クロック・電力制限が再計算され、弱っている個体ほどその瞬間に落ちやすくなります。まずは「一番安定しそうな状態」で固定してあげるのがポイントです。
高速スタートアップを無効化して完全な起動にする
Windows 10 / 11 には「高速スタートアップ」という機能があり、シャットダウン時の状態を一部保存して起動を速くしています。しかし、GPU や USB デバイスの初期化がうまく行われず、デバイスが正しく認識されない原因になることもあります。
高速スタートアップを無効化するには、次のように設定します。
- コントロール パネルを開き、「ハードウェアとサウンド」→「電源オプション」を選択。
- 左側の「電源ボタンの動作を選択する」をクリック。
- 上部の「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック。
- 「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外し、「変更の保存」を押す。
これにより、毎回のシャットダウン・起動で GPU 周りも含めてきちんと初期化されるようになり、「完全シャットダウンでないと dGPU が復活しない」といった状況の改善が期待できます。
GPU 消失時の「完全シャットダウン」手順
すでに経験している方も多いと思いますが、VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR 後に dGPU がデバイス マネージャーから消えた場合、通常の再起動では復帰しないことがあります。そのようなときは、次の手順で「完全シャットダウン」を行うと復活しやすくなります。
- スタートメニューを開き、「電源」ボタンをクリック。
- Shift キーを押しながら「シャットダウン」をクリックする。
- 電源ランプが完全に消えたら、30 秒ほど待って内部の残留電源が抜けるのを待つ。
- AC アダプタとバッテリーを接続した状態で再度電源を入れて起動する。
これで毎回復帰するようであれば、「一時的に電源制御や EC の状態が不正になっている」可能性が高くなります。後述の EC リセットも含めて、電源まわりを重点的に疑っていきましょう。
電力・熱まわりの改善(アンダーボルトの付き合い方)
今回の症状では、すでに「アンダーボルトで負荷時の安定度が上がる」という手がかりがあります。これは裏を返せば、「定格の電圧・クロックでは、ピーク負荷時にどこかが限界を超えている」可能性が高いということでもあります。
アンダーボルトは「攻める」より「少し控えめ」が安定しやすい
MSI Afterburner などのツールで GPU にアンダーボルトをかけるとき、つい「電圧を可能な限り下げて温度を下げる」方向に攻めたくなります。しかし、実際には次のような考え方の方が安定しやすい個体も多いです。
- 電圧を無理に下げるのではなく、「同じ電圧帯でクロックを少し下げる」
- もしくは、「ほんの少しだけ電圧を下げて、クロックも気持ち下げる」
具体的には、Afterburner の電圧・周波数カーブエディタを開き、次のように調整します。
- 普段ゲーム中に使われている電圧帯(例:0.8〜0.9 V 付近)を確認する。
- その電圧帯にあるクロックポイントを少しだけ下側にドラッグして、ピーククロックを落とす。
- 全体のカーブがなだらかにつながるように整える。
このように「ピークだけをわずかに削る」だけでも、瞬間的な電力と発熱が下がり、結果としてクラッシュしにくくなることがあります。ベンチマークスコアは数%落ちるかもしれませんが、「完走できないベンチより、少し遅くても完走するベンチ」の方が現実的です。
GPU 温度の推移をチェックする
内部清掃とグリス再塗布が済んでいても、ヒートパイプの劣化やヒートシンクの取り付け圧の差で温度はかなり変わります。GPU 負荷時の温度推移をログできるツール(例:HWiNFO、GPU-Z など)を使い、次のようなポイントを確認しましょう。
| 温度帯 | 一般的な目安 | 要注意ポイント |
|---|---|---|
| 〜70℃ | かなり余裕のある温度。冷却は優秀。 | この温度帯でも落ちるなら、電源やチップ自体の問題を強く疑う。 |
| 70〜85℃ | モバイル GPU としてはよくある温度帯。 | ファンカーブやアンダーボルトで、できれば 80℃前後に収めたい。 |
| 85〜90℃ | 長時間続くとやや厳しい。サーマルスロットリングが入りやすい。 | この付近でクロックドロップや BSOD が出るなら、冷却を優先的に見直す。 |
| 90℃〜 | かなり高温。VRM や周辺部品の負荷も増える。 | ヒートシンクの取り付け、グリスの塗り直し、ファンの動作を再チェック。 |
とくに「一定温度を超えた瞬間だけ BSOD が出る」「温度が上がるとクロックが大きく揺れてから落ちる」といった挙動がある場合、冷却系と電源系の両方を疑う必要があります。
AC アダプタ・バッテリー・EC の切り分け
症状として「AC アダプタの抜き差し」「電源モード切り替え」がトリガーになっている場合、電源アダプタ本体やバッテリー、あるいは EC(組み込みコントローラ)の挙動が不安定になっている可能性が高まります。
AC アダプタを疑う:同型番の良品で検証
ノート PC 用 AC アダプタは、長年の使用や発熱で内部コンデンサが劣化し、定格電力が出せなくなることがあります。見た目は正常でも、「負荷がかかった瞬間だけ電圧が落ちる」「電源切替時に一瞬途切れる」といった挙動を起こし、そのタイミングで dGPU が落ちることがあります。
可能であれば、次のように検証してみましょう。
- 純正と同じ電圧・同じまたはそれ以上の出力(W)の良品 AC アダプタを用意する
- 別の Nitro 5 ユーザーやショップの検証機から一時的に借りるのも有効
- 普段エラーが出やすい作業を、借りたアダプタで集中的に行ってみる
これで明らかに症状が変わるようであれば、AC アダプタ交換で解決できる可能性があります。逆にまったく変化がない場合は、バッテリー側や本体内部に原因があると考えられます。
バッテリー健全性のチェック
バッテリーが劣化していると、バッテリー駆動から AC 駆動、あるいはその逆に切り替わる瞬間に電圧が不安定になり、dGPU が落ちるケースもあります。Acer Care Center などのユーティリティや、Windows の powercfg /batteryreport を使って、以下を確認してみてください。
- 設計容量とフル充電容量の差が大きくないか(大きいほど劣化)
- バッテリー残量が急激に上下するような挙動がないか
- 残量 30〜50%付近で異常に電源が落ちることがないか
バッテリーを外せるモデルであれば、「AC 駆動のみ(バッテリーを外した状態)」と「バッテリー駆動のみ」の両方で挙動を試し、どちらかだけ不安定になるかどうかを見るのも有効です。
EC(組み込みコントローラ)リセットを試す
ノート PC の電源まわりは、EC(Embedded Controller)という小さなコントローラが管理しています。AC / バッテリーの切替やファン制御、キーボードのバックライトなども EC が担当しており、ここで状態がバグると「電源は入るが挙動がおかしい」「残量表示が狂う」といった症状が出ます。
Acer Nitro 5 では、多くのモデルに「バッテリーリセットホール」が用意されており、ここを長押しすることで EC リセットが行えます(詳しい位置や手順は必ず取扱説明書に従ってください)。一般的な流れは次のとおりです。
- PC の電源を完全に切る。
- AC アダプタとバッテリー(着脱可能な場合)を取り外す。
- 本体底面の「バッテリーリセットホール」を細いピンなどで 10〜15 秒ほど長押しする。
- そのまま 30 秒ほど放置し、内部の残留電源を抜く。
- AC アダプタ・バッテリーを再接続し、電源を入れる。
EC リセットで一時的に症状が改善するようであれば、「電源制御の状態が徐々に崩れていき、一定条件でクラッシュする」といったソフトウェア寄りの要素が強くなります。ただし、繰り返し実施しないと安定しない場合は、やはりハードウェアの劣化を疑うべきです。
ハードウェア診断で「最終判断」に近づける
ここまでの切り分けを行ってもなお、VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR が頻発する場合、いよいよハードウェア故障を疑う段階です。ただし、いきなり基板交換を決断するのではなく、もう少しだけ具体的な診断を重ねて「本当にハードだ」と納得できる材料を集めましょう。
メモリテストで RAM の異常を排除する
GPU エラーに見えて、実はメインメモリのビットエラーが原因というケースもゼロではありません。特に、共有メモリを使う iGPU・dGPU 混在環境では、メモリエラーが GPU 経路で表面化することがあります。
次のようなツールを利用して、メモリテストを行ってみてください。
- Windows 標準の「Windows メモリ診断」
- MemTest86 / MemTest64 などの専用ツール
数時間〜一晩かけてテストし、エラーが一切出ないことを確認できれば、メインメモリはひとまず「白」に近づきます。なお、メモリモジュールを増設している場合は、1 本ずつ挿し替えてテストすると、相性や不良もより見抜きやすくなります。
Linux ライブ USB で OS をまたいで再現性を確認
Windows 側のドライバーや設定に原因があるのか、ハードウェアに起因するのかを見極めるために、「別 OS でも同じように落ちるか」を試すのは有効な手段です。
- Ubuntu などの Linux ディストリビューションの ISO をダウンロードし、USB メモリに書き込む。
- その USB から「試用モード(インストールせずに試す)」で起動する。
- glmark2 や Unigine Heaven など、Linux 上で動作する GPU ベンチマークを走らせる。
ここでも同様にクラッシュやフリーズ、強制再起動、dGPU 消失などが再現される場合は、ほぼハードウェア寄りの問題と考えてよいでしょう。逆に Linux では長時間安定して動作する場合、Windows 側のドライバーや電源設定にまだ何かしらの改善余地があるかもしれません。
典型的な故障パターンとその特徴
最終的に「ハード故障だろう」と判断する決め手として、代表的な故障パターンと症状の対応を押さえておくと、今後の方針を決めやすくなります。
| 想定される故障箇所 | よくある症状 |
|---|---|
| GPU コアの劣化・内部不良 | 高負荷時にのみアーティファクト(画面の乱れ)が出る、温度に比例してクラッシュ頻度が上がる。 |
| VRAM チップの不良 | 特定のベンチマークやゲームでだけクラッシュ、VRAM テストでエラーが出ることも。 |
| VRM(電源回路)・電源 IC の劣化 | 電源切替時や負荷急変時に BSOD、アンダーボルトで多少マシになる、dGPU 消失を伴うことが多い。 |
| GPU 周辺のはんだクラック | 本体を動かしたり、温度差が大きい環境で症状が悪化したり、叩くと一時的に直ることも(推奨はしない)。 |
今回の「Acer Nitro 5 + GTX 1650」で、工場出荷状態への初期化後から症状が顕在化したケースでは、「ソフトウェアの変更が引き金になって、もともとのハードの弱さが露見した」というパターンも十分考えられます。初期化そのものが原因というよりは、「今までたまたま出ていなかったエラーが表に出てきた」と捉えた方が現実的です。
費用を抑えた現実的な選択肢
ここまでの対策をすべて試してもなお、VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR が残る場合、根本的な解決には「マザーボード交換」レベルの修理が必要になることが多いです。しかし、ゲーミングノートのマザーボード交換は高額になりがちで、場合によっては新品を買い直した方が安いこともあります。
iGPU 運用で延命する
もっともコストを抑えつつ、しばらくマシンを使い続ける方法が「dGPU を諦めて iGPU のみで運用する」選択肢です。
- デバイス マネージャーで GeForce GTX 1650 を無効化しておく
- 電源プランを「バランス」に設定し、発熱を抑えつつ使う
- ゲームは軽量なタイトルやクラウドゲームサービスに絞る
もちろん、dGPU 前提の重い 3D ゲームは厳しくなりますが、Web ブラウジング、オフィス作業、動画視聴などであれば、最新の iGPU でも十分こなせます。「今すぐ新しいノート PC を買うのは厳しいけれど、半年〜1 年くらい延命したい」という場合には現実的な落としどころです。
基板修理・買い替えを検討する
どうしても「GTX 1650 を使ってゲームがしたい」「GPU を使う仕事がある」という場合は、次のような選択肢になります。
- Acer 正規サポートに修理見積もりを依頼する(マザーボード交換の費用感を確認)
- 信頼できる PC 修理業者で、GPU 周辺のリペア・リボールサービスの可否を相談する
- 思い切って新しいゲーミングノートまたはデスクトップへの買い替えを検討する
中古市場の価格や、今後何年使うつもりかを考えると、「基板交換に〇万円払うくらいなら、新しいマシンに乗り換える」という判断になることも多いです。特に、すでに数年使用した Nitro 5 であれば、他の部品の寿命も考慮して、長期的なコストパフォーマンスを冷静に比較してみてください。
クイックチェック用の要点まとめ
ここまでかなりの情報量になったので、「最低限ここだけ押さえておけば OK」というポイントを改めて整理します。時間がないときは、このチェックリストだけでも一通り試してみてください。
| 優先度 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 高 | DDU で NVIDIA ドライバーを完全削除 → Acer 版 → NVIDIA 版の順で比較 | ドライバー起因をほぼ排除し、「どのバージョンがまだマシか」を見極める。 |
| 高 | 電源プラン固定+高速スタートアップ無効化+NVIDIA 電源管理モードの見直し | 電源切替による不安定要素を減らし、再現条件をシンプルにする。 |
| 中 | 良品 AC アダプタでの再現確認 / バッテリー健全性チェック / EC リセット | 電源周りのハード故障や制御異常を切り分ける。 |
| 中 | アンダーボルトは控えめ設定に調整(必要ならクロック微下げ) | 攻めすぎた設定による不安定化を防ぎつつ、電力・熱のマージンを確保。 |
| 中 | iGPU のみで運用した場合にエラーが出るか確認 | dGPU を完全に切り離した状態でも再現するかどうかを確認し、原因を絞り込む。 |
| 低 | メモリテスト / Linux ライブ USB での再現確認 | 「OS 跨ぎでも再現するか」を確認して、ハード故障である確度を高める。 |
これらを一通り試してもなお、Acer Nitro 5 の GeForce GTX 1650 で VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR が頻発するようであれば、現実的には「iGPU 運用で延命する」か「修理または買い替え」を検討する段階と言えます。
用語まとめ(ライトなおさらい)
最後に、本記事で使った用語を簡単におさらいしておきます。細かい理屈は覚えなくても、「ざっくりこういうもの」とイメージできれば十分です。
| 用語 | 意味・イメージ |
|---|---|
| アンダーボルト | GPU や CPU の動作電圧を少し下げて、発熱と消費電力を減らす調整。やりすぎると動作が不安定になる。 |
| iGPU / dGPU | iGPU は CPU 内蔵のグラフィックス、dGPU は GeForce などの独立したグラフィックスチップ。 |
| 高速スタートアップ | シャットダウン時に一部の状態を保存して起動を速くする Windows の機能。デバイス初期化が不完全になりトラブルの原因になることも。 |
| EC リセット | ノート PC 内部の組み込みコントローラ(EC)の状態をリセットする操作。電源・バッテリー・ファン制御の不整合をリフレッシュできることがある。 |
| VRM | Voltage Regulator Module の略。GPU や CPU に適切な電圧を供給するための電源回路。劣化すると負荷変動に弱くなり、クラッシュの原因になる。 |
| VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR | Windows のブルースクリーンエラーの一種。DirectX グラフィックスカーネルまわりで致命的なエラーが発生したことを示す。 |
同じ「VIDEO_DXGKRNL_FATAL_ERROR」というエラーでも、原因はソフトからハードまでさまざまです。ただ、Acer Nitro 5 + GeForce GTX 1650 で、工場出荷状態への初期化後から頻発し、アンダーボルトでいくらかマシになるという条件が揃うと、どうしてもハードウェア寄りの原因が濃厚になってきます。
本記事の手順を順番に試していけば、「どこまでがソフト側で、どこからがハード側なのか」がかなりはっきりしてくるはずです。そのうえで、修理費用や残りの使用期間、必要な性能を冷静に見比べて、自分にとってベストな落としどころを見つけてみてください。

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