SharePoint / OneDriveのAI in SharePointプレビュー対応ガイド|Knowledge Agent設定と管理者の注意点

SharePoint / OneDrive環境でAI活用を始めたい管理者にとって、今回のポイントは「AI in SharePoint(preview)は自動で全社有効になる機能ではなく、Copilotライセンス、PowerShellによる明示的なオプトイン、必要に応じたAIサブプロセッサ設定を確認してから展開する機能」という点です。

Microsoft Learnの「Get started with AI in SharePoint (preview)」では、以前「Knowledge Agent」と呼ばれていたSharePoint向けAI機能のプレビュー設定方法が整理されています。特に、既存のPowerShellパラメーター名には引き続き KnowledgeAgent が使われるため、機能名と設定名が一致しない点に注意が必要です。(Microsoft Learn)

目次

SharePoint / OneDriveのAI/Copilot更新で何が変わるのか

今回の更新で押さえるべき変更点は、SharePoint上のコンテンツに対してAI機能を利用するための導入条件と管理方法が明確になったことです。

AI in SharePointは、Microsoft 365 Copilotと連携してSharePointコンテンツを活用するプレビュー機能です。公式ページでは「以前はKnowledge Agentと呼ばれていたAI機能」と説明されており、プレビュー中はPowerShellで有効化範囲を制御します。(Microsoft Learn)

重要なのは、次の3点です。

確認項目内容実務上の意味
ライセンス利用者にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要全ユーザーではなく、Copilot割り当て済みユーザーを中心に展開計画を立てる
有効化方法既定ではオフ。SharePoint管理者またはグローバル管理者がPowerShellで明示的に有効化勝手に本番サイトへ広がる前提ではなく、管理者が段階展開できる
対象範囲テナント全体、指定サイトのみ、指定サイト除外、全無効を選べる部門サイト・検証サイト・機密サイトを分けて制御できる

SharePoint / OneDriveの管理者がまず行うべきことは、機能をすぐ有効化することではありません。先に「どのサイトで試すか」「どのユーザーに使わせるか」「機密情報を含むサイトを対象にするか」を決めることです。

AI in SharePointとKnowledge Agentの関係

AI in SharePointは、SharePoint上のAI機能として説明されていますが、PowerShellの設定名には KnowledgeAgentScopeKnowledgeAgentSelectedSitesList など、Knowledge Agent時代の名前が残っています。

これは不具合ではなく、プレビュー中の互換性維持のためです。公式情報でも、機能名はAI capabilities in SharePointになっている一方で、基盤となるPowerShellパラメーター名はプレビュー中そのまま残ると説明されています。(Microsoft Learn)

管理者が混乱しやすいポイントは次のとおりです。

画面・資料で見る名称PowerShellで見る名称補足
AI in SharePointKnowledgeAgentScope有効化範囲を指定する設定
AI capabilities in SharePointKnowledgeAgentSelectedSitesList対象サイトURLのリスト
Knowledge Agent public previewAI in SharePoint public preview以前の呼称。過去にオプトイン済みのテナントは再オプトイン不要とされている

社内手順書を作る場合は、「AI in SharePointを有効化する設定名はKnowledgeAgentで始まる」と明記しておくと、運用担当者の混乱を防げます。

利用できる条件:Copilotライセンスとプレビューの明示的な有効化が必要

AI in SharePointのプレビューを利用するには、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要です。また、AI in SharePointは既定でオフのため、SharePoint管理者またはグローバル管理者がPowerShellでテナントまたはサイト単位に有効化する必要があります。(Microsoft Learn)

利用前チェックリスト

チェック項目確認内容
Microsoft 365 Copilotライセンス対象ユーザーにライセンスが割り当てられているか
管理者権限SharePoint管理者またはグローバル管理者で作業できるか
SharePoint Online Management Shell対応バージョンを利用しているか
対象サイト全社展開か、検証サイト限定か、除外サイトありか
機密情報の扱い人事、法務、経営、研究開発などのサイトを対象に含めるか
多地域構成マルチGeoテナントの場合、各Geoで設定が必要か
AIサブプロセッサAnthropicを有効化するか、コンプライアンス観点で承認済みか

特に大企業では、Copilotライセンスの有無だけで判断すると失敗しやすくなります。SharePointの権限設計、サイトの情報分類、外部共有設定、ラベル運用まで確認したうえで、対象サイトを絞って開始するのが現実的です。

対象外になる環境

公式情報では、AI in SharePointはMicrosoft 365 GovernmentのGCC、GCC High、DoD、Office 365 air-gapped cloud、21Vianet運用のMicrosoft 365では現在サポートされていないとされています。(Microsoft Learn)

そのため、政府系クラウド、分離クラウド、特定地域向けのMicrosoft 365環境を利用している組織では、商用クラウドと同じ手順で有効化できるとは考えない方が安全です。

管理者が最初に確認すべき設定

AI in SharePointの導入で中心になるのは、SharePoint Online Management Shellを使った Set-SPOTenant の設定です。

公式ページでは、SharePoint Online Management Shell version 16.0.26615.12013以降を使うよう案内されています。すでにインストール済みの場合も、古いモジュールが残っていると KnowledgeAgentScope が認識されない可能性があります。(Microsoft Learn)

SharePoint Online Management Shellを更新する

管理者権限でPowerShellを開き、まずモジュールを更新します。

Update-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell

インストールされているバージョンを確認する場合は、次のコマンドを使います。

(Get-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell -ListAvailable).Version

もし次のようなエラーが出た場合は、古いSharePoint Online Management Shellや競合するモジュールが残っている可能性があります。

Set-SPOTenant : A parameter cannot be found that matches parameter name 'KnowledgeAgentScope'

この場合は、複数バージョンのSharePoint関連モジュールを削除し、PowerShellを再起動してから最新版を入れ直します。

Get-Module -Name *SharePoint* -ListAvailable

不要なモジュールを削除します。

Uninstall-Module -Name <ModuleName>

その後、最新版をインストールします。

Install-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell

本番環境で作業する前に、管理用PCまたは管理サーバーでコマンドが期待どおり動くか確認しておきましょう。

AI in SharePointを有効化する4つの展開パターン

AI in SharePointの有効化範囲は、KnowledgeAgentScope で制御します。公式情報では、AllSitesIncludeSelectedSitesExcludeSelectedSitesNoSites が有効な値として示されています。既定値は NoSites です。(Microsoft Learn)

設定値動作向いているケース
NoSitesどのサイトでも利用不可まだ評価前、または一時停止したい場合
IncludeSelectedSites指定したサイトのみ利用可検証導入、部門限定展開
ExcludeSelectedSites指定サイト以外で利用可全社展開前に一部の機密サイトだけ除外したい場合
AllSitesすべてのサイトで利用可ガバナンス整備後の広範囲展開

最初から AllSites を選ぶのはおすすめしません。まずは IncludeSelectedSites で検証サイト、ナレッジベース、問い合わせ対応用サイトなどから始めると、影響を限定しながら効果とリスクを評価できます。

指定サイトだけでAI in SharePointを有効化する手順

検証導入では、指定サイトだけを対象にする IncludeSelectedSites が扱いやすい設定です。

まず、SharePoint Online管理センターに接続します。

Connect-SPOService https://yourtenant-admin.sharepoint.com

AI in SharePointを指定サイトのみで有効化する設定にします。

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentScope IncludeSelectedSites

対象サイトを指定します。

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentSelectedSitesList @(
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/knowledge",
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/support"
)

設定を確認します。

Get-SPOTenant | Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList

後から対象サイトを追加する場合は、Append を使います。

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentSelectedSitesList @(
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/hr-faq"
) -KnowledgeAgentSelectedSitesListOperation Append

注意点として、KnowledgeAgentSelectedSitesList は既定では既存リストを上書きします。追加のつもりで Append を付け忘れると、以前登録したサイトが対象外になる可能性があります。

全サイトで有効化する場合の注意点

全サイトで有効化する場合は、次のコマンドを使います。

Connect-SPOService https://yourtenant-admin.sharepoint.com

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentScope AllSites

Get-SPOTenant | Select-Object KnowledgeAgentScope

ただし、全サイト展開は最後の段階にするべきです。

SharePointには、部署ごとの業務資料、契約書、議事録、設計書、人事関連資料など、AIで検索・要約されると便利な一方で、権限設定の不備が露呈しやすい情報も含まれます。AI機能そのものが新しい権限を付与するわけではないとしても、既存の権限で見えている情報を利用者が見つけやすくなる可能性があります。

全社展開前には、少なくとも以下を確認しましょう。

確認対象見直すポイント
サイト権限全社員に広すぎる閲覧権限が付いていないか
共有リンク「リンクを知っている全員」などの共有が残っていないか
機密サイト人事、経営、法務、M&A、研究開発サイトを対象に含めるか
Microsoft Purview秘密度ラベル、DLP、監査ログの運用が整っているか
サイト棚卸し使われていない古いサイトや所有者不明サイトがないか

AI導入は、検索体験を改善する施策であると同時に、情報管理の棚卸しを進める機会でもあります。

特定サイトだけ除外する設定

全体的には展開したいが、機密性の高いサイトだけ除外したい場合は ExcludeSelectedSites を使います。

Connect-SPOService https://yourtenant-admin.sharepoint.com

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentScope ExcludeSelectedSites

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentSelectedSitesList @(
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/legal",
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/executive"
)

除外サイトを後から追加する場合は、次のように Append を指定します。

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentSelectedSitesList @(
  "https://yourtenant.sharepoint.com/sites/ma-project"
) -KnowledgeAgentSelectedSitesListOperation Append

除外リスト方式は便利ですが、機密サイトが増えるたびに管理漏れが起こりやすい方法でもあります。機密情報を扱うサイトが多い組織では、最初から IncludeSelectedSites で許可リスト方式にする方が安全です。

AI in SharePointを無効化する方法

検証を停止したい場合や、展開方針を見直す場合は NoSites に戻します。

Connect-SPOService https://yourtenant-admin.sharepoint.com

Set-SPOTenant -KnowledgeAgentScope NoSites

Get-SPOTenant | Select-Object KnowledgeAgentScope

プレビュー機能は仕様や有効化プロセスが変わる可能性があります。公式ページでも、一般提供時には有効化プロセスが変更されると説明されています。(Microsoft Learn)

そのため、社内手順書には「プレビュー時点の手順」であることを明記し、一般提供後に見直す前提で管理しましょう。

AnthropicをAIサブプロセッサとして有効化するか確認する

AI in SharePointのプレビューでは、より完全なプレビュー体験のために、Microsoft 365管理センターでAnthropicをMicrosoft Online ServicesのAIサブプロセッサとして有効化することが推奨されています。無効の場合でもフォールバックの推論モデルで利用可能とされていますが、一部の高度な機能は利用モデルによって異なる可能性があります。(Microsoft Learn)

設定はMicrosoft 365管理センターのCopilot設定から確認します。公式のAnthropicサブプロセッサ説明では、商用クラウドの多くの顧客では既定で有効になる一方、EU/EFTAおよび英国では既定でオフになるとされています。また、政府クラウドやソブリンクラウドでは利用できないと説明されています。(Microsoft Learn)

管理者が確認すべき観点

観点確認内容
コンプライアンスAnthropicモデル利用が自社の規程、契約、データ処理方針に合うか
地域要件EU、EFTA、英国などのデータ境界要件に関係する拠点があるか
対象ユーザー全ユーザーに許可するか、特定ユーザー・グループに限定するか
他サービスへの影響Microsoft 365 CopilotやCopilot Studioなど、他のCopilot体験にも影響する可能性があるか

ここで避けたい失敗は、「SharePointのAI機能を試すだけ」という感覚でサブプロセッサ設定を変更してしまうことです。Anthropicの有効化はSharePointだけでなく、Microsoft 365 Copilot関連の他機能にも関係する可能性があります。事前に法務、セキュリティ、情報システム部門で確認してから進めるべきです。

SharePoint / OneDrive利用者への影響

利用者側から見ると、AI in SharePointはSharePointコンテンツをより活用しやすくする機能です。ただし、利用できるかどうかはユーザーのCopilotライセンスと、管理者が対象サイトを有効化しているかに左右されます。

OneDriveについては、公式ページの設定例はSharePointサイトURLを対象にした説明が中心です。OneDriveはMicrosoft 365上でSharePoint基盤と密接に関係しますが、今回の公式手順では「OneDrive個人用領域への具体的な適用条件」までは詳細に説明されていません。そのため、SharePoint / OneDriveをまとめて管理している組織では、SharePointサイトだけでなく、OneDrive上の共有ファイルや権限設計も含めて検証するのが安全です。

利用者に案内する際は、次のように伝えると混乱を抑えられます。

利用者の疑問管理者からの説明例
誰でも使えるのかCopilotライセンスがあり、対象サイトで有効化されているユーザーが利用できます
すべてのファイルがAI対象になるのか管理者が有効化した範囲と、ユーザー自身の閲覧権限に依存します
日本語で使えるのかMicrosoft 365 Copilotの対応言語に日本語が含まれていますが、AI in SharePointではSharePointとCopilotの両方で対応する言語を使う必要があります
結果は必ず正しいのかAIの回答は確認が必要です。重要な判断では元ファイルを確認してください

Microsoft 365 Copilotの対応言語には日本語が含まれています。一方、AI in SharePointではSharePoint Onlineの対応言語とMicrosoft 365 Copilotの対応言語の両方に含まれる言語のみがサポート対象と説明されています。(Microsoft Learn)

開発者・サイト設計担当者が見直すべきポイント

AI in SharePointは、単にボタンを有効化すれば効果が出る機能ではありません。SharePointサイトの情報設計が悪いと、AIが参照するコンテンツも整理されていない状態になります。

開発者やサイト設計担当者は、次の観点を見直しましょう。

ドキュメントライブラリの構造を整理する

古いファイル、重複ファイル、下書きファイル、最終版ファイルが混在していると、利用者がAI結果を確認するときに迷います。

たとえば、以下のような状態は改善対象です。

悪い例改善例
提案書_最新版.xlsx提案書_最終.xlsx提案書_最終2.xlsx が混在バージョン履歴を使い、ファイル名は案件名と日付で統一
終了プロジェクトの資料が現行ナレッジと同じ場所にあるアーカイブ用ライブラリへ移動
FAQがWord、Excel、PDFに分散SharePointページまたはリストに整理
所有者不明のサイトが残っているサイト所有者と更新責任者を設定

AI活用では「コンテンツの量」よりも「信頼できる情報が見つかる状態」が重要です。

メタデータとページ設計を見直す

SharePointでAIを活用するなら、ドキュメントをただ置くだけでは不十分です。部署、文書種別、公開日、承認状態、対象業務などのメタデータを整えておくと、利用者が元情報を確認しやすくなります。

具体的には、次のような列を検討できます。

メタデータ用途
文書種別手順書、FAQ、規程、議事録、テンプレートなどを区別
管理部門情報の責任部署を明確化
有効期限古い手順や廃止済みルールの参照を防ぐ
承認状態下書きと正式版を区別
対象システムSharePoint、OneDrive、Teams、基幹システムなどで分類

これはAIのためだけではなく、通常の検索、ポータル運用、監査対応にも効果があります。

カスタム開発やSPFx拡張への影響を確認する

SharePoint Framework(SPFx)などで独自のポータル、検索画面、ナレッジ表示UIを作っている組織では、AI in SharePoint導入後の利用導線を確認しましょう。

特に確認したいのは、次の点です。

  • 既存の検索UIとAI体験が競合しないか
  • ユーザーが公式情報と下書き情報を取り違えないか
  • カスタム権限や独自メタデータの運用に問題がないか
  • 古いWebパーツや非推奨のカスタマイズが残っていないか
  • 利用者がAIの回答から元資料へ戻れる導線があるか

AI導入後は、ユーザーが「検索結果一覧を見る」のではなく「AIに聞く」行動へ寄っていく可能性があります。そのため、サイト設計では元資料の信頼性、更新日、責任部署を見つけやすくすることが重要です。

展開前に確認したいガバナンス項目

AI in SharePointを導入する前に、管理者は次の順番で確認するとスムーズです。

順番作業目的
1Copilotライセンスの割り当て状況を確認対象ユーザーを把握する
2SharePointサイトを棚卸し検証対象と除外対象を決める
3機密情報サイトを分類AI対象に含めてよいか判断する
4権限と共有リンクを確認意図しない情報露出を防ぐ
5Anthropicサブプロセッサ設定を確認コンプライアンス要件を満たす
6検証サイトで IncludeSelectedSites を使って有効化小さく試す
7利用者向けガイドを作成誤用と過信を防ぐ
8監査ログや問い合わせ内容を確認本展開の判断材料にする

特に大切なのは、技術設定と情報管理を分けて考えないことです。AI機能の有効化はPowerShellで数分でも、適切に使える状態にするには、権限、コンテンツ、教育、サポート体制の整備が必要です。

よくある失敗と回避策

いきなり全サイトで有効化する

全サイト有効化は簡単ですが、情報管理が未整備の組織ではリスクが高くなります。

まずは、情報が整理されていて、効果を測定しやすいサイトから始めましょう。例としては、社内FAQ、ITヘルプデスク、総務手続き、製品ナレッジ、営業資料サイトなどが向いています。

サイトURLリストの上書きに気づかない

KnowledgeAgentSelectedSitesList は、操作を指定しない場合に既存リストを上書きします。追加したい場合は KnowledgeAgentSelectedSitesListOperation Append を使う必要があります。

運用では、設定前に必ず現在のリストを取得してから変更しましょう。

Get-SPOTenant | Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList

管理モジュールのバージョン不足でつまずく

KnowledgeAgentScope が見つからないエラーは、古いSharePoint Online Management Shellや複数バージョンの競合で起こる可能性があります。

本番作業前に、管理端末のモジュールを統一し、作業ログを残しておきましょう。

利用者に「AIの答えは正しい」と思わせてしまう

AI in SharePointは便利ですが、重要な業務判断では元資料の確認が必要です。利用者向けガイドには、次のルールを入れておくと実務で役立ちます。

  • 回答だけで判断せず、元ファイルを確認する
  • 社外共有前に内容と権限を確認する
  • 個人情報や機密情報の扱いは社内ルールに従う
  • 古い資料が表示された場合は所有者に確認する
  • AIの回答が不自然な場合は検索や元文書で再確認する

日本語環境での注意点

日本語環境では、言語対応とコンテンツ品質の両方を確認する必要があります。

Microsoft 365 Copilotの対応言語には日本語が含まれていますが、AI in SharePointではSharePoint Online対応言語とMicrosoft 365 Copilot対応言語の両方に含まれる言語が対象です。サポート外の言語では結果が変わる可能性があるため、日本語と英語が混在するサイトでは検証時に回答品質を確認しましょう。(Microsoft Learn)

また、日本語の社内文書では、次のような表記ゆれがAI活用の妨げになることがあります。

表記ゆれの例統一例
ワンドライブ、One Drive、OneDriveOneDrive
シェアポイント、Share Point、SharePointSharePoint
社内ポータル、イントラ、ポータルサイト社内ポータル
申請書、申込書、依頼書用途に応じて定義

AI導入を機に、主要な用語集や文書テンプレートを整えると、検索性と回答確認のしやすさが改善します。

管理者向けのおすすめ展開ステップ

最初の展開は、次の流れがおすすめです。

フェーズ実施内容判断基準
準備Copilotライセンス、管理権限、PowerShell環境を確認設定作業ができる状態になっている
棚卸しSharePointサイト、OneDrive共有、機密サイトを確認対象にしてよい範囲が明確
小規模検証IncludeSelectedSites で数サイトのみ有効化回答品質、問い合わせ件数、誤用リスクを確認
部門展開FAQやナレッジサイトを中心に対象を拡大利用者が効果を感じ、サポート負荷が許容範囲
全社判断除外サイトまたは全サイト展開を検討情報管理と監査体制が整っている

検証期間中は、利用者から「どんな質問をしたか」「回答は役に立ったか」「元資料にたどり着けたか」を集めると、展開判断がしやすくなります。

SharePoint / OneDrive管理者が今すぐやるべきこと

AI in SharePointは、SharePoint上のナレッジ活用を進めるうえで重要な更新です。一方で、プレビュー機能であり、既定ではオフ、PowerShellでの明示的な有効化が必要、さらにAnthropicサブプロセッサや対応言語などの確認点もあります。

まずは、次の3つから着手しましょう。

1つ目は、Copilotライセンスを持つユーザーと検証対象サイトを洗い出すことです。
2つ目は、SharePoint Online Management Shellを更新し、KnowledgeAgentScope が使える状態にすることです。
3つ目は、IncludeSelectedSites で小規模に有効化し、回答品質、権限、利用者教育の課題を確認することです。

AI導入で成果が出る組織は、機能を早くオンにした組織ではなく、信頼できる情報を安全に活用できる状態を先に整えた組織です。SharePoint / OneDriveのAI活用を進めるなら、まずはサイト棚卸しと権限確認から始めるのが最も確実です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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