SharePoint のページに数字を載せたいのに、毎回 Excel でグラフ画像を作って貼り付けたり、クイック チャートの設定を手で詰めたりしているなら、この更新はかなり大きいです。結論からいうと、Microsoft は 2026年4月9日付で 「SharePoint: Create charts on pages with AI」 を公開し、SharePoint ページの編集中に、ページ上のチャットで自然文を入力して AI でリッチかつインタラクティブなグラフを作れる機能を案内しました。ロールアウト開始は 2026年5月予定ですが、現時点のステータスは In development で、ロードマップ情報は変更される可能性があります。 (Microsoft)
この機能が意味するのは、イントラネット担当者やページ作成者が、BI 担当者に依頼する前の「伝えるための分析」を自分で回しやすくなることです。いっぽうで、対応するグラフ種類、データソース、編集オプション、ライセンス条件の細部は、現時点の公開文面ではまだ個別に出そろっていません。今は「何が変わるかを理解し、使いどころと準備を先に決める段階」と捉えるのが現実的です。 (Microsoft)
SharePoint ページの作成者は AI を使用してグラフを作成できますとは
今回の公開情報で明らかになっているのは、SharePoint ページ編集中に、作成者がページ上のチャットで欲しいグラフを平文で説明すると、AI がグラフを作成する という点です。ロードマップ上では Web / Worldwide (Standard Multi-Tenant) / General Availability / Targeted Release のタグが付き、開始時期は 2026年5月とされています。Microsoft 365 ロードマップの説明では、Targeted Release がある機能はその日付が先行展開の開始を示し、その後 Standard Release に広がる扱いです。 (Microsoft)
この機能は単発の追加機能というより、SharePoint 全体が「自然言語でページやセクション、FAQ、ライブラリを扱う」方向へ進んでいる流れの一部として見ると理解しやすいです。Microsoft は AI in SharePoint を、ファイル・ページ・サイトを Copilot-ready にする機能群として説明しており、ページ生成、セクション生成、FAQ Web パーツ生成、ページ改善、書き換えなどを含めています。2026年3月の公式ブログでも、ページでは自然言語でコンテンツを草案化・改善・再構成でき、インフォグラフィックのような追加要素もキャンバス上で扱えると案内されています。 (マイクロソフトサポート)
何が変わるのか
いちばん大きい変化は、グラフ作成の起点が 設定画面 から 自然文の指示 に変わることです。現行の Quick chart Web パーツは、シンプルな基本グラフをページに追加する仕組みで、手入力または SharePoint リスト・ライブラリからデータを取り込み、縦棒または円グラフを選んで公開します。手入力できるデータポイントは最大 12 件です。これに対し、新機能は「ページ上のチャットで、作りたいグラフを言葉で伝える」体験へ変わります。 (マイクロソフトサポート)
| 比較項目 | クイック チャート | AI 生成グラフ | Power BI Web パーツ |
|---|---|---|---|
| 作り方 | プロパティで種類とデータを設定 | ページ上のチャットで自然文で指示 | 既存の Power BI レポートを埋め込む |
| 向いている場面 | 単純な数値の見せ方 | ページ文脈に合わせた素早い可視化 | 既に整備済みの分析レポート共有 |
| 現時点で分かっている仕様 | 縦棒/円、手入力またはリスト/ライブラリ、手入力は最大12点 | 「リッチでインタラクティブ」まで公開。詳細仕様は未公表 | インタラクティブなレポートを安全に埋め込み |
| 注意点 | 手作業が多く、表現に限界がある | ロールアウト前で仕様変更の可能性がある | レポート側の準備が前提になる |
表の事実関係は Microsoft サポートとロードマップ公開情報に基づいて整理しています。特に AI 生成グラフは、現時点では「リッチでインタラクティブなグラフをページ編集時に AI で作れる」ことまでが公開情報で、具体的な対応グラフ種別やデータソース、細かな編集 UI はまだ確認できません。 (マイクロソフトサポート)
SharePoint ページ上の AI 生成グラフがイントラネット作成者を軽量アナリストに変える理由
理由はシンプルで、数字を説明する人 と 数字を見せる人 が同じ画面で作業できるようになるからです。これまでの社内ページは、「本文は SharePoint」「グラフは Excel か BI ツールで別作成」という分断が起きやすく、ページ作成者は文章担当に寄りがちでした。AI 生成グラフが想定通り実装されれば、ページ作成者は「何を伝えたいか」を自然文で説明し、そのままページ上で可視化まで進められます。これは本格的な分析基盤を作る話ではなく、伝えるための分析を現場で回す という意味での“軽量アナリスト化”です。 (Microsoft)
依頼の往復が減る
たとえば経営会議後の月次サマリーで、「部門別売上の差」と「目標達成率」をひと目で見せたい場面があります。いままでは、数値を Excel に整形し、グラフを作り、画像化して貼る流れになりがちでした。AI 生成グラフがページ編集の中に入れば、ページ作成者は本文を書きながら、同じ流れでグラフも作れるようになります。
失敗しやすいのは、1つのグラフに論点を詰め込みすぎることです。まずは 1ページ1論点、1グラフ1メッセージ で考えると、読み手に伝わりやすくなります。
文章とグラフの文脈をそろえやすい
社内ページでは、グラフそのものより「この数字を見て、誰が何を判断すべきか」のほうが重要です。ページ内で AI にグラフを作らせる形なら、すぐ下に
「どこが増えたのか」
「何が未達なのか」
「次に何をしてほしいのか」
を続けて書けます。
これは見た目の便利さ以上に大きく、数値の意味づけ をページ作成者が担いやすくなります。単にグラフを置くだけのページより、判断材料としてのページになりやすいポイントです。
公開後の反応まで見て改善しやすい
SharePoint にはページ分析があり、一意の閲覧者数、合計ビュー数、ユーザーあたりの平均使用時間、時間帯別のページトラフィックなどを確認できます。つまり、AI で作ったグラフを載せた結果、「本当に読まれるページになったか」をあとから検証できます。ページの滞在時間が短いなら、グラフ以前に本文の構成が悪いのかもしれませんし、クリック率が低いなら CTA やリンク配置の見直しが必要かもしれません。 (マイクロソフトサポート)
公開後に試したい使い方
月次サマリーの社内ページ
試したい指示例:
今月の部門別売上と目標達成率がひと目で分かるグラフを作って。達成率が低い部門が分かりやすい見せ方にしたい。
この使い方が向いているのは、経営層や部門長向けに「結論先出し」で見せたいときです。
注意点は、売上 と 達成率 の定義を混同しないことです。元データ側で「税込/税抜」「速報値/確定値」が揃っていないと、見た目がきれいでも判断を誤ります。
人事・総務のお知らせページ
試したい指示例:
部門別の研修受講率を、未受講が多い部門がすぐ分かるグラフで見せたい。今月末までの受講期限を強調したい。
これは研修、オンボーディング、福利厚生申請の周知によく合います。文章だけでは流し読みされやすいページでも、数値を可視化することで当事者意識を持たせやすくなります。
失敗しやすいのは、受講率だけを見せて母数を隠すことです。人数が少ない部門ほど率がぶれやすいため、必要に応じて件数も補足しましょう。
IT 運用・ヘルプデスクページ
試したい指示例:
問い合わせカテゴリ別の件数推移を、過去3か月で比較できるグラフにして。増えているカテゴリが一目で分かるようにしたい。
このパターンは、情シスの定例報告や障害傾向の共有に向いています。
ただし、カテゴリ名が現場で統一されていないと、AI がグラフ化できても意味のある比較になりません。先に分類ルールを整えるほうが効果は大きいです。
AI への指示で最低限入れたい要素
プロンプトの質で出来栄えはかなり変わります。最低でも次の 5 つは入れたほうが失敗しにくいです。
- 何を見せたいか:売上、件数、達成率、利用率など
- 何で比較したいか:部門別、月別、拠点別、カテゴリ別
- どの期間か:今月、四半期、過去3か月、前年同月比
- 何を強調したいか:上位、未達、急増、改善傾向
- 誰向けか:経営層向け、現場向け、新入社員向け
「グラフを作って」だけだと、見た目はできても、業務で使える可視化になりにくいです。逆に、この 5 要素が入るだけで、ページ作成者はかなり安定して“伝わるグラフ”を作れるようになります。
AI 生成グラフは Power BI の代わりになるのか
結論として、置き換えではなく役割分担 で考えるのが正解です。Power BI Web パーツは、既存のインタラクティブな Power BI レポートを SharePoint ページに埋め込むためのものです。今回の AI 生成グラフは、ページ編集中にその場で自然言語からグラフを作る想定です。つまり、AI 生成グラフは「ページの主張を補強する最後の可視化」、Power BI は「作り込んだ分析レポートを共有する仕組み」と捉えると判断しやすくなります。 (マイクロソフトサポート)
迷ったら、次の基準で考えると実務ではぶれません。
- AI 生成グラフを選ぶ場面
ページ1枚で、1つか2つの論点を素早く伝えたいとき。ニュース、週報、部門共有、施策の進捗共有に向いています。 - Power BI を選ぶ場面
すでに分析レポートが存在し、利用者がページ上で深く触りながら見る前提のとき。部門横断ダッシュボードや継続監視向きです。
導入前に確認しておきたいポイント
ロールアウト開始日を全社展開日と考えない
ロードマップにある 2026年5月は、あくまで開始目安です。Microsoft 365 ロードマップ自体が「予定日と説明は変更されうる」ことを前提にしており、Targeted Release がある機能は先行展開から始まります。社内向け告知を出すなら、「5月に順次確認予定」くらいの表現に留めるのが安全です。 (Microsoft)
現時点では詳細仕様がまだ出そろっていない
今回の公開文面では、グラフの種類、どのデータソースに対応するのか、作成後にどこまで手修正できるのか、といった細部はまだ読み取れません。近い位置づけの FAQ Web パーツでは、閲覧者に Copilot ライセンスは不要、作成者・編集者には Microsoft 365 Copilot ライセンスが必要 とされています。グラフ機能の個別要件はまだ公開されていませんが、同じくページ作成者向け AI 機能として、少なくとも作成者側のライセンスと編集権限は先に点検しておく価値があります。ここは現時点の公開情報を踏まえた実務的な推測です。 (マイクロソフトサポート)
いま preview を試すなら管理者設定が必要
SharePoint 全体の AI 機能群をいま試す場合、Microsoft Learn では Microsoft 365 Copilot ライセンス と AI in SharePoint Public Preview への管理者 opt-in が必要とされています。opt-in は PowerShell での設定が前提で、フルの preview 体験には Anthropic を Microsoft の sub-processor として有効化する案内もあります。なお、Microsoft はこの enablement process が GA では変わると明記しています。つまり、今の preview 手順をそのまま本番条件だと決め打ちしないほうがいい、ということです。 (Microsoft Learn)
公開前レビューを必須ルールにする
これはかなり重要です。Microsoft は AI in SharePoint について、AI 生成コンテンツは 不完全・不正確・古い可能性がある と明示し、独立した検証なしに依存すべきではないとしています。さらに、高リスク用途や規制領域の判断材料には使うべきではなく、最終確認はユーザー責任だと案内しています。AI でグラフが簡単に作れるようになるほど、このレビュー工程は逆に重要になります。 「作れた」ことと「公開してよい」ことは別 です。 (マイクロソフトサポート)
今のうちにやっておくと実装が早い準備
- 候補ページを 3 つだけ決める
まずは全社展開を考えず、月次報告、研修周知、IT 定例報告のように「数字を見せる頻度が高いページ」を 3 つに絞ります。 - KPI 名と集計ルールを固定する
「申請数」「完了数」「対応率」のような言葉が部署ごとにずれていると、AI の可視化以前に読み手が混乱します。指標名を統一しておくだけで、プロンプトも短くなります。 - プロンプト雛形を作る
例として、
「[指標] を [比較軸] で比較し、[期間] の傾向が分かるグラフを作って。 [強調したい点] が伝わる見せ方にしたい。」
という型を決めておくと、属人化しにくくなります。 - 公開前チェックの担当者を決める
ページ作成者本人だけでなく、数値の責任者か業務オーナーが 1 人見る体制にしておくと事故が減ります。 - 効果検証はページ分析で行う
SharePoint のページ分析では、一意の閲覧者数、合計ビュー数、平均使用時間、時間帯別トラフィックなどを確認できます。AI グラフ導入後に「読む人が増えたか」「最後まで読まれているか」を見る運用までセットにすると、単なる新機能の試用で終わりません。 (マイクロソフトサポート)
まとめ
SharePoint ページの作成者は AI を使用してグラフを作成できます は、まだ公開前の段階ではあるものの、イントラネットの作り手にとってはかなり本質的な更新です。自然言語でページ上にグラフを作れるようになれば、SharePoint は「文章を置く場所」から「数字を説明し、行動を促す場所」へ一段進みます。いっぽうで、ロールアウト開始は 2026年5月予定、現時点では In development、しかもロードマップ情報は変更されうるため、今すべきことは過剰な期待ではなく、候補ページの選定・KPI の定義・レビュー運用の整備 です。まずは 1 ページ、1 指標、1 メッセージから試せる準備を進めるのが、いちばん失敗しにくい進め方です。 (Microsoft)

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