SharePointのカスタムスキルがLaunchedに|2026年6月17日の変更点・料金・管理者対応

2026年6月17日のMicrosoft 365 Roadmap更新で、「SharePoint: Extending AI in SharePoint using custom skills」(Roadmap ID 559800)のステータスがIn developmentからLaunchedへ変更されました。対象となる環境では、SharePoint上のAIに業務手順を「カスタムスキル」として覚えさせ、繰り返し利用できるようになります。(Microsoft)

ただし、Launchedはすべてのテナントで即日利用できることを意味しません。Message Centerでは一般提供の展開期間が2026年6月中旬から7月上旬までと案内されています。まずはMicrosoft 365 Copilotライセンス、Copilot in SharePointの提供設定、サイト権限を確認してください。(Microsoft 365 Message Center Archive)

目次

2026年6月17日の主な変更点

今回の更新で機能そのものの説明が大きく変わったわけではありません。実務上の重要な変更は、ロードマップ上のステータスがLaunchedとなり、リリース済みの扱いになった点です。

確認項目内容
Roadmap ID559800
機能名Extending AI in SharePoint using custom skills
ステータスLaunched
更新前のステータスIn development
対象サービスSharePoint Online
対象プラットフォームWeb
対象クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)
プレビュー時期2026年4月
一般提供の展開予定2026年6月中旬から7月上旬
主な対象者Microsoft 365 Copilot利用者、サイト所有者、SharePoint管理者

Microsoft 365 Roadmapには一般提供時期が2026年5月と記載されていますが、より具体的なMessage Centerの更新では、一般提供開始が当初の5月下旬から6月中旬へ変更されています。ロードマップの日付は予定であり、変更される可能性があるため、テナントごとの展開状況はMicrosoft 365管理センターのMessage Centerで確認するのが確実です。(Microsoft)

SharePointのカスタムスキルとは

カスタムスキルは、複数の手順からなる定型業務をSharePoint上のAIで再利用するための仕組みです。

利用者は自然言語で業務手順を説明し、AIが作成したスキルの内容を確認して保存します。保存後は、依頼内容に合うスキルをAIが自動的に選択するほか、スキル名を指定して実行することもできます。(Microsoft Learn)

実務上は、単なる「長いプロンプト」ではなく、サイト内で共有できるAI用の業務手順書と考えると分かりやすいでしょう。

カスタムスキルが向いている業務

活用例スキルに登録する内容
契約書の確認必須項目や管理番号の有無を確認し、不備のある文書をリストへ記録する
オファーレターの確認会社指定の表現、必要事項、承認項目が含まれているか確認する
コンプライアンス文書の点検社内チェックリストに沿って文書を確認する
ファイル整理文書の内容に応じてフォルダー分けや分類を行う
SharePointリストの更新文書の確認結果を既存のリストへ登録する

スキルは、Copilot in SharePointがもともと備えているコンテンツ理解、要約、ファイル整理、リスト操作などを組み合わせて実行します。外部システムへの接続や独自コードの実行はできません。CRMへの登録や外部APIの呼び出しが必要な業務には、Power AutomateやCopilot Studioなどを検討する必要があります。(Microsoft Learn)

カスタムスキルの保存場所と権限

作成したカスタムスキルは、対象サイトの「Agent Assets」ライブラリにMarkdownファイルとして保存されます。

保存先は次の形式です。

/Agent Assets/Skills/<スキル名>/SKILL.md

標準の権限は次のとおりです。

権限カスタムスキルでできること
編集権限スキルの作成や編集
閲覧権限保存済みスキルの実行
サイトへのアクセス権なしスキルの利用不可

スキルを実行しても、利用者のSharePoint権限が拡張されることはありません。利用者が閲覧・編集できないファイルに対して、スキル経由でアクセスすることもできません。

Agent Assetsライブラリは製品によって管理され、削除できません。一方で、通常のSharePointコンテンツと同様に、権限、保持設定、監査、秘密度ラベルなどのガバナンスを適用できます。作成者を限定したい場合は、Agent Assetsライブラリの権限継承を停止し、独自の権限を設定します。(Microsoft Learn)

誰に影響するのか

一般ユーザー

Microsoft 365 Copilotライセンスが割り当てられ、対象サイトを閲覧できるユーザーは、保存されたカスタムスキルを実行できます。

これまで同じ長文プロンプトを毎回入力していた業務では、スキルを呼び出すだけで同じ確認手順を再利用できるようになります。

サイト編集者

サイトの編集権限を持つユーザーは、自然言語からカスタムスキルを作成できます。

編集権限を広く付与しているサイトでは、多数の利用者がスキルを作成できる点に注意が必要です。スキル名の重複、同じ目的のスキル乱立、古い業務ルールの放置を防ぐため、作成者とレビュー担当者を決めておくと管理しやすくなります。

サイト所有者とSharePoint管理者

管理者には、次の対応が求められます。

  • Copilot in SharePointを利用できるサイトの確認
  • Microsoft 365 Copilotライセンスの確認
  • サイトの編集権限とAgent Assetsライブラリの権限確認
  • スキルの所有者、命名、レビュー、廃止ルールの策定
  • ヘルプデスク向けの案内準備

SharePoint Serverなどのオンプレミス環境は対象ではありません。また、2026年6月時点ではGCC、GCC High、DoDなど一部の政府機関向け環境はCopilot in SharePointの対象外です。(Microsoft Learn)

管理者が確認すべき設定

カスタムスキル専用のテナント全体オン・オフ設定はありません。ただし、カスタムスキルの前提となるCopilot in SharePointの提供範囲は管理できます。

Microsoft 365 Copilotライセンスを確認する

利用者には有効なMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要です。

Microsoft 365管理センターで、対象ユーザーにライセンスが割り当てられているか確認してください。ライセンス内の「Microsoft 365 Copilot for SharePoint」サービスプランを無効化している場合も利用できません。

Copilot in SharePointの適用範囲を確認する

プレビュー期間中は、SharePoint Online Management ShellのKnowledgeAgentScopeで適用範囲を管理します。機能名はCopilot in SharePointへ変更されていますが、PowerShellのパラメーターには旧称のKnowledge Agentが残っています。

確認には、SharePoint Online Management Shell 16.0.26615.12013以降が必要です。

Connect-SPOService -Url https://<テナント名>-admin.sharepoint.com

Get-SPOTenant |
    Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList

主な設定値は次のとおりです。

設定値意味
AllSitesすべてのサイトで利用可能
IncludeSelectedSites指定したサイトだけで利用可能
ExcludeSelectedSites指定したサイトを除いて利用可能
NoSitesすべてのサイトで利用不可

2026年6月中旬からCopilot in SharePointはオプトアウト方式のプレビューへ移行し、対象テナントではライセンスを持つユーザーに順次提供されます。過去にテナントまたはサイトを除外している場合、その設定は引き継がれます。(Microsoft Learn)

Restricted Content Discoveryを確認する

サイトでRestricted Content Discoveryが有効になっている場合、Copilot in SharePointとAIアクションは表示されません。

ライセンスとKnowledgeAgentScopeに問題がないのに機能が見つからない場合は、対象サイトのRestricted Content Discovery設定も確認してください。(Microsoft Learn)

Agent Assetsライブラリの権限を確認する

標準設定では、サイトの編集権限を持つ全ユーザーがスキルを作成できます。

次のようなサイトでは、Agent Assetsライブラリの権限を分けることを検討してください。

  • 多数のメンバーに編集権限を付与している
  • 法務や人事など、判断基準の正確性が重要
  • スキルの変更前に承認が必要
  • 秘密度の高い文書を扱う
  • 部門ごとに異なる業務ルールが存在する

カスタムスキルを作成・実行する手順

スキルを作成する

  1. SharePointのサイトページまたはドキュメントライブラリを開きます。
  2. ページが編集モードになっていないことを確認します。
  3. Copilot in SharePointのチャットパネルを開きます。
  4. 再利用したい業務手順を自然言語で説明します。
  5. AIが作成したスキルの手順、入力、出力を確認します。
  6. 必要に応じて修正を依頼し、問題がなければ保存します。

たとえば、次のように依頼できます。

選択した契約書を確認し、契約番号、有効期限、担当部署が記載されているか点検するスキルを作成してください。不足項目がある場合は、文書名と不足項目を「契約書確認結果」リストへ追加してください。

スキルを実行する

  1. ドキュメントライブラリで確認対象のファイルを選択します。
  2. Copilot in SharePointのチャットを開きます。
  3. 業務内容を指示するか、スキル名を指定して実行します。
  4. チャットにスキルのインジケーターカードが表示されたことを確認します。
  5. 実行結果を確認し、必要な修正を行います。

最初から重要文書に適用せず、テスト用ファイルで入力、判定、リスト更新まで確認してから本番利用へ進めるのが安全です。(Microsoft Learn)

更新や移行は必要か

今回の変更に伴うクライアントソフトウェアの更新や、既存データの強制移行は案内されていません。

既存のプロンプト集や業務手順書がある場合は、自動的にカスタムスキルへ変換されるわけではありません。次の手順で段階的に移行すると整理しやすくなります。

  1. 繰り返し利用しているプロンプトやチェックリストを抽出する
  2. 一つのスキルに一つの目的を割り当てる
  3. テストサイトでカスタムスキルを作成する
  4. 権限の異なるユーザーで実行結果を確認する
  5. スキルの所有者と更新日を管理する
  6. 古い手順や重複スキルを廃止する

SKILL.mdを直接編集することもできますが、ファイル形式を崩すとCopilot in SharePointが正しく解釈できなくなる可能性があります。通常はチャットから修正し、直接編集する場合は変更履歴を残してください。(Microsoft Learn)

料金とライセンス

Copilot in SharePointを利用するユーザーには、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要です。

Microsoftの案内では、Copilot in SharePointはプレビュー期間中だけでなく一般提供後もMicrosoft 365 Copilotライセンスに含まれ、追加料金は発生しないとされています。カスタムスキル専用の追加ライセンスやアドオン料金も案内されていません。(Microsoft Learn)

ただし、プレビュー期間中はユーザー単位の日次・週次利用上限があります。上限値は固定で公開されておらず、利用状況に応じて変更される可能性があります。大量の文書を継続的に処理する用途では、正式提供後の制限やライセンス条件を改めて確認してください。(Microsoft Learn)

期限と対応スケジュール

今回の変更に、利用者側の必須移行期限はありません。

一方、Message Centerでは一般提供の展開完了が2026年7月上旬とされています。管理者は機能が表示されてから対応するのではなく、展開期間中に権限と運用ルールを確認しておく必要があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)

時期推奨する対応
2026年6月中ライセンス、テナント設定、対象サイトを確認する
展開を確認した直後テストサイトでスキルを作成・実行する
本番利用前Agent Assetsライブラリの権限とレビュー手順を決める
本番利用後スキルの利用状況、重複、古い手順を定期的に確認する

導入時に失敗しやすいポイント

Launchedなら全ユーザーが使えると思い込む

Launchedでも、テナントへの展開、ライセンス、サイト設定、権限によって表示されない場合があります。まず一人の管理者だけで判断せず、管理者、編集者、閲覧者の各アカウントで確認してください。

編集権限を持つ全員に作成を任せる

編集者が多いサイトでは、似たスキルが乱立しやすくなります。「部門名-業務名-処理内容」などの命名規則と、スキル所有者を決めておくと管理しやすくなります。

AIの出力をそのまま確定情報として扱う

カスタムスキルは手順を再利用しやすくしますが、すべての文書で同じ精度を保証するものではありません。法務、人事、契約、コンプライアンスに関する処理では、人による最終確認を残してください。

外部システム連携まで実行できると考える

カスタムスキルは、外部システムへの接続や独自コードの実行には対応していません。外部データベースへの登録や承認フローが必要な処理は、Power Automateなどと役割を分ける必要があります。

まず行うべき対応

2026年6月17日の変更で、SharePointのカスタムスキルはロードマップ上でLaunchedとなりました。カスタムスキルを使うと、文書確認やファイル整理などの複数手順を、サイト内で再利用できるようになります。

管理者は、次の4点を優先して確認してください。

  • Microsoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているか
  • Copilot in SharePointが対象サイトで利用可能か
  • サイトの編集権限が広すぎないか
  • Agent Assetsライブラリの作成・利用権限が適切か

最初は機密性の低いテストサイトで一つのカスタムスキルを作り、編集者と閲覧者の両方で動作を確認するのが現実的です。問題なく運用できることを確認してから、契約書確認や社内文書整理などの本番業務へ広げてください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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