Excelの「Summarize text columns with Copilot」は、アンケート回答や問い合わせ履歴などの自由記述をCopilotが分析し、内容に応じたカテゴリやタグを生成する機能です。手作業でコメントを読み分けなくても、分類用の列を作成し、集計や傾向分析につなげやすくなります。
Microsoft 365 Roadmapでは、2026年6月15日にRoadmap ID 560531として公開されました。対象はExcelのデスクトップ版、Mac版、Web版で、Current Channelにおける一般提供は2026年7月の予定です。現時点では開発中であり、すべてのユーザーが利用できる状態ではありません。また、専用の移行期限や新たな追加料金は案内されていません。(Microsoft 365 Message Center Archive)
Excel「Summarize text columns with Copilot」の変更点
今回の変更で注目すべき点は、単に文章全体を短く要約するだけでなく、テキスト列から関連するカテゴリやタグを生成できることです。
たとえば、商品アンケートの「自由記述」列を分析し、各回答に「価格」「使いやすさ」「配送」「サポート」といった分類を付けられます。その結果を新しい列として追加すれば、フィルター、ピボットテーブル、グラフなどを使った集計がしやすくなります。
| 項目 | 公開情報 |
|---|---|
| Roadmap ID | 560531 |
| 公開日 | 2026年6月15日 |
| 状態 | 開発中 |
| 一般提供予定 | 2026年7月 |
| リリース | Current Channel |
| 対象環境 | デスクトップ、Mac、Web |
| 対象クラウド | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| 主な変更 | テキスト列を分析し、関連カテゴリやタグを生成 |
ただし、Microsoft 365 Roadmapの日付は確定日ではありません。開発状況によって延期や内容変更が発生する可能性があり、2026年7月になった時点ですべての利用者へ一斉に表示されるとは限りません。(Microsoft 365 Message Center Archive)
以前のテキスト要約機能との違い
「Summarize text columns with Copilot」という名称の機能は、2024年のMicrosoft 365 Copilotリリースノートにも掲載されていました。当時は、アンケート回答の主要テーマを見つけるなど、テキスト列を要約する機能として説明されています。
一方、2026年6月のRoadmapでは、「関連するカテゴリやタグを生成する」と明記されています。少なくとも公開文面上は、文章による要約だけでなく、データを分類しやすい形へ構造化する用途が強調されたと考えられます。(Microsoft Learn)
| 比較項目 | 従来の説明 | 2026年のRoadmap |
|---|---|---|
| 主な目的 | テキストの要約、主要テーマの抽出 | 関連カテゴリやタグの生成 |
| 想定される結果 | 全体傾向を文章で把握 | 行ごとに分類結果を付与 |
| 活用方法 | 内容の読み取り、概要把握 | 絞り込み、件数集計、ピボット分析 |
| 実務上の利点 | 読む時間を短縮 | 非構造化データを集計可能な形に変換 |
同じ名称でも、今回の変更は「要約文を読む」機能から「分類結果をExcel上で再利用する」機能へ、活用範囲を広げるものと捉えると分かりやすいでしょう。
何ができるようになるのか
Copilot in Excelでは、大量のテキストから主要テーマや感情を抽出し、分析結果を新しい列としてワークブックへ追加できます。結果を確認したうえで「Insert column」を選択するため、元の自由記述を残しながら分類列を作成できます。(マイクロソフトサポート)
アンケートの自由記述を分類する
次のような回答が「コメント」列に入っているとします。
| コメント |
|---|
| 注文してから届くまで時間がかかった |
| 価格は高いが操作は分かりやすい |
| 問い合わせへの返信が早かった |
| 画面の読み込みが遅い |
Copilotへ次のように指示します。
コメント列の内容を「価格」「操作性」「速度」「配送」「サポート」「その他」に分類し、各行の分類結果を新しい列として追加してください。判断できない回答は「要確認」にしてください。
分類結果が追加されれば、「配送」に関する不満だけを抽出したり、カテゴリ別の件数をピボットテーブルで集計したりできます。
問い合わせ履歴に対応カテゴリを付ける
ヘルプデスクやカスタマーサポートでは、問い合わせ本文を以下のように分類できます。
問い合わせ内容列を分析し、「アカウント」「請求」「不具合」「操作方法」「機能要望」「その他」のいずれかを分類列へ追加してください。
担当部署の振り分けに利用する場合は、Copilotの結果だけで自動決定せず、最初は「振り分け候補」として扱うのが安全です。特に、返金、契約解除、情報漏えいなどの重要案件は、人が原文を確認する運用を残しましょう。
レビューからテーマと感情を抽出する
商品レビューや社内アンケートでは、テーマと感情を組み合わせると分析しやすくなります。
レビュー列の主要テーマを分類し、別の列に「肯定」「中立」「否定」の感情を追加してください。
「操作性に関する否定的なレビューが多い」といった傾向を可視化できるため、改善対象の優先順位を決めやすくなります。
影響を受けるユーザー
今回の変更は、特に自由記述を大量に扱う利用者に影響します。
| 対象 | 主な影響 |
|---|---|
| 一般ユーザー | コメントを手作業で分類する時間を削減できる |
| 営業・マーケティング担当者 | 顧客の要望や不満をテーマ別に集計できる |
| サポート担当者 | 問い合わせ内容の分類候補を作成できる |
| 人事・総務担当者 | 社内アンケートの傾向を把握しやすくなる |
| データ分析担当者 | 自由記述を集計可能なカテゴリデータへ変換できる |
| Microsoft 365管理者 | ライセンス、更新チャネル、組織設定の確認が必要になる |
2026年6月のRoadmapで明記されている対象プラットフォームは、デスクトップ、Mac、Webです。スマートフォンやiPadについては、今回のRoadmapと同じ2026年7月の提供対象であるとは明記されていません。モバイル版でも同時に利用できると決めつけず、実際の提供状況を確認してください。(Microsoft 365 Message Center Archive)
利用前に確認する手順
Copilotの利用資格を確認する
ExcelにCopilotボタンが表示されるかどうかは、Microsoft 365の契約、割り当てられたライセンス、組織の設定によって異なります。
職場または学校のアカウントでは、Microsoft 365へサインインし、ホーム画面下部に表示されるCopilotのラベルを確認できます。
| 表示されるラベル | Excel内のCopilot |
|---|---|
| Copilot Chat(Basic) | Word、Excel、PowerPoint、OneNote内では利用不可 |
| M365 Copilot(Basic) | 対象アプリで標準アクセスが可能 |
| M365 Copilot(Premium) | Copilotアドオンによる優先アクセスが可能 |
名称や提供条件は今後変更される可能性があります。実際の利用可否は、対象アカウントでExcelを開き、[ホーム]タブにCopilotが表示されるか確認するのが確実です。(マイクロソフトサポート)
ファイルとデータを整える
Copilot in Excelを使うには、データをExcelテーブルまたは対応するセル範囲として整える必要があります。また、対象ファイルでは自動保存が有効になっている必要があります。(マイクロソフトサポート)
対応するセル範囲には、次の条件があります。
- 見出し行は1行だけにする
- 各列に重複しない見出しを付ける
- 空白の見出しを作らない
- データ途中に空白行や空白列を入れない
- セル結合を使わない
- 小計行をデータ内に入れない
- 日付や数値などの書式を列内で統一する
特に失敗しやすいのが、アンケートタイトルをセル結合して表の上部に置いているケースです。Copilotがデータ範囲を正しく認識しない場合は、分析対象だけを別シートへコピーし、テーブルへ変換すると解決しやすくなります。(マイクロソフトサポート)
Copilotへ分類を依頼する
基本的な操作手順は次のとおりです。
- 対象のExcelファイルを開く
- データをテーブルまたは対応範囲に整える
- [ホーム]タブから[Copilot]を選択する
- 分析対象の列と分類ルールを入力する
- Copilotが参照したデータと結果を確認する
- 問題がなければ[Insert column]で列を追加する
Copilotの回答には参照元を示す番号が表示される場合があります。番号へマウスを合わせると、分析に使われた元データを確認できます。分類結果が不自然なときは、元の回答と照合してから列を追加してください。(マイクロソフトサポート)
精度を上げるプロンプトの書き方
「この列を要約して」だけでは、文章による概要が返され、集計に使える分類列にならないことがあります。
実務で使うプロンプトには、次の5点を含めるのが効果的です。
目的+対象列+分類ルール+出力形式+例外処理
たとえば、次のように指示します。
顧客コメント列を分析してください。各行を「価格」「品質」「配送」「操作性」「サポート」「その他」のいずれか1つに分類し、「カテゴリ」という新しい列へ追加してください。複数の話題がある場合は、最も強く述べられている内容を選んでください。判断できない場合は「要確認」としてください。
カテゴリをCopilotに完全に考えさせる方法もあります。
問い合わせ内容列から主要テーマを最大7個抽出してください。そのテーマを分類基準として各行にタグを付け、新しい列へ追加してください。
ただし、毎月Copilotにカテゴリを作り直させると、「操作方法」と「使い方」のように似た分類が増え、月ごとの比較が難しくなります。継続的な集計では、最初にカテゴリ一覧を決め、同じ分類ルールを使い続けることが重要です。
設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント
設定
Roadmapには、この機能専用の管理スイッチや必須のテナント設定は記載されていません。現時点では、既存のCopilot in Excelが利用可能か、組織のポリシーでCopilotが制限されていないかを確認するのが中心です。
管理者は、テスト用ユーザーへ適切なライセンスを割り当て、同じブックを使ってデスクトップ版とWeb版の両方で動作を確認するとよいでしょう。
更新
今回のRoadmapでは、リリースチャネルがCurrent Channelとされています。
Windows版Excelでは、[ファイル]→[アカウント]を開き、製品情報から更新チャネル、バージョン、ビルド番号を確認できます。
Current Channelは、新機能を準備でき次第提供するチャネルです。ただし、機能が段階的にロールアウトされ、一部のユーザーだけが先に利用できる場合があります。Monthly Enterprise Channelなどを利用している組織では、Current Channelより遅れて提供される可能性があります。(Microsoft Learn)
機能を早く使うためだけに、全端末の更新チャネルを変更するのは避けましょう。業務システムやExcelアドインへの影響があるため、まず代表ユーザーの端末で検証するのが安全です。
移行
今回の発表には、既存ブックの形式変換や強制的な移行作業は記載されていません。
通常のExcelデータをテーブルまたは対応範囲に整え、自動保存を有効にすれば利用準備ができます。ただし、重要なブックで初めて試す場合は、次の運用を推奨します。
- 元データの列は削除・上書きしない
- Copilotの結果は別の列に追加する
- 初回はブックのコピーで試す
- 代表的な50~100件を人が確認する
- 誤分類が多いカテゴリは定義や例を追加する
料金
Roadmap ID 560531には、この機能に伴う新しい単体料金や値上げの記載はありません。
ただし、「Excelを使える契約」と「Excel内でCopilotを使える契約」は同じではありません。現在のMicrosoft 365契約、Copilotの利用資格、組織の設定によって利用可否が変わるため、「Excel for the webなら無料で使える」とは限りません。(マイクロソフトサポート)
追加費用を判断する際は、一般向け価格だけを見るのではなく、対象ユーザーのMicrosoft 365ホーム画面に表示されるCopilotラベルと、管理センター上のライセンス割り当てを確認してください。
期限
利用者が対応しなければならない移行期限や申請期限は、今回のRoadmapでは示されていません。
2026年7月は一般提供の予定時期であり、必ず7月1日に利用可能になるという意味ではありません。Roadmapの情報は変更される可能性があるため、管理者は7月以降もRoadmap、Microsoft 365管理センターのメッセージセンター、各更新チャネルのリリースノートを確認してください。(Microsoft)
利用時に注意したい失敗例
分類基準を指定せず、カテゴリが増えすぎる
Copilotへ毎回自由に分類させると、「料金」「価格」「コスト」のような類似カテゴリが別々に作られることがあります。
集計目的で使う場合は、カテゴリ名、カテゴリ数、該当条件をあらかじめ指定しましょう。分類基準を別シートに記載しておくと、担当者が変わっても同じルールを使えます。
AIの分類結果を確定情報として扱う
短いコメント、皮肉、複数の話題を含む文章では、誤分類が起こる可能性があります。
たとえば「安くはないが、サポートを考えれば満足」という文章は、「価格への不満」と「肯定的な評価」の両方を含みます。重要な判断に使う場合は、Copilotの分類結果だけでなく原文も確認してください。
元の自由記述を削除する
分類列だけを残して原文を削除すると、後から判断理由を確認できなくなります。
元のテキスト、Copilotが生成したカテゴリ、人が修正した確定カテゴリを別々の列で管理すると、検証と再分析が容易になります。
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 顧客コメント | 元の自由記述 |
| Copilot分類 | AIが生成したカテゴリ |
| 確定分類 | 担当者が確認・修正した結果 |
| 確認状態 | 未確認、確認済み、要再確認 |
個人情報や機密情報を無条件で分析する
氏名、連絡先、健康情報、人事評価などを含むデータでは、組織の情報管理ルールを先に確認してください。
Copilotを利用できる状態であっても、すべての業務データを分析してよいとは限りません。アクセス権、保存場所、社内規程、データ保持方針に沿って運用する必要があります。
よくある質問
2026年7月になれば全員が使えますか
全員が同じ日に使えるとは限りません。
利用には対象ライセンス、組織設定、対応プラットフォームなどの条件があります。Current Channelでも段階的に提供されることがあり、同じ組織内で表示時期がずれる可能性があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
既存のExcelファイルを移行する必要はありますか
今回の発表では、ファイル形式の移行は求められていません。
ただし、データをExcelテーブルまたは対応するセル範囲に整え、自動保存を有効にする必要があります。空白行、結合セル、重複した見出しがある場合は、事前に修正してください。(マイクロソフトサポート)
日本語のコメントも分類できますか
Copilot in Excelでは日本語を利用できる環境がありますが、今回のRoadmapには、言語ごとの提供開始日や精度差は記載されていません。
社内略語、製品コード、業界用語が多いデータでは、カテゴリの定義や具体例をプロンプトへ含め、実際のデータで精度を確認してください。
Copilotが表示されない場合はどうすればよいですか
次の順番で確認します。
- 対象アカウントでMicrosoft 365へサインインしているか
- Excelの[ホーム]タブにCopilotがあるか
- Copilotの利用資格があるか
- 組織の設定で利用が制限されていないか
- ファイルの自動保存が有効か
- データがテーブルまたは対応範囲になっているか
- Windows版では更新チャネルとExcelの更新状況を確認する
ボタン自体が表示されない場合は、データ形式よりも先に、ライセンスと組織設定を確認しましょう。
今から準備しておくこと
「Summarize text columns with Copilot」は、自由記述を読む作業を減らすだけでなく、コメントをカテゴリやタグへ変換し、集計できるデータに整える機能です。
2026年7月の提供に備え、次の順番で準備するとスムーズです。
- 分析したいアンケートや問い合わせ履歴を1つ選ぶ
- 元データを残したまま、検証用のコピーを作成する
- データをExcelテーブルへ変換する
- 使用するカテゴリと「要確認」の基準を決める
- Copilotの利用資格と更新チャネルを確認する
- 提供開始後、少量のデータで分類精度を検証する
- 問題がなければ集計やレポート作成へ広げる
最初から全件を自動分類するのではなく、人が確認できる件数で試し、分類基準を固めてから対象を増やすことが成功のポイントです。

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