新しいOutlookでPSTの予定表・連絡先を移行する方法|手順・条件・未対応範囲

新しいOutlook for Windowsでは、PST(Outlook Data File)に保存された予定表と連絡先を、メールボックスへ取り込めます。Microsoft 365 Roadmap ID 486839は、標準のMicrosoft 365環境向けに2026年6月の一般提供として登録され、現在の状態は「Launched」です。さらに、2026年6月12日のリリースノートでは、予定表、連絡先、タスクを含む各種アイテムのPSTインポートに対応したことが案内されています。(Microsoft)

ただし、今回の更新は「新しいOutlookが従来のOutlookと同じように、PSTの全機能へ対応した」という意味ではありません。メールルールやフォルダーの表示設定など、PSTに含まれない情報は移行できません。また、PST内のデータを直接編集する機能や、一部の特殊な連絡先・予定表データについては、公式情報だけでは挙動を判断できない部分が残っています。

移行前にはPSTをバックアップし、設定 > ファイル > インポートから取り込みを実行します。作業後は、予定表の繰り返し設定や連絡先の項目まで確認し、問題があればクラシックOutlookのインポート機能へ切り替えるのが安全です。

目次

新しいOutlookのPST移行はどこまで対応したのか

現時点の対応状況を整理すると、次のようになります。

確認したい内容現在の対応状況
PSTからメールをメールボックスへ取り込む対応済み
PSTから予定表をメールボックスへ取り込む対応済み
PSTから連絡先をメールボックスへ取り込む対応済み
PSTからタスクを取り込むリリースノートで対応が明記されている
PST内のメールを開く・検索する対応済み
PST内のメールやフォルダーを移動・コピー・削除する対応済み
メールボックスからPSTへエクスポートするメール、予定表、連絡先、タスクに対応
クラシックOutlookと同等のPST機能を利用する未対応・仕様差が残る
メールルールやフォルダー表示設定も移行する対応していない

新しいOutlookでは、PST内のメールを参照・検索するだけでなく、メールボックスとの間でメールをドラッグ&ドロップしたり、メールやフォルダーを移動・コピー・削除したりできます。Microsoftのサポートページでは、メールボックスからPSTへメール、予定表、連絡先、タスクをエクスポートできることも案内されています。(マイクロソフトサポート)

2026年6月は「移行期限」ではなく「提供時期」

Roadmap ID 486839に記載されている2026年6月は、機能の一般提供月です。PSTを2026年6月までに移行しなければならないという期限ではありません。

同ロードマップ項目には、次の情報が登録されています。

項目内容
Roadmap ID486839
対象製品Outlook
対象アプリNew Outlook for Windows
プラットフォームDesktop
対象クラウドWorldwide Standard Multi-Tenant
リリース段階General Availability
提供時期2026年6月
状態Launched

Roadmap ID 486839は、一般的なMicrosoft 365の標準テナントを対象とした項目です。GCC向けには別のRoadmap ID 486840が用意され、2026年7月の一般提供として登録されています。(Microsoft)

なお、Microsoft 365 Roadmapに掲載される日程や説明は変更される可能性があります。実際に利用できるかどうかは、利用中の新しいOutlookにインポートメニューが表示されるかも確認してください。(Microsoft)

「PSTを開く」と「メールボックスへ取り込む」は別の操作

PSTを扱う際は、次の2つを区別する必要があります。

PSTを開く

PSTファイルをパソコン上に残したまま、新しいOutlookから内容を参照する方法です。データはローカルのPST内にあり、メールボックスへ移動したわけではありません。

新しいOutlookでPSTを開く場合は、次の場所を使用します。

設定 > ファイル > Outlookデータファイル > ファイルの追加

Microsoftのロードマップでは、PST内の予定表と連絡先を参照する機能について、読み取り専用として提供されたことが確認できます。つまり、PSTを開いて閲覧できても、PST内の予定表や連絡先をクラシックOutlookと同じように自由に編集できるとは限りません。(マイクロソフトサポート)

PSTをメールボックスへ取り込む

PSTに保存されているデータを、Microsoft 365などのメールボックス側へ移行する方法です。今回のRoadmap ID 486839が対象としているのはこちらです。

移行後は、PST配下ではなく、通常の予定表、連絡先、メールフォルダーなどにデータが登録されているかを確認します。

PSTを今後使わず、複数の端末から予定表や連絡先を利用したい場合は、PSTを開いたまま運用するよりも、メールボックスへ取り込む方法が適しています。

PSTを取り込む前に確認すること

移行を開始する前に、次の条件を確認してください。

確認項目判断基準
使用アプリWindowsデスクトップ版の新しいOutlookである
インポートメニュー設定 > ファイル > インポートが表示される
取り込み先移行先のMicrosoft 365メールボックスを特定できている
メールボックス容量PST内のデータを保存できる空きがある
PSTのバックアップ元のPSTとは別にコピーを保存している
保存場所OneDrive同期外のローカルフォルダーに作業用PSTを置いている
移行後の確認方法予定表、連絡先、タスクなどの確認項目を決めている

Microsoftのリリースノートでは、PSTメールの取り込み先としてSettings > Files > Importが案内されています。その後、2026年6月の更新で、予定表、連絡先、タスクにもインポート対象が拡大されました。(Microsoft Learn)

PSTを開く場合には追加要件がある

Microsoftが公開している「新しいOutlookでPSTを開く場合」の要件は次のとおりです。

  • Microsoft 365サブスクリプションを利用していること
  • クラシックOutlookもインストールされていること
  • 新しいOutlookとクラシックOutlookの32ビット・64ビット構成が一致していること
  • ARM版の新しいOutlookではないこと
  • 新しいOutlookがセーフモードや回復モードで起動していないこと

これらは、MicrosoftがPSTを「開く」場合の要件として掲載しているものです。PSTインポート専用の要件として同一条件が明記されているわけではありませんが、PSTを認識しない場合やインポートメニューが表示されない場合には確認すべき項目です。(マイクロソフトサポート)

Microsoftは、将来的に新しいOutlookでPSTを利用する際のクラシックOutlook必須要件をなくす計画も案内しています。ただし、現在のサポートページにはクラシックOutlookが必要と記載されているため、実際の環境での表示を優先して判断してください。(マイクロソフトサポート)

新しいOutlookでPSTから予定表と連絡先を移行する手順

PSTのバックアップを作成する

最初に、新しいOutlookとクラシックOutlookを終了し、対象のPSTを別の場所へコピーします。

作業用のPSTと保管用のPSTを分けておけば、インポートに失敗した場合でも元の状態へ戻せます。移行が完了した直後に元のPSTを削除してはいけません。

作業用PSTは、OneDriveの同期対象外となるローカルフォルダーへ置くのが安全です。Microsoftも、PSTをOneDrive上へ直接エクスポートしないよう案内しています。OneDriveではOutlookのPSTに対する自動同期が制限されるためです。(マイクロソフトサポート)

移行前の件数を記録する

可能であればクラシックOutlookでPSTを開き、次の情報を記録します。

  • 予定表の過去・未来の登録状況
  • 連絡先のおおよその件数
  • 連絡先リストやグループの有無
  • タスクの未完了・完了件数
  • メールフォルダーの構成
  • PSTがパスワードで保護されているか

すべての項目を数える必要はありません。重要な予定、頻繁に使う連絡先、繰り返し予定など、移行後に見つからないと困るデータを事前に決めておくことが重要です。

新しいOutlookを最新版に更新する

新しいOutlookを終了して再起動し、必要に応じてMicrosoft Storeや組織のアプリ配布環境から更新します。

その後、右上の歯車アイコンから次の順に開きます。

設定 > ファイル > インポート

「インポート」が表示されない場合は、移行を強行せず、後述する確認事項を先に確認してください。

PSTと取り込み先メールボックスを指定する

インポート画面で、バックアップから作成した作業用PSTを選択します。

複数のメールアカウントを登録している場合は、取り込み先を間違えないようにします。会社のMicrosoft 365メールボックスへ移行するつもりで、個人のOutlook.comアカウントなどを選択しないよう注意してください。

利用中のビルドによって画面構成や選択項目が異なる可能性があります。アイテムの種類を選択できる場合は、少なくとも次を確認します。

  • 予定表
  • 連絡先
  • 必要に応じてメール
  • 必要に応じてタスク

2026年6月12日の公式リリースノートでは、PSTインポートが予定表、連絡先、タスクを含む各種アイテムへ対応したと説明されています。(Microsoft Learn)

インポートを開始する

画面に表示された取り込み元、取り込み先、対象データをもう一度確認してから実行します。

インポートが終了するまでは、次の操作を避けてください。

  • 新しいOutlookを強制終了する
  • パソコンを再起動する
  • PSTを移動・名称変更する
  • 同じPSTのインポートを繰り返す
  • ネットワーク接続を切断する

新しいOutlookの重複処理について、公式手順では十分な詳細が公開されていません。処理が止まっているように見えても、結果を確認せずに同じPSTを再実行すると、重複データが発生する可能性があります。

移行後に確認すべき項目

「インポートが完了した」と表示されても、移行作業は終了ではありません。実務では、次の項目まで確認して完了とします。

データ確認する内容
予定表過去と未来の予定、終日予定、繰り返し予定、タイムゾーン、通知、添付ファイル
連絡先氏名、メールアドレス、電話番号、会社名、住所、メモ
連絡先リストメンバー構成、リスト名、送信時に利用できるか
タスク期限、完了状態、繰り返し設定、重要度
メールフォルダー構成、送受信日時、添付ファイル、既読状態
件数移行前に記録した件数と大きく食い違っていないか

予定表で特に確認したいポイント

予定表では、直近の予定だけでなく、数年前の予定と数か月先の予定も確認します。

特に確認したいのは、毎週・毎月・毎年の繰り返し予定です。繰り返し予定の一部だけを過去に変更していた場合は、その例外日も確認してください。

海外との会議が含まれる場合は、開始時刻とタイムゾーンも確認します。

連絡先で特に確認したいポイント

通常の氏名やメールアドレスだけでなく、次の項目も確認します。

  • 複数のメールアドレス
  • 携帯電話と会社電話
  • 会社名と役職
  • 住所
  • メモ欄
  • カテゴリ
  • ユーザー定義の項目
  • 連絡先リスト

ロードマップには「連絡先のインポート」とありますが、連絡先リスト、カテゴリ、独自フィールドなどの詳細な変換仕様までは記載されていません。業務上重要な連絡先については、数件を実際に開いて確認する必要があります。

新しいOutlookで対応していないものと仕様が不明確なもの

メールルールやフォルダー設定は移行されない

OutlookがPSTへエクスポートしない情報は、PSTからインポートすることもできません。

Microsoftは、次の情報がPSTのエクスポート対象に含まれないと説明しています。

  • フォルダーの表示設定
  • フォルダーのアクセス許可
  • 自動整理の設定
  • メールルール
  • 受信拒否リスト

これらはPSTファイルに保存されていないため、PSTをメールボックスへ取り込んでも復元されません。必要なルールや設定は、移行後に新しいOutlook側で作り直します。(マイクロソフトサポート)

PST内の予定表・連絡先を直接編集する機能は別問題

今回の更新は、PSTからメールボックスへのインポート機能です。

PST内に置いたまま予定表や連絡先を編集し続けられることを保証する更新ではありません。公式ロードマップで明示されているPST内の予定表・連絡先へのアクセスは、少なくとも当初は読み取り専用として提供されています。(Microsoft)

PSTを日常的な予定表・連絡先の保存先として使い続けるのではなく、メールボックスへ取り込み、メールボックス側で管理するのが現実的です。

ノートと履歴は個別の動作が明記されていない

PSTには、メール、連絡先、予定、タスクのほか、ノートや履歴などが保存される場合があります。(マイクロソフトサポート)

2026年6月のリリースノートでは「すべてのアイテム種類」に対応したと表現されていますが、具体例として明記されているのは予定表、連絡先、タスクです。ノートや履歴がどこへ登録され、どの機能として利用できるかまでは説明されていません。(Microsoft Learn)

ノートや履歴を業務で使っている場合は、元のPSTを残し、テスト移行で動作を確認してから本移行へ進んでください。

Outlook on the web、Mac、スマートフォンは今回の対象ではない

Roadmap ID 486839のプラットフォームは「Desktop」です。したがって、このロードマップ項目は次の環境を直接対象としていません。

  • Outlook on the web
  • Outlook for Mac
  • Outlook for iOS
  • Outlook for Android

PSTの選択とインポートはWindowsデスクトップ版で行います。取り込み後にメールボックスへ正常に登録されたデータについては、各クライアントで表示を確認してください。

今後のPST機能は具体的に示されていない

Roadmap ID 486839には、今後の新しいOutlookでPST対応を拡張する旨が記載されていますが、追加される具体的な機能や時期までは示されていません。(Microsoft)

一方、Microsoftのサポートページでは、メール、予定表、連絡先の一括インポートと、クラシックOutlook必須要件の撤廃後は、PSTへの追加投資を予定していないとも説明されています。(マイクロソフトサポート)

そのため、クラシックOutlookと同等の完全なPST運用が将来必ず実現すると想定して移行計画を立てるべきではありません。

Microsoftの公式情報が食い違って見える場合の判断方法

2026年7月時点では、Microsoftの公式ページ間で更新時期に差があります。

Microsoft 365 Roadmapでは、予定表と連絡先のPSTインポートが2026年6月提供、状態は「Launched」となっています。新しいOutlookのリリースノートでも、2026年6月12日に予定表、連絡先、タスクを含むPSTインポート対応が記載されています。(Microsoft)

一方、従来のPSTインポートに関するMicrosoftサポート記事には、新しいOutlookではメール、連絡先、予定表をまだインポートできないという古い説明が残っています。(マイクロソフトサポート)

公式情報が食い違う場合は、次の順序で確認すると判断しやすくなります。

  1. 利用中の新しいOutlookに設定 > ファイル > インポートが表示されるか
  2. 新しいOutlookの最新リリースノート
  3. Microsoft 365 Roadmapの状態と対象環境
  4. サポート記事に記載された要件や代替手順

サポート記事だけを見て「まだ利用できない」と判断せず、現在のクライアント画面と新しいリリース情報を併せて確認してください。

インポートが表示されない・失敗する場合の対処法

症状確認すること対処
ファイル > インポートがない新しいOutlookか、最新版か、対象テナントかアプリを更新・再起動する
PSTを選択できない保存場所、ファイル拡張子、アクセス権ローカルフォルダーへコピーする
PSTを開けないクラシックOutlook、32・64ビット、サブスクリプション公式要件を満たす構成へ直す
ARM端末で利用できないARM版の新しいOutlookか別の対応Windows端末かクラシックOutlookを使う
同じデータが重複した同じPSTを複数回取り込んでいないか再実行を止め、重複範囲を確認する
一部の予定や連絡先がない元のPSTに存在するかクラシックOutlookでPSTを開いて確認する
パスワード付きPSTで失敗するパスワードが分かるかクラシックOutlookのウィザードを使用する

新しいOutlookでPSTを開く場合、クラシックOutlookの併設、同じ32・64ビット構成、Microsoft 365サブスクリプションなどが公式要件として案内されています。また、ARM版ではPSTがサポートされていません。(マイクロソフトサポート)

新しいOutlookで移行できない場合はクラシックOutlookを使う

新しいOutlookにインポート機能が表示されない場合や、PSTの一部データを正しく取り込めない場合は、クラシックOutlookのインポートウィザードが確実な代替策です。

クラシックOutlookでPSTを取り込む手順

  1. クラシックOutlookを起動します。
  2. ファイルを選択します。
  3. 開く/エクスポート > インポート/エクスポートを選択します。
  4. 他のプログラムまたはファイルからのインポートを選択します。
  5. Outlookデータファイル(.pst)を選択します。
  6. 対象のPSTファイルを指定します。
  7. 重複するアイテムの処理方法を選択します。
  8. パスワードが設定されている場合は入力します。
  9. 取り込み先のMicrosoft 365メールボックスを選択します。
  10. 必要に応じてサブフォルダーを含め、インポートを開始します。

クラシックOutlookのウィザードでは、重複アイテムの扱いやパスワード入力を画面上で指定できます。新しいOutlookのインポートで問題が起きた場合は、元のPSTを変更せず、コピーしたPSTを使ってクラシックOutlookから取り込んでください。(マイクロソフトサポート)

連絡先だけを移行したい場合は、クラシックOutlookでPSTを開いて連絡先をCSVへ書き出し、新しいOutlookへCSVとしてインポートする方法もあります。PSTの連絡先インポートに関するサポート記事でも、CSVが代替形式として案内されています。(マイクロソフトサポート)

安全に移行するための実務上の判断基準

PST移行では、単にインポート処理が終了したかではなく、業務を継続できる状態になったかで判断します。

次の条件を満たしてから、移行完了としてください。

  • 予定表の過去・未来・繰り返し予定を確認した
  • 主要な連絡先の項目を確認した
  • 連絡先リストやカテゴリの利用可否を確認した
  • 必要なタスクが表示されている
  • メールや添付ファイルを開ける
  • 重複データが大量発生していない
  • 元のPSTを一定期間保管している
  • メールルールやフォルダー設定を必要に応じて再作成した

新しいOutlookでPSTから予定表と連絡先を移行する場合は、まずPSTをローカルへバックアップし、設定 > ファイル > インポートを確認します。移行後は予定表と連絡先の内容を個別に検証し、問題があればクラシックOutlookのインポートウィザードへ切り替えてください。

今回の更新により、メール、予定表、連絡先、タスクの移行範囲は大きく広がりました。しかし、メールルール、フォルダー設定、PST内での直接編集などは別の問題です。PSTの全機能が移行できるとは考えず、「バックアップ」「インポート」「内容確認」「元ファイルの保管」の順で進めることが、失敗を避ける最も確実な方法です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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