Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteは、Outlookのメール下書きで選択した一部の文章だけをCopilotに書き換えてもらえる新機能です。メール全体を作り直すのではなく、「この段落だけ短くする」「表現を柔らかくする」「箇条書きに整える」といった修正を、作成途中のメール上で行いやすくなります。
公式ロードマップの公開APIでは、Roadmap IDは564605、対象はOutlook、プラットフォームはWeb、クラウドはWorldwide、リリースフェーズはGeneral Availability、提供予定はJune CY2026、状態はIn developmentとされています。作成・更新時刻はUTCで2026年5月26日22:45:59のため、日本時間では2026年5月27日朝に相当します。なお、Microsoft 365 Roadmapの予定日は変更される可能性があるため、管理者は展開前に最新状態を確認しておく必要があります。(Microsoft) (Microsoft)
Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteで何が変わるのか
Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteのポイントは、Copilotによるメール作成支援が「全文生成」から「部分的な共同編集」に広がることです。
これまでもOutlookでは、Copilotにプロンプトを入力してメールの下書きを生成し、トーンや長さを調整する使い方が用意されていました。Microsoftサポートでは、生成された下書きを確認し、必要に応じて長さやトーンを変更し、最終的に保持・編集・送信する流れが案内されています。(Microsoft Support)
今回の新機能では、メール下書きの一部を選択し、その部分に対してCopilotへ「長さ」「トーン」「構造」などの変更を依頼できます。つまり、メール全体を再生成して意図しない箇所まで変わるリスクを抑えながら、修正したい箇所だけを効率よく整えられるようになります。(Microsoft)
| 比較項目 | 従来のCopilot下書き | Co-Authoring Highlight and Rewrite |
|---|---|---|
| 主な使い方 | プロンプトからメール全体の下書きを作る | 既存の下書きの一部を選択して書き換える |
| 向いている場面 | ゼロからメールを作りたいとき | 作成済みメールの一文・段落を調整したいとき |
| 調整しやすい内容 | トーン、長さ、再生成 | 長さ、トーン、構造など |
| 実務上のメリット | 初稿作成を短縮できる | 送信前の微修正を素早く行える |
| 注意点 | 全文が想定外に変わることがある | 選択範囲だけを直すため、前後の文脈確認が必要 |
対象範囲はOutlook on the webが中心
公式ロードマップ上の対象プラットフォームはWebです。そのため、現時点では「Outlook for the webで利用できる機能」として準備するのが安全です。新しいOutlook for Windows、クラシックOutlook、Mac、iOS、Androidでの利用可否を前提にした社内案内は避け、実際の展開状況を確認してから周知しましょう。(Microsoft)
| 項目 | 内容 | 管理者が見るべきポイント |
|---|---|---|
| Roadmap ID | 564605 | Microsoft 365 Roadmapで追跡する |
| 機能名 | Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewrite | OutlookのCopilotメール編集機能として整理する |
| 対象サービス | Outlook | Exchange Online利用者への影響を確認する |
| プラットフォーム | Web | デスクトップ版・モバイル版の展開と混同しない |
| クラウド | Worldwide Standard Multi-Tenant | GCC、GCC High、DoDはこの項目の対象外として扱う |
| リリースフェーズ | General Availability | 本番展開前提の準備を始める |
| GA予定 | June CY2026 | 2026年6月中の一般提供予定として確認する |
| 状態 | In development | 展開時期変更の可能性を見込む |
ユーザーにとってのメリット
この機能は、毎日メールを作成するユーザーにとって実用性が高い更新です。特に、営業、カスタマーサポート、人事、管理部門、プロジェクトマネージャーのように、相手や状況に合わせて文章の温度感を調整する職種で効果が出やすいでしょう。
メールの一部だけを短くできる
長くなった説明文を選択し、「半分の長さにして」「要点だけ残して」と依頼できます。たとえば、顧客への進捗報告で背景説明が長くなった場合、重要な期日と依頼事項だけを残す形に整えられます。
きつく見える表現を柔らかくできる
「至急ご対応ください」が強く見えすぎる場合、「丁寧だが urgency は伝わる表現にして」と依頼できます。相手との関係性を崩さず、必要な行動を促したい場面に向いています。
箇条書きや段落構成に整えられる
複数の依頼事項を1つの段落に詰め込んでしまった場合、選択範囲を「確認事項、対応依頼、期限に分けて整理して」と依頼できます。読み手が行動しやすいメールに変えやすくなります。
英語メールや社外向け文面の調整に使いやすい
英語メールで「カジュアルすぎる」「硬すぎる」と感じた部分を選択し、より自然なビジネス表現に整える使い方も考えられます。ただし、法務・契約・価格・納期など重要な内容は、Copilotの提案をそのまま採用せず、必ず人が確認する運用が必要です。
管理者が確認すべき設定と前提条件
Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteは、単体のOutlook設定だけで完結する機能ではありません。Microsoft 365 Copilot、Exchange Online、プライバシー設定、ネットワーク条件の影響を受ける可能性があります。
Microsoft 365 Copilotライセンスの割り当て
Microsoft 365 Copilotを利用するには、対象ユーザーに適切なMicrosoft 365ライセンスとCopilotライセンスが必要です。Microsoft Learnでは、Microsoft 365 Copilotは対象サブスクリプションへのアドオンとして利用でき、管理センターでユーザーまたはグループに割り当てられると案内されています。(Microsoft Learn) (Microsoft Learn)
展開前に、少なくとも次の点を確認してください。
| 確認項目 | 見る場所 | 判断基準 |
|---|---|---|
| Copilotライセンス | Microsoft 365管理センター | 対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilotが割り当て済みか |
| 基本ライセンス | Microsoft 365管理センター | Copilotの前提となるMicrosoft 365/Office 365プランを満たしているか |
| 対象ユーザー | ユーザーまたはグループ | 全社展開か、部門別・パイロット展開か |
| 反映状況 | Outlook on the web | Copilot機能が実際に表示されるか |
Exchange Onlineのプライマリメールボックス
Microsoft 365 Copilotは、Exchange Online上のプライマリメールボックスでサポートされます。一方、アーカイブメールボックス、グループメールボックス、共有メールボックス、代理アクセスしているメールボックスでは利用できないとされています。(Microsoft Learn)
このため、共有メールボックスで顧客対応をしているチームでは注意が必要です。たとえば「[email protected]」の共有メールボックスで返信文を作成している場合、ユーザー個人のメールボックスで使えるCopilot機能が、そのまま共有メールボックスでも使えるとは限りません。
プライバシー設定と接続エクスペリエンス
Microsoft 365 Appsのプライバシー設定によって、Copilot機能の利用可否が変わる場合があります。Microsoft Learnでは、組織内のデバイスで「コンテンツを分析する接続エクスペリエンス」を無効にすると、Outlookを含むMicrosoft 365アプリでCopilot機能が利用できなくなると説明されています。(Microsoft Learn)
セキュリティ重視の環境では、過去に接続エクスペリエンスを広く無効化していることがあります。Copilotを展開する前に、ポリシーでブロックしていないか確認しましょう。
ネットワーク要件
Microsoft 365 CopilotはMicrosoft 365アプリと深く統合されるため、ネットワーク要件も確認が必要です。Microsoft Learnでは、Microsoft 365エンドポイントがブロックされていないこと、Microsoft 365のネットワーク接続原則に沿っていること、WebSockets接続を確認することが推奨されています。(Microsoft Learn)
特にプロキシ、SSLインスペクション、CASB、ゼロトラスト製品を使っている組織では、「Outlookは使えるがCopilotだけ反応しない」という問い合わせが起きやすくなります。
セキュリティ・コンプライアンス面での注意点
Outlookのメール下書きは、社外秘情報、顧客情報、契約条件、価格、個人情報を含みやすい領域です。Copilotによる書き換え機能を導入するときは、「便利な文章校正機能」としてだけでなく、業務データを扱うAI機能として整理する必要があります。
Microsoftは、Microsoft 365 Copilotのプロンプトと応答について、Microsoft 365商用サービスと同様のエンタープライズデータ保護の条件が適用され、Microsoft Graph経由でアクセスされたデータやプロンプト、応答は基盤モデルのトレーニングには使われないと説明しています。(Microsoft Learn)
ただし、これは「ユーザーがどんな内容でも無制限に入力してよい」という意味ではありません。社内規程、業界ルール、個人情報保護、契約上の守秘義務に従って、利用ルールを明文化しましょう。
| 注意点 | 起きやすい問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 機密情報の選択範囲が広すぎる | 不要な顧客情報や内部情報までプロンプトに含まれる | 書き換えたい最小範囲だけを選択する |
| 契約条件が変わる | 金額、納期、責任範囲の表現が変化する | 重要条件は人が原文と照合する |
| トーンが不適切になる | 謝罪が軽くなる、依頼が強すぎる | 社外向けテンプレートと照らす |
| 法務・人事メールで誤解を招く | 断定表現や曖昧な表現が混ざる | 専門部門レビューを必須にする |
| Web検索設定と混同する | Copilot全体の制御方針が曖昧になる | Web検索ポリシーとメール作成支援を分けて整理する |
なお、CopilotのWeb検索については、管理者がCloud Policy service for Microsoft 365の「Allow web search in Copilot」ポリシーで制御できます。メール本文の書き換え機能そのものとは別論点ですが、Copilot全体の利用方針を整える際には合わせて確認しておくとよいでしょう。(Microsoft Learn)
管理者向けの展開手順
Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteは、いきなり全社展開するより、メール作成頻度が高い部門で小さく試すほうが安全です。特に、顧客対応や外部パートナーとのやり取りが多い部門では、便利さとリスクの両方を確認できます。
| 手順 | 作業内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 事前確認 | Roadmap ID 564605の状態を確認 | GA時期、対象プラットフォーム、変更履歴 |
| 対象者選定 | パイロットユーザーを決める | 営業、サポート、管理部門などメール利用が多い部門 |
| ライセンス確認 | Microsoft 365 Copilotを割り当てる | 個人またはグループ単位で管理 |
| 環境確認 | Outlook on the webで表示を確認 | デスクトップ版だけで検証しない |
| ポリシー確認 | 接続エクスペリエンス、ネットワーク、Web検索方針を確認 | セキュリティ部門と認識合わせ |
| 利用ルール作成 | 使ってよい文面、使わない文面を整理 | 契約、法務、人事、障害報告などは慎重に |
| ユーザー教育 | 具体的な依頼文例を共有 | 「短く」「丁寧に」だけでなく確認観点も伝える |
| 問い合わせ対応 | ヘルプデスクFAQを用意 | 表示されない、候補が不自然、送信前確認など |
開発者・情シスが見るべき影響
このロードマップ項目は、現時点ではOutlookのユーザー向けCopilot機能として整理されています。Graph APIやOutlookアドインの仕様変更として案内されているわけではありません。そのため、開発者がすぐにコードを修正する必要があるとは限りません。
ただし、Outlookの作成画面に関わる仕組みを運用している場合は、実機検証をおすすめします。
Outlookアドインとの相性
署名挿入、テンプレート挿入、CRM連携、問い合わせ管理、チケット作成などのOutlookアドインを使っている場合、Copilotで書き換えた本文が想定どおりアドイン側に反映されるか確認しましょう。
特に、本文内の特定キーワードや定型句をアドインが参照している場合、Copilotの書き換えで表現が変わり、後続処理に影響する可能性があります。
DLPやトランスポートルールとの関係
Copilotが下書きを整えても、送信時のDLP、秘密度ラベル、メールフロー ルール、免責事項の付与などは別レイヤーで動作します。管理者は「Copilotで書き換えたから安全」ではなく、既存のメールセキュリティ制御が引き続き効くかを確認してください。
テンプレート運用との整合性
顧客回答テンプレートや障害報告テンプレートを使っている組織では、Copilotによって重要な定型表現が崩れないようにする必要があります。たとえば、障害報告で「暫定対応」「恒久対応」「影響範囲」を必ず含めるルールがあるなら、Copilotへの依頼文にもその条件を含めるとよいでしょう。
現場で使える依頼文の例
ユーザー教育では、機能説明だけでなく「どう頼めばよいか」をセットで伝えると定着しやすくなります。
| 目的 | Copilotへの依頼例 | 送信前の確認ポイント |
|---|---|---|
| 長文を短くする | 「この段落を半分の長さにして、依頼事項は残してください」 | 期限、担当者、依頼内容が消えていないか |
| 丁寧にする | 「社外向けに、丁寧で押しつけがましくない表現にしてください」 | 謝罪や依頼の強さが適切か |
| 返信しやすくする | 「相手が次に取る行動が分かるように整理してください」 | 回答期限や選択肢が明確か |
| 箇条書きにする | 「確認事項、依頼事項、期限に分けて箇条書きにしてください」 | 項目の分類が正しいか |
| きつい表現を避ける | 「指摘の内容は残しつつ、柔らかい表現にしてください」 | 必要な注意喚起まで弱くなっていないか |
| 英語メールを整える | 「自然なビジネス英語にして、失礼のないトーンにしてください」 | 固有名詞、金額、日付が変わっていないか |
大切なのは、Copilotへの指示に「何を残すか」を含めることです。「短くして」だけでは、期限や条件まで削られることがあります。「期限は残して短くして」「謝罪の意図は残して柔らかくして」のように、維持したい要素を明示しましょう。
失敗しやすいポイント
メール全体を選択してしまう
便利だからといってメール全体を選択すると、署名、定型文、法的な免責文、社内で決めた表現まで変わる可能性があります。修正したい段落だけを選ぶのが基本です。
Copilotの提案を確認せず送信する
Microsoftサポートの既存手順でも、Copilotが作成した下書きは確認し、必要に応じて編集してから送信する流れになっています。(Microsoft Support) 重要なメールでは、提案をそのまま送るのではなく、事実関係、数値、日付、相手名、添付ファイルの有無を必ず確認しましょう。
「丁寧に」と「曖昧に」を混同する
Copilotに丁寧な文面を依頼すると、表現が柔らかくなる一方で、責任範囲や依頼内容がぼやけることがあります。社外向けメールでは「丁寧だが、依頼事項と期限は明確に」と依頼するのが実用的です。
管理者がWeb版だけの展開を見落とす
ロードマップ上の対象はWebです。社内マニュアルで「Outlookで使える」とだけ書くと、クラシックOutlookやモバイルアプリの利用者から問い合わせが増えます。「まずはOutlook on the webで確認」と明記しておくと混乱を減らせます。
社内周知に入れるべき説明文
社内向けには、次のような短い説明を用意すると伝わりやすくなります。
Outlook on the webのメール下書きで、文章の一部を選択し、Copilotに長さ・トーン・構成の変更を依頼できるようになります。メール全体を作り直すのではなく、送信前の一部修正に使う機能です。提案内容は必ず確認し、日付、金額、契約条件、個人情報、添付ファイルに関する記述は原文と照合してから送信してください。
この説明に加えて、「利用してよい例」と「利用に注意が必要な例」を示すと、現場で迷いにくくなります。
| 利用してよい例 | 注意が必要な例 |
|---|---|
| 日程調整メールを短くする | 契約条件の変更を含むメール |
| 社外向けの表現を丁寧にする | 人事評価、懲戒、退職に関するメール |
| 長い説明を箇条書きにする | 法的責任や補償範囲に触れるメール |
| 英語メールのトーンを整える | 障害報告やインシデント報告 |
| 依頼事項を読みやすく整理する | 価格、納期、SLAを含むメール |
まず取るべき行動
Outlook: Co-Authoring Highlight and Rewriteは、メール作成の最後の仕上げを効率化する機能です。特に「文章は書けているが、相手に合わせた表現に直すのが面倒」という場面で効果があります。
管理者は、Roadmap ID 564605の最新状態を確認し、対象がOutlook on the webであることを前提に、Microsoft 365 Copilotライセンス、Exchange Onlineプライマリメールボックス、接続エクスペリエンス、ネットワーク要件を確認してください。現場展開では、パイロットユーザーを選び、具体的な依頼文と送信前チェック項目をセットで周知するのが安全です。
ユーザー側は、最初から重要メールで使うのではなく、日程調整、社内連絡、一般的な顧客フォローのような低リスクなメールから試すのがおすすめです。Copilotに任せる範囲を小さくし、人が最終確認する。この運用を徹底できれば、Outlookでのメール作成時間を減らしながら、読み手に伝わりやすい文章を作りやすくなります。

コメント