Microsoft TeamsのAI生成会議アーカイブ変更点|Copilotの保持期間と管理者対応

Microsoft Teamsの「AI-generated meeting archive for knowledge retention」は、会議のトランスクリプトが保持期限を迎えた後も、CopilotとFacilitatorが会議の重要なインサイトを参照できるようにする新機能です。管理者はテナント全体のポリシーで機能を有効化し、AI生成会議アーカイブの保存期間を設定できます。(Microsoft)

2026年6月12日の更新では、一般提供予定が2026年7月から8月へ変更され、対象プラットフォームの表記もDesktopからWebへ更新されました。重要なのは、トランスクリプトの削除と、AIが保持する会議インサイトの削除が同じタイミングではなくなる可能性がある点です。利用企業は、機能の有効化だけでなく、保存期間やアクセス権、社内の情報管理ルールを確認する必要があります。(Microsoft)

目次

2026年6月12日更新の変更点

Microsoft 365 RoadmapのRoadmap ID「558933」について、同じ公式APIの2026年5月12日更新時点と2026年6月12日更新後を比較すると、次の変更を確認できます。(Microsoft)

項目2026年5月12日時点2026年6月12日更新後
一般提供予定2026年7月2026年8月
プラットフォームDesktopWeb
開発状況In developmentIn development
リリース方式Targeted Release、General AvailabilityTargeted Release、General Availability
対象クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)Worldwide(Standard Multi-Tenant)
対象製品Microsoft Teams、Microsoft Copilot(Microsoft 365)変更なし

今回の更新では、一般提供の目標が1か月後ろ倒しになっています。また、プラットフォームがWebへ変更されました。ただし、これだけで「デスクトップ版Teamsでは利用できない」とは断定できません。管理画面を含むWeb側の機能を示している可能性もあるため、対象クライアントの詳細は今後のMicrosoft Learnやメッセージセンターで確認する必要があります。

Microsoft 365 Roadmapの日付は確定日ではなく、変更される可能性がある予定です。Targeted Releaseが設定されている機能では、記載月は対象指定リリースへの展開開始時期を示し、その後に標準リリースへ展開されます。したがって、2026年8月1日に全ユーザーが一斉に利用できるという意味ではありません。(Microsoft)

AI-generated meeting archive for knowledge retentionとは

AI-generated meeting archiveは、Teams会議で生成された情報のうち、決定事項やアクション、主要な論点などの重要なインサイトをAI向けのアーカイブとして保持する仕組みです。

公開されている説明を実際の流れに置き換えると、次のようになります。

  1. Teams会議でトランスクリプトを作成する
  2. CopilotまたはFacilitatorが会議の重要なインサイトを生成する
  3. 既存の保存ポリシーに従ってトランスクリプトが期限切れになる
  4. AI生成会議アーカイブは、管理者が設定した期間まで保持される
  5. Copilotが過去の会議について引き続き回答できる

Microsoftの説明は「key insightsを保持する」としており、トランスクリプト全文を別の場所へ複製する機能とは説明されていません。そのため、AI生成会議アーカイブは録画や議事録の代わりではなく、過去の会議知識を再利用するための要約データとして考えるのが適切です。(Microsoft)

これまでとの違い

比較項目従来AI生成会議アーカイブ有効化後
トランスクリプト期限切れ後会議内容をCopilotが参照しにくくなる重要インサイトを基に回答を継続できる
保持対象録画、トランスクリプト、会議チャットなどAIが抽出した重要インサイトが追加される
保存期間録画・トランスクリプトのポリシーに従う管理者がアーカイブの保存期間を設定する
主な用途会議内容の再生や全文確認決定事項、経緯、タスクの振り返り
正式な記録としての利用元データを確認できるAI生成内容のため、原本確認が必要

Teamsの録画とトランスクリプトは、一般的な既定設定では120日後に削除されます。既存の有効期限を変更しても、新しく作成される録画とトランスクリプトにのみ適用され、過去のデータには反映されません。(Microsoft Learn)

どのユーザーや部門に影響するのか

対象主な影響
Microsoft 365 Copilot利用者トランスクリプト期限切れ後も、過去会議の決定事項や論点を質問できる
Facilitator利用者会議で生成された重要インサイトを長期間活用できる可能性がある
Teams管理者テナント全体の有効化とアーカイブ保存期間の設定が必要になる
セキュリティ・コンプライアンス担当者元のトランスクリプトより長くAI由来データが残る運用を確認する必要がある
会議主催者参加者への説明や、機密会議でのCopilot・文字起こし利用方針を見直す必要がある
一般参加者トランスクリプト削除後も会議の要点が参照される可能性を理解する必要がある

特に影響が大きいのは、録画やトランスクリプトの短期削除を情報管理ルールとして運用している組織です。「120日後にトランスクリプトが削除されるから、会議情報も残らない」という前提は見直さなければなりません。

設定・更新・移行・料金・期限で確認すべきこと

確認項目公式情報で分かっていること管理者が確認すること
設定テナント全体のポリシーで有効化し、保存期間を設定できる既定値、設定画面、最短・最長保存期間、PowerShell対応
更新対象プラットフォームはWeb、状態はIn development必要なTeamsクライアントのバージョン、Web以外の対応時期
移行既存データの移行や廃止機能は発表されていない過去会議が遡ってアーカイブされるか、新規会議のみか
料金Roadmapには追加料金の記載がないMicrosoft 365 Copilotライセンスの割り当て状況
期限一般提供の目標は2026年8月Targeted Release開始日、標準リリース完了日
データ管理アーカイブの保存期間を管理者が設定できる保存場所、削除方法、監査、eDiscovery、Purviewとの連携
アクセス権詳細は未公表会議参加権限を失ったユーザーやゲストのアクセス可否

現時点では、新しいアーカイブポリシーの正式名称、管理画面の場所、既定で有効になるかどうかは公開されていません。具体的な設定項目が発表されるまでは、既存のTeams会議ポリシーと混同しないことが重要です。

ライセンスと料金の考え方

Roadmapには、この機能専用の追加料金や新しいライセンスは記載されていません。

一方、Facilitatorを利用するには、対象となるMicrosoft 365基本ライセンス、Teamsライセンス、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要です。Microsoft 365 Copilot自体も、対象プランへ追加するアドオンとして提供されています。(Microsoft Learn)

そのため、導入前には次の点を確認してください。

  • 会議主催者と利用者にMicrosoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているか
  • Teamsを含まないMicrosoft 365プランの場合、別途Teamsライセンスがあるか
  • AI生成会議アーカイブが既存のCopilotライセンスに含まれるか
  • ライセンスを持たない参加者にどのような表示や影響があるか
  • 保存容量や従量課金が発生する条件が追加されないか

Roadmapだけでは、この機能にTeams Premiumが必要か、Microsoft 365 Copilotだけで利用できるかという詳細までは確認できません。一般提供前に最新のライセンス表を確認するのが安全です。

管理者が一般提供前に行う確認手順

現在の会議ポリシーを記録する

Teams管理センターの「会議」から、現在適用している会議ポリシーを確認します。

最低限、次の設定を一覧化してください。

  • Copilotの利用可否
  • 文字起こしの利用可否
  • 会議録画の利用可否
  • 録画とトランスクリプトの自動有効期限
  • 既定の有効期限日数
  • 機密会議用テンプレートや秘密度ラベル
  • Facilitatorの利用対象ユーザー

現在のTeamsでは、会議後もCopilotを利用するにはトランスクリプトを保存する必要があります。「会議中のみ」を選んだ場合の音声テキストデータは会議終了後に保存されず、Copilotの履歴も利用できません。(Microsoft Learn)

AI由来データの保存方針を決める

社内で最初に決めるべきなのは、次の問いです。

トランスクリプトが削除された後も、AIが抽出した会議インサイトを残してよいか。

判断するときは、ストレージ容量だけでなく、次の要素を考慮します。

  • 会議内容に個人情報や顧客情報が含まれるか
  • 人事、法務、経営会議など機密性の高い会議があるか
  • 元データがない状態でAI要約だけが残ることに問題がないか
  • 保存期間終了後に確実に削除できるか
  • 法的調査や監査で検索・提出できるか
  • 正式な議事録や業務システムへ転記する運用があるか

全社共通の保存期間しか設定できない場合は、利便性だけで長期間に設定せず、最も機密性の高い会議を基準に判断する必要があります。

Targeted Releaseで検証する

本番展開前に、非機密のテスト会議を使って次の動作を確認します。

テスト項目確認内容
トランスクリプト期限切れ期限切れ後もCopilotが何を回答できるか
アクセス権変更会議へのアクセスを失ったユーザーが質問できるか
ユーザー削除・異動退職者や異動者に関するデータがどう扱われるか
会議削除会議やチャットを削除した場合、アーカイブも削除されるか
外部参加者ゲストや社外参加者がアーカイブを参照できるか
PurviewとeDiscovery検索、保持、訴訟ホールド、エクスポートの対象になるか
回答精度決定事項、担当者、期限が正しく保持されているか
日本語会議固有名詞や専門用語を正しく認識できるか

Microsoft 365 Copilotは原則として、ユーザーが閲覧権限を持つ組織データだけを提示します。ただし、AI生成会議アーカイブが会議の権限変更をどのように引き継ぐかはRoadmapに記載されていません。既存の権限モデルを前提にせず、実際のテナントで検証してください。(Microsoft Learn)

また、エンドツーエンド暗号化されたTeams会議では、現行のMicrosoft 365 Copilotを利用できません。機密会議で暗号化を使用している場合は、今回の機能が適用される前提で運用を組まないようにしてください。(Microsoft Learn)

利用者へ事前に通知する

利用者向けの案内では、機能名よりもデータの残り方を具体的に説明します。

案内文には、次の内容を含めると分かりやすくなります。

  • 会議の重要なインサイトがAIによって保存されること
  • 元のトランスクリプトより長く残る場合があること
  • どの会議が対象になるか
  • 保存期間
  • 誰が参照できるか
  • 機密情報を扱う会議での利用ルール
  • AIの回答は正式な議事録ではないこと
  • 誤りを見つけた場合の問い合わせ先

一般ユーザーが活用しやすい質問例

AI生成会議アーカイブが有効になると、過去の会議について次のような質問がしやすくなります。

  • 「前回の定例会議で決まったことを3点にまとめて」
  • 「未完了のアクションと担当者を整理して」
  • 「A案ではなくB案を採用した理由は?」
  • 「顧客への回答期限はいつに決まった?」
  • 「過去3回の会議で、未解決の論点はどう変化した?」
  • 「次回までに準備する資料を一覧にして」

一方、トランスクリプト期限切れ後に、次のような用途で使うのは適していません。

  • 発言を一字一句引用する
  • 誰が何時何分に発言したかを証明する
  • 法的証拠や監査証跡としてそのまま提出する
  • 人事評価や懲戒判断をAI要約だけで行う
  • 契約条件や金額を原本確認せず確定する

重要な決定事項は、AI生成会議アーカイブだけに残さず、承認済みの議事録、SharePoint、プロジェクト管理ツールなどへ記録してください。

よくある疑問

既存の会議も自動的にアーカイブされる?

現時点のRoadmapには、過去の会議を遡って処理するバックフィル機能の記載がありません。一般提供前の会議も対象になると想定せず、新規会議のみを前提に準備するのが安全です。

機能は既定で有効になる?

管理者がテナント全体のポリシーで有効化できることは公表されていますが、既定値は明記されていません。自動的に有効になるとも、既定で無効になるとも断定できません。

トランスクリプトを削除すればアーカイブも削除される?

Roadmapの説明では、トランスクリプトの期限切れ後もAI生成会議アーカイブを保持できるため、両者は別の保存期間で管理されると考える必要があります。

Teamsの録画とトランスクリプトはOneDriveまたはSharePointへ保存されますが、新しいAI生成会議アーカイブの具体的な保存場所は公開されていません。(Microsoft Learn)

Microsoft Purviewの保持ポリシーは自動的に適用される?

AI生成会議アーカイブとMicrosoft Purviewの保持ポリシー、eDiscovery、訴訟ホールドとの関係は、Roadmapでは説明されていません。録画やトランスクリプトへ設定している既存ルールが、そのままアーカイブにも適用されるとは限りません。

デスクトップ版Teamsでは利用できない?

2026年6月12日更新後のプラットフォーム表記はWebです。ただし、Copilotの回答を利用するクライアント範囲や、Teamsデスクトップアプリへの展開時期は明記されていません。正式なサポート範囲が公開されるまで、Web限定とも全クライアント対応とも断定しないようにしてください。

今すぐ確認すべきポイント

今回の変更で優先すべきなのは、Teamsアプリの更新ではありません。まず、トランスクリプトより長くAI由来の会議情報を残してよいかを組織として決めることです。

管理者は2026年8月の一般提供に向けて、現在のトランスクリプト有効期限、Copilotライセンスの割り当て、機密会議の扱いを整理してください。そのうえでTargeted Releaseを利用し、削除、アクセス権、外部参加者、Purview連携をテストします。

一般ユーザーには、AI生成会議アーカイブを「過去の経緯を思い出すための補助」として使い、正式な決定や証拠は元の資料で確認するよう案内することが重要です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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