Teams管理センターで会議・通話を一元監視する方法|品質問題の診断と導入準備

Teamsで「音声が途切れる」「映像が止まる」「画面共有が重い」といった問題が発生しても、問い合わせを受けてから対象ユーザーや会議を探していると、原因の特定までに時間がかかります。

Microsoftは、Teams管理センターで組織内の進行中および終了済みの会議・通話を一元監視し、繰り返し発生している品質問題を調査できる機能を追加する予定です。Microsoft 365ロードマップID 568782では、2026年9月の一般提供が予定されています。ただし、2026年9月2日時点のステータスは「開発中」です。

この機能が提供されると、組織全体の状態から問題のある会議を見つけ、会議、参加者、接続セッションの順に掘り下げる運用がしやすくなります。導入前に管理者ロール、ライセンス、拠点情報、調査手順を整理しておくことが重要です。

目次

Teams管理センターの会議・通話一元監視とは

今回追加されるのは、Teams管理センター上で会議と通話の正常性を組織横断で確認し、問題の調査につなげるための管理者向け機能です。

会議の発言内容やチャット本文を監視する機能ではありません。音声、映像、画面共有、ネットワーク、端末などに関するテレメトリを基に、会議・通話の品質や接続状態を調べるための機能です。

ロードマップで公開されている情報は次のとおりです。

項目内容
ロードマップID568782
機能Teams管理センターで会議・通話を一元監視、トラブルシューティング
主な目的組織全体の会議・通話の状態確認、繰り返す問題の発見、事前対応
対象進行中および終了済みの会議・通話
提供予定2026年9月
ステータス開発中
提供環境Worldwide、GCC
プラットフォームWeb
リリース段階一般提供

ロードマップの説明では、管理者が組織全体の会議・通話の状態を監視し、繰り返し発生するパターンを見つけ、進行中または終了済みの会議・通話でユーザーに影響している問題を調査できるとされています。

なお、ロードマップに掲載される提供時期は予定です。Microsoftも、公開情報やリリース日は変更される可能性があると案内しています。自社テナントでの利用可否は、Teams管理センターとMicrosoft 365管理センターのメッセージセンターで確認する必要があります。(Microsoft)

一元監視によってTeamsの障害対応がどう変わるか

これまでのTeams管理センターでは、問い合わせのあったユーザーを検索し、そのユーザーが参加した会議や通話を調べる流れが中心でした。

Microsoftが公開している現在の調査手順では、Teams管理センターの「ユーザーを管理」からユーザーを選び、「会議と通話」タブを開いて対象の会議を確認します。新しい一元監視機能では、この個人起点の調査に加えて、組織全体の状態から問題を見つける運用がしやすくなると考えられます。(Microsoft Learn)

調査場面従来の個別調査一元監視による運用
調査の開始点問い合わせをしたユーザー組織全体の会議・通話
問題の見つけ方ユーザー名や会議IDから検索問題が発生している会議から絞り込み
進行中の問題対象ユーザーを特定して確認進行中の会議を横断的に監視
繰り返す問題複数ユーザーを個別に確認拠点、端末、時間帯などの共通点を調査
初動対応利用者からの申告後に開始利用者の申告前に問題を把握できる可能性
詳細調査会議、参加者、セッションを確認一元画面から詳細画面へ移動

特に効果が期待できるのは、次のような場面です。

  • 全社会議や重要会議を実施している最中に、複数の参加者で音声問題が発生した
  • 同じ支店やフロアから参加したユーザーで、映像停止が繰り返されている
  • 特定の端末、ドライバー、VDI環境で同じ問題が発生している
  • 毎週同じ曜日や時間帯に、音声品質が低下している
  • 利用者からの申告は少ないものの、切断や参加失敗が増えている

単に問い合わせ対応を効率化するだけでなく、問題が大きくなる前に傾向を見つけるための管理画面として活用できます。

Teams管理センターで確認できる会議・通話の情報

Teams管理センターの会議トラブルシューティング画面では、ユーザー、会議、参加者という3段階で情報を掘り下げられます。

進行中の会議

進行中の会議一覧では、現在実施されている会議の状態を確認できます。Microsoftのドキュメントでは、会議ID、開始時刻、ユーザーの参加時刻、アクティビティの種類、参加者数、参加状態などが表示されるとされています。

音声、映像、画面共有に関する問題だけでなく、通話切断、通話失敗、端末関連の問題も確認できます。進行中の会議の詳細情報は、おおむね1分ごとに更新されます。(Microsoft Learn)

進行中の問題は、選択した10分間の時間帯ごとに集計されます。ただし、リアルタイムで表示される問題は、各テレメトリ値の一般的な目標値を基準に判定されます。問題が表示されたからといって、必ず利用者が品質低下を体感しているとは限りません。(Microsoft Learn)

終了済みの会議と通話

終了済みの一覧では、処理が完了した会議や通話を調査できます。

対象には、通常の会議、イベント、1対1の通話、PSTN通話などが含まれます。終了後のテレメトリ処理には、30分から2時間程度かかる場合があります。会議直後に一覧へ表示されない場合は、処理待ちの可能性があります。(Microsoft Learn)

終了済みの一覧では、次の条件で検索や絞り込みができます。

  • 会議IDまたは会議コード
  • 音声、映像、画面共有などの問題種別
  • 通話または会議
  • 開催日
  • 問題が発生した会議と問題が確認されなかった会議
  • 過去7日間または30日間の品質傾向

終了済み会議の一覧は、過去30日分をCSVファイルとしてエクスポートできます。定期報告や、複数会議をまたいだ傾向分析にも利用できます。(Microsoft Learn)

会議の詳細

対象の会議を開くと、主に次の情報を確認できます。

分類確認できる情報
会議情報会議ID、会議コード、開始時刻、時間、主催者、参加者数
問題一覧音声、映像、画面共有、切断、参加失敗、端末問題
影響範囲問題の影響を受けた参加者
原因候補ネットワーク、端末、処理能力、メディア品質
推奨対応問題を解消または軽減するための対応案
参加者各参加者が経験した問題と参加状況

終了済み会議の品質判定には、Teamsの通話テレメトリで学習したインテリジェントメディア分類モデルが利用されます。従来の単純な「良好」「不良」という分類ではなく、品質または信頼性に関する具体的な問題が発生していたかを確認する方式です。(Microsoft Learn)

参加者と接続セッション

参加者の詳細画面では、利用者単位だけでなく、接続セッション単位まで掘り下げられます。

たとえば、参加者が途中で再接続した場合や、パソコンとスマートフォンの両方から参加した場合は、それぞれのセッションが分けて表示されます。

確認できる主な情報は次のとおりです。

  • ユーザー名とライセンス
  • 使用した端末
  • パブリックIPアドレスを基にした地域
  • 最初の参加時刻と最後の退出時刻
  • 会議への参加時間
  • 参加状態
  • 再接続や複数端末からの参加
  • 各セッションの音声、映像、画面共有、ネットワーク情報

これにより、「同じ会議で全員に問題があったのか」「特定の参加者だけに問題があったのか」を切り分けやすくなります。(Microsoft Learn)

Teams管理センターで会議・通話を診断する手順

新しい組織全体の一元監視画面については、ロードマップ上で詳細なメニュー構成がまだ公開されていません。ここでは、現在公開されているTeams管理センターの調査機能を基に、提供後も利用できると考えられる基本的な診断手順を説明します。

管理者ロールでTeams管理センターにサインインする

会議や通話の詳細を確認できる管理者アカウントで、Teams管理センターにサインインします。

一般的には、次のロールが候補です。

ロール適した担当者
Teams管理者Teams全体の管理担当者
Teams通信管理者会議、通話、電話機能の管理担当者
Teams通信サポートエンジニア詳細な会議・通話品質を調査する二次対応担当者
Teams通信サポートスペシャリスト利用者の問い合わせを受け付ける一次対応担当者

Teams通信サポートエンジニアは、詳細なトラブルシューティング情報を確認できます。Teams通信サポートスペシャリストは、検索した特定ユーザーを中心とした限定的な情報を確認するロールです。

Teamsデバイス管理者には、通話品質データや通話分析を確認する権限がありません。また、Teams閲覧者もユーザーの「会議と通話」の詳細にはアクセスできません。(Microsoft Learn)

進行中または終了済みの会議を選ぶ

一元監視画面が自社テナントに表示されている場合は、組織全体の一覧から問題のある会議や通話を選択します。

まだ新しい画面が表示されていない場合は、現在の手順を使用します。

  1. Teams管理センターを開く
  2. 「ユーザー」を開く
  3. 「ユーザーを管理」を選択する
  4. 調査対象のユーザーを選択する
  5. 「会議と通話」タブを開く
  6. 「進行中の会議」または「終了済みの会議」から対象を選択する

会議IDが分かっている場合は、会議IDまたは会議コードで検索します。(Microsoft Learn)

問題種別で絞り込む

対象が多い場合は、問題種別、アクティビティの種類、日付などで絞り込みます。

最初に優先すべきなのは、利用者への影響が大きい問題です。

  • 会議から突然切断された
  • 会議に参加できなかった
  • 複数の参加者で同じ問題が発生した
  • 経営会議や全社会議など、重要度の高い会議で発生した
  • 同じ拠点や端末で問題が繰り返されている

数値が少し基準外になっただけの会議よりも、切断や参加失敗などの信頼性問題を先に調査すると、実務上の影響を抑えやすくなります。

会議の問題と原因候補を確認する

会議の詳細を開き、問題の種類、影響を受けた参加者、原因候補、推奨対応を確認します。

原因候補は、主に次の領域に分類されます。

原因領域意味調査対象の例
Networkネットワーク状態が原因Wi-Fi、VPN、回線混雑、パケット損失
Compute端末の処理能力不足CPU負荷、メモリ不足、VDI最適化
Device入出力機器の問題マイク、スピーカー、ヘッドセット、カメラ
Media実際のメディア品質低下音声の途切れ、映像停止、画面共有停止

原因候補は確定診断ではありません。表示された分類を出発点として、参加者やセッションの詳細を確認します。(Microsoft Learn)

影響を受けた参加者を開く

次に、問題の影響を受けた参加者を選択します。

ここで確認したいのは、問題の範囲です。

  • 1人だけに発生している
  • 同じ拠点の複数人に発生している
  • 会議参加者の大半に発生している
  • 特定の端末を使った人だけに発生している
  • 外部参加者だけに発生している

1人だけに発生していれば、そのユーザーの端末、ネットワーク、周辺機器を優先して調査します。同じ拠点の複数人に発生していれば、拠点回線、Wi-Fi、VPN、ファイアウォールなどを疑います。

セッション単位のテレメトリを確認する

参加者が途中で再接続している場合は、問題が発生したセッションを特定します。

会議全体の平均値だけを見ると、短時間だけ発生した深刻な問題を見落とすことがあります。問題が発生した時間帯と、各セッションの最大値を確認することが重要です。

対応後に再発状況を確認する

端末の更新、ネットワーク設定の変更、VPN経路の見直しなどを行った後は、同じユーザー、拠点、端末で問題が再発していないか確認します。

1件の会議を直して終わりにするのではなく、終了済み会議の一覧やCSVエクスポートを利用して、改善前後を比較します。

症状別に確認すべきテレメトリ

Teams管理センターでは、多数のテレメトリが表示されます。すべての数値を確認するのではなく、利用者が申告した症状から見る項目を絞ると効率的です。

音声が途切れる、ロボットのような声になる

確認項目見る理由
パケット損失音声データが途中で失われていないか確認する
ジッターパケット到着間隔のばらつきを確認する
Local healed ratioTeams側の音声補正が多発していないか確認する
ラウンドトリップ時間通信遅延が大きくないか確認する
接続方法Wi-Fi、Ethernetなどの違いを確認する
マイク、スピーカー使用機器やドライバーの共通点を確認する

ジッターが高いと音声が細かく途切れやすくなります。Local healed ratioが高い場合は、Teamsが失われた音声を補正している可能性があります。(Microsoft Learn)

映像が止まる、カクつく

確認項目見る理由
ビットレート映像に必要な通信量を確保できているか確認する
フレームレート映像の送信枚数が低下していないか確認する
Loss recovery attempt rateパケット損失からの復旧要求が増えていないか確認する
Source freeze countカメラが新しいフレームを生成できているか確認する
割り当て帯域Teamsが映像に割り当てられた帯域を確認する
CPU端末の処理能力が不足していないか確認する
カメラとドライバー特定の機器やドライバーに偏っていないか確認する

フレームレート低下は、ネットワーク帯域だけでなく、CPU不足やカメラの不具合でも発生します。ネットワークだけに原因を限定しないことが重要です。(Microsoft Learn)

画面共有が止まる、文字が読みにくい

画面共有では、ビットレート、フレームレート、フリーズ時間、パケット損失、ラウンドトリップ時間を確認します。

動画や画面操作を共有している場合と、静止した資料を共有している場合では、必要なフレームレートが異なります。単にフレームレートが低いという理由だけで異常と判断せず、共有内容と利用者の体感を併せて確認します。(Microsoft Learn)

会議から突然切断される

突然の切断では、音声や映像の品質値だけでなく、次の項目を確認します。

  • 通話切断や通話失敗として記録されているか
  • Media network errorが発生していないか
  • 接続経路やトランスポートが途中で変わっていないか
  • Wi-Fiから別のネットワークへ切り替わっていないか
  • VPN接続が切断されていないか
  • Teamsクライアントや端末が再起動していないか

必要に応じて、Teamsクライアントの診断ログも収集します。

繰り返す品質問題を見つける判断基準

一元監視機能の価値は、問題のある会議を見つけることだけではありません。複数の会議に共通する条件を探し、再発原因を絞り込める点にあります。

同じユーザーだけで発生している

同じユーザーだけで問題が繰り返される場合は、次の要因を優先して確認します。

  • 古いTeamsクライアント
  • オーディオまたはカメラのドライバー
  • CPUやメモリ不足
  • 自宅のWi-Fi環境
  • VPNの利用状況
  • Bluetooth機器
  • VDIの最適化状態

同じ拠点の複数ユーザーで発生している

同じ建物やネットワークに集中している場合は、拠点側の問題である可能性が高まります。

  • Wi-Fiアクセスポイントの混雑
  • 回線帯域不足
  • VPNへのメディア通信集中
  • UDP通信の制限
  • ファイアウォールやプロキシ設定
  • 特定のサブネットやネットワーク機器

Microsoftの品質管理ガイドでも、Teamsの問題として、Wi-Fi、帯域不足、VPN、古いクライアントやドライバー、最適化されていない音声機器、ファイアウォールやプロキシの設定などが挙げられています。(Microsoft Learn)

同じ端末やドライバーで発生している

複数拠点にまたがっていても、同じヘッドセット、カメラ、ドライバー、端末モデルで問題が発生している場合があります。

この場合は、ネットワーク変更より先に次の対応を検討します。

  • ドライバーやファームウェアの更新
  • Teams認定機器への交換
  • USBポートやドッキングステーションの変更
  • Bluetooth接続から有線接続への変更
  • 問題のある端末モデルを対象にした検証

特定の時間帯だけ発生している

昼休み直後や全社会議の時間帯など、発生時間に偏りがある場合は、ネットワークの混雑を疑います。

同じ拠点の通常時間帯と混雑時間帯を比較すると、回線やWi-Fiの増強が必要か判断しやすくなります。

同じ会議の多くの参加者で発生している

1つの会議で多数の参加者に問題が発生している場合は、参加者個人の端末だけでなく、会議室端末、主催拠点、ネットワーク経路、Teamsサービス側の状態も確認します。

ただし、同じ会議に参加していても、各参加者のメディア経路は同一とは限りません。参加者単位のテレメトリを確認してから共通原因を判断します。

Teams管理センターとCQDの使い分け

Teams管理センターの一元監視機能が追加されても、Call Quality Dashboard、通称CQDが不要になるわけではありません。

Microsoftは、Teams管理センターを個別の会議・通話の調査に使用し、CQDを組織全体の傾向やネットワーク問題の分析に使用する形を案内しています。両方を単独で使うことも、組み合わせて使うこともできます。(Microsoft Learn)

ツール主な用途適した場面
Teams管理センターの一元監視進行中・終了済み会議の初動調査問題のある会議をすぐに見つけたい
会議・参加者詳細個別セッションの原因調査特定ユーザーの音声や映像を調べたい
CQD組織、拠点、サブネット単位の傾向分析同じ問題が複数拠点や長期間で発生している
QoSTeamsメディア通信の優先制御ネットワーク混雑時の品質を改善したい
クライアント診断ログTeamsアプリの詳細調査テレメトリだけでは原因を特定できない

CQDでは、組織全体の通話・会議品質を集計し、建物、ネットワーク、サブネットなどの単位で傾向を確認できます。通話終了後のデータは、通常30分以内にCQDへ反映されます。(Microsoft Learn)

実務では、次の順番で使うと効率的です。

  1. 一元監視画面で問題のある会議を見つける
  2. 会議詳細で問題の種類と影響範囲を確認する
  3. 参加者詳細で端末やネットワークを確認する
  4. 同じ問題が複数会議で発生していればCQDで傾向を調べる
  5. ネットワーク設定、端末、ドライバーなどを改善する
  6. 変更後の会議で再発していないか確認する

ライセンスによるデータ保持期間の違い

会議トラブルシューティング用のデータは、基本的にTeamsユーザーのライセンス種別を問わず利用できます。ただし、表示できる情報の深さと保持期間が異なります。

データTeams Premium/Teams Rooms Proその他のTeamsユーザー
会議中のリアルタイムテレメトリ利用可能利用可能
会議終了後の詳細なリアルタイムテレメトリ7日間保持会議終了まで
集計済みテレメトリ30日間30日間

Teams PremiumまたはTeams Rooms Proが割り当てられているユーザーやアカウントでは、会議終了後も7日間、詳細なリアルタイムテレメトリを確認できます。その他のユーザーは、会議中のみ詳細なリアルタイム情報を確認できます。終了後は、平均値や最大値に集計されたテレメトリが30日間利用できます。(Microsoft Learn)

重要会議を後日詳しく分析する必要がある組織では、対象ユーザーや会議室アカウントのライセンスを確認しておく必要があります。

Copilotを利用した会議品質の分析

終了済み会議には、Copilotを使って会議品質を分析する機能も用意されています。

対応している環境では、終了済み会議を選択して「Troubleshoot」を実行すると、Teams管理センター内でCopilotが開き、対象会議に合わせたプロンプトが設定されます。Copilotは、参加者が経験した問題や組織内の傾向を分析します。Microsoftのドキュメントでは、組織内に少なくとも1人のCopilotライセンスユーザーがいる場合に利用できるとされています。(Microsoft Learn)

ただし、Copilotの回答だけで原因を確定しないことが重要です。提示された原因候補を、実際のテレメトリ、ユーザー申告、ネットワーク構成と照合します。

導入前に準備しておくこと

一元監視機能が表示されてから運用方法を考えると、管理画面は使えても障害対応が改善しない可能性があります。

管理者ロールを整理する

全員にTeams管理者を割り当てるのではなく、担当業務に応じて最小限の権限を割り当てます。

  • 一次受付担当:Teams通信サポートスペシャリスト
  • 詳細調査担当:Teams通信サポートエンジニア
  • 会議・通話ポリシーの変更担当:Teams通信管理者
  • Teams全体の管理担当:Teams管理者

Teams管理者やグローバル管理者を日常的な問い合わせ対応に使用する運用は避けます。

建物とネットワーク情報を登録する

Teams管理センターには、CSVまたはTSVファイルを使って建物、拠点、テナント情報を追加できます。

IPアドレスと物理的な拠点を関連付けることで、「本社3階で問題が多い」「支店の特定サブネットで切断が発生している」といった分析がしやすくなります。(Microsoft Learn)

組織全体から繰り返すパターンを見つけるには、拠点情報の整備が特に重要です。

問い合わせ時の記録項目を統一する

利用者からTeamsの問題を受け付ける際は、最低限、次の情報を記録します。

記録項目記入例
発生日時2026年9月2日 14時20分頃
会議IDTeams管理センターで検索できるID
対象ユーザーユーザー名、メールアドレス
症状音声が途切れた、会議から切断された
発生時間開始15分後から約5分間
接続場所本社、自宅、出張先
ネットワーク有線、Wi-Fi、VPN、モバイル回線
利用端末Windows、Mac、スマートフォン、Teams Rooms
影響範囲本人のみ、複数人、会議全体

「Teamsが重かった」という情報だけでは、対象の時間帯やセッションを特定できません。会議IDと発生時刻を記録するだけでも、調査時間を大きく短縮できます。

エスカレーション基準を決める

一次担当者がどこまで調査し、どの時点でネットワーク担当者へ引き継ぐかを決めます。

状況主な対応先
1人だけ、特定端末で発生ヘルプデスク、端末管理担当
同じ拠点の複数人で発生ネットワーク担当
特定のTeams Roomsで発生会議室端末担当
複数拠点で同時発生Teams管理者、Microsoft 365管理者
原因不明で継続しているMicrosoftサポート

エスカレーション時には、会議ID、参加者、問題の時間帯、テレメトリのエクスポート結果を添付します。

利用時の注意点

赤い数値だけで障害と断定しない

期待範囲を外れたテレメトリは赤く表示されますが、赤い数値があるだけで利用者が品質低下を経験したとは限りません。

進行中の会議では一般的な目標値を基に判定されるため、利用者の申告、問題の継続時間、他のテレメトリを組み合わせて判断します。(Microsoft Learn)

Web、VDI、PSTNでは取得できない項目がある

Web版Teams、VDI、PSTNなどのセッションでは、音声機器の詳細をはじめ、一部のテレメトリが取得できない場合があります。

空欄があるからといって、Teams管理センターの不具合とは限りません。利用したクライアントや接続形態を確認します。(Microsoft Learn)

外部参加者の情報には制限がある

フェデレーション参加者や外部参加者については、プライバシー保護のため、ユーザーを特定できる情報がマスクされる場合があります。

また、他社が主催する会議へ自社ユーザーが参加した場合、自社側の品質管理ツールで確認できるのは、原則として自社ユーザーの情報です。(Microsoft Learn)

イベントでは全参加者のテレメトリを確認できない

ウェビナーやタウンホールなどのイベントでは、テレメトリを確認できる対象が、実際に参加している主催者や発表者に限定されます。一般の出席者については、同じ粒度の情報を確認できない場合があります。(Microsoft Learn)

終了直後の会議は表示を待つ

終了済み会議のテレメトリ処理には、30分から2時間かかる場合があります。

会議終了直後に表示されないときは、検索条件や権限を変更する前に、処理が完了しているかを確認します。(Microsoft Learn)

会議・通話の監視を問い合わせ対応で終わらせない

Teams管理センターの会議・通話一元監視は、問題が起きた会議を探すだけの機能ではありません。

効果的な運用は、組織全体の一覧から異常を見つけ、会議、参加者、セッションの順に掘り下げ、同じ拠点、端末、ネットワーク、時間帯で再発していないかを確認する流れです。

導入前に、次の準備を進めておくとスムーズです。

  • Teams管理者と通信サポート担当者のロールを整理する
  • 建物、拠点、ネットワーク情報を登録する
  • 問い合わせ時に会議IDと発生時刻を記録する
  • 一次対応、詳細調査、ネットワーク担当への引き継ぎ基準を決める
  • Teams管理センターとCQDの使い分けを決める
  • Microsoft 365管理センターで実際の展開状況を確認する

2026年9月2日時点ではロードマップ上のステータスが開発中であるため、まず自社テナントに新しい一元監視画面が表示されているかを確認してください。まだ表示されていない場合でも、現在の「ユーザーを管理」から会議・通話を調査する手順、管理者ロール、拠点情報を整備しておけば、提供開始後すぐに運用へ移行できます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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