Teams Interpreterの音声シミュレーション無効化と字幕言語統一|設定・確認手順

Teams Interpreterを使った多言語会議で、「通訳音声は日本語なのにライブキャプションは英語のまま」「自分の声を再現する音声シミュレーションを組織として禁止したい」と困る管理者もいるでしょう。

Microsoftは、2026年7月29日付のTeams管理者向けリリースノートで、InterpreterのSimultaneous modeを更新しました。通訳音声とライブキャプションが同じ選択言語に統一され、管理者は音声シミュレーションを完全に無効化できるようになります。さらに、利用者向けの自動音声が追加され、話者を区別しやすい動的音声割り当ても導入されます。リリースノートのページは2026年7月30日に更新されています。(Microsoft Learn)

ただし、最低クライアントビルドや展開完了時期はリリースノートに記載されていません。全社ポリシーをすぐに変更するのではなく、検証用ポリシーを使い、音声シミュレーションの選択可否と字幕言語の同期を実際のTeams画面で確認することが重要です。

目次

Teams Interpreterの同時通訳モードで変わったこと

今回のSimultaneous mode強化では、主に次の点が変更されます。

変更点更新後の動作管理者への影響
通訳音声と字幕の言語同じ選択言語に統一音声と字幕を別々に調整する手間が減る
音声シミュレーション組織側で完全に無効化可能利用者が個人の判断で再有効化できない運用が可能になる
自動音声選択肢を追加音声シミュレーションを使わなくても聞き分けやすくなる
話者ごとの音声動的に割り当て複数人が発言する会議で話者を区別しやすくなる
最低クライアントビルド記載なしテナントとクライアントの両方で動作確認が必要

ここでいう言語の統一は、ライブキャプションを自動的に表示する機能ではありません。利用者がライブキャプションを表示したとき、その字幕に使われる翻訳先言語をInterpreterの通訳音声と一致させる更新です。(Microsoft Learn)

Teams Interpreterで通訳音声と字幕言語を一致させる方法

Simultaneous modeの更新が反映された環境では、利用者がInterpreterで聞きたい言語を選択すると、ライブキャプションも同じ言語にそろうようになります。

Interpreterで聞きたい言語を選択する

デスクトップ版Teamsでは、会議中に次の操作を行います。

  1. 会議コントロールの「その他」を選択します。
  2. 「言語と音声」を開きます。
  3. 「Interpreter」から「自分用にオンにする」を選択します。
  4. 「会議を聴く言語」または「Listen to meeting in」で、通訳音声の言語を選択します。
  5. 原音と通訳音声のバランスを調整します。
  6. 「オンにする」を選択します。

メニュー名はTeamsの表示言語やクライアントによって多少異なる場合があります。Interpreterを有効にすると、多言語音声認識も自動的に有効になり、話し言葉の自動検出や翻訳字幕を利用できる状態になります。(マイクロソフトサポート)

ライブキャプションを表示する

字幕も確認したい場合は、会議中に次の操作を行います。

  1. 「その他」を選択します。
  2. 「言語と音声」を開きます。
  3. 「ライブキャプションを表示」を選択します。
  4. 字幕がInterpreterで選択した言語になっているか確認します。

更新後は、Interpreterの通訳音声とライブキャプションで同じ選択言語が使われます。

言語設定の役割を混同しない

Teamsの多言語会議では、似た名前の言語設定が複数あります。

設定何を指定するか例
話し言葉/Your spoken languageTeamsが認識する入力言語自分が日本語で話すなら日本語
会議を聴く言語/Listen to meeting inInterpreterが生成する通訳音声英語会議を日本語で聞くなら日本語
翻訳先/Translate to字幕や文字起こしの表示言語日本語字幕を表示するなら日本語

「話し言葉」は音声認識の入力設定です。通訳音声と字幕の不一致を直すために、話し言葉を変更する必要はありません。

今回同期されるのは、主に「会議を聴く言語」と「翻訳先」です。(マイクロソフトサポート)

字幕が別の言語になる場合の暫定対処

段階的展開中のテナントや古いクライアントでは、通訳音声と字幕がまだ自動同期しない可能性があります。その場合は、字幕側の翻訳先を手動で合わせます。

  1. ライブキャプションを表示します。
  2. 字幕の設定を開きます。
  3. 「言語設定」を選択します。
  4. 「翻訳先」を開きます。
  5. Interpreterの「会議を聴く言語」と同じ言語を選択します。

たとえば、Interpreterで「日本語」を選んでいる場合は、字幕の「翻訳先」も日本語にします。

管理者が音声シミュレーションを無効化する方法

Teams Interpreterの音声シミュレーションは、CsTeamsMeetingPolicyのVoiceSimulationInInterpreterパラメーターで管理します。

Interpreter自体を利用可能にしたまま音声シミュレーションだけを止める場合は、次の組み合わせを使用します。

  • AIInterpreter:Enabled
  • VoiceSimulationInInterpreter:Disabled

Set-CsTeamsMeetingPolicyの公式リファレンスでは、VoiceSimulationInInterpreterにEnabledまたはDisabledを指定できます。(Microsoft Learn)

現在のポリシーを確認する

Microsoft Teams PowerShellに接続し、対象ポリシーの現在値を確認します。

Connect-MicrosoftTeams

Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global |
    Select-Object Identity, AIInterpreter, VoiceSimulationInInterpreter

カスタム会議ポリシーを使用している場合は、Globalを対象ポリシー名に置き換えます。

全体ポリシーで音声シミュレーションを無効化する

テナントのGlobalポリシーを変更する例は次のとおりです。

Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global `
    -AIInterpreter Enabled `
    -VoiceSimulationInInterpreter Disabled

この設定では、AI Interpreterそのものは有効にしたまま、音声シミュレーションを無効化します。

ただし、Globalポリシーを変更すると広範囲の利用者に影響します。既に部署別や用途別の会議ポリシーを運用している場合は、対象ポリシーを直接変更してください。

検証用ポリシーへ設定する

既存の検証用会議ポリシーがある場合は、先にそのポリシーへ設定する方法が安全です。

Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "Interpreter-Pilot" `
    -AIInterpreter Enabled `
    -VoiceSimulationInInterpreter Disabled

検証ユーザーへポリシーを割り当てます。

Grant-CsTeamsMeetingPolicy `
    -Identity [email protected] `
    -PolicyName "Interpreter-Pilot"

Grant-CsTeamsMeetingPolicyでは、ユーザー単位またはグループ単位で会議ポリシーを割り当てられます。(Microsoft Learn)

設定後は、次のコマンドで値を再確認します。

Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity "Interpreter-Pilot" |
    Format-List Identity, AIInterpreter, VoiceSimulationInInterpreter

公式文書の説明差に注意する

2026年7月29日のリリースノートでは、管理者が音声シミュレーションを「完全に無効化できる」と明記されています。一方、2026年7月9日更新のInterpreter管理者向けページでは、Disabledは既定値を自動音声にする設定であり、利用者が音声シミュレーションへ切り替えられるという旧説明が残っています。(Microsoft Learn)

そのため、現時点ではドキュメントの更新時期に差がある状態です。ポリシー値がDisabledになったことだけで完了と判断せず、検証ユーザーのTeams画面で次の点を確認してください。

  • 「自分の声をシミュレートする」が表示されない、または選択できない
  • 自動音声のみを利用できる
  • Teamsを再起動しても設定が維持される
  • デスクトップ版とWeb版で同じ制限になる
  • 別の会議でも利用者が音声シミュレーションを再有効化できない

AI Interpreterと人間の通訳者機能を混同しない

Microsoft Teamsには、AIによるInterpreterとは別に、人間の通訳者を会議へ割り当てる「言語通訳」機能があります。

管理に使うポリシーも異なります。

パラメーター対象機能無効化した場合
AIInterpreterAI Interpreter全体AIによるリアルタイム音声通訳を利用できなくなる
VoiceSimulationInInterpreterAI Interpreterの音声シミュレーション自分の声を再現した通訳音声を利用できなくなる
LiveInterpretationEnabledType人間の通訳者を割り当てる言語通訳会議オプションで通訳者を設定できなくなる
LiveCaptionsEnabledTypeライブキャプション字幕自体の利用を制限する

音声シミュレーションだけを止めたい場合に、AIInterpreter Disabledを設定してはいけません。これを設定すると、Interpreterそのものが利用できなくなります。

また、LiveInterpretationEnabledTypeは人間の通訳者機能を制御するパラメーターであり、AI Interpreterの音声シミュレーションには影響しません。(Microsoft Learn)

追加音声と動的音声割り当ての効果

音声シミュレーションを禁止すると、すべての通訳音声が同じ合成音声になり、複数人の発言を聞き分けにくくなることがあります。

今回の更新では、自動音声の選択肢が増え、話者に応じて音声を動的に割り当てる機能が提供されます。これにより、音声シミュレーションを使わない組織でも、声の違いから発言者を把握しやすくなります。(Microsoft Learn)

従来の管理者向け文書では、自動音声として次の音声が案内されています。

音声特徴
Ava女性音声
Andrew男性音声
Fable Turboニュートラル音声

ただし、2026年7月29日のリリースノートには、新しく追加される音声の具体名や、話者と音声の割り当てルールまでは記載されていません。管理マニュアルへ固定的な音声一覧を記載する場合は、実際にテナントへ表示された選択肢を確認してから更新するのが安全です。(Microsoft Learn)

Teams Interpreterの対応言語とライセンス

最新の利用者向けサポートページでは、Teams Interpreterの対応言語として次の言語が案内されています。

  • 英語
  • スペイン語
  • ポルトガル語
  • 日本語
  • 簡体字中国語
  • 繁体字中国語・台湾
  • イタリア語
  • ドイツ語
  • フランス語
  • 韓国語

入力された言語を認識できる場合でも、通訳結果として出力できるのはInterpreterが正式対応している言語に限られます。(マイクロソフトサポート)

Interpreterを利用するユーザーには、原則として次のライセンスが必要です。

必要なもの内容
Microsoft 365基本ライセンスMicrosoft 365 Copilotの対象となる基本ライセンス
Microsoft TeamsライセンスTeamsを利用できるライセンス
Microsoft 365 CopilotInterpreterを利用するユーザーに必要

Microsoft 365 Copilotライセンスには、1ユーザーあたり月20時間の通訳利用枠が含まれます。枠を超えた利用は、利用可能なサービス容量の影響を受けます。(Microsoft Learn)

外部組織のユーザーも、確認済みのMicrosoft 365アカウントと有効なMicrosoft 365 CopilotライセンスがあればInterpreterを利用できます。一方、匿名参加者やゲストは、本人確認やライセンス確認ができないためInterpreterを利用できません。(マイクロソフトサポート)

最低クライアントビルドが不明な場合の検証方法

今回の管理者向けリリースノートには、更新後の動作に必要な最低Teamsクライアントビルドが記載されていません。したがって、「ポリシーを変更したので全端末で同じ動作になる」とは限りません。(Microsoft Learn)

検証時は、次の組み合わせを確認します。

確認項目検証内容
Teamsデスクトップ版最新状態へ更新して動作を確認
Teams Web版Microsoft EdgeやGoogle Chromeで確認
モバイル版iOSとAndroidでメニューと制限を確認
複数話者2人以上が交互に話し、音声の割り当てを確認
複数言語日本語と英語などを切り替えて字幕と音声を確認
ポリシー範囲Global、個別ユーザー、グループ割り当てを確認

特に、デスクトップ版で期待どおりに動作しない場合は、Web版でも同じユーザーで確認すると、クライアント固有の問題か、テナント側の展開待ちかを切り分けやすくなります。

期待どおりに動かない場合の確認ポイント

症状主な確認内容
Interpreterのメニューが表示されないMicrosoft 365 Copilotライセンス、AIInterpreter、参加アカウント、会議形式を確認
通訳音声は日本語だが字幕は英語字幕設定の「翻訳先」を日本語へ手動変更し、Teamsを更新
Disabledでも音声シミュレーションを選べる適用ポリシー、割り当て対象、クライアント更新、テナントへの展開状況を確認
自動音声が1種類しか表示されない追加音声の段階的展開またはクライアント差を確認
全員の通訳音声が同じに聞こえる複数話者で再テストし、動的音声割り当ての展開状況を確認
字幕そのものが表示できないLiveCaptionsEnabledTypeと会議の字幕設定を確認
人間の通訳者設定だけが変わったLiveInterpretationEnabledTypeではなく、VoiceSimulationInInterpreterを確認

ポリシー反映には時間差が生じる場合があります。設定直後だけで判断せず、Teamsからのサインアウト、アプリの再起動、別クライアントでの再確認まで行うと切り分けやすくなります。

まず検証用ポリシーで4点を確認する

Teams InterpreterのSimultaneous mode更新では、通訳音声とライブキャプションの言語がそろい、音声シミュレーションを禁止する組織でも話者を聞き分けやすくなります。

管理者が最初に行うべきことは、Globalポリシーの即時変更ではありません。既存の検証用会議ポリシーでAIInterpreterをEnabled、VoiceSimulationInInterpreterをDisabledに設定し、次の4点を確認します。

  1. 利用者が音声シミュレーションを再有効化できない
  2. 通訳音声とライブキャプションが同じ言語になる
  3. 複数話者の自動音声を聞き分けられる
  4. デスクトップ版、Web版、モバイル版で結果が一致する

最低クライアントビルドが公開されていないため、PowerShellの設定値だけで完了と判断しないことが重要です。実際の会議画面で強制無効化と字幕同期を確認し、問題がなければ対象グループを段階的に広げてください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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