Microsoft Teams: Teams Phone Call Transfer Improvementsは、Teams Phoneのデスクトップ版で通話転送をすばやく、直感的に行えるようにする改善です。結論から言うと、管理者による事前の有効化作業は不要とされています。ただし、転送の既定動作が「セーフ転送」から「ブラインド転送」に変わる点は、受付、サポート、営業、コール対応部門に影響しやすいため、展開前の周知と手順書更新が重要です。(Microsoft 365 Message Center Archive)
今回の変更は、単なるボタン配置の変更ではありません。通話中の操作回数が減る一方で、「相手が出ない場合に通話が戻ってくる」と思い込んでいるユーザーは、誤転送や問い合わせ対応の混乱を起こしやすくなります。この記事では、2026年6月2日公開・更新分として確認したいMicrosoft Teamsの通話転送改善について、変更点、影響範囲、管理者・開発者が確認すべきポイントを実務目線で整理します。
Microsoft Teams: Teams Phone Call Transfer Improvementsで何が変わるのか
Microsoft Teams: Teams Phone Call Transfer Improvementsの中心は、Teams Phoneの通話転送フローを短縮することです。従来は、通話コントロール内の転送メニューを開いてから転送方法を選ぶ流れでした。更新後は「Transfer」と「Consult transfer」が通話コントロール上の独立した操作として表示され、どちらも1クリックで開始しやすくなります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
| 変更点 | 変更後の内容 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| TransferとConsult transferの分離 | 通話コントロール上で別々の上位アクションとして表示 | 転送開始までのクリック数が減り、電話対応中の操作迷いを減らせる |
| 転送候補の表示 | 転送ダイアログに、転送履歴に基づく候補が表示される | よく転送する担当者を探しやすくなる |
| 既定動作の変更 | 既定がセーフ転送ではなくブラインド転送になる | 相手の応答を待たずに通話を渡すため、運用ルールの見直しが必要 |
| 対象プラットフォーム | WindowsとMacのTeamsデスクトップアプリ | モバイル、Web、Teams Phoneデバイスと同じ挙動だと決めつけない |
| 管理者対応 | 展開前の必須設定は不要 | ただし、ユーザー教育とヘルプデスク準備は必要 |
Microsoft 365 Roadmapの情報は商用機能の予定時期と説明を示すもので、公開内容や展開時期は変更される可能性があります。Targeted Releaseがある場合は、対象リリースから標準リリースへ段階的に展開される点も押さえておきましょう。(Microsoft)
対象となるユーザーと影響範囲
今回の対象は、WindowsまたはMacのTeamsデスクトップアプリでTeams Phoneを使うユーザーです。特に影響が大きいのは、社外電話や代表番号からの着信を日常的に扱う部門です。
具体的には、次のようなユーザーが優先して確認すべき対象です。
- 受付、代表電話、総務、秘書部門
- カスタマーサポート、ヘルプデスク、営業窓口
- コールキューや自動応答から転送された電話を受ける担当者
- 上司や共有回線の代理応答を行うユーザー
- PBXや既存電話システムからTeams Phoneへ移行中の組織
Microsoft Supportの通話転送手順では、Teamsの1対1通話を転送でき、Consult then transferでは転送前に相手へ確認してから通話を渡せると説明されています。また、Web版TeamsではConsult then transferが利用できない旨も記載されています。今回の改善はデスクトップ版の体験を対象としているため、Webやモバイルの操作手順とは分けて案内するのが安全です。(マイクロソフトサポート)
ブラインド転送・コンサルト転送・セーフ転送の違い
今回の変更で最も注意したいのは、既定がブラインド転送になる点です。ブラインド転送は便利ですが、相手が対応できるかを確認しないまま通話を渡すため、用途を誤ると「電話を回したのに誰も出なかった」「相手部署に内容が伝わっていない」といった問題につながります。
| 転送方法 | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|
| ブラインド転送 | 取り次ぎ先が明確で、相手の在席確認が不要な場合 | 転送先が応答しない場合でも、基本的に転送者は通話から離れる |
| コンサルト転送 | 先に相手へ要件を伝えてから通話を渡したい場合 | 操作は少し増えるが、顧客対応や重要案件では安全 |
| セーフ転送 | 相手が出ない場合に通話を戻したい場合 | 更新後もRing Backトグルを有効にすることで利用可能と案内されている |
たとえば、社内の内線感覚で「担当部署にそのまま回す」だけならブラインド転送で十分な場面があります。一方で、クレーム、契約、障害対応、VIP顧客の問い合わせでは、コンサルト転送で先に相手へ状況を伝えてから転送するほうが安全です。
また、これまで「転送しても相手が出なければ戻ってくる」前提で運用していた組織は、Ring Backの使い方を手順書に明記する必要があります。Message Centerの案内では、セーフ転送は転送ダイアログ内のRing Backトグルを有効にすることで引き続き利用できるとされています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
転送候補の表示で便利になる点と注意点
新しい転送ダイアログでは、ユーザーの転送履歴に基づく候補が検索バーの下に表示されます。よく同じ担当者へ電話を回すユーザーにとっては、名前を毎回検索する手間が減ります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
ただし、転送候補には制限があります。Message Centerの案内では、候補はユーザーのプライマリ回線に紐づく履歴を対象とし、代理応答や共有回線で行った転送は含まれないとされています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
つまり、次のような現場では「候補が出ない=不具合」と判断しないように注意が必要です。
- 代表番号を共有回線で運用している
- 秘書や代理人が上司の代わりに電話を転送している
- コールキュー経由の着信を複数人で分担している
- 部署共通のアカウントや共有デバイスを使っている
この制限を知らないと、ヘルプデスクに「前に転送した相手が候補に出ない」という問い合わせが増える可能性があります。展開前の社内案内では、「候補は便利な補助機能であり、すべての転送履歴が表示されるわけではない」と説明しておくと混乱を減らせます。
管理者が確認すべき設定・展開ポイント
Microsoft 365管理センターとRoadmap ID 561028を確認する
まず確認すべきは、Microsoft 365管理センターのMessage CenterとMicrosoft 365 Roadmap ID 561028です。Message Centerでは、Targeted Releaseが2026年6月上旬に開始・完了予定、General AvailabilityはWorldwideで2026年6月下旬に開始・完了予定と案内されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
ただし、Roadmapは予定情報であり、展開時期や内容は変更される可能性があります。自社テナントの展開状況は、RoadmapだけでなくMessage Center、Teams管理センター、実機のTeamsクライアントで確認しましょう。(Microsoft)
Teams Phoneの対象ユーザーを洗い出す
今回の変更はTeams Phoneを利用するデスクトップユーザーに影響します。全社員へ一律に案内するより、電話対応が多いユーザーを先に特定するほうが効果的です。
確認対象は、少なくとも次の3つです。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| ライセンス | Teams Phoneを利用するユーザーに適切なライセンスが割り当てられているか |
| 音声有効化 | Teams管理センターまたはPowerShellでEnterprise Voiceが有効か |
| PSTN接続方式 | Calling Plan、Operator Connect、Teams Phone Mobile、Direct Routingのどれを使っているか |
Microsoft Learnでは、Teams Phoneを使うには対象ユーザーにTeams Phoneライセンスを割り当て、必要に応じてPSTN接続を統合する必要があると説明されています。また、外線通話にはPSTN接続方式の選択が必要です。(Microsoft Learn)
クライアント更新と社内手順書の更新をセットで行う
今回の改善はユーザーインターフェースの変更なので、古い手順書や研修資料の影響が大きくなります。特に、スクリーンショット付きの手順がある場合は、更新後の画面と一致しなくなる可能性があります。
更新すべき資料の例は次の通りです。
| 資料 | 更新内容 |
|---|---|
| 電話対応マニュアル | ブラインド転送、コンサルト転送、Ring Backの使い分けを追加 |
| 新入社員向けTeams研修資料 | 通話中の転送ボタンの位置を更新 |
| ヘルプデスクFAQ | 「転送後に戻ってこない」「候補が出ない」などの想定質問を追加 |
| 受付・代表電話の応対スクリプト | 重要な電話ではコンサルト転送を使う判断基準を明記 |
ポイントは、「ボタンが変わります」ではなく「どの場面でどの転送を選ぶか」まで書くことです。現場で困るのは画面変更そのものではなく、顧客を待たせている状態で判断に迷うことです。
コールキュー・自動応答・共有回線の運用を確認する
Teams Phoneの展開では、ユーザーへのライセンス割り当てだけでなく、電話番号、緊急通報、Auto Attendant、Call Queue、通話ポリシー、転送や代理応答などの構成も関係します。Microsoft LearnのTeams Phoneセットアップ手順でも、ライセンス、PSTN接続、電話番号、自動応答、コールキュー、通話ポリシー、通話品質監視などが展開項目として整理されています。(Microsoft Learn)
今回の変更そのものは、コールキューや自動応答のルーティングを変更するものではありません。ただし、エージェントが着信後に別担当へ手動転送する場面では操作体験が変わります。
特に次のシナリオは、展開前に実機で確認しておくと安心です。
| テストシナリオ | 確認ポイント |
|---|---|
| 代表番号から受付へ着信し、担当者へ転送 | 既定のブラインド転送で問題ないか |
| クレーム電話を担当部署へ転送 | コンサルト転送を使うルールになっているか |
| 転送先が不在 | Ring Backを使うべき業務か |
| 共有回線で受けた電話を転送 | 転送候補が期待通りに出ない場合の説明があるか |
| Direct Routing経由の外線を転送 | SBCやキャリア側の既存設定に依存する問題がないか |
| コールキューのエージェントが転送 | 通話履歴、応答記録、対応フローに問題がないか |
移行・展開時に失敗しやすいポイント
「管理者対応不要」を「何もしなくてよい」と解釈する
今回の案内では、展開前に管理者が必須で行う操作は不要とされています。(Microsoft 365 Message Center Archive) しかし、これは「現場への説明が不要」という意味ではありません。
特に既定動作の変更は、ユーザーの行動に直接影響します。電話対応では数秒の迷いが顧客体験に影響するため、展開後に自然に慣れてもらうより、事前に1枚の簡単な案内を配るほうが効果的です。
ブラインド転送をすべての場面で使わせてしまう
ブラインド転送は速い一方で、相手の応答可否を確認しません。社内の簡単な取り次ぎなら便利ですが、顧客対応や障害対応ではリスクがあります。
実務では、次のように使い分けると判断しやすくなります。
| 状況 | 推奨する転送 |
|---|---|
| 担当者が明確で、電話をそのまま渡せばよい | ブラインド転送 |
| 相手に事情を説明してから渡したい | コンサルト転送 |
| 相手が出ない場合に通話を戻したい | Ring Backを有効にしたセーフ転送 |
| 顧客が怒っている、重要契約に関する電話 | コンサルト転送 |
| 代表電話で部署だけ分かっている | 組織ルールに応じてコンサルト転送またはRing Back付き転送 |
共有回線や代理応答のユーザーに同じ説明をしてしまう
転送候補はプライマリ回線の履歴に基づくため、代理応答や共有回線での転送は候補に含まれないとされています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
代表番号や部署共有の電話を扱うユーザーには、「候補が出ない場合は検索して転送する」「よく使う転送先は連絡先や短縮操作で補う」など、通常ユーザーとは別の補足説明が必要です。
開発者・連携担当者が確認すべきこと
Teamsアプリ、CRM連携、通話ボット、ヘルプデスクシステムなどを運用している場合、今回の変更は基本的にTeamsデスクトップクライアントのユーザー体験に関するものとして捉えるべきです。公開情報の範囲では、Microsoft Graph APIや既存の通話連携APIの変更は示されていません。
ただし、通話転送を含む独自アプリやボットを運用している場合は、UI変更とAPI動作を混同しないことが重要です。Microsoft Graphのcall: transfer APIでは、アクティブな1対1通話またはグループ通話を転送でき、POST /communications/calls/{id}/transferを使うと説明されています。コンサルト転送は、転送前に転送先へ通知・確認できる転送方式として説明されています。(Microsoft Learn)
開発・連携担当者は、次の観点で確認しておくと安全です。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| Teams画面を説明する独自マニュアル | ボタン位置や名称が古くなっていないか |
| CRMのオペレーター手順 | ブラインド転送前提で問題ないか |
| 通話ボット | Graph APIの転送処理とTeamsクライアント側の手動転送を混同していないか |
| ヘルプデスク連携 | 「転送失敗」と「ブラインド転送で戻らない」を区別できるか |
| 監査・ログ確認 | 転送方法の変更が問い合わせ分析に影響しないか |
APIを使っている場合でも、現場ユーザーがTeamsクライアント上で手動転送する場面は残ります。したがって、開発チームだけでなく、運用担当、電話対応部門、ヘルプデスクを含めた確認が必要です。
展開前に管理者がやるべきチェックリスト
| チェック項目 | 完了の目安 |
|---|---|
| Message CenterでMC1296872を確認した | 自社テナントの展開予定を把握している |
| Roadmap ID 561028を確認した | 予定変更の可能性を踏まえている |
| Teams Phone利用者を洗い出した | Windows/Macデスクトップ利用者を中心に対象者が分かる |
| 電話対応部門へ事前周知した | ブラインド転送、コンサルト転送、Ring Backの違いを説明済み |
| 手順書・FAQを更新した | 古いスクリーンショットや「More actionsからTransfer」前提の説明を修正済み |
| 共有回線・代理応答ユーザー向け補足を作った | 転送候補が出ないケースを説明している |
| ヘルプデスクに想定問い合わせを共有した | 「転送後に戻らない」「候補が出ない」への回答が用意されている |
| 重要な通話フローを実機テストした | 代表電話、コールキュー、外線転送、Direct Routingなどを確認済み |
よくある質問
管理者がTeams管理センターで何かを有効化する必要はありますか
公開情報では、展開前に管理者が必須で行う操作は不要とされています。(Microsoft 365 Message Center Archive) ただし、Teams Phoneのライセンス、音声有効化、PSTN接続、通話ポリシーなどの既存設定が正しく構成されていることは前提です。Teams Phoneの基本構成では、ユーザーへのライセンス割り当て、PSTN接続方式の選択、電話番号の割り当てなどが必要です。(Microsoft Learn)
セーフ転送は使えなくなりますか
使えなくなるわけではありません。既定がブラインド転送に変わりますが、Ring Backトグルを有効にすることで、相手が応答しない場合に戻すセーフ転送を使えると案内されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
モバイル版TeamsやWeb版Teamsも同じ変更ですか
今回の対象は、WindowsとMacのTeamsデスクトップアプリでTeams Phoneを使うユーザーです。モバイル版、Web版、Teams Phoneデバイスについては同じ画面になると決めつけず、別途公式情報と実機で確認してください。Microsoft Supportでは、Consult then transferはTeams for the webでは利用できないと説明されています。(マイクロソフトサポート)
転送候補に共有回線の履歴は表示されますか
Message Centerの案内では、転送候補はユーザーのプライマリ回線にスコープされ、代理や共有回線での転送は含まれないとされています。(Microsoft 365 Message Center Archive) 代表電話や共有回線を多用する部門には、この点を事前に説明しておきましょう。
まずやるべきこと
Microsoft Teams: Teams Phone Call Transfer Improvementsは、通話転送を速くする便利な改善です。一方で、既定がブラインド転送になるため、電話対応の品質に直結する変更でもあります。
管理者は、最初にMessage CenterとRoadmap ID 561028で自社テナントの展開状況を確認し、次にTeams Phone利用者のうち電話対応が多い部門を洗い出しましょう。そのうえで、転送方法の使い分け、Ring Backの意味、転送候補の制限を1枚の社内案内にまとめるのが現実的です。
特に受付、サポート、営業窓口では、「速く転送できる」ことよりも「必要な場面で安全に転送できる」ことが重要です。展開前に手順書とFAQを更新し、重要な通話フローを実機で確認しておけば、今回の改善を現場の混乱ではなく業務効率化につなげられます。

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