Microsoft Teamsで会議の録画を許可しているのに、ウェビナーやタウンホールでは録画できない場合、確認すべきポリシーが異なる可能性があります。
2026年7月10日前後に更新されたMicrosoftの公式情報では、通常の会議とTeamsイベントでは録画を管理するポリシーが別であることが、従来より明確に整理されました。通常の会議は「会議ポリシー」、イベントは「イベントポリシー」で管理します。
特に、Teams Eventsアプリを利用してウェビナーや大規模イベントを開催する組織は、会議ポリシーの「会議の録画」だけでなく、イベントポリシーの「ウェビナーを録画する」「タウンホールを録画する」も確認する必要があります。既存のウェビナー・タウンホール用ポリシーは引き続き利用されるため、新しいポリシー体系への全面移行が必要になったわけではありません。(Microsoft Learn)
Microsoft Teamsの録画ポリシー管理で何が変わるのか
今回の更新は、新しい録画機能が一斉に提供されるというより、現在のTeams会議・イベントの構成に合わせて、管理方法を整理したものと考えるのが適切です。
実務上の重要な変更点は、次のとおりです。
| 確認ポイント | 管理者への影響 |
|---|---|
| 会議とイベントの録画ポリシーが別 | 会議ポリシーだけでは、イベントの録画可否を判断できない |
| イベントが2種類のポリシーに分かれる | 1,000人以下と、大規模視聴者向けで設定項目が異なる |
| 既存のウェビナー・タウンホール設定を継続利用 | 新しいポリシーを一から作り直す必要はない |
| イベントは標準で自動録画される | 管理者が許可していても、主催者がイベント単位で自動録画を停止できる |
| Teams Eventsの作成画面が統合される | イベント名ではなく「大規模視聴者向けに最適化」の状態で適用ポリシーを判断する |
Microsoftの公式ガイドでは、通常の会議、1,000人までのイベント、大規模視聴者向けに最適化されたイベントについて、それぞれ別の管理手順とPowerShellパラメーターが示されています。(Microsoft Learn)
対象者と対象プラットフォーム
今回の情報を優先的に確認すべきなのは、次のような担当者です。
- Microsoft Teams管理者
- Microsoft 365管理者
- ウェビナーや全社説明会の運営担当者
- 情報セキュリティ・コンプライアンス担当者
- OneDrive、SharePoint、Microsoft Purviewの管理者
管理対象は、特定のWindowsやmacOSのクライアントバージョンではありません。録画ポリシーはテナント側で適用され、主に次の管理基盤を使用します。
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| Teams管理センター | 会議ポリシー、イベントポリシー、ユーザー・グループへの割り当て |
| MicrosoftTeams PowerShell | ポリシーの確認、変更、自動化 |
| Microsoft Teams | 会議、イベント、グループ通話 |
| OneDrive・SharePoint | 録画ファイルとトランスクリプトの保存 |
| Microsoft Purview | 録画・トランスクリプトの検索やコンプライアンス管理 |
公式ページの対象範囲には、会議、イベント、グループ通話が含まれます。一方、PSTN通話などの通話録音は別の通話ポリシーで管理されるため、会議と通話の設定が食い違っていないかも確認が必要です。(Microsoft Learn)
会議とイベントでは録画の設定場所が異なる
Microsoft Teamsの録画可否を管理するときは、開催形式ごとに設定場所を切り分けます。
| 開催形式 | Teams管理センターの設定 | PowerShellパラメーター |
|---|---|---|
| 通常のTeams会議 | 会議 > 会議ポリシー > 会議の録画 | Set-CsTeamsMeetingPolicy -AllowCloudRecording |
| 1,000人までのイベント | 会議 > イベントポリシー > ウェビナーを録画する | Set-CsTeamsEventsPolicy -RecordingForWebinar |
| 大規模視聴者向けイベント | 会議 > イベントポリシー > タウンホールを録画する | Set-CsTeamsEventsPolicy -RecordingForTownhall |
| チャネル会議のダウンロード制御 | 会議ポリシーに関連する設定 | Set-CsTeamsMeetingPolicy -ChannelRecordingDownload |
Teams管理センターの日本語表示は、更新時期や翻訳状況によって表現が異なる場合があります。項目が見つからないときは、英語表示の「Meeting recording」「Record a webinar」「Record a town hall」を手掛かりに確認してください。(Microsoft Learn)
通常の会議は会議ポリシーで管理する
通常のTeams会議では、次の場所で録画を許可または禁止します。
- Teams管理センターを開きます。
- 「会議」から「会議ポリシー」を選択します。
- Globalポリシーまたは対象のカスタムポリシーを開きます。
- 「会議の録画」をオンまたはオフにします。
- ポリシーを対象ユーザーまたはグループに割り当てます。
PowerShellでは、AllowCloudRecordingを使用します。
Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global -AllowCloudRecording $true
この設定は、通常の会議でクラウド録画を利用できるかを制御するものです。ウェビナーや大規模イベントの録画可否まで、この設定だけで一括管理できるわけではありません。(Microsoft Learn)
イベントはイベントポリシーで管理する
イベント録画は「イベントポリシー」にある2つの設定を確認します。
1,000人までのイベントでは「ウェビナーを録画する」を使用します。
Set-CsTeamsEventsPolicy -Identity "<ポリシー名>" `
-RecordingForWebinar Enabled
大規模視聴者向けに最適化されたイベントでは「タウンホールを録画する」を使用します。
Set-CsTeamsEventsPolicy -Identity "<ポリシー名>" `
-RecordingForTownhall Enabled
録画を禁止する場合は、それぞれの値をDisabledに変更します。両パラメーターの既定値は、PowerShellの公式リファレンス上ではEnabledです。(Microsoft Learn)
Teams Eventsでは「大規模視聴者向けに最適化」が判断基準になる
TeamsのEventsアプリは、以前のMeetアプリから発展したイベント管理画面です。主催者は固定されたイベント形式を最初に選ぶのではなく、定員、登録、参加者の操作、配信方法などを組み合わせてイベントを作成します。
ただし、管理者側のポリシーでは、引き続きウェビナー用とタウンホール用の設定が使われます。
適用関係は次のとおりです。
| イベントの設定 | 適用される録画ポリシー |
|---|---|
| 1,000人以下で「大規模視聴者向けに最適化」がオフ | RecordingForWebinar |
| 1,000人以下で「大規模視聴者向けに最適化」がオン | RecordingForTownhall |
| 1,000人を超えるイベント | RecordingForTownhall |
| 通常の会議 | AllowCloudRecording |
1,000人以下のイベントでは、主催者が「大規模視聴者向けに最適化」をオンに変更できます。1,000人を超える場合は自動的にオンとなり、オフにはできません。(Microsoft Learn)
テンプレート名だけで判断しない
ウェビナーテンプレートを使用していても、「大規模視聴者向けに最適化」をオンにすれば、タウンホール側のポリシーが適用されます。
反対に、タウンホールテンプレートで作成したイベントでも、設定上「大規模視聴者向けに最適化」をオフにした場合は、ウェビナー側のポリシーが適用されます。
そのため、障害調査では「ウェビナーとして作成したか」だけで判断せず、イベントの実際の最適化設定と、主催者に割り当てられたイベントポリシーを確認する必要があります。(Microsoft Learn)
録画できるかは主催者と録画開始者の両方で決まる
Teams会議やイベントでは、主催者と録画を開始するユーザーの両方に録画権限が必要です。
たとえば、主催者には録画を許可するポリシーが適用されていても、録画を開始しようとするプレゼンター側に権限がなければ、録画を開始できないことがあります。反対に、プレゼンター側に権限があっても、主催者側のポリシーで録画が禁止されていれば録画できません。
Teams Premiumライセンスを持つ主催者は、会議オプションから録画と文字起こしを実行できるユーザーをさらに制御できます。(Microsoft Learn)
録画できない問題を調査するときは、主催者だけでなく、実際に「録画を開始」を操作するユーザーのポリシーも確認してください。
Teams管理センターで確認する手順
会議ポリシーを確認する
- Teams管理センターの「会議」を開きます。
- 「会議ポリシー」を選択します。
- Globalポリシーとカスタムポリシーを確認します。
- 「会議の録画」のオン・オフを記録します。
- 各ポリシーが割り当てられているユーザーとグループを確認します。
イベントポリシーを確認する
- 「会議」から「イベントポリシー」を選択します。
- Globalポリシーとカスタムポリシーを開きます。
- 「録画と文字起こし」セクションを確認します。
- 「ウェビナーを録画する」を確認します。
- 「タウンホールを録画する」を確認します。
- イベント主催者に割り当てられているポリシーを確認します。
Globalポリシーを変更すると、個別のカスタムポリシーが割り当てられていない多数のユーザーに影響します。最初からGlobalを変更するのではなく、現在の割り当て状況を確認してから変更してください。(Microsoft Learn)
PowerShellで現在の設定を確認する
複数のポリシーを利用している組織では、Teams管理センターを一つずつ開くより、PowerShellで一覧化した方が確認しやすくなります。
# Global会議ポリシーの録画関連設定
Get-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global |
Select-Object Identity, AllowCloudRecording, ChannelRecordingDownload
# Globalイベントポリシーの録画関連設定
Get-CsTeamsEventsPolicy -Identity Global |
Select-Object Identity, RecordingForWebinar, RecordingForTownhall
すべてのイベントポリシーを確認する場合は、次のように一覧化できます。
Get-CsTeamsEventsPolicy |
Select-Object Identity, RecordingForWebinar, RecordingForTownhall
録画だけでなく文字起こしも確認する場合は、次の項目を追加します。
Get-CsTeamsEventsPolicy |
Select-Object Identity,
RecordingForWebinar,
RecordingForTownhall,
TranscriptionForWebinar,
TranscriptionForTownhall
録画と文字起こしは別の設定です。録画が許可されていても、文字起こしが禁止されていればトランスクリプトは作成できません。イベント用PowerShellポリシーには、ウェビナー用とタウンホール用の文字起こし設定も個別に用意されています。(Microsoft Learn)
イベントの自動録画と録画許可は別の設定
公式情報では、Teamsイベントは既定で自動録画されます。ただし、主催者はイベントの会議オプションにある「録画と文字起こし」の設定から、自動録画を停止できます。(Microsoft Learn)
ここで注意したいのは、管理者がRecordingForWebinarやRecordingForTownhallをEnabledにしても、すべてのイベントが必ず録画されるわけではない点です。
Enabledは「録画してよい」という許可です。法令、監査、研修記録などの理由ですべてのイベントを確実に保存する必要がある場合、録画ポリシーを有効にするだけでは録画漏れを防げません。
主催者向け手順書、イベント前チェック、担当者による開始確認などを組み合わせる必要があります。
Copilotをオフにすると録画と文字起こしも停止する
Microsoftの公式ページでは、主催者がTeams会議またはイベントでMicrosoft 365 Copilotをオフにすると、録画と文字起こしもオフになると案内されています。(Microsoft Learn)
そのため、次のような運用では事前テストが必要です。
- 機密会議でCopilotの利用を禁止している
- 会議テンプレートでCopilotを制限している
- 録画は必要だがAI機能は使わせたくない
- イベントを必ず録画しなければならない
「Copilotを無効にしても録画は利用できる」と思い込まず、実際に利用する会議テンプレート、ポリシー、主催者アカウントの組み合わせで確認してください。
録画ファイルの保存先とアクセス権も確認する
録画ポリシーを許可していても、OneDriveやSharePointの保存環境、権限、共有設定に問題があると、録画後の利用に支障が出ます。
通常の非チャネル会議では、録画は主催者のOneDriveに保存されます。チャネル会議では、チームのSharePointサイトに保存されます。会議に招待された組織内ユーザーには閲覧権限が付与されますが、ゲストや外部参加者には明示的な共有が必要です。(Microsoft Learn)
Teamsイベントの録画も主催者のOneDriveに保存されます。主催者がVODとして公開したイベント録画は、SharePoint Embeddedのファイルストレージコンテナーに保存されます。(Microsoft Learn)
チャネル会議のダウンロードを禁止できる
チャネル会議の録画とトランスクリプトについては、ChannelRecordingDownloadでダウンロードを制御できます。
| 設定値 | 動作 |
|---|---|
Allow | 通常のRecordingsフォルダーに保存し、チャネルのSharePoint権限を適用 |
Block | Recordings\View onlyフォルダーに保存し、チャネルメンバーは閲覧のみ可能 |
Blockの場合も、チャネル所有者には録画ファイルへのフルアクセスがあります。組織全体で機密性の高い会議を扱う場合は、録画の許可だけでなくダウンロード制御も確認してください。(Microsoft Learn)
外部参加者とコンプライアンス録音の注意点
通常、外部参加者は会議を録画できません。ただし、外部組織のユーザーに第三者コンプライアンス録音が適用されている場合、そのユーザーが参加した会議や通話は、開催組織側の「会議の録画」設定にかかわらず、外部組織によって記録される可能性があります。
この場合、主催者、共同主催者、プレゼンターには通知されます。記録を許可できない会議では、その外部参加者を退出させる判断が必要です。(Microsoft Learn)
また、録画・文字起こしに関する独自のプライバシーポリシーを案内する場合は、Teams管理センターの「会議設定」からプライバシーとセキュリティのURLを登録できます。PowerShellではCsTeamsMeetingConfigurationのLegalURLを使用します。(Microsoft Learn)
展開時期と対応要否の判断
Microsoft Learn英語版では、対象ページの最終更新日が2026年7月9日と表示されています。日本時間では、2026年7月10日前後に確認された更新として扱われる場合があります。(Microsoft Learn)
対象ページには、クライアントの段階的展開期間や新しいポリシーへの移行期限は記載されていません。また、Microsoftは、既存のウェビナーおよびタウンホールポリシーをそのまま利用すると説明しています。(Microsoft Learn)
したがって、対応要否は次のように判断できます。
| 組織の利用状況 | 対応優先度 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 通常の会議だけを利用 | 低~中 | 会議ポリシーの録画設定と割り当てを再確認 |
| ウェビナーを開催 | 高 | RecordingForWebinarを確認 |
| 全社説明会や大規模イベントを開催 | 高 | RecordingForTownhallを確認 |
| Teams Eventsアプリを利用 | 高 | 「大規模視聴者向けに最適化」とポリシーの対応関係を確認 |
| カスタムポリシーを多数利用 | 高 | 主催者と録画開始者の両方の割り当てを確認 |
| すべてのイベントを必ず録画したい | 高 | 許可設定だけに頼らず、主催者操作とCopilot設定を含めて運用を見直す |
| 機密会議や外部参加者が多い | 高 | ダウンロード、共有、プライバシー、コンプライアンス録音を確認 |
すでにイベントポリシーの録画設定が意図どおりで、主催者への割り当ても正しい場合、設定変更は不要です。ただし、今回の更新を機に、会議ポリシーだけを確認してイベントポリシーを見落としていないかは確認しておくべきです。
管理者が準備すべきチェックリスト
実際の対応では、次の順番で確認すると漏れを減らせます。
- 通常会議、1,000人以下のイベント、大規模イベントの利用有無を整理する
- Globalとカスタムの会議ポリシーを一覧化する
- Globalとカスタムのイベントポリシーを一覧化する
AllowCloudRecordingを確認するRecordingForWebinarとRecordingForTownhallを確認する- 主催者と録画開始者へのポリシー割り当てを確認する
- 文字起こしポリシーも同時に確認する
- OneDrive、SharePoint、VODの保存先と容量を確認する
- 外部共有とチャネル録画のダウンロード制御を確認する
- Copilotをオフにした場合の動作をテストする
- 実際の主催者アカウントでテストイベントを開催する
- 主催者向けの録画手順書を更新する
テストでは、管理者アカウントだけを使用しないことが重要です。実際にイベントを主催するユーザーには、管理者とは異なるカスタムポリシーやグループポリシーが適用されている可能性があります。
よくある設定ミス
会議ポリシーだけを変更する
最も起こりやすいのは、AllowCloudRecordingを有効にしたため、ウェビナーやタウンホールでも録画できると思い込むケースです。
イベントでは、RecordingForWebinarまたはRecordingForTownhallを別に確認します。
イベント名だけで適用ポリシーを判断する
「ウェビナー」という名称で作成していても、「大規模視聴者向けに最適化」がオンならタウンホール側のポリシーが適用されます。
イベント名やテンプレート名ではなく、実際の最適化設定を確認してください。
Enabledを強制録画と考える
Enabledは録画の許可であり、必ず録画する設定ではありません。イベントでは主催者が自動録画を停止できるため、記録義務がある組織では運用面の対策も必要です。
主催者のポリシーしか確認しない
録画開始者にも権限が必要です。共同主催者やプレゼンターが録画を開始する運用では、そのユーザーのポリシーも確認してください。
外部参加者が録画を見られると思い込む
ゲストや外部参加者には、録画を明示的に共有しなければならない場合があります。イベント終了後の公開範囲まで含めて設計してください。
まず会議ポリシーとイベントポリシーを並べて確認する
Microsoft Teamsの録画管理では、通常会議とイベントを一つの設定で管理できると考えないことが重要です。
通常会議はAllowCloudRecording、1,000人以下のイベントはRecordingForWebinar、大規模視聴者向けイベントはRecordingForTownhallで管理します。Teams Eventsでは「大規模視聴者向けに最適化」の状態によって、ウェビナー側とタウンホール側のどちらが適用されるかが決まります。
最初にTeams管理センターの「会議ポリシー」と「イベントポリシー」を並べて確認し、その後PowerShellで設定と割り当てを一覧化してください。最後に、実際の主催者アカウントで通常会議、1,000人以下のイベント、大規模イベントをテストすれば、今回の公式情報に対する対応要否を判断できます。

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