PowerToys Mouse Without Bordersの変更点|接続更新がすぐ実行可能に

2026年6月13日に更新されたMicrosoft Learnの「Control Multiple Computers with PowerToys Mouse Without Borders」で確認すべき変更は、切断したPCへの再接続を、PowerToysのQuick Accessや設定ダッシュボードからすぐ実行できるようになったことです。

従来のようにMouse Without Bordersの詳細設定まで移動しなくても、「Refresh connections」で接続を更新できます。VPNの接続・切断やネットワーク切り替え後に、PC間の操作が途切れやすいユーザーには特に便利な改善です。

この機能はPowerToys 0.100.0で追加されました。最大4台のPCを1組のマウスとキーボードで操作する仕組み、クリップボード共有、ファイル転送などの基本機能は変わっていません。また、Microsoft Edge自体の新機能ではなく、Edgeを含むWindowsアプリを別のPCから操作しやすくするPowerToys側の変更です。(Microsoft Learn)

目次

WindowsのMouse Without Bordersで何が変わったのか

今回の変更点を整理すると、次のとおりです。

確認項目内容
主な変更「Refresh connections」をQuick Accessと設定ダッシュボードから実行可能になった
対象バージョンPowerToys 0.100.0で追加
できること切断したPCへの再接続を、詳細設定を開かずに試せる
基本機能への変更最大4台の操作、クリップボード共有、ファイル転送などは従来どおり
再設定・移行特別な移行手順や再ペアリング必須の案内はない
料金無料
対応期限公式情報では強制移行期限や終了期限の案内はない
Edgeへの影響Edge固有の機能変更はない

PowerToys 0.100.0の公式リリースノートでは、Mouse Without Bordersの「Refresh Connections」をQuick AccessとSettings Dashboardに追加したと明記されています。内部的には、既存の再接続処理を呼び出す操作入口が増えた形です。接続方式やセキュリティキーの仕様を置き換える変更ではありません。(GitHub)

Mouse Without Bordersとは

Mouse Without Bordersは、複数のWindows PCを1組のマウスとキーボードで操作するPowerToysの機能です。最大4台まで接続でき、マウスポインターを画面端へ移動することで、隣に配置した別のPCへ操作対象を切り替えられます。

主な機能は次の3つです。

  • 1組のマウスとキーボードで複数のPCを操作する
  • 接続したPC間でクリップボードを共有する
  • クリップボード経由でファイルを転送する

たとえば、デスクトップPCで資料を作りながら、隣のノートPCでMicrosoft Edgeを開いて動作確認する場合、キーボードやマウスを持ち替える必要がありません。Edgeのタブやお気に入りを同期する機能ではなく、別のWindows PCを直接操作するための機能です。(Microsoft Learn)

新しい「Refresh connections」が役立つ場面

今回の変更は、新規接続よりも「一度接続したPCとの通信が途切れたとき」に効果を発揮します。

VPNへ接続した後に操作できなくなった場合

業務用VPNへ接続すると、ネットワークインターフェースや経路が一時的に切り替わることがあります。その結果、Mouse Without Bordersが接続先を見失う場合があります。

これまではMouse Without Bordersの設定画面を開いて再接続する必要がありました。PowerToys 0.100.0以降では、Quick Accessから「Refresh connections」を実行できるため、復旧までの操作を短縮できます。今回の改善要望も、VPN接続時のネットワーク切断後に再接続操作が必要になる利用例を背景に追加されました。(GitHub)

スリープ復帰後に一部のPCだけ接続されない場合

複数台のうち1台だけスリープや休止状態から復帰した場合、接続状態がすぐに戻らないことがあります。

この場合も、セキュリティキーを作り直す前に「Refresh connections」を実行します。既存の接続情報を維持したまま再接続を試せるため、最初に行う対処として適しています。

Wi-Fiと有線LANを切り替えた場合

ノートPCをドッキングステーションへ接続するなど、使用するネットワークが変わった後にも再接続が必要になることがあります。

ただし、Refresh connectionsは通信可能な状態で再接続を試す機能です。ファイアウォールやVPNのポリシーで通信そのものが遮断されている場合、ボタンを押すだけでは解決しません。

Quick Accessから接続を更新する手順

PowerToys 0.100.0以降では、次の流れで再接続できます。

  1. Windowsの通知領域にあるPowerToysアイコンを開く
  2. Quick Accessを表示する
  3. Mouse Without Bordersの項目を確認する
  4. 「Refresh connections」を選択する
  5. 接続先PCへマウスポインターを移動できるか確認する

Quick Accessに項目が表示されない場合は、PowerToysのバージョンが古い可能性があります。先に更新状況を確認してください。

設定ダッシュボードから接続を更新する手順

Quick Accessを使用しない場合は、PowerToysの設定画面からも実行できます。

  1. PowerToysの設定を開く
  2. Homeまたは設定ダッシュボードを表示する
  3. Mouse Without Bordersの項目を探す
  4. 「Refresh connections」を選択する

従来どおり、Mouse Without Bordersの詳細設定内にある「Refresh connections」や、設定済みの再接続ショートカットも利用できます。今回の変更によって、既存の方法が廃止されたわけではありません。(Microsoft Learn)

「New key」と間違えないようにする

接続が切れたときに失敗しやすいのが、「Refresh connections」ではなく「New key」を選んでしまうケースです。

「New key」は、新しいセキュリティキーを生成し、現在の接続をリセットする操作です。押した場合は、接続先PCにも新しいキーを入力し直す必要があります。

単なる一時切断では、次の順番で対処してください。

  1. Refresh connectionsを実行する
  2. ネットワークとファイアウォールを確認する
  3. PC名とセキュリティキーを確認する
  4. 再ペアリングが必要な場合に限りNew keyを使用する

(Microsoft Learn)

PowerToys 0.100.0以降へ更新する方法

新しい再接続操作を利用するには、PowerToys 0.100.0以降が必要です。PowerToysの設定画面を開き、Generalまたは更新項目で現在のバージョンを確認してください。

PowerToysの設定から更新する

PowerToysには更新確認機能があります。新しいバージョンが見つからない場合は、手動の更新確認を実行します。

更新後は、PowerToysを再起動し、Quick Accessまたは設定ダッシュボードにMouse Without Bordersの再接続操作が表示されるか確認してください。

Microsoft Storeまたは公式インストーラーで更新する

PowerToysはMicrosoft Storeまたは公式GitHubのインストーラーから導入できます。公式ドキュメントでは、この2つが推奨されている方法です。

対応環境は、Windows 11またはWindows 10 バージョン2004以降の64ビット環境で、x64とARM64に対応しています。セットアップ時には、必要に応じてMicrosoft Edge WebView2 Runtimeも導入されます。これはPowerToysが利用するランタイムであり、Microsoft Edgeブラウザー自体へMouse Without Bordersが追加されるという意味ではありません。(Microsoft Learn)

管理端末は一斉更新前に動作確認する

企業や学校でPowerToysを配布している場合は、次の項目を検証してから展開すると安全です。

  • Quick Accessに再接続操作が表示されるか
  • 既存のセキュリティキーとPC配置が維持されるか
  • VPN接続前後で通信できるか
  • ファイアウォールルールが維持されているか
  • クリップボード共有とファイル転送の組織ポリシーに反していないか

PowerToys 0.100.0では、自動更新後の再起動処理が改善され、更新前に設定ファイルをバックアップする仕組みも追加されています。ただし、管理対象端末では一般ユーザー向けの自動更新だけに依存せず、配布方法とバージョンを統一するのが確実です。(GitHub)

移行作業や再設定は必要か

今回の変更について、公式情報では特別な移行作業や強制的な再ペアリングは案内されていません。

新機能は既存の「Refresh connections」を呼び出しやすくする改善です。そのため、通常はPowerToysを更新した後も、次の設定を継続して使用できます。

  • 接続済みPCのセキュリティキー
  • PCの並び順
  • クリップボード共有設定
  • ファイル転送設定
  • Easy Mouseや各種ショートカット
  • 同一サブネット限定などのネットワーク設定

ただし、複数のPCでPowerToysのバージョンが大きく異なると、障害調査が難しくなります。必須条件と断定はできませんが、接続するPCは同じ安定版へそろえておくと管理しやすくなります。

Microsoft Edgeにはどのような影響があるか

今回の更新によるMicrosoft Edge固有の設定変更、料金変更、移行作業はありません。

Mouse Without Bordersを使うと、接続先PC上で動作しているEdgeを、手元のキーボードとマウスから操作できます。ただし、次のようなEdgeの機能とは別物です。

  • Microsoftアカウントによるタブ同期
  • お気に入りや履歴の同期
  • Edge Dropによるファイル共有
  • ブラウザーセッションの移行
  • リモートデスクトップによる画面転送

Mouse Without Bordersでは、それぞれのPCの画面をそのまま使用します。別PCのEdge画面を手元のディスプレイへ転送する機能ではありません。

管理者が確認すべきセキュリティ設定

操作が簡単になっても、接続範囲やデータ共有のリスクは変わりません。業務端末へ導入する場合は、再接続ボタンの有無だけでなく、Mouse Without Borders全体の設定を確認する必要があります。

クリップボード共有とファイル転送

クリップボード共有を有効にすると、コピーした文字列やファイルを接続先PCへ渡せます。業務用PCと私物PCを接続すると、機密情報を意図せず移動させる可能性があります。

PowerToysには、グループポリシーやIntuneでクリップボード共有とファイル転送を制限する設定があります。なお、ファイル転送はクリップボード共有に依存するため、クリップボード共有を無効にするとファイル転送も利用できません。(Microsoft Learn)

「Same subnet only」の利用

「Same subnet only」を有効にすると、同一サブネット内のPCだけへ接続を制限できます。家庭内LANや固定された社内ネットワークでは、不要な接続範囲を狭めるために有効です。

一方、VPNや複数VLANを利用する環境では、正規の接続先であっても異なるサブネットとして扱われる可能性があります。設定を有効にする前に、実際のネットワーク構成を確認してください。(Microsoft Learn)

サービスモードは必要な端末だけで使う

ロック画面や管理者権限で動作するアプリを別PCから操作するには、Mouse Without BordersをSystemアカウントのサービスとして動作させる「Use Service」が利用できます。

利便性は高まりますが、公式ドキュメントでも追加のセキュリティリスクが警告されています。一般的なブラウジングや文書作成だけであれば、安易にサービスモードを有効化しない方が安全です。(Microsoft Learn)

Refresh connectionsで直らない場合の確認項目

症状確認するポイント対処
再接続してもPCが表示されない同じネットワークへ接続されているかVPN、Wi-Fi、有線LANの接続状態を確認する
特定のPCだけ接続できないPC名とセキュリティキー接続元・接続先の入力内容を照合する
タイムアウトや接続エラーになるWindows Defender ファイアウォールMouse Without Bordersのファイアウォールルールを確認する
VPN接続中だけ利用できないサブネットや通信経路Same subnet onlyとVPNポリシーを確認する
ファイルを転送できないファイル数と容量1ファイル、100MB以下で試す
フォルダーを転送できない転送仕様ZIPファイルへまとめてから転送する
管理者権限の画面を操作できないサービスモードリスクを確認したうえでUse Serviceを検討する
マウスは移動するが設定が揃わないPCごとの設定差接続する各PCで設定を個別に確認する

公式ドキュメントでは、ファイルのコピーおよびドラッグ&ドロップは1ファイルずつで、上限は100MBです。フォルダーや複数ファイルは直接転送できないため、ZIP形式へまとめる方法が案内されています。(Microsoft Learn)

料金・期限・ライセンスの確認

PowerToysは無料のオープンソースユーティリティです。Mouse Without Bordersを利用するために、Microsoft 365や有料のEdgeプランを契約する必要はありません。(Microsoft Learn)

2026年6月13日時点の公式情報では、次のような案内もありません。

  • 旧バージョンからの強制移行期限
  • Mouse Without Bordersの有料化
  • 従来の再接続方法の廃止期限
  • Edgeの更新を必須とする期限
  • セキュリティキーの一斉更新期限

ただし、PowerToysは継続的に更新されるソフトウェアです。業務利用では自動更新を放置せず、安定版のバージョン管理とリリースノートの確認を続けてください。

今回確認すべきポイント

2026年6月のMouse Without Bordersの変更は、接続機能そのものの刷新ではなく、切断後の復旧操作をすぐ実行できるようにする改善です。

まずPowerToysが0.100.0以降になっているか確認し、Quick Accessまたは設定ダッシュボードから「Refresh connections」を実行できるか試してください。

管理者はあわせて、クリップボード共有、ファイル転送、Same subnet only、ファイアウォール、Use Serviceの設定を確認します。再接続できない場合は、セキュリティキーを作り直す前に、ネットワークとポリシーを確認するのが正しい対応順です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

コメント

コメントする

目次