Windowsの標準ユーザーがプリンターのプロパティにある「詳細設定」を変更する必要がある場合、管理者が対象プリンターの権限を委任する方法があります。ただし、「このプリンターの管理」は詳細設定だけに限定された権限ではありません。共有やアクセス許可などにも影響するため、必要な担当者へ、対象プリンターだけの範囲で慎重に付与します。
「印刷設定」と「プリンターのプロパティ」を区別する
用紙サイズ、両面、カラーなど、自分が印刷する文書の設定を変えたいだけなら、まずアプリの印刷画面や「印刷設定」を確認してください。プリンター全体の「詳細設定」や既定値を変える必要があるとは限りません。
「プリンターのプロパティ」の詳細設定は、キューやスプール動作など、ほかの利用者にも関わる設定を含みます。標準ユーザーで変更できない画面があること自体は故障ではありません。変更が一度だけなら、権限を恒久的に委任せず、管理者にその設定だけを変更してもらう方法も検討しましょう。
委任する権限の範囲を理解する
印刷:対象プリンターへの印刷など、通常利用のための権限です。
このプリンターの管理:プリンターのプロパティ、共有、スプール設定、アクセス許可の変更などを行うための広い権限です。
ドキュメントの管理:ほかのユーザーを含む印刷ジョブを管理するための権限で、プリンターの設定変更とは別です。
詳細設定を変更させる目的だけで、EveryoneやDomain Usersなどの広いグループへ管理権限を付けないでください。必要なユーザーまたは専用の管理担当グループを選びます。ローカルAdministratorsへ追加する必要があるとは限りません。
管理者が対象プリンターの権限を設定する
最初に、変更対象がローカルPCにあるプリンターキューか、プリントサーバーで共有されているキューかを確認します。共有プリンターの場合は、原則としてそのキューを管理するサーバー側で担当管理者が設定します。別PCにある同名のプリンターを変更しても、目的の共有キューへの権限にはなりません。
権限を変更できる管理者が、対象の「プリンターのプロパティ」を開きます。Windows 11では「設定 → Bluetoothとデバイス → プリンターとスキャナー」から対象を選ぶなどの方法があります。画面やドライバーにより表示が異なるので、「印刷設定」ではなく「セキュリティ」タブを持つプリンターのプロパティを開いているか確認します。
変更前の権限を記録したうえで、「セキュリティ」タブで対象ユーザーまたは専用グループを追加します。ドメイン・コンピューター名を含め、同名の別アカウントと取り違えていないか確認してください。「許可」側の「このプリンターの管理」を選び、適用します。必要のない「ドキュメントの管理」まで一緒に追加せず、既存の管理者権限や通常の印刷権限は不用意に削除しません。
上の画像は従来のWindowsの例です。セキュリティタブがない、設定が管理対象で変更できない、クラウド管理プリンターを使っている場合は、この画面操作を無理に当てはめず、管理方式に対応した手順を確認してください。Universal Printなどは管理・委任の仕組みが異なります。
対象ユーザーで変更可能な範囲を確認する
対象ユーザー自身の通常のセッションでプロパティを開き直し、必要な項目を操作できるか確認します。管理者として開いた画面だけで試すと、委任が成功したかを判断できません。グループへの追加を行った場合は、サインアウト/サインインなどで新しい所属情報の反映が必要になることがあります。
画面が操作可能になっても、すべての管理操作が許可されたことにはなりません。まず業務に必要な項目だけを、影響の少ない時間帯に確認します。共有キューのスプールや既定値を変更すると、ほかの利用者の印刷へ影響する場合があります。動作確認のために本番の印刷ジョブを削除したり、勝手にプリンターを停止したりしないでください。
ドライバーのインストール権限とは別
この権限を付与しても、Point and Printによるドライバーのインストール・更新で管理者権限を要求される場合があります。Microsoftはセキュリティ対策として、Point and Printのドライバー導入に管理者権限を必要とする既定動作を案内しています。
「管理権限を付けたのに認証を求められる」ことを理由に、ドライバー導入制限やUACを無効にしないでください。ドライバーの配布・更新は管理者が承認済みの方法で実施します。「このプリンターの管理」を付ければ、一般ユーザーがあらゆるドライバー操作を実行できる、という説明は正しくありません。
反映されない場合と権限を戻す方法
対象キューの場所、ユーザー名、グループ所属、明示的な拒否、組織からのポリシー適用を確認します。許可を増やす前に、どの操作で拒否されるのかを切り分けてください。プリンター本体のWeb管理画面や管理者パスワードは、Windowsのキュー権限とは別です。
委任が不要になったら、記録した変更前の状態と比較して、今回追加したユーザー・グループの管理権限だけを取り消します。グループ経由で権限を受けている場合は、その経路も確認します。一般利用者が設定を変更できなくなったことと、通常の印刷を継続できることを確認してください。
参考資料
Microsoft:プリンターの管理権限と委任(従来のWindows Server向け資料。権限範囲の説明を参照)
Microsoft:Point and Printのドライバー導入に関する既定動作
Microsoft:Universal Printの管理委任
まとめ
一般ユーザーへプリンター設定の変更を委任する場合は、対象キューの「このプリンターの管理」を管理者が付与します。ただし、詳細設定だけの権限ではないため、必要な担当者とプリンターに限定してください。個人の印刷設定、他人のジョブ管理、ドライバー導入、プリンター本体の管理を区別することが重要です。





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