Visual Studio 2019のツールボックスで、ButtonやCheckBoxなどのコントロールのアイコンが別のものに入れ替わって表示される症状は、ほとんどの場合「壊れた設定やキャッシュ」「拡張機能の影響」「インストール不整合」など環境要因で発生します。本記事では、原因の考え方と、実際に改善しやすい復旧手順を優先度順にまとめます。
症状:Visual Studio 2019のツールボックスでアイコンが入れ替わって見える
Visual Studio 2019(特にWindowsフォームやWPFのデザイナー利用時)で、ツールボックス内の各コントロールに表示されるアイコンが不自然に入れ替わることがあります。たとえば次のような状態です。
- Button のアイコンが CheckedListBox のように見える
- CheckBox のアイコンが ComboBox のように見える
- 複数のコントロールでアイコンが総入れ替え状態になる
まず押さえたいポイントは、見た目(アイコン)だけが壊れているケースが多いことです。アイコンが変でも、ドラッグ&ドロップで配置されるコントロール自体は正しい場合がよくあります。念のため、次の方法で「表示だけの問題か」を確認できます。
| 確認したいこと | 手順 | 判断できること |
|---|---|---|
| 配置されるコントロールが正しいか | ツールボックスからフォームへドラッグし、Propertiesの(Name)や型(例:System.Windows.Forms.Button)を確認 | 機能面に影響があるか/単なる表示崩れか |
| 新規プロジェクトでも起きるか | WinFormsアプリ等を新規作成し、ツールボックスを確認 | プロジェクト固有(.vsやキャッシュ)か、VS全体の問題か |
| 別ユーザープロファイルでも起きるか | 別ユーザーでログインして同様に確認 | ユーザー設定破損か、マシン全体の問題か |
| 拡張機能なしでも起きるか | Safe Modeで起動して確認 | 拡張機能・VSPackageの影響を排除できる |
結論:正常環境では再現しにくいので、環境依存の破損を疑って復旧手順で直す
この症状は、クリーンな環境では再現しにくく、原因を断定しづらいタイプとして扱われがちです。だからこそ、更新・修復・設定リセット・拡張機能の影響排除といった「復旧の定番手順」を上から順に実施するのが現実的です。
同様の事例でも、これらの手順を実施して解決した(改善した)という報告が見られます。原因追及に時間をかけるより、まずは短時間で戻しやすい手順から試すほうが成果につながりやすいです。
対処法の全体像:優先度順チェックリスト
| 優先度 | 対処 | 目的 | 影響範囲 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 高 | Visual Studio 2019を最新の16.11系へ更新 | 既知不具合修正の取り込み/コンポーネント整合性の回復 | VS全体 | 例:16.11.43など(入手可能な最新版へ) |
| 高 | Visual Studio InstallerでRepair(修復) | インストール不整合・破損の修復 | VS全体 | 表示崩れ系に効くことがある |
| 高 | devenv /ResetSettings で設定初期化 | ユーザー設定破損の復旧 | ユーザー設定 | 設定のエクスポートを推奨 |
| 中 | 拡張機能を一時停止(Safe Mode)→原因の特定 | 拡張機能による表示崩れを排除 | 拡張機能 | UI/テーマ系から疑う |
| 中 | ツールボックスのリセット/キャッシュ削除 | ツールボックス関連キャッシュの再生成 | ユーザーキャッシュ | 復旧率が高い“次の一手” |
| 低 | 必要に応じて再インストール | 上記で直らない場合の最終手段 | VS全体 | 最小構成で再発するか確認 |
迷ったときの進め方:最短で復旧するための手順
「何からやればいいか分からない」「業務中で遠回りしたくない」という場合は、次の順番に進めると、原因の切り分けと復旧を同時に進められます。特に更新→Repair→ResetSettingsは、試行回数が少なく効果も出やすい王道ルートです。
| ステップ | やること | 成功したら | 失敗(改善なし)なら次 |
|---|---|---|---|
| 1 | Visual Studio 2019を更新 | そのまま運用継続 | Repairへ |
| 2 | InstallerでRepair | そのまま運用継続 | ResetSettingsへ |
| 3 | devenv /ResetSettings | 必要なら設定を再調整 | Safe Modeで切り分けへ |
| 4 | devenv /SafeMode で確認 | 拡張機能が原因の可能性大 | キャッシュ削除へ |
| 5 | Reset Toolbox/ComponentModelCache削除 | そのまま運用継続 | ワークロード見直し/再インストールへ |
対処法:Visual Studio 2019を更新する
まずは、Visual Studio InstallerからVisual Studio 2019を最新の更新プログラムへアップデートします。Visual Studio 2019は16.11系が安定運用の中心で、環境の整合性を取り戻すうえでも更新は最初に行うのが安全です。
- Visual Studio Installerを起動
- 対象の「Visual Studio 2019」を選択
- 更新(Update)が表示されていれば実行
「最近まで正常だったのに急におかしくなった」という場合でも、Windows UpdateやSDK更新、拡張機能更新などと組み合わさって表示崩れが顕在化することがあります。まずはVS本体を最新状態にして、土台を揃えます。
対処法:Repair(修復)を実行する
更新しても直らない、または更新できない場合は、Visual Studio InstallerのRepair(修復)が次に強力です。アイコン入れ替わりのような「本来起きない表示崩れ」は、パッケージの欠損や不整合が絡んでいる可能性があるため、Repairが刺さることがあります。
- Visual Studio Installerを起動
- 対象のVS → More → Repair
- 完了後、PC再起動(推奨)→ VS起動して確認
Repairは、VSの主要コンポーネントを再検証して欠損を補います。設定を大きく壊さずに直せることが多いため、導入しやすい手順です。
対処法:設定を初期化して既定に戻す(devenv /ResetSettings)
「ツールボックスのアイコンが入れ替わる」という症状は、ユーザー設定やキャッシュが壊れている場合にも起こり得ます。そこで、VSの環境設定をリセットして既定の状態へ戻します。
事前に推奨:現在の設定をエクスポート
リセットすると、フォント、配色、キーバインド、ウィンドウレイアウト等も既定に戻ります。困りそうなら、先に設定をエクスポートしておくと安心です。
- Tools → Import and Export Settings… → Export selected environment settings
リセット手順
「Developer Command Prompt for VS 2019」を起動し、次を実行します(Visual Studioは閉じてから行います)。
devenv /ResetSettings
完了後、Visual Studioを起動してツールボックスを確認します。これで直る場合は、原因はほぼ「設定破損」または「設定とキャッシュの不整合」です。
ResetSettingsで戻るもの/戻らないもの
ResetSettingsをためらう理由は「何が消えるの?」が分かりにくい点にあります。おおまかには次の通りです(詳細は利用状況で異なります)。
| 分類 | 主な例 | ResetSettingsの影響 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 見た目・操作感 | テーマ、フォント、ウィンドウ配置、キーバインド | 既定に戻りやすい | 事前に設定をエクスポート/後で再調整 |
| 拡張機能 | インストール済み拡張機能そのもの | 基本的に消えない | 不具合切り分けはSafe Modeで |
| プロジェクト内容 | ソースコード、ソリューション、Git履歴 | 影響なし | 不要(操作不要) |
| コマンド | 用途 | どういう時に使うか |
|---|---|---|
devenv /ResetSettings | 環境設定を既定に戻す | UIやツールボックス表示が壊れている/設定破損が疑わしい |
devenv /SafeMode | 拡張機能を読み込まず起動 | 拡張機能の影響を切り分けたい |
devenv /ResetSkipPkgs | スキップされたパッケージ情報をリセット | 拡張機能やパッケージ読み込み失敗が疑わしい |
対処法:拡張機能の影響を排除する(Safe Modeで起動)
ツールボックス周りは、デザイナー・エディター拡張、テーマ変更、UI強化系などの拡張機能の影響を受けることがあります。まずは「拡張機能が関係しているか」を最短で切り分けましょう。
Safe Modeで起動
devenv /SafeMode
Safe Modeで起動すると、サードパーティ拡張機能の読み込みを抑制した状態でVSが立ち上がります。この状態でアイコンが正常に戻るなら、拡張機能が原因(または相性問題)である可能性が高いです。
拡張機能の無効化・アンインストール手順
- Extensions → Manage Extensions → Installed
- 疑わしい拡張機能から Disable(または Uninstall)
- 再起動してツールボックスを確認
ポイントは、一気に全部消さず「UI/テーマ/デザイナー系」から優先して外すことです。原因になりやすいカテゴリを優先することで、復旧までの試行回数を減らせます。
| 拡張機能のタイプ | 疑う理由 | 確認のコツ |
|---|---|---|
| テーマ・配色・アイコン変更系 | アイコンライブラリの差し替えやキャッシュ再構築に影響しやすい | 無効化→再起動で即変化が出やすい |
| フォームデザイナー支援系 | Toolbox/Designerの生成や読み込みに介入する可能性 | WinForms/WPFで症状が変わるか確認 |
| 生産性ツール系(UI拡張) | ウィンドウやツールの描画に影響する場合がある | Safe Modeで再現しないなら要注意 |
対処法:ツールボックスをリセットする(VS上の操作)
表示がおかしいのがツールボックス周辺に限られているなら、まずはVSのUI操作でリセットを試します。安全で、効果が出ることもあります。
- ツールボックス上で右クリック
- Reset Toolbox(ツールボックスのリセット)を実行
ツールボックスが再構築され、アイコン表示も再読み込みされます。ここで直る場合は、ツールボックスの項目定義やキャッシュの軽微な破損が疑われます。
対処法:キャッシュを削除して再生成する
設定リセットや拡張機能無効化でも直らない場合、ユーザーキャッシュが壊れている可能性があります。Visual Studioは内部で多くのキャッシュ(コンポーネント構成、拡張機能の構成、ツールボックス定義、画像リソースなど)を持っており、これが破損すると「通常起きない表示崩れ」が発生することがあります。
手順はシンプルで、Visual Studioを終了した状態で、対象フォルダーを削除(または退避)し、再起動して再生成させます。
| 対象 | 場所(例) | 役割 | 手順 | 注意 |
|---|---|---|---|---|
| ComponentModelCache | %LOCALAPPDATA%\Microsoft\VisualStudio\16.0_*\ComponentModelCache | 拡張機能やコンポーネント構成のキャッシュ | フォルダーごと削除→VS起動で自動再生成 | 初回起動が重く感じることがある |
| Toolboxキャッシュ | %LOCALAPPDATA%\Microsoft\VisualStudio\16.0_*\Toolbox.tbd など | ツールボックス項目・アイコン関連のキャッシュ | 該当ファイルを削除→VS起動で再生成 | 環境によりファイル名が異なる場合あり |
| ソリューション固有キャッシュ | ソリューション直下の .vs フォルダー | IntelliSenseやデザイナー周辺のキャッシュ | .vs を削除→再オープン | ソリューションを閉じてから実施 |
キャッシュ削除を安全に行う具体手順
パスが分かりづらい場合は、エクスプローラーのアドレスバーに%LOCALAPPDATA%と入力して移動すると確実です(ユーザーごとのローカル設定フォルダーに移動します)。そこから Microsoft\VisualStudio\16.0_*** のようなフォルダーを探します。
- Visual Studioを完全に終了(タスクマネージャーで devenv.exe が残っていないことを確認)
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\VisualStudio\16.0_*\を開くComponentModelCacheフォルダーを削除(不安ならリネームして退避)Toolbox.tbd(存在する場合)を削除- Visual Studioを起動し、ツールボックスを確認(初回は再構築で少し時間がかかることがあります)
キャッシュ削除は「壊れた状態を捨てて作り直す」アプローチです。原因が不明な表示崩れに対して非常に有効で、RepairやResetSettingsで直らない場合の現実解になりやすいです。
対処法:新規プロジェクトで表示を確認する(プロジェクト固有の問題を切り分け)
症状が特定ソリューションでのみ起きる場合、VS全体ではなくプロジェクト側のキャッシュが原因の可能性があります。次の観点で切り分けると、無駄な全体修復を避けられます。
- 同じマシン・同じVSで、新規のWinFormsプロジェクトでは正常か
- 問題のソリューションで、
.vsを削除すると改善するか - ソリューションを別フォルダーへコピーして開くと改善するか(パス依存の不整合を疑う)
プロジェクト固有なら、まずは「.vs削除」「bin/obj削除」「デザイナー関連の再生成」から着手するのが安全です。ツールボックスの表示崩れは、プロジェクトの状態が引き金になっているだけで、根はキャッシュということも少なくありません。
ツールボックスが空になる・項目が欠ける場合の補足
Reset Toolboxやキャッシュ削除の直後、一時的にツールボックスが空に見えたり、想定より項目が少なく見えることがあります。多くは再構築が進むと戻りますが、戻らない場合は次を試します。
- ツールボックスを右クリック → Reset Toolbox をもう一度実行
- デザイナー(Form1.cs[Design] など)を開き直す
- 必要に応じて「Choose Toolbox Items…」で項目が有効になっているか確認
「アイコンが入れ替わる」症状と同様に、ツールボックスはキャッシュの影響を受けます。焦って再インストールに進む前に、まずは再構築のタイミングを見てください。
それでも直らない場合の選択肢
ここまでの手順で多くは改善しますが、まれに環境の深いところ(SDK、.NETターゲティングパック、コンポーネント登録、企業端末の制限、プロファイル破損)に問題があると、症状が残ることがあります。その場合は次の順で検討します。
| 選択肢 | やること | 向いているケース |
|---|---|---|
| 別ユーザーで検証 | Windowsの別ユーザーでVSを起動して症状確認 | ユーザー設定の破損が濃厚なとき |
| ワークロードの見直し | Visual Studio Installerで「.NET デスクトップ開発」など必要ワークロードを再チェック | 関連コンポーネント不足・不整合が疑われるとき |
| ログを取って原因候補を絞る | devenv /log で起動し、ActivityLog.xmlのエラーを確認 | 拡張機能やパッケージの読み込み失敗が疑われるとき |
| クリーン再インストール | アンインストール→再起動→再インストール(設定の持ち込みは最小化) | Repairでも直らず、環境全体が不安定なとき |
再インストールに進む前に、拡張機能や設定の持ち込みが原因になっていないかを見直すのがコツです。設定をエクスポートしていても、まずは最小構成で正常表示になるかを確認し、問題が再発するタイミング(設定インポート後/拡張機能導入後)を特定すると再発防止に繋がります。
なぜアイコンだけが入れ替わるのか:原因の考え方
原因が断定されないことが多いのは、この症状が「単一原因」ではなく、いくつかの環境要因で起こり得るためです。技術的には次のようなメカニズムが関係しやすいです。
- ツールボックス項目のキャッシュ破損:ツールボックスは表示を高速化するため、項目やアイコン情報をキャッシュします。ここが壊れると、型とアイコンの対応がずれて表示されることがあります。
- コンポーネント構成キャッシュの不整合:拡張機能やデザイナー周りの構成情報が壊れると、UIの一部が想定外の状態で初期化されることがあります。
- 拡張機能の介入:テーマ・アイコン差し替え・デザイナー支援が、画像リソースやツールボックス生成に影響することがあります。
- インストールの不整合:SDKやターゲティングパック、VSパッケージの不整合があると、デザイナー関連の読み込みが不安定になることがあります。
つまり、「なぜ起きたか」を一発で断定するのは難しくても、更新→修復→設定リセット→拡張機能排除→キャッシュ再生成という順番で潰していけば、原因を含めて現実的に復旧できます。
よくある質問
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| アイコンが入れ替わっていると、実際の動作にも不具合がありますか? | 多くは表示だけの問題で、配置されるコントロールやビルド結果は正常です。ただし環境破損のサインでもあるため、早めに更新・Repair・キャッシュ再生成まで進めるのがおすすめです。 |
| ResetSettingsをすると設定が全部消えるのが不安です。 | 見た目や操作感(テーマ、フォント、キーバインド、レイアウト)が既定に戻りやすい一方、ソースコードやプロジェクト自体が消えることはありません。事前に設定をエクスポートしておくと安心です。 |
| Safe Modeで直る場合、何から疑えばいいですか? | まずはテーマ・アイコン差し替え・デザイナー支援など「UIに触る拡張機能」から無効化し、再起動で再現しない状態を作ります。そのうえで1つずつ戻して原因を特定すると再発を防げます。 |
| キャッシュ削除でファイルが見つかりません。 | フォルダー名は環境により変わることがあります。まずは%LOCALAPPDATA%\Microsoft\VisualStudio配下に16.0で始まるフォルダーがあるかを確認し、見つからない場合はインストールユーザーやプロファイルの違い(別ユーザーでの実行等)を疑ってください。 |
再発を減らすための運用ポイント
- Visual Studio Installerで、定期的に更新を適用する(特に16.11系)
- 拡張機能は「必須だけ」に絞り、UI/テーマ系は慎重に導入する
- 大きな更新前に設定をエクスポートしておく(不調時に戻せる)
- 症状が出たら、まずSafe Modeで切り分けて原因を早く絞る
ツールボックスのアイコン入れ替わりは、致命的エラーではない一方で「環境がどこか壊れているサイン」でもあります。表示だけで済んでいるうちに、上記の復旧手順で早めに整合性を取り戻しておくのがおすすめです。

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