Visual Studio 2026 July Updateで新Copilot Agentと内蔵スキルを有効化する方法

Visual Studio 2026 July Updateで新しいCopilot Agentを使うには、Visual Studioを18.8.0以降へ更新し、GitHub Copilot Chat下部のAgent pickerから「Agent (Preview)」を選択します。

一方、.NETやAzure向けの内蔵スキルは、Agentとは別にCopilot Chatのtool pickerから有効化します。内蔵スキルは既定でオフになっており、対応する.NETまたはAzureワークロードがインストールされていなければ表示されません。

また、「GitHub Copilot SDKで動いている」という説明は、Visual Studio利用者がSDKを別途インストールするという意味ではありません。Visual Studio上でAgentを使うだけなら、NuGetやnpmからCopilot SDKを追加する必要はありません。(Microsoft for Developers)

目次

Agent pickerとtool pickerの違い

今回のアップデートで混乱しやすいのが、Agentと内蔵スキルを選択する場所が異なる点です。

項目選択する場所既定の状態主な条件
Agent (Preview)Copilot Chat下部のAgent picker選択して使用Visual Studio 18.8.0以降
.NET/Azure内蔵スキルCopilot Chatのtool picker内にある「Built-in」オフ対応ワークロードのインストール
組織レベルのカスタム指示GitHub組織側で設定対象リポジトリでは自動適用GitHub Organization所属リポジトリ

Agent pickerはCopilotの動作モードを選ぶ場所、tool pickerはAgentに利用させるスキルやツールを選ぶ場所と考えると分かりやすくなります。

GitHubの案内では、新しいAgentと内蔵スキルは各Copilotプランで利用でき、組織レベルのカスタム指示はGitHub Copilot BusinessまたはEnterpriseが必要とされています。(The GitHub Blog)

Visual Studio 2026をJuly Updateへ更新する

新しいAgentがAgent pickerに表示されない場合、最初にVisual Studioのバージョンを確認します。

July Updateの機能更新はVisual Studio 2026バージョン18.8.0として2026年7月14日に公開されました。その後、修正を含む18.8.1、18.8.2も公開されています。新機能を利用するための基準は18.8.0以降ですが、実際には利用可能な最新の18.8.xへ更新するのが安全です。(Microsoft Learn)

現在のバージョンを確認する

Visual Studioで次の順に開きます。

  1. ヘルプ
  2. Microsoft Visual Studio のバージョン情報
  3. 表示された製品バージョンを確認する

製品バージョンが18.7以前であれば、July Updateの新しいAgentや内蔵スキルは表示されません。

Visual Studio 2026では、Stable Channelのバージョン番号が「18.マイナーバージョン.サービス更新番号」という形式で表示されます。利用中のチャネルも同じ画面で確認できます。(Microsoft Learn)

Visual Studioを更新する

Visual Studioを起動できる場合は、次の操作で更新を確認できます。

  1. ヘルプ
  2. 更新プログラムの確認
  3. 更新が表示されたら更新を選択
  4. 更新完了後にVisual Studioを再起動

Visual Studio Installerから更新する場合は、Windowsのスタートメニューで「Visual Studio Installer」を検索し、対象のVisual Studio 2026に表示される更新を選択します。(Microsoft Learn)

今回のAgentはStable Channelに含まれているため、Agentを使うだけならInsiders Channelへ切り替える必要はありません。ただし、組織で更新元や更新チャネルが管理されている場合は、管理者側の配布設定によって更新が表示されないことがあります。(Microsoft for Developers)

GitHub Copilotがインストールされているか確認する

Visual Studioが新しくても、GitHub CopilotコンポーネントがインストールされていなければCopilot Chatは利用できません。

Visual Studio Installerで確認する

  1. Visual Studio Installerを起動する
  2. Visual Studio 2026の変更を選択する
  3. インストール済みのワークロードを選択する
  4. オプションコンポーネントにあるGitHub Copilotを確認する
  5. 未選択の場合はチェックを入れて変更を実行する

Visual Studioの右上にあるCopilotバッジからInstall Copilotが表示される場合も、Copilotコンポーネントがインストールされていない状態です。(Microsoft Learn)

GitHubアカウントの状態を確認する

Copilotバッジが「非アクティブ」になっている場合は、次の項目を確認します。

  • Visual StudioにGitHubアカウントでサインインしているか
  • Copilotを利用できるGitHubアカウントがアクティブになっているか
  • 複数のGitHubアカウントを登録している場合、正しいアカウントが選択されているか
  • GitHubの資格情報が期限切れになっていないか
  • 組織の管理者によってCopilotが無効化されていないか

CopilotバッジのメニューにRefresh your GitHub credentialsなどの項目が表示される場合は、認証情報を更新してからVisual Studioへ再度サインインします。(Microsoft Learn)

新しいCopilot Agentを有効にする手順

Visual Studioの更新とCopilotへのサインインが完了したら、Agentを選択します。

  1. Visual Studioで対象のソリューションを開く
  2. GitHub Copilot Chatを開く
  3. Chatウィンドウ下部のAgent pickerをクリックする
  4. Agent (Preview)を選択する
  5. Copilot Chatへ作業内容を入力する

これだけで新しいAgentへ切り替わります。設定画面でプレビュー機能をオンにしたり、Visual Studioを再起動したりする操作は通常必要ありません。(Microsoft Learn)

GitHub Copilot SDKをインストールする必要はない

新しいAgentは、GitHub Copilot CLIと同じGitHub Copilot SDKを基盤として構築されています。

ただし、これは内部の実行基盤に関する説明です。Visual StudioでAgentを利用するだけなら、次のようなSDKパッケージをプロジェクトへ追加する必要はありません。

GitHub.Copilot.SDK
@github/copilot-sdk
github-copilot-sdk

これらのSDKは、CopilotのAgent機能を独自のアプリケーションやサービスへ組み込みたい開発者向けです。SDKでは計画、ツール呼び出し、ファイル編集、複数ターンのセッションなどをプログラムから扱えます。(The GitHub Blog)

Agentに渡す指示の具体例

新しいAgentは、機能追加、バグ修正、リファクタリングなど、複数工程を伴う作業に向いています。

例えば、次のように目的、制約、完了条件をまとめて渡します。

このソリューションで発生しているnullable参照型の警告を調査してください。

条件:
- 公開APIのシグネチャは変更しない
- 警告を無効化するpragmaは使用しない
- 変更後にソリューションをビルドする
- 変更したファイルと変更理由を最後に整理する

単に「警告を直して」と入力するよりも、変更してよい範囲と検証方法を明示した方が、不要な変更を抑えやすくなります。

ただし、Agentが生成した変更は必ず差分で確認してください。プレビュー機能であるため、ビルド成功だけでなく、テスト結果、例外処理、認証・認可、外部公開APIへの影響まで人が確認する必要があります。

.NETとAzureの内蔵スキルを有効にする方法

内蔵スキルは、Agentを選択しただけでは自動的に有効になりません。対応ワークロードのインストールと、tool pickerでの有効化が必要です。

対応するワークロードをインストールする

内蔵スキルが表示される条件は、Visual Studioに対応する.NETまたはAzureワークロードがインストールされていることです。

  1. Visual Studio Installerを起動する
  2. Visual Studio 2026の変更を選択する
  3. ワークロードタブを開く
  4. 開発対象に対応する.NETまたはAzureワークロードを選択する
  5. 変更を実行する
  6. 完了後にVisual Studioを再起動する

例えば、Azure関連の内蔵スキルを利用したいのに、ローカルのC++開発環境しかインストールされていない場合、Azureスキルはtool pickerに表示されません。

内蔵スキルはVisual Studio本体へ一律に付属するのではなく、インストール済みワークロードと連動して表示されます。(Microsoft Learn)

tool pickerからスキルを有効化する

対応ワークロードをインストールしたら、Copilot Chatで次の操作を行います。

  1. GitHub Copilot Chatを開く
  2. Chatの入力欄付近からtool pickerを開く
  3. Built-inカテゴリーを開く
  4. 利用したいスキルへマウスポインターを合わせる
  5. 説明と保存先パスを確認する
  6. 必要なスキルを選択して有効化する

各スキルの三点メニューから、スキルの全文や保存フォルダーを開くこともできます。利用前に内容を確認できるため、Agentへどのような専門知識や手順が追加されるのかを把握してから有効化できます。(Microsoft Learn)

内蔵スキルが既定でオフになっている理由

内蔵スキルは、ユーザーが必要なものだけを選択できるように既定でオフになっています。

すべてを無条件に有効化するのではなく、作業単位で選ぶ運用が適しています。

作業内容有効化を検討する分野
.NETプロジェクトの更新.NETアップグレード、MSBuild
ビルドエラーの調査MSBuild、NuGet、診断
単体テストの追加・移行.NETテスト
Entity Frameworkの修正.NETデータアクセス
ASP.NET Coreの実装ASP.NET Core
Azureへのデプロイ準備Azure準備、検証、デプロイ
Azure障害の調査Azure診断、Application Insights
クラウドコストの確認Azureコスト、コンピューティング
権限設計の確認Azure RBAC、Entra関連

公開されている.NETスキル群には、MSBuild、NuGet、テスト、データアクセス、ASP.NET Core、アップグレードなどの領域があります。Azureスキル群には、デプロイ準備、検証、診断、コスト、RBAC、ストレージ、AI関連などが含まれます。実際にVisual Studioへ搭載される名称や範囲は更新で変わる可能性があるため、tool pickerに表示された一覧を基準にしてください。(GitHub)

Visual Studioの新Copilot Agentが見つからないときの確認項目

Agentや内蔵スキルが表示されない場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。

症状主な原因対処方法
Agent pickerにAgent (Preview)がないVisual Studioが18.8未満18.8.0以降へ更新する
GitHub Copilot Chat自体がないCopilot未インストールVisual Studio InstallerでGitHub Copilotを追加する
Copilotが非アクティブGitHubアカウントや契約の問題Copilotを利用できるアカウントで再サインインする
Built-inカテゴリーがない対応ワークロードがないVisual Studio Installerで.NETまたはAzureワークロードを追加する
スキルは表示されるが使われないスキルが既定オフtool pickerで対象スキルを有効化する
更新が表示されない組織の更新チャネル管理Visual Studio管理者へ確認する
Copilotが利用不可と表示されるネットワークやサービス接続の問題Copilotバッジからトラブルシューティングを開く
組織カスタム指示が表示されない個人所有リポジトリ、未設定、対象外プランリポジトリ所有者とGitHub組織設定を確認する

特に多いのは、Visual Studio本体だけを更新して、対応ワークロードを追加していないケースです。Agentが見つからない問題と、内蔵スキルが見つからない問題は分けて確認してください。(Microsoft Learn)

組織レベルのカスタム指示は「ポリシー」ではない

Visual Studio 2026 July Updateでは、GitHub組織のカスタム指示をCopilotの応答へ反映できるようになりました。

対象のGitHub Organizationに所属するリポジトリで作業すると、組織レベルの指示が自動的に適用されます。適用された指示はCopilotの参照一覧に表示され、内容を開いて確認できます。(Microsoft Learn)

組織所有者は、GitHubの組織設定にあるCopilotからCustom instructionsを開き、自然言語で共通指示を登録できます。この機能の管理にはGitHub Copilot BusinessまたはGitHub Copilot Enterpriseが必要です。(GitHub Docs)

組織カスタム指示に向いている内容

組織カスタム指示には、次のような共通方針が適しています。

  • 応答や説明に使用する言語
  • コードレビュー時に確認する観点
  • 推奨するライブラリやフレームワーク
  • 生成コードに求めるコメント方針
  • セキュリティ関連の質問で参照すべき社内資料
  • テストコードを生成するときの基本方針

例えば、次のような指示です。

回答は日本語で記述してください。
公開APIを変更する場合は、互換性への影響を説明してください。
コード変更後は、実行すべきテストを提示してください。

強制ルールには使用しない

Microsoftは、組織レベルのカスタム指示を「設定や好みを伝えるもの」と位置付けており、ポリシーを強制する仕組みには適さないと説明しています。また、AIの応答は非決定的であり、カスタム指示が毎回まったく同じ形で守られるとは限りません。(Microsoft Learn)

そのため、次のような要件をカスタム指示だけに任せてはいけません。

  • 脆弱性のあるコードを絶対にマージさせない
  • 必ず特定の承認者を通す
  • テストに失敗した変更をデプロイさせない
  • ライセンス違反の依存関係を禁止する
  • 機密情報のコミットを完全に防止する

これらは、ブランチ保護、必須レビュー、CI/CD、静的解析、シークレットスキャン、依存関係チェックなど、実際に処理を停止できる仕組みで強制します。カスタム指示は、それらを補助する「Copilotへの共通ガイド」として使うのが適切です。

組織カスタム指示を無効化する

組織の指示と個人・リポジトリ側の指示が競合する場合は、Visual Studioで一時的に無効化できます。

  1. ツール
  2. オプション
  3. GitHub
  4. Copilot
  5. Copilot Chat
  6. Enable organization-level custom instructionsのチェックを外す

組織レベルの指示は対象リポジトリで自動適用されますが、Visual Studio利用者が無効化できるため、この点からも強制ポリシーではないことが分かります。(Microsoft for Developers)

リポジトリ固有のルールは別に用意する

特定プロジェクトだけに適用したいルールは、組織カスタム指示ではなくリポジトリのカスタム指示へ分けます。

Visual Studioでは、主に次の形式を利用できます。

.github/copilot-instructions.md
.github/instructions/任意の名前.instructions.md

copilot-instructions.mdはリポジトリ全体に適用し、.instructions.mdはパスやファイル種類ごとに指示を分ける場合に利用します。(GitHub Docs)

役割分担は次のようにすると管理しやすくなります。

設定場所適した内容
組織カスタム指示全社共通の言語、説明方針、基本原則
リポジトリ全体の指示使用フレームワーク、ビルド方法、共通コーディング規約
パス固有の指示API、テスト、インフラなど領域別のルール
CIやリポジトリルール必ず守らせるセキュリティ・品質要件

同じ内容を複数階層へ重複して書くと、指示が競合して応答が不安定になりやすくなります。組織には最小限の共通原則を置き、具体的な実装ルールはリポジトリ側へ寄せるのが実務的です。

まず小さな修正で動作を確認する

新しいAgentと内蔵スキルを有効にした後は、いきなり大規模な移行を任せるのではなく、小さな作業で確認します。

おすすめの確認手順は次のとおりです。

  1. Visual Studioを18.8.0以降へ更新する
  2. Copilotがアクティブであることを確認する
  3. Agent pickerからAgent (Preview)を選ぶ
  4. 必要な.NETまたはAzureワークロードを追加する
  5. tool pickerのBuilt-inから必要なスキルだけを有効化する
  6. 警告修正や小規模なテスト追加を依頼する
  7. 変更差分、ビルド、テスト結果を確認する
  8. 組織カスタム指示が参照一覧へ表示されるか確認する

新しいAgentが見つからないときはVisual StudioのバージョンとCopilotの状態を確認し、内蔵スキルが見つからないときはワークロードとtool pickerを確認します。この2つを切り分けることが、最短で利用を開始するポイントです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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