Windows Server 2022で遭遇するオフラインWSUSインポート失敗の対処法

Windows Server 2022でWSUSを運用していると、オフライン環境での更新プログラムの取り込みがスムーズに進まないケースがあります。特にWSUSUtil.exeによるインポート中にエラーが発生してしまうと、何度リトライしても最後まで反映されずに困ってしまうことも少なくありません。そこで今回は、オフラインWSUSインポートが失敗する代表的な原因や対処法を詳しく解説します。

目次

Windows Server 2022のオフラインWSUSインポートで発生する問題の概要

Windows Server 2022 Datacenterなどの環境でWSUSを構築している場合、インターネットに直接接続できないサーバーに対しては「オフラインインポート」を用いた更新プログラム適用が一般的です。しかし、WSUSUtil.exeコマンドを実行して更新プログラムを取り込む際に、途中までは正常に進んでも以下のようなエラーメッセージが表示されてインポートが中断してしまうことがあります。

Fatal error: Unexpected end of file has occurred. The following elements are not closed: metadata, update, updates, ExportPackage.
Line 936, position -468865691

このエラーが発生すると、正常にインポートが完了しないため、サーバー側の更新プログラムが最新状態にならず、セキュリティ上のリスクや運用面での不都合が生じます。再度コマンドを実行しても同じ箇所で停止し、うまくいかないケースも多数報告されています。

代表的な症状

  • オフラインインポート途中での強制終了
  • ログファイル上に「Unexpected end of file has occurred」と表示
  • 取り込み済みの更新プログラムは一部のみ(最後まで取り込まれない)
  • リトライしても同様のエラーが発生し、改善しない

原因の切り分けやトラブルシューティングがうまく進まない場合には、Microsoftの公式フォーラムやQ&Aを活用することで、より専門的な知見を得ることが可能です。

WSUSフォーラムでの案内とMicrosoft Q&Aフォーラムの活用

同様の問題が世界中で複数報告されているものの、WSUS関連のエラーは環境依存が大きく、原因特定が難しいケースも多いとされています。WSUSの専門家はMicrosoftのQ&Aフォーラムに多く集まっているため、以下のサイトを活用するのがおすすめです。
Microsoft Q&Aフォーラム

質問投稿の際には、以下の情報を添えるとスムーズに回答が得られやすくなります。

  • Windows Serverのバージョン(エディションやビルド番号を含む)
  • WSUSサーバーのバージョン(KB適用状況なども含む)
  • インポートで使用しているCABファイルやGZファイルの入手元やファイルサイズ
  • ログファイルの内容や該当エラーが発生した行数・状況
  • ディスク容量、ネットワーク経路、ローカルストレージ構成

これらの情報が詳細であればあるほど、有用なアドバイスを得られる可能性が高まります。

オフラインWSUSインポート失敗の主な原因と対策

WSUSUtil.exeコマンドによるオフラインインポート失敗には複数の要因が考えられます。以下では、一般的に見られる原因と、それぞれに対するチェックポイントや改善策を紹介します。

1. インポートに使用しているファイルの破損

インポートに必要なCABファイルやGZファイル、ログファイルなどが正しくダウンロードされていない場合、読み取り時にファイルの終端が破損していると認識され、エラーが発生しやすくなります。

チェックポイントと対策

  • ファイルサイズやハッシュ値の検証
    公式から配布されている更新プログラムのハッシュ値と一致するか確認します。
    例として、Windows環境であれば以下のようにPowerShellでSHA-256ハッシュ値を取得できます。
  certutil -hashfile .\UpdateFile.cab SHA256

ハッシュ値が公式情報と異なる場合は再ダウンロードが必要です。

  • ネットワークの品質チェック
    ダウンロード時にパケットロスが発生していないか、ファイアウォールやプロキシの影響を受けていないかを確認します。
  • ファイルの解凍エラー
    GZ形式で圧縮されている場合は、解凍ツールのバージョンを最新に保ち、解凍ログにエラーがないか確かめましょう。

2. WSUSバージョンとサーバーの互換性

Windows Server 2022に対応しているWSUSは、一般的にはWSUS 10.0以降が必要とされます。特定の累積更新プログラムやサービススタック更新プログラムを適用していないと、オフラインインポート時に問題が生じるケースがあります。

チェックポイントと対策

  • WSUSサーバーのバージョン確認
    サーバー管理ツールや「プログラムと機能」からWSUSのバージョンを確認し、必須の更新プログラム(KB)を適用しているか検証します。
  • Windows Server 2022の最新修正パッチ適用
    Server 2022自身が最新の状態でない場合、WSUSとの連携で不具合が起きることもあります。Windows Updateカタログなどからオフラインで適用可能な更新を取得し、まずはサーバーOSを最新化しましょう。
  • .NET FrameworkやIISのバージョン確認
    WSUSはIISや.NET Frameworkに依存しているため、これらのコンポーネントのバージョンが古いと予期せぬエラーが出る可能性があります。適宜アップデートしましょう。

3. ディスク容量やネットワーク経路の問題

オフラインインポートといえども、CABやGZファイルが内部で解凍・展開される際には一時的なディスク容量が必要です。また、インポート元のサーバーやUSBストレージ、ネットワークドライブを経由している場合、その経路でデータ破損が起きることも考えられます。

チェックポイントと対策

  • ディスク空き容量の確保
    WSUSのストアディレクトリや一時作業用ディレクトリに十分な空き容量があるか確認します。特に大規模環境では数GB以上の余裕が必要となることもあります。
  • ローカルパスでのインポート推奨
    可能であれば、WSUSサーバーのローカルディスク上にCABファイル等を配置してからインポートを行いましょう。ネットワークドライブ越しでの読み込みはエラー発生リスクが高まります。
  • USBメモリや外部ストレージのエラーチェック
    オフライン環境で利用するUSBメモリが故障していたりフォーマット不良だと、ファイル破損が高確率で起きます。別のストレージを試したり、事前にエラーチェックを実施しておきましょう。

4. インポート手順や実行コマンドの問題

WSUSUtil.exeによるインポートはコマンドの構文や引数に注意する必要があります。誤ったオプション指定やログファイルパスの設定ミスが原因でエラーを引き起こすこともあります。

チェックポイントと対策

  • 公式ドキュメント通りの構文を使う
    一般的に以下のコマンドを用います。
  wsusutil import <PathToCABFile> <PathToLogFile>

必要に応じてフルパスを指定し、パスにスペースが含まれる場合はダブルクォーテーションで囲みましょう。

  • ログファイルの保存場所を明確に
    ログファイルを保存するディレクトリに書き込み権限があるか、ファイルパスが存在するかを検証してください。
  • 実行権限の確保
    コマンドプロンプトやPowerShellを管理者権限で起動しないと、WSUSUtil.exeが正常に動作しない場合があります。必ずAdministrator権限を使用しましょう。
  • WSUSUtil.exeのバージョン整合性
    古いWSUSUtil.exeを別のサーバーからコピーして使っているなどのケースではエラーが起きやすくなります。正しいバージョンのWSUSUtil.exeを利用してください。

トラブルシューティング手順を体系化する

オフラインインポートの失敗が頻発する場合は、原因を体系的に洗い出すことで対処がスムーズになります。以下のような手順で進めると、問題箇所を絞り込みやすいでしょう。

手順内容チェックポイント
1. インポートファイル検証ファイルが正しくダウンロード・コピーされているかハッシュ値チェック、ファイルサイズ比較
2. サーバー側の更新状態Windows Server / WSUSのバージョンやパッチ適用状況必要なKB、サービススタック更新プログラム
3. ディスク・ネットワークストレージ容量や経路の安定性十分な空き容量の確保、ローカルパス利用
4. コマンド実行コマンドのパラメータや実行権限正しい構文、管理者権限、ログファイルの出力
5. ログ解析WSUSUtilのログやイベントビューアでエラーメッセージを確認エラー行、タイムスタンプ、イベントID

このように段階的にチェックすることで、一度に全てを見直す必要がなくなり、問題の切り分けが容易になります。

追加のヒントと実践的な対処例

より実践的な観点で、同様のトラブルを解消した事例から得られたノウハウをいくつか紹介します。

事例1:インポートファイルを複数回ダウンロードしても失敗

  • 原因: ダウンロード元のネットワーク環境が不安定で、特定サイズを超えるファイルが高頻度で破損していた。
  • 対策: 別のネットワーク回線を利用してファイルを取得し、USBメモリに格納してオフライン環境へ持ち込んだところ正常にインポート完了。

事例2:WSUSサーバー自体のデータベース不整合

  • 原因: 過去のアップデート適用中にデータベースエラーが起きており、メンテナンスがされていなかった。
  • 対策: SQL Server Management Studioを使ってWSUSデータベースをチェックし、エラーやインデックス再構築を実施。その後オフラインインポートが正常に動作するようになった。

事例3:WSUSUtil.exeのバージョンミスマッチ

  • 原因: 移行元の古いWSUSサーバー(Windows Server 2012 R2)からツールをコピーしていたため、Windows Server 2022と互換性がなかった。
  • 対策: Windows Server 2022にインストールされたWSUSのフォルダからWSUSUtil.exeを利用し、コマンドを実行したところエラーが解消。

Microsoft Q&Aフォーラムでの詳細情報提供の重要性

WSUSの不具合は環境依存要素が多く、一般的な対策だけでは解決に至らない場合もあります。以下の情報をフォーラムに投稿すると、より専門的な回答を得られる可能性が高まります。

  • ログファイルの実際の抜粋
    どの行数でエラーが起きているのかを示すログの断片が重要な手掛かりになります。
  • イベントビューア情報
    「アプリケーションとサービス ログ」→「Microsoft」→「Windows」→「WindowsUpdate」や「Server Manager」などのイベントログで併発しているエラーがないか確認しましょう。
  • WSUSコンソール上のステータス
    何が承認済みで、どれだけの更新が保留状態なのか。サーバー数やクライアント台数などボリュームも関係します。
  • ファイルの置き場所やアクセス権設定
    ネットワークドライブやNASを経由している場合には、その設定も開示するとトラブルの切り分けが早くなります。

まとめ:専門フォーラムを活用しつつ、段階的な検証を

オフラインWSUSインポートが失敗する原因は多岐にわたりますが、ファイルの破損、WSUSやサーバーOSのバージョン不備、ディスク容量不足、コマンド実行ミスなど、主なチェックポイントを押さえることで問題を解決できる可能性が高まります。特にWindows Server 2022におけるWSUS運用では、最新の修正プログラムの適用と整合性の取れたツールバージョンの利用が不可欠です。

問題が長引く場合は、Microsoftが提供するQ&Aフォーラムにログ情報や環境詳細を提示し、専門家のアドバイスを得るのが近道です。複数の視点から助言を得ることで、最終的な解決策が見つかりやすくなります。オフラインインポートはセキュリティ面やネットワーク状況の制約で重宝される方法ですので、安定した運用を実現するためにも、早めに適切な対処を行いましょう。

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