Windows 11 24H2 へ更新した直後から、Elgato Wave Link の仮想デバイス「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」が再生/録音デバイス一覧から忽然と消え、配信・録音・ボイスチャットのルーティングが崩れる――そんな相談が相次いでいます。本記事は最短復旧の手順から根本対策、運用のコツまでを一気にまとめた決定版です。
症状の全体像と何が起きているのか
Windows 11 24H2 では、オーディオ周りの表示ロジックが見直され、無効化されたエンドポイント(端点)や “存在しない” と判定されたデバイスが新しいサウンド UI では積極的に隠されるようになりました。その影響で、Wave Link が提供する2つの基幹仮想デバイス「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」が、アップデート直後に 一覧から消えたように見える 事象が発生します。一方で、Wave Link 内で個別に作成したチャンネル(Music、Game、Voice など)はアイテムとしては見えても、既定デバイスに設定できず、OBS・DAW・ゲーム・VC の音声ルートが組めなくなる――というのが典型的な症状です。
- 現れるもの:Wave Link 内部のチャンネル(Music, Game, SFX, Browser 等)
- 消えるもの:システム既定に設定すべき「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」
- 副作用:OBS はデバイス未検出・既定変更を検知できず、通話アプリはマイク・出力の切替に失敗
| 項目 | 23H2 | 24H2(更新直後) | ユーザー影響 |
|---|---|---|---|
| 「Wave Link Stream」表示 | ○(再生/録音 両方で見える) | ×(新UIでは非表示/灰色) | OBSやDAWでの出力先選択が不可 |
| 「Wave Link Headset」表示 | ○ | × | ゲーム音や通話音のモニタリング不可 |
| Wave Link の各チャンネル(Music 等) | ○(補助的) | △(見えるが既定にできない) | ルーティングの起点が作れない |
最速の復旧:レガシー「サウンド」から隠れた端点を再表示
もっとも手早く、成功率の高い方法です。新UIでは隠れる端点でも、従来の「サウンド」ダイアログでは一覧に出せます。
- Win + R を押し、mmsys.cpl と入力して Enter。従来の「サウンド」ダイアログを開きます。
- 「再生」タブの空白部分を右クリックし、「無効なデバイスの表示」 と 「切断されているデバイスの表示」 を有効にします。
- 一覧に 「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」 が現れたら、順に右クリック → 有効化 を選択。
- 既定のデバイス(緑のチェック)および 既定の通信デバイス(電話アイコン)を必要に応じて設定します。
- 同じ操作を「録音」タブでも実施してください。
この操作で、24H2 でも 23H2 と同様のルーティングを即座に再現できます。新UI(設定 → システム → サウンド)からは見えなくても、既定デバイスに設定しておけば OBS / DAW / 通話アプリは期待どおりに認識します。
既定デバイス/既定の通信デバイスの使い分け
| 種別 | 用途 | 推奨設定例(配信者) |
|---|---|---|
| 既定のデバイス | OS/アプリ全体の通常出力 | Wave Link Stream(配信用ミックス) |
| 既定の通信デバイス | VCアプリ(Discord/Teams 等)の通話系 | Wave Link Headset(自分のモニタ用) |
一覧に戻らない場合の追加対処
レガシー「サウンド」で表示を切り替えてもデバイス自体が出現しない場合は、仮想ドライバー層の破損や競合の可能性が高いです。以下を上から順に試してください。
クリーン再インストール(Wave Link / 仮想オーディオ)
- アプリと機能(設定 → アプリ)で Elgato Wave Link / Elgato Virtual Audio 関連をすべてアンインストール。
- デバイス マネージャー → 表示 → 非表示のデバイスの表示 を有効化。
「オーディオの入力および出力」「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」配下で Elgato/Wave Link を含む項目を右クリック → デバイスのアンインストール(可能なら「このデバイスのドライバーを削除」にチェック)。 - PC を 再起動。
- 最新版の Wave Link セットアップを 管理者として実行 し、完了後に再起動。
- 再度 mmsys.cpl から「無効なデバイスの表示」を有効にし、有効化 → 既定化 を実施。
セキュリティソフト・他のオーディオユーティリティの干渉を確認
- 常駐のセキュリティスイートを一時停止し、インストールや初期化に同梱されるドライバー生成処理がブロックされていないか確認。
- 他社の仮想ミキサー(例:他のループバック・仮想ケーブル)やサウンド最適化ツールが導入されている場合は、一時的に無効化またはアンインストールして切り分け。
- 競合を避けるため、再インストールの順序を 1) 競合ツールOFF → 2) Wave Link 導入 → 3) 競合ツール再評価 に固定。
Windows サービスの状態を確認
| サービス名 | 表示名 | 既定の状態 | 問題時の兆候 |
|---|---|---|---|
| Audiosrv | Windows Audio | 実行中(自動) | デバイスが全滅/テストトーン不可 |
| AudioEndpointBuilder | Windows Audio Endpoint Builder | 実行中(自動) | 端点だけが消える/既定化できない |
管理者 PowerShell(または管理者コマンド プロンプト)で安全に再起動する場合:
net stop audiosrv
net stop AudioEndpointBuilder
net start AudioEndpointBuilder
net start audiosrv
音が途切れるため、実行は配信や会議の合間に行ってください。
PowerShell で PnP デバイスの状態を素早く点検(任意)
インストールそのものができているか、デバイスの “存在” と “開始” の状態を確認します。
# 管理者 PowerShell
Get-PnpDevice -FriendlyName '*Wave Link*' | Format-Table -Auto
Get-PnpDevice -Class MEDIA | Where-Object FriendlyName -like '*Elgato*'
Status が OK 以外だったり、Problem 列に値が出る場合は再インストールや競合切り分けを優先します。
背景:24H2 の「非表示」仕様と Wave Link が影響を受ける理由
24H2 では新しいサウンド UI が、ユーザーの混乱を避ける目的で「無効」や「切断」状態の端点をデフォルトで隠す挙動を取りやすくなっています。Wave Link の仮想ドライバーは、アップデート過程で一時的に「無効」「切断」「存在しない(Not Present)」フラグのいずれかが立つことがあり、その瞬間に新UIでは不可視となります。レガシー「サウンド」は依然として一覧化のスコープが広いため、そこで可視化 → 有効化 → 既定化 することで迅速に実運用へ復帰できます。
なお、同様の “仮想端点が見えなくなる” 事例は他社の仮想ミキサーでも散見されます。根本的には OS の表示方針変更に沿って、ドライバー側の初期化手順や状態遷移のチューニング(アップデート対応)が必要で、Wave Link アプリの将来更新で改善される余地があります。
OBS・DAW・配信ソフト側の再設定ポイント
端点を復活させたあと、配信ツールや通話アプリが古い状態をキャッシュしていると音が流れません。以下を見直します。
- OBS: 設定 → 音声 → グローバル音声デバイス および各ソースの デバイス選択 を「Wave Link Stream」へ。モニタリングは Wave Link Headset を基準に。
- Discord/Teams: 出力デバイス=Wave Link Headset、入力デバイス=Wave Link のマイク(実機または仮想マイク)。
- DAW(Studio One / REAPER など): WASAPI/DirectSound の選択肢で Wave Link の端点を指名し直す。
- ゲーム: ゲーム内の既定出力を OS 既定に合わせる(必要なら Stream を直接指定)。
| アプリ | 出力(スピーカー) | 入力(マイク) | 備考 |
|---|---|---|---|
| OBS | Wave Link Stream | 音声トラック別に設定 | 配信に流すミックスの起点 |
| Discord/VC | Wave Link Headset | Wave Link マイク | 自分のモニタと通話を分離 |
| ゲーム | OS 既定(=Stream) | ― | 必要に応じ直接 Stream 指定 |
予防策:大型アップデート前後の運用ルーティン
24H2 に限らず、メジャーアップデート時の “端点消失” を避けるための実践的なルーティンを紹介します。
- Wave Link の構成をエクスポート:バックアップ/復元機能でプロファイルを保存。
- 仮想デバイスを一時無効化:アップデート直前に Wave Link を終了し、関連サービスを停止。
- アップデート完了後にクリーン再導入:管理者権限で最新版をインストール。
- mmsys.cpl で可視化と既定化:無効デバイスを表示→有効化→既定設定。
- 各アプリのデバイス再指定:OBS/VC/DAW/ゲームの順にテスト。
| タイミング | 実施項目 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 更新前 | 設定のエクスポート/競合ツール停止 | バックアップ作成済/起動時ツール最小化 |
| 更新直後 | mmsys.cpl で端点を再表示・既定化 | Stream/Headset が緑チェック |
| 更新後の運用 | OBS・VC を再設定、テスト録画 | テストトーン・テスト配信で音確認 |
切り分けフロー(困ったらこの順で)
[1] mmsys.cpl を開く
└─ 再生/録音タブで「無効なデバイスの表示」をオン
├─ Stream/Headset が見える → 有効化 → 既定化 → 完了
└─ 見えない
├─ Wave Link をクリーン再インストール
│ └─ 管理者で実行 → 再起動
├─ 競合ツールを停止(別仮想ミキサー等)
├─ Windows Audio/Endpoint Builder を再起動
├─ デバイス マネージャーでゴースト削除
└─ それでも不可 → OS 側の既知不具合の可能性
それでも出ない場合:システム健全性の確認
アップデート時の破損やキャッシュが原因の場合、システム整合性チェックが有効です。管理者コマンド プロンプトで以下を実行し、完了後に再起動します。
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
また、アプリのボリュームとデバイスの設定(サウンドの詳細設定)で過去のデバイスへの固定割り当てが残っていると新端点に切り替わらないケースがあります。カスタム割り当てを「既定」に戻してから、必要に応じて再割り当てしてください。
レジストリの観点(上級者向け・自己責任)
端点の可視性はレジストリの MMDevices ツリーに保存されます。安易な編集は推奨しませんが、バックアップ前提で観察することはできます。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\MMDevices\Audio\Render
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\MMDevices\Audio\Capture
- サブキー内の DeviceState が無効や切断を表す値になっていると、新UIで非表示になりがち。
- 該当キーを直接いじるよりも、mmsys.cpl → 有効化 の順守が安全です。
編集を試す場合は、必ず事前に復元ポイント/エクスポート を作成してください。
よくある質問(FAQ)
Q. Wave Link の「Music」「Game」などは見えるのに既定にできません。
A. それらはミックスの“入力レーン”に相当するチャンネルで、OS の既定デバイスとしては「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」を使います。レガシー「サウンド」でこれらを有効化・既定化してください。
Q. 新しいサウンド設定だけで直せませんか?
A. 24H2 の新UIは無効端点を積極的に隠すため、レガシー「サウンド」での作業が確実です。既定化さえできれば、その後は新UIでも動作します。
Q. 毎回アップデートで消えるのを防ぐには?
A. 設定のエクスポート、競合ツールの一時停止、アップデート後のクリーン再導入、mmsys.cplでの有効化をルーティン化すると再現率が下がります。
Q. OBS のメーターが動くのに視聴者に音が届きません。
A. OBS の出力ミックスが別端点に向いている可能性があります。音声モニタリング と 配信に送るトラック の両方で Wave Link Stream を基準に構成し直してください。
運用ベストプラクティス:配信当日の安全運転
- 本番前チェック 5分:テストトーン → OBS テスト録画 → 通話テスト(エコーチェック)を毎回行う。
- プロファイルの複製:OBS と Wave Link の設定は複数プロファイルで冗長化。
- 仮想デバイスは意図して無効化しない:24H2 では “一度無効にした” 端点の復帰が新UIだけだと困難。
- Windows 更新は計画的に:配信予定の直前に大型更新を適用しない。
ケーススタディ:30分で復旧した実践手順(モデルケース)
- 24H2 更新後、OBS が「デバイスが見つかりません」と表示。
- 設定 → サウンド では該当端点が見えない。
- Win + R → mmsys.cpl を起動し、「無効なデバイスの表示」「切断されているデバイスの表示」をオン。
- 灰色表示の Wave Link Stream と Wave Link Headset を右クリック → 有効化。
- Stream を「既定のデバイス」、Headset を「既定の通信デバイス」に設定。
- OBS の グローバル音声デバイス と各ソースのデバイスを Stream に再指定。Discord は Headset を選択。
- テスト録画と通話テストで確認 → 本番復帰。
トラブルが長引く場合:OS 側の既知不具合の可能性
ドライバーの再導入や競合切り分け、サービス再起動でも改善しない場合、24H2 固有の不具合が疑われます。この場合は次のいずれかで凌ぐのが無難です。
- 一時回避:mmsys.cpl での有効化・既定化を維持して運用し、Wave Link のアップデートでの改善を待つ。
- ロールバック検討:業務・配信に重大な影響があるなら、更新の巻き戻しや前バージョン環境での運用を検討(復元ポイントがある場合)。
- フィードバック送信:事象再現の手順・日時・使用バージョン・ログの概要を記録して送信すると修正の後押しになります。
付録A:コマンド & ツール早見表
| 目的 | 手順 / コマンド | 補足 |
|---|---|---|
| レガシーサウンドを開く | Win + R → mmsys.cpl | 無効端点の可視化と既定化が可能 |
| オーディオサービス再起動 | net stop audiosrv / net start audiosrv | 音途切れに注意、会議前は非推奨 |
| システム整合性チェック | sfc /scannow / DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth | 完了後に再起動推奨 |
| PnP デバイス確認 | Get-PnpDevice -FriendlyName '*Wave Link*' | 管理者 PowerShell で実行 |
付録B:デバイス マネージャーでの“ゴースト”掃除
- デバイス マネージャー → 表示 → 非表示のデバイスの表示。
- 「オーディオの入力および出力」「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」で薄いアイコン(切断済み)を確認。
- Wave Link 関連で重複・古いものを デバイスのアンインストール。
- PC を再起動し、Wave Link を管理者として再インストール。
付録C:Wave Link のバックアップ/復元
- アプリの設定から バックアップと復元 を開き、プロファイルをエクスポート。
- クリーン再導入後にインポートしてレイアウト復元。
- 配信プリセット・モニタリング・ショートカットは復元後に微調整するのがコツ。
まとめ
Windows 11 24H2 で「Wave Link Stream」「Wave Link Headset」が消えたように見えるのは、多くのケースで 新UIが無効端点を隠しているだけ です。レガシー「サウンド」(mmsys.cpl)で 表示 → 有効化 → 既定化 を行えば、その場で復旧できます。表示されない場合は、クリーン再インストールと競合切り分け、サービス再起動、システム整合性チェックの順に進めてください。将来の再発を防ぐには、アップデート前後のルーティン化と設定バックアップが最良の保険です。配信や収録の現場で求められるのは “安定したルーティング”。本記事の手順を手元のチートシートとして活用し、24H2 環境でも安心してミックスを組み上げましょう。

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