Windows 11の管理者パスワードを忘れたときは、PIN、Microsoftアカウント、ローカルアカウント、職場・学校アカウントのどれを使っているかで復旧経路が変わります。MicrosoftアカウントはMicrosoftの本人確認、ローカルアカウントはセキュリティの質問または事前作成したリセットディスク、組織アカウントは組織のセルフサービス機能かIT窓口を使います。本人確認を迂回する解除手順は正規の復旧ではありません。
Windows HelloのPINは、その端末に結び付いたサインイン情報で、Microsoftアカウントのパスワードとは別物です。PINだけを忘れたのにオンラインアカウントのパスワードまで変えると、Outlook、OneDrive、Microsoft 365など別サービスへ影響が広がります。サインイン画面の[サインイン オプション]で、現在どの入力方法を選んでいるかを最初に確認します。
使える復旧経路を判定する
- 顔、指紋、PINのいずれかで入れる:Windowsへサインインし、重要データを確認してから[設定]のアカウント項目で必要な情報だけを変更します。
- メールアドレスでWindowsへ入っていた:個人用Microsoftアカウントか、職場・学校アカウントかをメールの所属で分けます。
- 端末内だけのユーザー名を使っていた:ローカルアカウントの可能性が高く、セキュリティの質問またはリセットディスクを確認します。
- 同じPCに利用可能な別の管理者がある:対象がローカルアカウントなら、別管理者から設定できる場合があります。
- どの正規手段も使えない:既存データを保持できる保証がないため、BitLocker回復キーとバックアップを確認したうえでPCのリセットを最終手段として検討します。
PINだけを忘れた場合
- サインイン画面で対象アカウントを選びます。
- PIN入力欄の下に[PINを忘れた場合]があれば選び、Microsoftアカウントの本人確認に従います。この選択肢はローカルアカウントでは利用できません。
- 項目がない場合は[サインイン オプション]を開き、鍵のアイコンなどからパスワード入力へ切り替えます。
- パスワードで入れたら、[設定]→[アカウント]→[サインイン オプション]→[PIN(Windows Hello)]でPINを再設定します。
PIN再設定時の確認点
PINの再設定ではMicrosoftアカウントのパスワードや追加の本人確認を求められることがあります。サインイン画面でネットワークが切れていると確認が進まない場合があるため、右下のネットワーク表示も確認します。顔や指紋で入れた場合でも、PINを直した後に一度ロックし、新しいPINで入れることを確かめます。
Microsoftアカウントのパスワードを忘れた場合
- サインイン画面の[パスワードを忘れた場合]を選ぶか、別の信頼できる端末でMicrosoft公式のパスワードリセットを開きます。
- 対象のメールアドレスを入力し、登録済みメール、電話、Microsoft Authenticatorなど、画面に提示された方法で本人確認します。
- 他サービスで使い回していない新しいパスワードを設定します。
- Windows 11のサインイン画面をインターネットへ接続し、[サインイン オプション]からパスワードを選んで新しい値を入力します。
- サインイン後にOneDriveやMicrosoft 365の認証要求を確認し、必要なアプリだけ再認証します。
回復手段が使えない場合
回復用のメールや電話へアクセスできないときは、Microsoftのサインイン ヘルパーとアカウント回復フォームを使います。Microsoftは、サポート担当者がパスワードリセットのリンクを直接発行したり、本人確認を飛ばしてアカウント情報を変更したりできないと明記しています。確認コードを電話、チャット、遠隔操作の相手へ渡してはいけません。
ローカルアカウントをセキュリティの質問で戻す
- サインイン画面で対象のローカルアカウントを選び、パスワード欄へ一度入力して確定します。
- 表示された[パスワードのリセット]を選びます。
- アカウント作成時に設定したセキュリティの質問へ回答します。
- 新しいパスワードと確認用の値を入力し、そのままサインインします。
セキュリティの質問で戻せない場合
質問が出ない、回答できない場合は、以前にそのアカウントで作成したパスワード リセット ディスクがあるか確認します。リセットディスクはパスワードを忘れた後に一般的なUSBメモリへファイルを入れて作れるものではありません。対象アカウントで事前作成したものだけをサインイン画面の案内から使います。
別の管理者からローカルパスワードを設定する
同じPCに以前から存在し、所有者が正規に利用できる別の管理者アカウントがある場合、Microsoftの案内では[コンピューターの管理]→[ローカル ユーザーとグループ]→[ユーザー]で対象ユーザーを右クリックし、[パスワードの設定]を選べます。これはローカルアカウント向けです。Microsoftアカウントや組織アカウントのオンライン資格情報を、この画面で復旧することはできません。Windows Homeでは[ローカル ユーザーとグループ]が利用できないため、無理に同じ画面を追加せず別の正規経路を使います。
別の管理者による変更の注意点
この強制設定を実行すると、元のパスワードに結び付いたEFS暗号化ファイル、個人証明書、保存済み資格情報へアクセスできなくなる可能性があります。対象ユーザーでまだサインインできる方法があるなら、まず本人による通常のパスワード変更を使います。EFSを利用している可能性、業務証明書、保存済みネットワーク資格情報がある場合は確定せず、データ所有者またはIT担当者へ引き継ぎます。
会社・学校アカウントは組織の窓口を使う
Microsoft Entra IDやドメインで管理されたアカウントは、個人用Microsoftアカウントとは管理主体が違います。組織がセルフサービス パスワード リセットを有効にしていれば、mysignins.microsoft.com/security-info のサインイン画面から[アカウントにアクセスできない場合]を選び、登録済みのセキュリティ情報で復旧できます。機能が無効なら管理者へ連絡する表示になります。
IT窓口へ伝える情報
IT窓口にはPCの資産番号、ユーザー名、最後に入れた時刻、表示されたエラー、ネットワーク接続の有無を伝えます。パスワード、多要素認証コード、BitLocker回復キーそのものは送らず、組織が指定した本人確認を受けます。ローカル管理者の追加や管理ポリシーの解除で組織認証を迂回しないでください。
最終手段としてPCをリセットする
ローカルアカウントで質問、リセットディスク、別の正規管理者がどれも使えない場合、MicrosoftはWindowsデバイスのリセットを案内しています。[このPCをリセット]はパスワードだけを消す機能ではなく、Windowsを再インストールする回復処理です。[個人用ファイルを保持する]でもアプリと設定は削除されます。
PCをリセットする前の準備
- 別のサインイン方法で開ける重要ファイルを、外付けドライブまたは承認済みクラウドへ保存する。
- Microsoftアカウント、印刷物、USB、組織の管理画面など、BitLocker回復キーの保管場所とキーIDを確認する。
- 再インストールが必要なアプリ、ライセンス、VPN、プリンター、業務設定を一覧にする。
- ノートPCをAC電源へ接続し、処理中に手動で電源を切らない。
リセットを始めない条件
BitLocker回復キーを取得できない暗号化PC、所有者を確認できないPC、会社・学校の管理端末、未保存の業務データがあるPCではリセットを開始しません。Microsoftサポートは失われた回復キーを再作成できず、暗号化された既存ファイルを読み出せないまま処理するとデータを失う可能性があります。
使わない復旧方法
サインイン画面のシステムファイルを置き換える方法、出所不明の起動USB、オフラインで管理者を追加するツール、BitLockerやセキュアブートの回避は扱いません。これらは本人確認と端末管理を破壊し、第三者の不正アクセスにも転用できます。この記事の対象は、自分または組織が所有し、正規の本人確認手段を使えるPCです。
復旧後に確認すること
- 新しいパスワードまたはPINでサインアウト後にも入り直せる。
- デスクトップ、ドキュメント、EFSを含む必要なファイル、OneDrive、メール、業務アプリを開ける。
- Microsoftアカウントの回復用メール、電話、Authenticatorが現在利用できる。
- BitLocker回復キーの保管場所を確認し、キーそのものを公開しない。
- ローカルアカウントを使い続ける場合は、サインイン中に公式手順でパスワード リセット ディスクを作成する。
- 重要ファイルを定期的に別媒体または承認済みクラウドへバックアップする。
パスワード変更に単純な取り消しボタンはありません。入力間違いやポリシー不適合があれば、同じ正規経路からもう一度設定します。PCリセット後に失われたアプリや設定は自動では戻らないため、一覧とバックアップを使って再構築します。

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