「TPM 2.0 が見つかりません」「セキュアブートが無効です」と言われて、7年前の自作 Windows 10 機を Windows 11 に上げられず悩んでいませんか? 実は、Core i5‑8600K 世代の自作PCなら、ハードウェアはほぼ条件を満たしており、設定とディスク形式を整えるだけで正式に Windows 11 へアップデートできます。この記事では、データを消さずに MBR→GPT 変換 → UEFI 切り替え → セキュアブート+TPM 2.0 有効化 まで、つまずきやすいポイントも含めて詳しく解説します。
Windows 11 アップデートで「TPM 2.0 未検出」「セキュアブート無効」と出る理由
Windows 11 では、従来の Windows 10 と比べてセキュリティ要件が大幅に引き上げられています。特に重要なのが次の 2 つです。
- TPM 2.0(トラステッド プラットフォーム モジュール) が搭載・有効化されていること
- UEFI ファームウェア+セキュアブート対応 で起動していること
Microsoft は Windows 11 のシステム要件として「TPM 2.0」と「UEFI+セキュアブート対応ファームウェア」を必須としており、これらが満たされていないとアップグレードがブロックされます。
一方で、2017〜2018 年頃に組んだ Core i5‑8600K 搭載の自作 PC などは、CPU やチップセットの面では Windows 11 に十分対応しています。Intel 自身も、第 8 世代以降の Core プロセッサは Windows 11 をサポートすると案内しており、Core i5‑8600K は Windows 11 対応 CPU リストにも含まれます。
それでもアップデート判定で落ちてしまう典型的な原因がこちらです。
- Windows 10 をレガシBIOSモードでインストールしており、システムディスクがMBR形式のまま
- その結果、UEFI モード前提のセキュアブートを有効化できない
- TPM 機能(Intel の場合は PTT、AMD の場合は fTPM)が UEFI 設定で無効/未初期化になっている
つまり、多くの場合は「ハードは対応しているのに、ファームウェア設定とディスク形式が古いまま」というだけです。ここを整えてあげれば、正攻法で Windows 11 へアップデートできます。
今回想定する自作PCのスペックと前提
この記事では、次のような自作機を例に進めます。
| 項目 | 環境例 | Windows 11 的に問題か? |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 Pro 64bit | アップグレード元として問題なし |
| CPU | Intel Core i5‑8600K(6 コア) | 第 8 世代で要件クリア |
| メモリ | 8GB | 最低 4GB 以上なので OK |
| システム SSD | 240GB | 64GB 以上なので OK |
| 起動方式 | レガシBIOS+MBR(想定) | ここが NG。要 GPT+UEFI に変換 |
| TPM | 未検出(PTT 無効) | UEFI で有効化すれば OK |
このスペックなら、物理的な買い替えは不要で、この記事の手順だけで Windows 11 の正式要件を満たせるケースがほとんどです。
レガシBIOS+MBR構成がなぜ問題になるのか
Windows 11 の要件に合わせるには、次の 3 点をセットで満たす必要があります。
- ディスク形式:GPT(GUID パーティション テーブル)
- ファームウェア:UEFI モード で起動
- セキュアブート:有効
しかし、多くの自作 PC は Windows 7~10 時代に組まれており、そのまま Windows 10 にアップグレードしただけの構成になっています。この場合、次のような組み合わせが非常に多いです。
| 項目 | よくある Windows 10 自作機 | Windows 11 が求める状態 |
|---|---|---|
| ファームウェア | レガシBIOS互換モード(CSM 有効) | UEFI ネイティブモード |
| ディスク形式 | MBR | GPT |
| セキュアブート | 利用不可 or 無効 | 有効 |
| TPM | 無効 / 未初期化 | TPM 2.0 有効 |
セキュアブートは UEFI+GPT を前提とする技術のため、「MBR ディスク + レガシBIOS」構成のままでは絶対に有効化できません。よって、次の順序で作業するのが王道です。
- Windows 上で MBR → GPT に変換(データは保持)
- UEFI 設定画面で起動モードを UEFI に切り替え
- TPM(PTT/fTPM)とセキュアブートを有効化
- Windows 11 へアップグレード
作業前に必ずやっておきたい準備
MBR から GPT への変換は、基本的にはデータを消さずに行えますが、パーティション構成などの理由で失敗する可能性もゼロではありません。必ず次の準備をしてから進めましょう。
バックアップとリカバリー手段の用意
- ユーザーデータ(ドキュメント、写真、ゲームのセーブなど)を外付けドライブやクラウドへコピー
- 可能なら、システムドライブ(C:)を丸ごとクローン or イメージバックアップ
- Windows 10 の回復ドライブ(USB)や、Windows 10/11 のインストール USB メディアを 1 本作成
暗号化機能の一時停止
- BitLocker を使っている場合は、必ず一時停止してから作業
- サードパーティ製のディスク暗号化ソフトを使っている場合は、可能なら解除して平文に戻してから実行
周辺機器は最小構成に
作業中のトラブルを減らすため、USB 機器は最低限にします。
- 接続しておくのは、キーボード・マウス・有線 LAN・モニタ程度に
- 外付け HDD / USB ストレージは、バックアップが終わったら一旦外しておくと安心
現状を確認する:BIOSモード・TPM・ディスク形式
まずは、本当に「レガシBIOS+MBR」なのか、TPM がどういう状態かを確認します。
BIOS モードとセキュアブートの状態を msinfo32 で確認
- Win + R を押し、「ファイル名を指定して実行」を開く
msinfo32と入力して Enter- 「システム情報」ウィンドウで以下を確認
- 「BIOS モード」…「レガシ」ならレガシBIOS、「UEFI」なら既に UEFI 起動
- 「セキュアブートの状態」…「無効」または「サポートされていません」となっていないか
ここで 「BIOS モード:レガシ」かつ「セキュアブートの状態:サポートされていません」 となっていれば、まさに今回の対象パターンです。
TPM の状態を tpm.msc で確認
- Win + R →
tpm.mscと入力して Enter - 「TPM 管理」ウィンドウで次をチェック
- 「TPM が使用可能です」と表示されているか
- 「仕様バージョン」が 2.0 になっているか
ここで「互換性のある TPM が見つかりません」等と表示される場合、多くは UEFI 設定画面で PTT/fTPM が無効になっているだけで、マザーボード自体には TPM 2.0 機能が内蔵されていることがほとんどです。Microsoft も「過去 5 年以内の多くの PC は TPM 2.0 を有効化できる」と案内しています。
システムディスクが MBR か GPT かを確認
続いて、システムドライブが MBR なのか GPT なのかを確認します。
- Win + X → 「ディスクの管理」を開く
- 下部の一覧から、Windows が入っているディスク(通常「ディスク 0」)を右クリック
- 「プロパティ」→「ボリューム」タブを開き、「パーティションのスタイル」を確認
- MBR(マスタ ブート レコード) と表示 → これから GPT に変換が必要
- GUID パーティション テーブル(GPT) と表示 → すでに GPT なので変換は不要
MBR だった場合、次章で紹介する MBR2GPT.exe を使って、データを残したまま GPT に変換していきます。
MBR から GPT にデータを残したまま変換する(MBR2GPT.exe)
MBR2GPT.exe は、Microsoft 純正のディスク変換ツールで、Windows 10 以降の C:\Windows\System32 に標準で入っています。これを使うことで、ディスクの中身を削除せずに MBR → GPT へ変換できます。ツールは本来 Windows PE(回復環境)から利用するのが推奨ですが、/allowFullOS オプションを付ければ、起動中の Windows からも実行可能です。
ステップ 1:システムディスク番号の確認
- 「ディスクの管理」を開き、Windows が入っているディスクの番号(例:ディスク 0)をメモ
- 複数ディスクがある場合は、容量や「ブート」「ページ ファイル」などのフラグからシステムディスクを見分ける
ステップ 2:管理者コマンドプロンプトを開く
- スタートボタンを右クリック → 「Windows ターミナル(管理者)」または「コマンド プロンプト(管理者)」を選択
- ユーザーアカウント制御が出たら「はい」で許可
ステップ 3:事前検証(/validate)
次のコマンドで、対象ディスクが変換可能かどうかをチェックします。ここではシステムディスクが「ディスク 0」の想定です。
mbr2gpt /validate /disk:0 /allowFullOS
- 「Validation completed successfully」のようなメッセージ → 変換可能
- エラーが出る場合 → パーティション構成に問題がある可能性が高い(後述のトラブル対処を参照)
ステップ 4:実際に MBR → GPT 変換を実行
検証が通ったら、いよいよ変換を行います。
mbr2gpt /convert /disk:0 /allowFullOS
変換中は数十秒ほど待つことが多く、完了すると「Conversion completed successfully」といったメッセージが表示されます。この時点で、ディスクは GPT 形式に変更されています。
なお、変換ツールは次のような条件で失敗することがあります。
- ディスク上のパーティション数が多すぎる(通常は 3〜4 個なら問題なし)
- システム予約パーティションが特殊な構成で、EFI パーティションを追加できない
- OS パーティション直前に EFI パーティションを作るだけの空き領域がない
失敗した場合は、OS パーティション(C:)を数百 MB だけ縮小して EFI パーティション用の空きを作ったり、不要な回復パーティションを削除してから再度 /validate → /convert を試します。それでも難しい場合は、後述する「クリーンインストール案」を検討しましょう。
UEFI モードへの切り替えとセキュアブート・TPM 2.0 の有効化
MBR → GPT 変換が終わったら、今度は UEFI 設定画面(いわゆる BIOS 画面)で起動方式や TPM 設定を変更します。ここでは一般的なメニュー構成を紹介しますが、実際の項目名はマザーボードメーカーによってかなり違うので、雰囲気をつかみつつ、自分のマザーボードのマニュアルも参照してください。
UEFI 設定画面を開く
- PC を再起動
- 起動時ロゴが表示されたら、Del または F2 連打(マザボによっては F1 / F10 / F12 / Esc など)
- 青や黒の画面で、マウス操作可能な「UEFI 設定画面」が開く
起動モードを「UEFI のみ」にする
まずはレガシBIOS互換機能(CSM)を無効化し、UEFI ネイティブモードに切り替えます。
| メーカー例 | 設定メニュー例 | ポイント |
|---|---|---|
| ASUS | Boot → CSM (Compatibility Support Module) → Disabled | CSM を無効にすると UEFI 専用ブートになる |
| MSI | Settings → Boot → Boot Mode Select = UEFI | 「UEFI + Legacy」ではなく「UEFI」を選ぶ |
| GIGABYTE | BIOS → CSM Support = Disabled | CSM を切ると UEFI 専用ブートになる |
| ASRock | Boot → CSM = Disabled | 概ね ASUS と似た項目名 |
設定を変えたら、保存して再起動する前に、ブート順序の確認も行います。
- 起動デバイスの一覧に「Windows Boot Manager <SSD名>」のような項目があるはずなので、これを最優先に設定
- 古い「P1: SSD名」といったレガシな項目は、優先度を下げるか無効化
この状態で一度 Windows を起動し、再度 msinfo32 を確認して「BIOS モード = UEFI」になっていれば成功です。
TPM(PTT/fTPM)を有効化する
次に、TPM 2.0(ファームウェア TPM)を有効にします。Intel プラットフォームでは「Intel PTT」、AMD では「fTPM」などと表記されることが多く、UEFI 設定画面の「Security」「Advanced」などのタブ内にあることが一般的です。Microsoft も、TPM 設定がメーカーによって名称や場所が違うと案内しています。
| メーカー例 | 項目名の例 | 設定値 |
|---|---|---|
| ASUS(Intel) | Advanced → PCH-FW Configuration → PTT | Enabled |
| MSI(Intel) | Settings → Security → Trusted Computing → Security Device Support | Enabled |
| GIGABYTE(Intel) | Peripherals → Intel Platform Trust Technology | Enabled |
| ASUS / MSI(AMD) | Advanced → AMD fTPM configuration / Security → fTPM | Enabled |
有効化したら設定を保存し、一度 Windows を起動して tpm.msc を開きます。「TPM が使用可能です」「仕様バージョン: 2.0」と表示されていれば OK です。
セキュアブートを有効化する
TPM と UEFI 起動が整ったら、最後にセキュアブートを有効化します。セキュアブートは UEFI ファームウェアが、起動時に信頼された署名付きブートローダーだけを許可する仕組みで、Windows 11 のセキュリティの土台になっています。
- UEFI 設定画面の「Boot」または「Security」タブを開く
- Secure Boot の項目を「Enabled」に変更
- 「OS Type」や「Windows UEFI mode」などの選択肢がある場合は、「Windows UEFI」系の項目を選択
- 一部のマザーボードでは「Install default keys」「Factory keys」などを実行して、標準のキーセットを登録する必要あり
設定を保存して再起動後、再び msinfo32 を開き、「セキュアブートの状態」が「有効」になっていれば成功です。
Windows 上での最終確認
ここまでの作業が終わった段階で、次の 3 点を必ず確認しましょう。
msinfo32→ BIOS モード = UEFImsinfo32→ セキュアブートの状態 = 有効tpm.msc→ TPM 仕様バージョン = 2.0 かつ「使用可能」
この 3 点がそろっていれば、Windows 11 のセキュリティ要件(TPM 2.0 + セキュアブート対応 UEFI)はクリアできています。
Windows 11 へのアップグレード手順
要件を満たせたら、いよいよ Windows 11 へのアップデートです。現在(2025 年時点)Windows 11 は複数の方法でインストールできますが、基本は次の 3 パターンです。
方法 1:Windows Update からアップグレード(表示される場合)
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」を開く
- 「Windows 11 へのアップグレードの準備ができました」といった表示が出ていれば、そのまま案内に従ってインストール
- 何度か再起動し、1〜2 時間程度で完了することが多い
要件が整った直後は、反映されるまで時間がかかることがあるため、表示されない場合は次の方法を使います。
方法 2:Windows 11 インストール アシスタントを使う
Windows 11 インストール アシスタントを利用すると、現在の環境を検証しつつ、インプレースアップグレードが実行されます(アプリやデータを残したままバージョンアップ)。
- Microsoft の Windows 11 ダウンロードページから「Windows 11 インストール アシスタント」をダウンロード
- ツールを起動し、ライセンスに同意
- PC の要件チェックが実行され、すべてクリアすればそのままアップグレードを開始
- ダウンロード → 準備 → 再起動という流れで自動的に Windows 11 へ切り替わる
方法 3:インストールメディア(USB)からアップグレード
既に Windows 11 のインストール USB メディアを持っている場合、そこからセットアップを起動してアップグレードすることもできます。
- Windows 10 起動中に USB メディアを挿し、エクスプローラーから
setup.exeを実行 - 「この PC を今すぐアップグレードする」を選択
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」が選ばれていることを確認
- 互換性チェックに通れば、そのままアップグレードが始まる
いずれの方法でも、アップグレード前後でのデータ消失リスクは小さいものの、念のためバックアップを取っておくことをおすすめします。
うまくいかないときのチェックポイント
ここからは、実際によく起きるトラブルとその対処法をまとめます。
MBR2GPT がエラーで失敗する
代表的なエラーパターンは次の通りです。
- 「ディスクのレイアウトを検証できませんでした」
- 「システムパーティションを特定できませんでした」
- 「新しい EFI システムパーティションを作成できませんでした」
対処のコツは次のようなものです。
- ディスクのパーティション数を確認し、4 個以内に収める(不要な回復パーティションを削除)
- OS パーティション(C:)の先頭側に 100〜300MB 程度の空き領域を作る(「ディスクの管理」で C: を少し縮小)
- 多重ブート構成(別 OS)が入っている場合は、シンプルな構成に整理してから再挑戦
どうしても通らない場合は、クリーンインストールに切り替えた方が結果的に早く安定するケースもあります。
UEFI 切り替え後に「No boot device」「Operating system not found」になる
GPT 変換後、UEFI モードに切り替えたら OS が起動しなくなることがあります。この場合、次の点を確認します。
- UEFI の「Boot Priority」で、Windows Boot Manager が最優先になっているか
- 古いレガシブートエントリ(P1: SSD 名 など)が優先されていないか
- 起動順序を変更後、必ず「保存して終了(Save & Exit)」しているか
それでも起動しない場合は、Windows 10/11 インストールメディアから起動し、「コンピューターを修復する」→「スタートアップ修復」や bootrec コマンドを使ってブート領域を修復する手もあります。
セキュアブートが「無効」から変わらない
セキュアブートが有効化できない場合、次の点を確認してみてください。
- CSM(レガシ互換)が完全に無効になっているか
- ビデオカードやストレージコントローラーなど、古い Option ROM を要求する機器がないか
- 「Secure Boot Mode」や「Key Management」で、標準キー(Factory Keys / Default Keys)をロードしたか
特に古いグラフィックボードを使っている場合、一部のモデルでは UEFI 対応ファームウェアがなく、CSM 無効+セキュアブート有効の組み合わせが難しいことがあります。その場合は、グラフィックボードの買い替えも検討対象になります。
TPM がどうしても見つからない
Core i5‑8600K 世代のマザーボードなら、基本的には PTT(ファームウェア TPM)に対応していることが多いですが、なかには:
- BIOS バージョンが古く、TPM 2.0 機能が追加されていない
- 外付け TPM モジュールを別売りオプションとして想定している
という製品もあります。その場合は:
- マザーボードメーカーのサイトで、最新 BIOS に更新できないか確認
- 外付け TPM モジュールを追加するか、場合によってはマザーボードごと更新することも検討
ただし、BIOS 更新は失敗すると起動不能になるリスクもあるため、手順をよく読み、自己責任で慎重に行ってください。
クリーンインストールという「最終兵器」
どうしても MBR2GPT が通らない、既に環境がゴチャゴチャしている、C ドライブを一度整理したい――といった場合は、いっそクリーンインストールに切り替えるのも合理的な選択肢です。
クリーンインストールの大まかな流れ
- 必要なデータをすべてバックアップ(できればアプリの設定やライセンス情報もメモ)
- UEFI 設定画面で
- CSM を無効
- TPM(PTT/fTPM)を有効
- セキュアブートも有効(可能なら)
- Windows 11 のインストール USB メディアを UEFI モードで起動
- セットアップ中に、システムディスク上の既存パーティションをすべて削除し、新規作成してインストール
- インストール完了後、
msinfo32とtpm.mscで UEFI/セキュアブート/TPM 2.0 を確認 - 必要なアプリやデータを戻していく
手間はかかるものの、「変換に失敗して中途半端な状態になる」リスクを避けられ、システムも一度リフレッシュされて軽くなるというメリットがあります。
用語をかみ砕いて整理しておく
UEFI と レガシBIOS
UEFI は、従来の BIOS を置き換える新しいファームウェア仕様です。大容量ディスクへの対応や高速起動、セキュアブートなど、多くの新機能は UEFI を前提にしています。Windows 11 は UEFI を必須要件としており、レガシBIOS モード(CSM)だけではインストールできません。
GPT と MBR
MBR は古くから使われてきたディスクの区画方式で、最大 2TB まで、パーティション数も 4 個までという制限があります。一方、GPT は UEFI とセットで使われる新しい方式で、大容量ディスクや多数のパーティションに対応し、冗長なパーティション情報による耐障害性も高い形式です。Windows 11 を UEFI モードで動かすには GPT が必須です。
セキュアブート
セキュアブート は、起動時に読み込まれるブートローダーやドライバーに署名があるかを UEFI が検証し、改ざんされたものをブロックする仕組みです。これにより、ブートキットやルートキットといったマルウェアからシステムを守りやすくなります。Windows 11 の公式要件でも、セキュアブートに対応した UEFI が求められています。
TPM 2.0 / PTT / fTPM
TPM 2.0 は、暗号鍵や証明書を安全に保管するためのセキュリティチップ/機能で、BitLocker ドライブ暗号化や Windows Hello など、多くのセキュリティ機能の基盤になっています。Windows 11 にとっては必須要件であり、Microsoft も「Windows 11 では TPM 2.0 が必要」と明言しています。
最近の CPU とマザーボードでは、物理チップではなく CPU やチップセット内蔵のファームウェア TPM を使う場合が多く、これが Intel では PTT(Platform Trust Technology)、AMD では fTPM という名称で設定画面に現れます。
最終チェックリスト:これが揃えば Windows 11 へ行ける
最後に、実際にアップグレード作業を進める前に確認すべきポイントをチェックリストとしてまとめておきます。
- [ ]
msinfo32→ BIOS モード: UEFI - [ ]
msinfo32→ セキュアブートの状態: 有効 - [ ]
tpm.msc→ TPM バージョン: 2.0 かつ「使用可能」 - [ ] Windows 11 インストール アシスタント or Windows Update で 「この PC は Windows 11 を実行できます」 と表示される
- [ ] 重要データのバックアップが完了している
- [ ] 必要に応じて回復ドライブやインストール USB を作成済み
まとめ:やることは「MBR→GPT → UEFI → TPM/セキュアブート」だけ
Core i5‑8600K 世代の自作 PC で Windows 11 アップグレードに失敗する最大の理由は、ハードウェア不足ではなく「レガシBIOS+MBR 構成のまま使い続けている」ことです。
この記事で紹介したように、
- MBR2GPT.exe でシステムディスクを GPT へ変換
- UEFI 設定画面で CSM を無効化し、UEFI ネイティブ起動に切り替え
- PTT/fTPM(TPM 2.0)とセキュアブートを有効化
- Windows 11 インストール アシスタント等でアップグレード
という流れを踏めば、多くの自作 Windows 10 機は問題なく Windows 11 へ移行できます。最初は難しく見えるかもしれませんが、ひとつひとつ確認しながら進めれば、自力で十分対応可能です。長く付き合ってきた自作 PC をまだまだ現役で使い続けるためにも、落ち着いて環境を整えていきましょう。

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