Microsoft 365 ArchiveでSharePointをファイル単位にアーカイブする方法|設定・制限・確認手順

Microsoft 365 Archiveでは、SharePointサイト全体をアーカイブせず、選択したファイルだけをアーカイブできます。サイト自体は稼働したままなので、同じサイト内のほかのページ、リスト、ドキュメントは通常どおり利用可能です。

ファイルレベルアーカイブは、Microsoft 365 Roadmap ID 477371として2026年7月に一般提供され、Roadmapの状態は「Launched」、対象はSharePointのWeb版です。編集権限を持つユーザーは、ドキュメントライブラリでファイルを選択し、[アーカイブ]を実行できます。(Microsoft)

ただし、利用にはMicrosoft 365 Archiveの有効化と従量課金設定が必要です。また、Microsoft 365 Archiveを有効にすると、ファイルレベルアーカイブは原則としてすべてのSharePointサイトで有効になります。運用を始める前に、PowerShellで対象サイトを絞り込むことが重要です。(Microsoft Learn)

目次

Microsoft 365 Archiveのファイルレベルアーカイブでできること

従来のMicrosoft 365 Archiveは、利用を終えたプロジェクトサイトなどをサイト単位でアーカイブする用途が中心でした。ファイルレベルアーカイブでは、利用中のサイトに古い資料が混在している場合でも、必要なファイルだけをコールドストレージ層へ移せます。

比較項目ファイルレベルアーカイブサイトレベルアーカイブ
アーカイブ対象選択したファイルSharePointサイト全体
サイトの利用継続して利用可能再アクティブ化まで利用不可
実行できるユーザー対象ファイルの編集権限を持つユーザーSharePoint管理者またはグローバル管理者
アーカイブ後対象ファイルだけ開けなくなるページ、リスト、ファイルなどサイト全体が開けなくなる
再アクティブ化ファイルの読み取り権限を持つユーザー原則として管理者
適した用途古い成果物、参照頻度の低い資料終了したプロジェクトサイトや廃止部門サイト

アーカイブしたファイルは直接開けなくなり、利用するには再アクティブ化が必要です。一方、サイト内のほかのファイルやコンテンツには影響しません。(Microsoft Learn)

ファイル単位でアーカイブするための利用条件

SharePointに[アーカイブ]が表示されるには、次の条件をすべて満たす必要があります。

条件確認内容
従量課金設定AzureサブスクリプションをMicrosoft 365の従量課金に関連付けている
Microsoft 365 ArchiveテナントでMicrosoft 365 Archiveが有効になっている
テナント設定AllowFileArchiveがTrueになっている
サイト設定対象サイトのAllowFileArchiveがTrueになっている
ユーザー権限対象ファイルに対する編集権限がある
操作環境SharePointのWeb版から操作している
ファイル形式アーカイブ対象外のファイルやライブラリではない

Microsoft 365 Archiveを有効にしたテナントでは、ファイルレベルアーカイブが既定で有効になります。ただし、管理者がテナント単位またはサイト単位で無効にしている場合、[アーカイブ]は表示されません。(Microsoft Learn)

管理者がMicrosoft 365 Archiveを有効にする手順

Azureサブスクリプションと従量課金を準備する

Microsoft 365 Archiveは従量課金制のサービスです。利用前に次の準備が必要です。

  1. Azureサブスクリプションを用意する
  2. Azureリソースグループを作成する
  3. Microsoft 365管理センターで従量課金ポリシーを設定する
  4. Microsoft 365 Archiveを有効にする

Microsoft 365 Archiveの設定には、SharePoint管理者またはグローバル管理者の権限が必要です。可能であれば、権限範囲の広いグローバル管理者ではなくSharePoint管理者を使用します。(Microsoft Learn)

Microsoft 365管理センターでArchiveを有効にする

Microsoft 365管理センターで、次の順に操作します。

  1. [設定]を開く
  2. [組織設定]を選択する
  3. [従量課金サービス]を開く
  4. [設定]タブを選択する
  5. [ストレージ サービス]の[アーカイブ]を開く
  6. Microsoft 365 Archiveパネルで、SharePointサイトのアーカイブを有効にする
  7. 確認画面で[確認]を選択する

管理画面では「SharePointサイトのアーカイブ」という表記になっていますが、Microsoft 365 Archiveを有効にすると、現在はファイルレベルアーカイブも既定で利用可能になります。(Microsoft Learn)

SharePoint Online Management Shellを更新する

ファイルレベルアーカイブの適用範囲は、SharePoint Online Management Shellで制御します。

まず、インストール済みのモジュールを確認します。

Get-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell -ListAvailable |
    Select-Object Name, Version

未インストールの場合は、次のコマンドで導入します。

Install-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell -Scope CurrentUser

すでにインストール済みの場合は、最新版へ更新します。

Update-Module -Name Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell

PowerShell 7を利用している場合は、必要に応じて次のようにインポートします。

Import-Module Microsoft.Online.SharePoint.PowerShell -UseWindowsPowerShell

続いて、SharePoint管理センターへ接続します。

Connect-SPOService -Url https://<テナント名>-admin.sharepoint.com

テナント単位のAllowFileArchiveにはバージョン16.0.26714.12000以降、サイト単位の設定にはバージョン16.0.26211.12000以降のSharePoint Online Management Shellが必要です。古いモジュールでは、パラメーターが認識されないことがあります。(Microsoft Learn)

ファイルレベルアーカイブの適用範囲をPowerShellで制御する

テナント全体で有効にする

Set-SPOTenant -AllowFileArchive $true

この設定がFalseの場合、サイト単位の設定がTrueでも新しいファイルをアーカイブできません。テナント設定はサイト設定より優先されます。

テナント全体で無効にする

Set-SPOTenant -AllowFileArchive $false

無効にすると、ユーザーは新たにファイルをアーカイブできなくなります。ただし、すでにアーカイブされているファイルの再アクティブ化は可能です。

特定のSharePointサイトで有効にする

Set-SPOSite `
    -Identity "https://contoso.sharepoint.com/sites/ProjectArchive" `
    -AllowFileArchive $true

特定のSharePointサイトで無効にする

Set-SPOSite `
    -Identity "https://contoso.sharepoint.com/sites/Finance" `
    -AllowFileArchive $false

今後作成するサイトでは既定で無効にする

Set-SPOTenant -AllowFileArchiveOnNewSitesByDefault $false

この設定は、コマンド実行後に新しく作成されるサイトへ適用されます。既存サイトの設定は変更されないため、既存サイトについてはSet-SPOSiteで個別に制御します。(Microsoft Learn)

一部のサイトだけで利用するときの注意点

一部のサイトだけを許可したい場合、テナント設定をFalseにしたまま、対象サイトだけをTrueにしても利用できません。

次の状態にする必要があります。

  • テナントのAllowFileArchiveはTrue
  • 利用を許可するサイトはTrue
  • 利用を許可しないサイトはFalse
  • 新規サイトの既定値は必要に応じてFalse

既存サイトは既定で有効になっている可能性があるため、導入前にサイト一覧を確認し、機密情報を扱うサイトや日常的に共同編集するサイトでは無効化しておくと安全です。

SharePointで選択したファイルだけをアーカイブする手順

管理者設定が完了したら、ユーザーはSharePointのWeb版からファイルをアーカイブできます。

  1. 対象のSharePointサイトをブラウザーで開く
  2. ドキュメントライブラリを開く
  3. アーカイブするファイルを選択する
  4. コマンドバーまたは[…]メニューを開く
  5. [アーカイブ]を選択する
  6. 確認画面が表示された場合は、内容を確認して実行する

複数のファイルを選択して、一度にアーカイブすることも可能です。実行するユーザーには、対象ファイルの編集権限が必要です。

アーカイブ後のファイルはそのまま開けなくなります。再度利用するときは、SharePoint上で再アクティブ化します。(Microsoft Learn)

フォルダー内のファイルをまとめてアーカイブする方法

フォルダーを選択して、[すべてのファイルをアーカイブ]を実行することもできます。

この操作では、選択したフォルダー直下だけでなく、サブフォルダー内のファイルも再帰的に処理されます。ただし、フォルダーそのものに「アーカイブ済み」という状態が設定されるわけではありません。アーカイブされるのはフォルダー内の各ファイルです。

フォルダー操作には、次の上限があります。

項目上限
1フォルダーで処理できるアイテム数20,000件
1サイトで実行できるアーカイブ・再アクティブ化操作1日最大500,000件
大規模フォルダーの再アクティブ化処理全体で最大48時間かかる場合がある

大量のファイルを一度に処理する場合は、業務時間外に実行し、処理結果の通知メールを確認します。(Microsoft Learn)

アーカイブしたファイルを再アクティブ化する方法

アーカイブ済みファイルを開くには、再アクティブ化が必要です。

  1. ファイルが保存されているSharePointサイトを開く
  2. 対象ファイルを選択する
  3. [再アクティブ化]を選択する
  4. 処理完了の通知を待つ
  5. 完了後にファイルを開く

アーカイブには編集権限が必要ですが、再アクティブ化は読み取り権限を持つユーザーでも実行できます。

アーカイブからの経過期間再アクティブ化時間の目安
アーカイブ後7日以内原則として即時
アーカイブ後7日を超えた場合最大24時間
大規模なフォルダー単位スケジュールと処理を含め最大48時間

再アクティブ化を実行したユーザーには、処理完了後にメールが送信されます。また、一度再アクティブ化したファイルは、120日間は再びアーカイブできません。(Microsoft Learn)

読み取り権限だけでも再アクティブ化できるため、コスト削減を目的に導入する場合は、「必要性を確認してから再アクティブ化する」といった社内ルールを決めておく必要があります。

[アーカイブ]が表示されないときの確認ポイント

原因確認方法対処
従量課金が未設定Microsoft 365管理センターの従量課金サービスを確認Azureサブスクリプションを関連付ける
Microsoft 365 Archiveが無効Archiveの状態を確認Microsoft 365管理センターで有効化する
テナント設定が無効Get-SPOTenantで確認Set-SPOTenant -AllowFileArchive $trueを実行
サイト設定が無効Get-SPOSiteで確認対象サイトのAllowFileArchiveをTrueにする
ユーザーに編集権限がないファイルのアクセス許可を確認適切な編集権限を付与する
対象外のファイル形式ファイル種類を確認対応している一般的な文書ファイルで試す
Site Assetsライブラリを使用ライブラリ名を確認通常のドキュメントライブラリを使用する
モバイルや同期クライアントから操作操作環境を確認SharePointのWeb版で開く
再アクティブ化から120日以内操作履歴を確認再アーカイブ可能になるまで待つ

設定状態は、次のコマンドで確認できます。

Get-SPOTenant |
    Select-Object AllowFileArchive, AllowFileArchiveOnNewSitesByDefault

サイト単位では、次のように確認します。

Get-SPOSite `
    -Identity "https://contoso.sharepoint.com/sites/ProjectArchive" |
    Select-Object Url, AllowFileArchive, ArchivedFileDiskUsed

ArchivedFileDiskUsedには、そのサイト内でアーカイブされているファイルの使用容量がバイト単位で表示されます。(Microsoft Learn)

アーカイブできないファイルとクライアントの制限

すべてのファイルやMicrosoft 365アプリが、ファイルレベルアーカイブに完全対応しているわけではありません。

アーカイブできない主なコンテンツ

  • OneNoteファイル
  • SharePointページ
  • SharePointエージェント
  • SharePointサイトのSite Assetsライブラリ内のファイル

動作に注意が必要な環境

  • WordおよびPowerPointのWeb版
  • Teams、OneDrive、SharePointのモバイルアプリ
  • macOSのOneDrive同期クライアント
  • Windows 10以前のOneDrive同期クライアント
  • 更新頻度の低いWindows端末
  • 2026年3月1日以降の更新が適用されていないOfficeデスクトップアプリ
  • ClipchampやPower BIからのファイル読み込み

これらの環境では、アーカイブ状態が正しく表示されなかったり、本来とは異なるエラーが表示されたりする場合があります。状態確認と再アクティブ化は、ファイルの保存元であるSharePointのWeb版から行うのが確実です。(Microsoft Learn)

ファイルをアーカイブしてもサイトの使用容量は減らない

Microsoft 365 Archiveのファイルレベルアーカイブで、特に誤解しやすいのがストレージの扱いです。

ファイルをアーカイブしても、個別サイトに表示されるストレージ使用量やサイトの容量制限は変わりません。

テナント全体では、アーカイブした容量が次のように分類変更されます。

  • アクティブストレージ使用量は減る
  • アーカイブストレージ使用量は同じ容量だけ増える
  • テナント内のデータ総量そのものは減らない

そのため、ファイルレベルアーカイブは、サイトの容量上限を回避するための機能ではありません。テナント全体のアクティブストレージ超過分を、単価の低いアーカイブストレージへ移すための機能と考える必要があります。(Microsoft Learn)

アクティブストレージとアーカイブストレージの合計が、テナントに割り当てられたSharePointストレージ容量以内であれば、追加のアーカイブストレージ料金は発生しません。容量を超えた部分が従量課金の対象になります。再アクティブ化自体に料金はかかりません。(Microsoft Learn)

メタデータやコンプライアンス機能への影響

Microsoft 365 Archiveは、単に別のストレージへファイルを移動するだけの仕組みではありません。SharePoint内でファイルを保持するため、次の情報や機能が維持されます。

項目アーカイブ後の扱い
ファイルのバージョンすべて保持され、再アクティブ化時に復元
アクセス許可維持
保持ポリシー・保持ラベル継続して適用
eDiscoveryアーカイブ済みコンテンツも検索・エクスポート可能
秘密度ラベル設定を維持
監査ログアーカイブ、再アクティブ化、削除を記録
Microsoft 365 Copilotアーカイブ済みコンテンツは回答に使用されない

ファイルの特定バージョンだけをアーカイブすることはできません。ファイルをアーカイブすると、そのファイルに属するすべてのバージョンがまとめて保持されます。(Microsoft Learn)

アーカイブ対象に向いているファイルの判断基準

Microsoft 365 Archiveは、更新頻度が低く、必要になったときだけ参照できればよいファイルに向いています。

アーカイブに向いているアーカイブを避けたい
完了したプロジェクトの成果物現在進行中のプロジェクト資料
過年度の報告書や証跡日常的に共同編集するファイル
参照頻度の低い写真・動画Teamsで頻繁に共有するファイル
保存義務はあるが通常利用しない文書Power BIや業務システムの参照元ファイル
旧版のマニュアルや設計書テンプレートや定型様式
終了したイベントの記録即時に開けることが求められる文書

「最終更新日が古い」という条件だけで一律にアーカイブすると、業務システムやPower BIが参照しているファイルまで開けなくなる可能性があります。

実際の運用では、最終更新日だけでなく、次の項目を確認します。

  • 過去6か月から1年間に閲覧されているか
  • TeamsやPower BIなどから参照されていないか
  • ファイル所有者または業務担当者の確認を得ているか
  • 再アクティブ化に最大24時間かかっても問題ないか
  • 120日間再アーカイブできなくても問題ないか

導入時は小規模なサイトで復元までテストする

ファイルレベルアーカイブは、編集権限を持つ一般ユーザーが実行できる機能です。いきなり全サイトへ展開するのではなく、まず非重要サイトで試すのが安全です。

導入テストでは、次の流れを確認します。

  1. テストサイトだけでファイルレベルアーカイブを有効にする
  2. 編集権限ユーザーでファイルをアーカイブする
  3. サイト内のほかのファイルが通常どおり利用できることを確認する
  4. アーカイブしたファイルが直接開けないことを確認する
  5. 読み取り権限ユーザーで再アクティブ化する
  6. ファイルの内容、バージョン、アクセス許可を確認する
  7. ArchivedFileDiskUsedと監査ログを確認する
  8. 操作手順と問い合わせ先を利用者へ周知する

Microsoft 365 Archiveで選択したファイルだけをアーカイブすることは可能ですが、重要なのは機能を有効にすることではなく、誰が、どのサイトで、どのファイルをアーカイブできるかを先に決めることです。

まず従量課金とMicrosoft 365 Archiveを設定し、PowerShellで適用サイトを限定します。そのうえでSharePointのWeb版からアーカイブと再アクティブ化をテストし、問題がなければ対象サイトを段階的に広げると安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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