古い MBR ディスクのまま Windows 10 を使い続けてきて、そろそろ Windows 11 への移行やセキュアブートを有効化したい、というタイミングで「EFI システムパーティションの空き領域がない」とエラーになり、GPT 変換できずに詰まってしまうケースは意外と多いです。この記事では、mbr2gpt の仕組みと WinRE(Windows 回復環境)からの実行手順を中心に、このエラーを確実に回避して MBR から GPT へ変換する方法を、実際の構成例を交えながら詳しく解説します。
「EFI システムパーティションの空き領域がない」エラーの正体
Windows 10/11 には、既存の MBR ディスクをデータを残したまま GPT に変換できる公式ツール mbr2gpt.exe が用意されています。通常は次のようなコマンドで実行します。
mbr2gpt /convert /disk:2 /allowFullOS
ところが、ここで次のエラーが出て先に進めないことがあります。
Cannot find room for the EFI system partition
日本語環境の解説記事などでは、しばしば「EFI システムパーティションの空き領域がない」と訳されるメッセージです。
代表的なトラブル例(今回の前提)
この記事では、以下のような実際によくある状況を例に解説していきます。
- 14 年前から使い回している Windows 環境
- OS:Windows 10 Pro(MBR ディスク上)
- マザーボード:ASUS TUF GAMING B650E‑PLUS WIFI(UEFI & セキュアブート対応)
- 最終的には Windows 11 Pro を新規ライセンスで導入したい
ディスク構成の一例は次のようなイメージです(Disk 2 がシステムディスクの場合)。
| パーティション | 種類 | サイズ(例) | 備考 |
|---|---|---|---|
| パーティション 1 | システム予約領域 | 100 MB | MBR 時代のブート情報 |
| パーティション 2 | C: ドライブ | 約 1 TB | OS・アプリ・データ |
| パーティション 3 | 回復パーティション | 約 1.1 TB | メーカー独自/古い回復環境など |
| 未割り当て領域 | ― | 約 1.6 TB | 未使用 |
「未割り当て 1.6 TB もあるのに、なぜ EFI システムパーティションの領域が足りないと言われるのか?」というのが今回のポイントです。
なぜ空き容量があるのに「EFI システムパーティションの空き領域がない」のか
mbr2gpt.exe は、MBR を GPT に変換すると同時に、UEFI ブート用の「EFI システムパーティション(ESP)」を確保する必要があります。しかし、どこにでも勝手に作れるわけではありません。
mbr2gpt が EFI パーティションを確保するルール
- ディスクの先頭付近に 確保可能な連続領域 が必要
- 既存の「システム予約領域」を流用できる場合もあるが、サイズが不足していると不可
- フル OS(起動中の Windows)から実行する場合、動作中のパーティションを自由には動かせない
特にフル OS 上で /allowFullOS を付けて実行した場合、Windows が起動中の C: パーティションやシステム予約領域を大きく書き換えることに制限があります。その結果、
- ディスク末尾にどれだけ未割り当て領域があっても
- ディスクの「先頭付近」に EFI パーティション用の空きが作れない
という状況に陥ると、今回のエラーが表示されます。
つまり、
「ディスク全体の空き容量」ではなく、「EFI システムパーティションを作るために使える位置の空き領域」が足りない
ことが原因です。
WinRE から実行すると状況が変わる
ところが、同じディスク構成でも WinRE(Windows 回復環境)から mbr2gpt を実行すると問題なく変換できる 場合があります。これは、WinRE ではシステムディスクのパーティションが「オフライン」の扱いになるため、
- システム予約領域を直接 EFI パーティションとして再構成できる
- 安全にパーティション操作ができる範囲が増える
といった理由により、「空き領域不足」の判定に引っかかりにくくなるためです。
したがって、このエラーに悩まされたときの最重要ポイントは次の一行に集約されます。
mbr2gpt はフル OS ではなく WinRE から実行する。
全体の流れと前提条件
この記事で紹介する手順の全体像を先に整理しておきます。
- バックアップや環境の前提条件を確認する
- WinRE(Windows 回復環境)を有効化する
- 次回起動時に WinRE で起動するよう設定する
- WinRE のコマンドプロンプトから
mbr2gptを実行する - 再起動して UEFI 設定(CSM 無効化・UEFI ブート・セキュアブート有効化)を行う
- Windows 起動後、GPT/UEFI/セキュアブートが有効になっているか確認する
安全に実施するために、事前に次のような前提条件もチェックしておきましょう。
| チェック項目 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| OS バージョン | Windows 10 バージョン 1703 以降 または Windows 11 | winver コマンド |
| マザーボード | UEFI とセキュアブートをサポートしている | マニュアル・BIOS 画面 |
| システム予約領域 | 100 MB 以上が望ましい(できれば 260 MB 以上) | ディスクの管理 |
| バックアップ | システムイメージ・重要データのバックアップを取得済み | バックアップソフト / 別ドライブ |
特に、システムディスクのフルバックアップ は必ず事前に取得しておくことを強くおすすめします。mbr2gpt は公式ツールとはいえ、パーティションテーブルを書き換えるため、停電や予期しないエラーが発生すると起動不能になるリスクはゼロではありません。
WinRE を有効化する
まずは WinRE(Windows 回復環境)が有効になっているかを確認します。管理者権限のコマンドプロンプトまたは PowerShell を開き、次のコマンドを実行します。
reagentc /info
出力の中に 「Windows RE の状態: 有効」 と表示されていれば OK です。もし 「無効」 となっている場合は、次のコマンドで有効化します。
reagentc /enable
成功すると「Windows RE を有効にしました。」といったメッセージが表示されます。
WinRE が有効化できない場合のチェックポイント
- 回復パーティションが削除されている/壊れている
- OEM 独自の構成で WinRE の配置がおかしくなっている
- バックアップソフト・クローンツールがパーティション構成を変更している
このような場合は、Windows のインストールメディアから「コンピューターを修復する」を選んで回復環境に入る方法もあります。この記事では、WinRE が有効である前提で進めます。
次回起動時に WinRE を自動起動する設定
WinRE を有効化できたら、次回の再起動で自動的に WinRE に入るよう設定します。管理者権限のコマンドプロンプトで次を実行します。
reagentc /boottore
成功すると「ブート構成データが更新されました」といったメッセージが表示されます。そのまま Windows を再起動すると、通常のログイン画面の代わりに「オプションの選択」画面が表示され、WinRE に入ることができます。
万が一うまくいかない場合は、以下のような一般的な方法でも WinRE に入ることができます。
- 設定アプリ → システム → 回復 → 「今すぐ再起動」(Windows 10/11)
- サインイン画面で Shift キーを押しながら「再起動」 をクリック
WinRE から mbr2gpt を実行する具体的な手順
ここからが本題です。WinRE から mbr2gpt を実行して、Disk 2(例)を GPT に変換していきます。
WinRE のコマンドプロンプトを開く
WinRE が起動したら、次の順に進みます。
- 「トラブルシューティング」
- 「詳細オプション」
- 「コマンド プロンプト」
必要に応じて管理者アカウントのパスワードを入力すると、コマンドプロンプトが起動します。
diskpart でディスク番号を確認する
まずは、どのディスクがシステムディスク(今回変換したいディスク)なのかを誤りなく特定します。WinRE のコマンドプロンプトで次のコマンドを順に実行します。
diskpart
list disk
複数のディスクが表示されるので、サイズなどから目的のディスク(ここでは Disk 2 と仮定)を判断します。選択するには次のように入力します。
select disk 2
続けてパーティション構成も確認しておくと安心です。
list partition
先ほど説明したような「システム予約領域 100 MB、C: 約 1 TB、回復 1.1 TB、未割り当て 1.6 TB」といった構成であることを確認します。
確認が終わったら、diskpart を終了します。
exit
mbr2gpt /validate で事前チェック(任意だが推奨)
いきなり /convert を実行する前に、まずはディスク構成が変換条件を満たしているかをチェックします。
mbr2gpt /validate /disk:2
成功した場合は「Validation completed successfully」といったメッセージが表示されます。ここで失敗する場合は、パーティションの数が多すぎる、システムパーティションの位置が不正など、別の要因がある可能性が高いので、ログを確認しつつ原因を切り分けます。
mbr2gpt /convert を実行する(WinRE では /allowFullOS は不要)
準備が整ったら、いよいよ GPT 変換を行います。WinRE では /allowFullOS を付ける必要はありませんし、付けてはいけません。
mbr2gpt /convert /disk:2
処理中は EFI システムパーティションの作成や BCD(ブート構成データ)の書き換えなどが行われます。成功すると、最後に「Conversion completed successfully」といったメッセージが表示されます。
この時点で Disk 2 は GPT 形式に変換され、UEFI ブート用の EFI システムパーティションも作成されています。
変換後に BIOS(UEFI)設定を変更する
GPT 変換が成功しても、マザーボードの設定がレガシー BIOS モードのままでは UEFI ブートが行われません。そこで、再起動して UEFI 設定画面(いわゆる BIOS 画面)に入り、次のような設定を変更します。
| 設定項目の例 | 推奨設定 | 補足 |
|---|---|---|
| CSM(Compatibility Support Module) | Disabled(無効) | レガシー BIOS を使う互換モード。無効にする。 |
| 起動モード / Boot Mode | UEFI Only または UEFI 優先 | Legacy / CSM 優先になっていないか確認。 |
| ブート優先順位 | Windows Boot Manager を最上位に | 対象ディスクの「Windows Boot Manager」を選ぶ。 |
| Secure Boot | Enabled(有効) | 鍵の初期化(Standard / Default)などを実施。 |
ASUS TUF GAMING B650E‑PLUS WIFI のような近年のマザーボードであれば、ほとんどの設定は GUI 形式で直感的に変更できますが、用語はメーカーによって微妙に異なります。「CSM」「Legacy Boot」「Secure Boot」といったキーワードを頼りに該当項目を探してください。
Windows 起動後に GPT・UEFI・セキュアブートを確認する
UEFI 設定を変更したら、システムを通常起動して、以下の 3 点が正しくなっているか確認します。
ディスクが GPT になっているか確認
- Win キー + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開く
diskmgmt.mscと入力して「ディスクの管理」を開く- システムディスク(例: ディスク 2)を右クリック →「プロパティ」
- 「ボリューム」タブを開き、「パーティション スタイル」を確認
ここが 「GUID パーティション テーブル (GPT)」 となっていれば、MBR から GPT への変換は成功しています。
UEFI ブートになっているか確認
- Win + R →
msinfo32と入力 - システム情報が開いたら、右ペインで「BIOS モード」を確認
ここが 「UEFI」 になっていれば、システムはレガシー BIOS ではなく UEFI モードで起動しています。
セキュアブートが有効か確認
同じく msinfo32 の画面で「セキュア ブートの状態」を確認します。
- 「有効」 … セキュアブートが有効化されている
- 「無効」 … UEFI では起動しているが、セキュアブートはオフ
- 「サポートしていません」 … マザーボード側でサポートされていないか、設定に問題がある
Windows 11 ではセキュアブートが推奨されているため、ここが「有効」になるよう UEFI 設定を調整します。
システム予約領域が 100 MB 未満の場合の対処
古い Windows 7 時代からアップグレードしてきた環境などでは、システム予約領域が 100 MB 未満であることがあります。この場合、mbr2gpt 実行時に空き領域不足エラーが出やすくなります。
代表的な対策は次の 2 つです。
- システム予約領域を 260 MB 以上に拡張する
- 別の場所に新規 EFI システムパーティションを作成する
ただし、どちらもパーティション操作を伴うため、慎重さが求められます。
システム予約領域を拡張する場合の考え方
システム予約領域の直後に C: ドライブが続いている構成が一般的です。この場合、
- C: ドライブの先頭側を少し縮小して空き領域を作る
- その空き領域をシステム予約領域に結合して拡張する
という手順で、システム予約領域を 260 MB 以上に拡張できます。ただし、Windows 標準の「ディスクの管理」ではパーティションの前方縮小や前方結合ができないため、専門のパーティション編集ツールが必要になるケースもあります。
こういった作業に慣れていない場合は、WinRE からの mbr2gpt 実行だけで済むかどうかをまず試し、それでもダメなときに初めて検討するのがおすすめです。
巨大な「回復パーティション」に要注意
今回の例のように「回復パーティション 1.1 TB」といった構成はかなり特殊です。実際には、
- 昔のメーカー製 PC に付属していたリカバリ領域をそのままコピーしてきた
- バックアップソフトが「回復」ラベルを付けただけのデータ領域
など、名前だけ「回復パーティション」になっている可能性もあります。
このような巨大な回復パーティションは、
- 新しい UEFI/GPT 環境ではほとんど使わない
- ディスクの先頭や末尾をふさいでしまい、パーティション操作の自由度を下げる
といったデメリットがあります。
どうしても mbr2gpt がうまくいかない場合には、
- 中身をバックアップしたうえで、回復パーティションを縮小する
- 必要に応じて削除して通常のデータ領域として作り直す
といった整理も検討の余地があります。ただし誤操作のリスクも高い作業なので、必ずバックアップを取ってから実施してください。
mbr2gpt 実行時のログを確認する
mbr2gpt は、実行時の詳細なログをファイルに出力することができます。トラブルシューティングの際に非常に有用です。
mbr2gpt /validate /disk:2 /logs:C:\mbr2gpt-logs
mbr2gpt /convert /disk:2 /logs:C:\mbr2gpt-logs
WinRE から実行する場合は、一時的に使用するドライブ文字(たとえば D:\ や E:\)を指定します。ログには、
- どのパーティションをどのように扱ったか
- どの条件で「空き領域がない」と判断したか
などが詳細に記録されます。原因がよく分からないエラーに遭遇した場合は、ログの確認も忘れないようにしましょう。
MBR から GPT への変換とライセンス認証の関係
今回のケースのように、
- 現在:Windows 10 Pro(古い MBR ディスク上)
- 今後:Windows 11 Pro を新規ライセンスで導入したい
といった状況では、「GPT 変換や UEFI 化とライセンス認証はどう関係するのか?」が気になるかもしれません。
結論から言えば、
MBR → GPT 変換そのものはライセンス認証とは無関係
です。ディスクのパーティションスタイルが MBR か GPT かは、プロダクトキーやデジタルライセンスとは独立しています。したがって、
- まずは mbr2gpt で安全に GPT へ変換し
- その後、Windows 11 Pro をクリーンインストール or アップグレード
- 新規購入した Windows 11 のプロダクトキーで認証
という流れで進めても問題ありません。
逆に言うと、ライセンスの有無だけで GPT 変換が拒否されることはありません。「今は未ライセンスだから変換できないのでは?」と心配する必要はない、ということです。
安全に作業するための実践的なポイント
最後に、実際に作業する際の実践的なポイントをまとめておきます。
- 必ず事前にフルバックアップを取る
システム全体のイメージバックアップを別の物理ディスクに保存しておくと安心です。 - ノート PC なら AC アダプターを接続して作業する
変換中の電源断は致命的です。デスクトップでも可能なら UPS を利用します。 - 余計な USB ストレージは外しておく
diskpart のディスク番号を誤認しないように、必要なものだけ接続しておくのが安全です。 - ディスク番号は「list disk」で何度でも確認する
一度見ただけで決めつけず、サイズ・容量・台数を落ち着いて確認します。 - 不安がある場合はテスト用環境で練習する
サブのディスクや仮想マシンで mbr2gpt の挙動を確認してから本番環境に挑むのも有効です。
まとめ:WinRE から mbr2gpt を実行して「EFI システムパーティションの空き領域がない」を回避する
この記事の内容を振り返ると、ポイントは次の通りです。
- 「EFI システムパーティションの空き領域がない」エラーは、ディスク全体の空き容量ではなく「EFI 用に使える位置の空き」が足りないことが原因。
- フル OS 上で
/allowFullOSを付けて実行すると、パーティション操作の制約が厳しく、エラーになりやすい。 - WinRE(Windows 回復環境)から mbr2gpt を実行すると、システム予約領域を直接 EFI パーティションへ変換できるため、エラーを回避しやすい。
- 手順としては「WinRE を有効化 → WinRE へ再起動 → mbr2gpt /validate → mbr2gpt /convert → UEFI 設定変更 → Windows 上で確認」という流れ。
- システム予約領域が 100 MB 未満、巨大な回復パーティションがある場合などは、パーティション構成の見直しも検討する。
- MBR → GPT 変換はライセンス認証とは無関係であり、変換後に Windows 11 の新規ライセンスで認証することも可能。
古い MBR 時代の環境を、最新の UEFI/セキュアブート前提の Windows 11 環境へ移行するうえで、mbr2gpt は非常に強力な「橋渡し」ツールです。一方で、パーティション構成が複雑な長期運用システムでは、今回のようなエラーに遭遇しがちです。
「フル OS ではなく WinRE から実行する」 というコツを押さえつつ、バックアップを十分に取り、慎重に作業を進めれば、14 年使い続けてきた環境でも安全に GPT 化し、安心して Windows 11 とセキュアブートへの移行を行うことができます。

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