Microsoft Learnの「Advanced analysis metric descriptions」が更新され、「設定変更やデータ移行が必要なのか」「Copilotの利用数に影響するのか」と気になっている管理者もいるでしょう。
結論からいうと、今回確認すべきなのはMicrosoft Learn自体の機能ではなく、Microsoft Viva InsightsのAdvanced analysisで使用するメトリックの定義と掲載範囲です。一般ユーザーに必須の操作はありません。一方、Insights Analyst、Viva Insights管理者、AI管理者、Power BIレポート担当者は、廃止扱いのメトリック、計測条件、データ反映までの期間を確認する必要があります。
2026年6月16日付の更新情報を確認している場合は、更新日にも注意してください。英語版の公式ページはその後、2026年6月18日に再更新されています。本記事では、2026年6月20日時点の英語版を基準に整理します。日本語版は2026年5月6日更新のため、最新情報の確認には英語版を優先するのが安全です。 (Microsoft Learn)
Advanced analysis metric descriptionsの主な変更点
公式ページには、更新前後の差分一覧や「6月16日に追加された項目」の明示がありません。そのため、現行版で既存のクエリやレポートと照合すべきポイントを整理すると、次のようになります。
| 確認項目 | 現行版で確認できる内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 利用可能な画面 | Copilot Dashboard、Agent Dashboard、Advanced analysisの利用可否をメトリックごとに掲載 | ダッシュボードにある指標が、カスタムクエリでも使えるとは限らない |
| Copilotアクションの条件 | ユーザーが意図的にCopilotやエージェントを操作した場合に計測 | 自動表示されただけのAI出力は原則として利用数に含まれない |
| 分析対象 | ライセンス、利用者区分、プロンプトの目的、アプリ別利用、エージェント、Copilot Creditsなど | 導入率だけでなく、利用目的やエージェント定着状況を分析できる |
| 追跡終了メトリック | アスタリスク付きの一部メトリックは追跡されず、0を返す場合がある | 既存のKPIやPower BIモデルで継続利用していないか確認が必要 |
| データ反映 | 分析期間の終了から6日以上経過してから実行する必要がある | 早く実行するとNULLや不完全な結果になる可能性がある |
| 既知の問題 | Outlook関連の一部指標で過少計上が発生 | 過去期間との単純比較では、利用低下と誤認する可能性がある |
現行版は、単なるメトリック一覧ではありません。「どこで使えるか」「何を1アクションとして数えるか」「値が0やNULLになる理由」まで確認するためのデータ辞書として整理されています。 (Microsoft Learn)
Microsoft Learnで何が変わるのか
「Advanced analysis metric descriptions」は、Viva Insights Webアプリでクエリを作成するときに、Metricsペインから選択できる指標を説明するMicrosoft Learnのリファレンスページです。
Microsoft Learnの学習履歴、認定資格、アカウント設定が変更されるわけではありません。実際に影響を受けるのは、Viva InsightsのAdvanced analysis、Copilot Dashboard、Agent Dashboard、関連するPower BIレポートです。
また、会議やメールなどの行動メトリックは、組織で設定したメトリックルールによって計算条件が変わる場合があります。同じメトリック名を使っていても、除外条件が異なる組織同士では単純比較できません。 (Microsoft Learn)
実務で確認すべき変更点
利用できる画面がメトリックごとに異なる
現行ページでは、各メトリックについて次の3つの利用可否が示されています。
- Copilot Dashboard
- Agent Dashboard
- Advanced analysis
ここで注意したいのは、ダッシュボードに表示されるすべてのメトリックをカスタムクエリで選べるわけではない点です。
たとえば、アクティブユーザー率、習慣的ユーザー率、パワーユーザー率などは、特定の分析テンプレートでは利用できても、カスタムクエリでは選択できない場合があります。レポートを設計する前に、Advanced analysis列が利用可能になっているか確認してください。 (Microsoft Learn)
Copilotアクションは「意図的な操作」が基準になる
Copilot Analyticsでは、ユーザーがCopilotまたは計測対象のエージェントを意図的に利用した場合にアクションとして数えます。
たとえば、Wordを開いたときにCopilotによる文書要約の一部が自動表示されても、それだけではアクションになりません。ユーザーが要約をクリックし、全文を表示するなどの操作を行った場合に計測されます。
そのため、画面にAI機能が表示された回数と、Copilot Analyticsの利用数は一致しません。導入効果を評価するときは、表示回数ではなく「ユーザーが実際に関与した回数」と理解する必要があります。 (Microsoft Learn)
プロンプトの目的別に利用傾向を把握できる
Copilot Chat(work)のプロンプトは、現行ページで次の目的に分けて整理されています。
| 分類 | 主な利用例 |
|---|---|
| Ask and find | 文書や社内情報を探す |
| Catch up | 会議や会話の要点、アクション項目を確認する |
| Draft and brainstorm | メール、文章、コード、アイデアを作成する |
| Other | 上記に該当しないプロンプト |
これにより、単に「何回Copilotを使ったか」だけでなく、「検索・情報収集に偏っている」「下書き作成に活用できている」といった利用目的を分析できます。
Agent measurementでは、アクティブなエージェント数、応答数、利用者数、継続利用率、Copilot Credits、作成者の種類、公開元なども定義されています。エージェントの導入後に、利用者が定着しているか、特定のエージェントだけに利用が偏っていないかを確認する際に役立ちます。 (Microsoft Learn)
一部の旧メトリックは追跡終了となる
現行ページでアスタリスクが付いているメトリックは、追跡されなくなり、結果が0になる場合があります。主な例は次のとおりです。
| アプリ | 追跡終了扱いとして確認が必要なメトリック例 |
|---|---|
| Word | Visualize as table |
| PowerPoint | Create presentation、Organize presentation、Add content、Summarize presentation、Translate presentation |
| Excel | Analysis、Create formula、Formatting、Chat helper |
これらをPower BIの主要KPIやCSV処理の判定条件に使っている場合、利用が突然なくなったように見える可能性があります。
一対一で置き換えられるとは限らないため、分析目的に応じて、アプリ全体のアクション数、Copilot Chat(work)のプロンプト数、Total Copilot actions takenなどへの切り替えを検討してください。 (Microsoft Learn)
2026年春以降は時系列比較に注意する
Word、Excel、PowerPointの一部機能は、Copilot Chat(work)のアクション数へ集約されるため、機能単位のユーザー数やアクション数が減少する場合があります。
さらに、2026年4月下旬から5月初旬以降は、会話型プロンプトと編集モードのプロンプトを分離する処理により、Word、Excel、PowerPoint、OutlookのCopilot Chat(work)指標が減少する可能性があります。
この期間も、Copilot全体のアクティブユーザー数やアクション数、アプリ単位の合計値には編集モードの利用が含まれます。個別指標だけが下がっている場合は、利用率の低下と判断する前に、集計方法の変更を疑う必要があります。 (Microsoft Learn)
数値を正しく読むための注意点
レポートは分析期間終了から6日後に実行する
Copilotメトリックを含むクエリやレポートは、対象期間が終了してから6日以上経過した後に実行します。
たとえば、月曜日から日曜日までのデータを分析する場合、翌日の月曜日に実行するのではなく、日曜日から6日経過した土曜日以降に実行します。早く実行すると、一部データがまだ利用できず、NULLになる可能性があります。 (Microsoft Learn)
NULLと0は意味が異なる
| 値 | 主な意味 |
|---|---|
| NULL | Copilotライセンスがない、またはデータがまだ反映されていない |
| 0 | ライセンスはあるが、指定期間に対象アクションがなかった |
NULLを一律に「未利用者」として0へ変換すると、ライセンス未割り当てのユーザーや未反映データまで未利用者として集計してしまいます。
Power Query、SQL、Pythonなどで後処理する場合は、ライセンス状態とレポート実行日を確認したうえで、NULLと0を分けて扱ってください。 (Microsoft Learn)
合計値と個別メトリックの合計は一致しないことがある
「Total Copilot actions taken」には、Advanced analysisで個別メトリックとして公開されていないCopilotアクションが含まれる場合があります。
そのため、Word、Excel、PowerPoint、Teamsなどの個別メトリックを足しても、Total Copilot actions takenと一致しないことがあります。差分をデータ欠損や計算ミスと決めつけないようにしましょう。 (Microsoft Learn)
Outlook関連の過去データに既知の問題がある
2025年6月1日から2026年2月18日まで、次の指標が過少計上される既知の問題が案内されています。
- メール下書き生成のアクティブユーザー数とアクション数
- メールスレッド要約のアクティブユーザー数とアクション数
- Copilot assisted hours
- Copilot assisted value
2026年2月18日以降のデータには修正が適用されていますが、過去データの復元は継続中とされています。該当期間を含む比較資料には注記を付け、最新状況をMicrosoft 365管理センターのService healthで確認してください。 (Microsoft Learn)
誰に影響するのか
| 対象者 | 影響 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| Microsoft Learnの一般利用者 | ほぼなし | 設定変更やアプリ更新は不要 |
| Microsoft 365 Copilot利用者 | 小さい | 自動表示ではなく、意図的な操作が計測対象になることを理解する |
| Insights Analyst | 大きい | 使用中のメトリック、利用可能な画面、NULL処理を確認する |
| Power BIレポート担当者 | 大きい | 追跡終了メトリック、時系列の不連続、更新タイミングを確認する |
| Viva Insights管理者・AI管理者 | 中程度 | ライセンス、アクセス、除外リスト、プライバシー設定を確認する |
| 経営層・導入責任者 | 中程度 | 指標低下を利用率低下と即断せず、集計条件の変更を確認する |
特に影響が大きいのは、メトリック名をPower BI、Excel、SQL、Power Queryなどに直接記述している組織です。値が0になっても処理自体はエラーにならないため、異常を検知しにくい点に注意してください。
管理者と分析担当者の確認手順
- Microsoft Learnの英語版を開き、最終更新日を確認します。
- カスタムクエリ、Power BIレポート、CSV処理で使用中のCopilotメトリックを一覧化します。
- 各メトリックについて、Copilot Dashboard、Agent Dashboard、Advanced analysisの利用可否を確認します。
- アスタリスク付きの追跡終了メトリックがないか確認します。
- メトリックルール、除外条件、最小グループサイズなど、組織固有の計算条件を記録します。
- 対象期間の終了から6日後にクエリを再実行し、NULLと0を分けて検証します。
- 2026年春をまたぐグラフでは、全体値と機能別値を並べ、集計変更による差を確認します。
- Outlook関連の過去データを使う場合は、Service healthの最新情報を確認します。
日本語版だけを参照している場合は、英語版に切り替えてからメトリック名を照合してください。翻訳の遅延だけでなく、表の構成や掲載されているメトリック自体が異なる場合があります。 (Microsoft Learn)
設定・更新・移行・料金・期限の確認事項
| 項目 | 確認結果 |
|---|---|
| 設定 | 今回のドキュメント更新を理由とする必須設定は案内されていない。ただし、Viva Insights Webアプリの有効化、Insights Analystロール、メトリックルール、最小グループサイズは確認が必要 |
| 更新 | PCアプリやMicrosoft Learnアプリの更新は不要。既存クエリやPower BIレポートの定義を見直す |
| 移行 | サービスやデータの強制移行は案内されていない。追跡終了メトリックを使うレポートは、KPIやフィールドの変更が必要 |
| 料金 | このメトリック説明ページに、新しい追加料金や価格改定の告知はない。利用可否は既存のViva InsightsおよびMicrosoft 365 Copilotライセンスに依存する |
| 期限 | 強制移行期限や廃止期限は掲載されていない。分析期間終了から6日という条件は、対応期限ではなくデータ反映の待機期間 |
Advanced analysisとMicrosoft Copilot Dashboardの利用には、組み合わせを含めて少なくとも50件のViva Insightsライセンス割り当てが必要とされています。Microsoft 365 Copilotを割り当てられたユーザーには、Viva Insightsのサービスプランも含まれます。具体的な料金は公開ページで一律に示されておらず、Microsoftの担当窓口への確認が案内されています。 (Microsoft Learn)
カスタムクエリを作成・実行できるのは、Insights Analystロールを持つユーザーです。Viva Insights Webアプリが無効になっている場合は、Copilot Dashboardだけでなく、Copilot Analyticsレポート、Advanced analysis、管理ツールも利用できません。アクセス変更の反映には最大24時間、組織データの反映には最大7日かかる場合があります。 (Microsoft Learn)
よくある疑問
既存のクエリはすぐに使えなくなる?
一律に使えなくなるわけではありません。ただし、追跡終了メトリックは0を返す可能性があります。クエリが正常終了しても、結果が正しいとは限らないため、使用中の項目を確認してください。
Copilotの利用数が急に減ったのは障害?
必ずしも障害とは限りません。アプリ内機能の集約、会話型プロンプトと編集モードの分離、追跡終了メトリックが原因の可能性があります。Copilot全体のアクション数やアプリ別合計値も併せて確認します。
新しいライセンスの購入は必要?
今回のドキュメント更新だけを理由に、新しいライセンスを購入する必要はありません。ただし、Advanced analysisやAgent Dashboardを新たに利用する場合は、現在のライセンス数と割り当て状況を確認する必要があります。
6日以内にレポートを実行してはいけない?
実行自体はできても、Copilotデータが揃っていない可能性があります。定例レポートでは、対象期間の終了から6日以上空けて更新するスケジュールにすると安全です。
まず実施すべき対応
今回のAdvanced analysis metric descriptionsの変更点で、一般ユーザーが設定を変える必要はありません。管理者と分析担当者は、次の3点を優先してください。
- 利用中のCopilotメトリックを一覧化し、追跡終了の印がないか確認する。
- 対象期間の終了から6日後に再集計し、NULLと0を分けて検証する。
- 2026年春以前との比較資料には、集計方法の変更や既知の問題を注記する。
特に、値が0になったことを「Copilotが使われなくなった」と即断しないことが重要です。メトリックの定義、利用可能な画面、レポート実行日を確認してから、導入状況や利用効果を判断しましょう。

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