Microsoft 365 CopilotのCopilot Analytics更新とは?Cowork・WorkIQの費用可視化と管理策

Microsoft 365 Copilotを導入しているものの、「CoworkやWork IQ APIの利用量を部門別に把握できない」「従量課金がどこで増えているのか分からない」と悩む管理者は少なくありません。

「Microsoft Viva: Copilot Analytics – Insights in Cowork and WorkIQ spend and usage」は、こうした課題に対応する更新です。Viva InsightsのConsumption Dashboardで、CoworkとWork IQ APIによるCopilot Creditsの消費を、組織・部門・チーム単位で確認できるようになります。

結論として、CoworkまたはWork IQ APIの従量課金をすでに有効化している組織は、早めの確認が必要です。まだ利用していない組織への直接的な影響は小さいものの、ユーザーへの表示設定や既定の支出ポリシーによって、意図しない利用申請や将来のコスト増加につながる可能性があります。

Microsoft 365 Roadmapの項目は2026年7月10日8時ごろ、日本時間換算で実質更新されており、一般提供時期は2026年6月、ステータスは「Rolling out」です。そのため、一般提供済みという表記であっても、すべてのテナントに同時に表示されるとは限りません。(Microsoft)

目次

Microsoft VivaのCopilot Analytics更新で何が変わるのか

今回の更新で追加されるのは、新しい生成AI機能そのものではありません。利用量とコストを管理するための可視化機能です。

主な変更点は次のとおりです。

項目内容
対象サービスCopilot Cowork、Work IQ API
可視化する単位組織、部門、職務、グループ、チーム
主な指標アクティブユーザー、Copilot Credits消費量、セッション数、ユーザー別・セッション別平均
主な利用者グローバルパーティションにアクセスできるInsights Analyst、対象マネージャー、Microsoft 365グローバル管理者
マネージャーの範囲自分が管理するチームに限定
組織全体の範囲Insights AnalystとMicrosoft 365グローバル管理者
対象外リーダーによるテナント全体データへの直接アクセス
提供環境WorldwideのStandard Multi-Tenant、Web
展開状況一般提供、段階的展開中

Consumption Dashboardでは、CoworkとWork IQ APIのクレジット消費推移、利用量の多いチーム、上限に近づいているユーザーや支出ポリシーなどを確認できます。現時点で、Microsoft 365サービスとして表示されるConsumptionデータはCoworkとWork IQ APIに限定されています。(Microsoft)

「Copilotの利用状況がすべて見える機能」ではない

今回の更新を理解するうえで重要なのが、Copilot DashboardやMicrosoft 365管理センターのCost Managementとの違いです。

機能主に分かること主な用途
Copilot DashboardCopilotの利用率、アプリ別アクション、導入効果ライセンス展開、定着状況、利用促進
Consumption DashboardCopilot Credits、セッション、利用集中度、支出ポリシー従量課金の分析、部門別の利用把握
Cost Management課金方法、利用対象者、予算、上限、アラート支出の制御、サービス利用の許可
カスタムConsumption Queryユーザー・サービス・日付単位の利用データPower BI分析、原価配賦、異常検知

Copilot Dashboardは「使われているか」「業務への効果が出ているか」を確認する機能です。一方、Consumption Dashboardは「どこでCopilot Creditsが使われているか」に焦点を当てています。正式な請求情報や詳細な課金額を確認する場所は、Viva InsightsではなくMicrosoft 365管理センターです。(Microsoft Learn)

Consumption Dashboardで確認できるデータ

Consumption Dashboardには、選択した期間と対象範囲に応じて、次のような指標が表示されます。

  • CoworkまたはWork IQ APIを利用したアクティブユーザー数
  • Copilot Creditsの総消費量
  • CoworkまたはWork IQ APIの総セッション数
  • ユーザー1人あたりの平均クレジット
  • セッション1回あたりの平均クレジット
  • ユーザー1人あたりの平均セッション数
  • サービス別、組織別、職務別の消費割合
  • 上位1%、上位5%など利用強度別の分布
  • 支出上限に近づいているポリシーやユーザー

「上限に近いユーザー」は、支出ポリシーで認められたCopilot Creditsの90%以上を消費しているユーザーとして定義されています。月次の支出ポリシー上限は毎月1日にリセットされます。(Microsoft Learn)

金額ではなくCopilot Creditsを中心に見る

画面上で扱われる中心的な指標は、円やドルの請求金額ではなくCopilot Creditsです。

Copilot Creditsは、従量課金対象となるMicrosoftのAIサービスで利用される共通単位です。実際の費用を確認するときは、契約している課金方法、プリペイドクレジット、従量課金の適用状況と組み合わせて判断する必要があります。(Microsoft Learn)

そのため、次のように役割を分けると運用しやすくなります。

  • Viva Insightsで消費の原因や偏りを分析する
  • Cost Managementで利用可能なサービスと上限を制御する
  • 請求情報で実際の金額を確認する

Consumption Dashboardだけを見て、そのまま経理上の確定額として処理しないよう注意してください。

誰がどこまでデータを見られるのか

Consumption Dashboardは、利用者の役割によって閲覧範囲が異なります。

利用者閲覧範囲Consumption Query
Insights Analystグローバルパーティションの場合、組織全体実行可能
マネージャー自分のグループ、チーム実行不可
Microsoft 365グローバル管理者組織全体実行不可
一般ユーザー利用不可利用不可
非グローバルパーティションのInsights Analyst利用不可利用不可

グローバル管理者は組織全体のダッシュボードを閲覧できますが、Consumption Queryを実行できるのは、グローバルパーティションへのアクセス権を持つInsights Analystです。また、今回のロードマップでは、リーダーがテナント全体のConsumptionデータへ直接アクセスする機能は対象外とされています。(Microsoft)

経営層向けに全社レポートを作る場合は、リーダー本人へ無理に権限を付与するのではなく、Insights Analystが集計し、必要な粒度に整えて共有する運用が適しています。

データ境界とプライバシー上の注意点

Consumption Dashboardが扱うのは、主に利用量、サービス、セッション、支出ポリシーなどのメタデータです。

カスタムConsumption Queryでは、PersonId、ServiceId、日付、総クレジット、セッション数、ユーザー上限、支出ポリシー上限などを出力できます。組織属性を選択した場合は、部門や職務などの人事属性も分析に加えられます。公開されている出力項目の定義上、プロンプト本文や生成された文書の内容はConsumption Queryの指標には含まれていません。(Microsoft Learn)

ただし、「プロンプトが含まれない」ことと「個人に関係しない」ことは同じではありません。

データエクスポート機能では、ユーザー単位のデータがハッシュ化された識別子付きで出力されます。Microsoftは、このエクスポートを個人データ処理を伴うPublic Preview機能として案内しています。ハッシュ化されていても、組織属性や別の対応表と組み合わせれば、個人または少人数のグループを推測できる可能性があります。(Microsoft Learn)

エクスポートする場合は、少なくとも次の管理が必要です。

  • 出力ファイルの保存先を限定する
  • 閲覧者をInsights Analystなど必要最小限に絞る
  • 人事評価や個人の監視へ安易に転用しない
  • 保存期間と削除方法を定める
  • Power BIやData Lake側でもアクセス権を設定する
  • 社内のプライバシー、労務、情報セキュリティ部門と用途を合意する

なお、Consumption Dashboard本体が一般提供であっても、AIコスト指標のエクスポート機能は公式文書上Public Previewです。マネージャー向けエクスポートについても、2026年7月末までの提供予定とされています。(Microsoft Learn)

利用に必要なライセンスと設定

Consumption Dashboardを表示できることと、CoworkやWork IQ APIを実際に利用できることは別です。

対象主な利用条件
Consumption Dashboard対応する管理者・分析者・マネージャー権限
マネージャー表示Viva Insightsサービスプラン、最小チームサイズ、Manager settingsでの許可
Copilot CoworkMicrosoft 365 Copilotライセンス、Coworkの有効化、従量課金設定
Work IQ APIMicrosoft 365 Copilotライセンスとは独立して利用可能。従量課金が必要
カスタムConsumption QueryグローバルパーティションにアクセスできるInsights Analyst
従量課金の利用開始Microsoft 365管理センターのCopilot配下にあるCost Managementで設定

ロードマップには、CoworkとWork IQ APIを利用するためには、テナントでCost Managementによる従量課金を設定しておく必要があると明記されています。(Microsoft)

Coworkの利用条件

現行のCowork利用開始ガイドでは、ユーザー側の前提として次の項目が案内されています。

  • 有効なMicrosoft 365 Copilotライセンス
  • 対応ブラウザ
  • テナントでのCowork有効化
  • Coworkの従量課金有効化
  • テナント側のモデル設定

公式ガイドではAnthropicをサブプロセッサとして利用するための設定も前提として挙げられています。モデルの許可方針や利用可能なモデルは更新される可能性があるため、導入時にはMicrosoft 365管理センターのCopilot設定を確認してください。(Microsoft Learn)

Work IQ APIはCopilotライセンスだけで判断しない

Work IQ APIへのアクセスは、Microsoft 365 Copilotライセンスとは独立しています。Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザーでも、カスタムエージェントやサードパーティーエージェントからWork IQを利用する場合は、従量課金の対象になります。ライセンスを持たないユーザーについても、利用量に基づいて課金されます。(Microsoft Learn)

「Microsoft 365 Copilotライセンスを割り当てているから追加費用は発生しない」と判断しないことが重要です。

マネージャーの「5人以上」は設定画面で確認する

ロードマップでは、Consumption Dashboardを利用できるマネージャーについて「少なくとも5人の直属部下」と説明されています。

一方、Viva InsightsのManager settingsに関する公式文書では、最小チームサイズを5以上に設定し、次のメンバーをチームサイズへ含めると説明されています。

  • マネージャー本人
  • Viva Insightsサービスプランを持つ直属のメンバー
  • 組織階層上の間接的な配下メンバー

つまり、ロードマップの短い説明と、実際のManager settingsにおける集計条件は完全には同じ表現ではありません。Microsoft 365 Copilotライセンスを割り当てるとViva Insightsサービスプランも適用されますが、対象人数は単純な人事上の直属部下数だけで判断できない場合があります。(Microsoft)

実務では、次の順に確認してください。

  1. Viva InsightsのManager settingsを開く
  2. Minimum team sizeの設定値を確認する
  3. 対象マネージャーが有効化されているか確認する
  4. 対象者のViva Insightsサービスプランを確認する
  5. テスト用マネージャーで実際の表示範囲を検証する

「部下が5人いるから自動的に表示される」と決めつけないことが、トラブルを避けるポイントです。

管理者が確認すべきCost Managementの設定

CoworkやWork IQ APIを利用する組織では、Microsoft 365管理センターの「Copilot」から「Cost Management」を開き、課金方法と支出ポリシーを管理します。

管理者ロールを分離する

管理できる範囲はロールによって異なります。

ロール主な操作
グローバル管理者課金方法、支出ポリシー、上限、アラート
課金管理者課金方法の追加・変更、ポリシーへの割り当て
AI管理者支出ポリシー、上限、アラート、ダッシュボード閲覧
ライセンス管理者支出ポリシー、上限、アラート、ダッシュボード閲覧

AI管理者とライセンス管理者は、支出ポリシーやアラートを管理できますが、課金方法の追加や変更はできません。日常的な管理のためにグローバル管理者を常用せず、必要な範囲に応じてAI管理者や課金管理者へ分担する運用が適切です。(Microsoft Learn)

既定ポリシーをそのまま有効化しない

従量課金の初期設定では、既定の支出ポリシーが組織全体とすべてのユーザーを対象にします。そのまま有効化すると、想定より広い範囲でCoworkやWork IQ APIを利用できる状態になる可能性があります。(Microsoft Learn)

導入初期は、次の設定が安全です。

  1. パイロット用のMicrosoft Entraセキュリティグループを作成する
  2. そのグループだけを支出ポリシーの対象にする
  3. ポリシー全体の月次上限を設定する
  4. ユーザー単位の月次上限も設定する
  5. 上限到達前に通知されるアラートを設定する
  6. 利用を許可するサービスをCoworkまたはWork IQ APIに限定する

追加ポリシーは、それぞれ独立した支出上限を持ちます。また、現在は個別ユーザーを直接指定するのではなく、セキュリティグループを使って対象を指定します。(Microsoft Learn)

「新しいサービスを自動許可」を見直す

支出ポリシーには、新しいエージェントやサービスが追加されたときに、自動的にそのポリシーへ含める設定があります。公式文書では、この設定が既定で選択されていると説明されています。(Microsoft Learn)

新しいサービスを事前審査してから提供したい組織では、この自動追加を無効にしてください。特に、法務・金融・医療など承認フローが厳しい環境では重要です。

上限到達時はサービスが停止する

月次上限を設定した支出ポリシーが上限に達すると、対象ユーザーは月末までエージェントやサービスを利用できなくなります。利用可能量は翌月1日にリセットされます。(Microsoft Learn)

上限設定は単なる通知ではなく、業務を止める可能性がある制御です。重要な業務で利用する場合は、次の対応を準備しておきましょう。

  • アラートの通知先を複数人にする
  • 上限到達時の承認者を決める
  • 緊急時に上限を変更する手順を用意する
  • 月末に集中する定期処理を把握する
  • 代替の手動手順を準備する

ユーザーへの表示と課金許可は別々に管理する

Microsoft 365管理センターには、従量課金型AI機能をユーザーに表示するためのDiscovery設定があります。

この設定が制御するのは、Coworkなどをユーザーが見つけられるかどうかです。実際の利用可否や支出は、Cost Managementの課金設定と支出ポリシーで制御します。(Microsoft Learn)

Discovery設定Cost Managementユーザー側の状態
オン設定済み表示され、許可範囲で利用できる
オン未設定表示されるが、利用申請が必要になる場合がある
オフ未設定原則として表示されない
オフ対象ユーザーの課金設定済み課金設定が優先され、対象ユーザーは利用可能

Coworkを表示したまま従量課金を設定していない場合、ユーザーはアプリからアクセスを申請できます。申請対応を増やしたくない場合は、課金・セキュリティ・社内ルールの準備が完了するまでDiscovery設定をオフにしておくのが現実的です。(Microsoft Learn)

業務での具体的な活用方法

部門ごとの予算配分に使う

Consumption Dashboardでは、組織や職務別にクレジット消費を比較できます。単純な総量だけでなく、次の組み合わせで見るのがポイントです。

  • 総クレジット
  • アクティブユーザー数
  • 1人あたりのクレジット
  • 1セッションあたりのクレジット
  • 1人あたりのセッション数

たとえば、営業部門の総消費量が高くても、利用者とセッション数が多ければ、組織的に活用が進んでいる可能性があります。

一方、利用者数とセッション数が少ないのにクレジット消費だけが高い場合は、特定のユーザー、定期タスク、プラグイン、長時間処理などへ利用が集中している可能性を調査します。

ただし、クレジット消費だけでは業務価値を判断できません。高い利用量が、売上向上や工数削減につながっている場合もあります。費用データは、処理時間の削減、成果物数、問い合わせ解決時間などの業務指標と組み合わせて評価してください。

利用促進とコスト抑制を両立する

利用量が少ない部門に対して一律に利用を促すのではなく、セッション数とクレジット消費を分けて確認します。

たとえば、次のように対応を変えられます。

状況考えられる状態対応例
セッション数もクレジットも少ない未認知、利用方法が不明基本研修、業務別テンプレートを提供
セッション数は多いがクレジットは少ない小規模タスクを反復定型業務として標準化
セッション数は少ないがクレジットが多い大規模処理、複雑なタスク処理内容、モデル、プラグインを確認
一部ユーザーだけ極端に多い専門業務または利用集中成果を確認し、上限と代替要員を検討
上限付近のユーザーが多いポリシーが実態に合わない予算、ユーザー上限、対象サービスを再設計

利用量が多いユーザーを機械的に制限するのではなく、まず「何の業務で、どの成果を得ているか」を確認することが重要です。

経営レポートの根拠をそろえる

今回のリリースでは、リーダーによるテナント全体データへの直接アクセスは対象外です。したがって、全社的なConsumptionレポートはInsights Analystまたはグローバル管理者が作成する必要があります。(Microsoft)

経営向けには、クレジット総量だけでなく、次の項目をセットで示すと判断しやすくなります。

  • 部門別の利用者数
  • 1人・1セッションあたりの消費量
  • 月次予算に対する消化率
  • 上限に近いポリシー
  • 主な業務ユースケース
  • 削減できた工数や処理時間
  • 翌月の予測と対策

開発やエージェント運用での使いどころ

リリース前後のコスト変化を検証する

Work IQ APIを使うカスタムエージェントでは、機能追加によってツール呼び出しやクレジット消費が増える場合があります。

Consumption Queryでは、PersonId、ServiceId、日付単位のデータをCSV、Power BI、Azure Data Lakeへ出力できます。最新データには通常1~2日程度の遅れがあるため、リアルタイム監視ではなく、日次・週次の回帰分析に向いています。(Microsoft Learn)

開発チームでは、次の指標をリリース前後で比較すると効果的です。

  • 1セッションあたりのクレジット
  • ユーザー1人あたりのセッション数
  • エラーや再試行を含む処理回数
  • ServiceId別のクレジット消費
  • タスク完了率
  • 1件の業務成果に必要なクレジット

たとえば、タスク完了率が変わらないのに1セッションあたりのクレジットが増えていれば、プロンプトの肥大化、不要なツール呼び出し、失敗時の再試行などを調査します。

Coworkプラグインは小規模グループから展開する

Coworkでは、モデルの応答だけでなく、ツールやスキルの呼び出し、画像生成、ブラウザータスクなども消費量として計上されます。(Microsoft Learn)

新しいプラグインやスキルを全社公開する前に、セキュリティグループ単位で展開し、次の点を確認してください。

  1. 代表的な業務を数種類実行する
  2. 1タスクあたりの平均クレジットを測定する
  3. 失敗時の再試行回数を確認する
  4. 月間利用回数を想定して予算を試算する
  5. 支出ポリシーとユーザー上限を決める
  6. 問題がなければ対象グループを段階的に広げる

Work IQの権限制御も同時に確認する

Work IQでは、リクエストはサインインしているユーザーのコンテキストで実行され、ユーザーが本来アクセスできるデータや操作の範囲を超えることはできません。さらに、ポリシーレイヤーによって各ツールリクエストを評価し、監査や利用分析へつなげます。(Microsoft Learn)

初期リリースのWork IQ MCPポリシーはテナント単位であり、ユーザー別・アプリ別・エージェント別の細かなポリシーは含まれていません。また、作成、更新、削除、メール送信などの変更操作は既定で許可されず、必要な場合に管理者が有効化します。設定の反映には最大24時間かかる場合があります。(Microsoft Learn)

開発側では、ポリシーによる拒否を単なる通信エラーとして扱わないようにします。ユーザーへ「権限またはテナントポリシーにより実行できない」と示し、同じ操作を無制限に再試行しない実装が必要です。

導入時に失敗しやすいポイント

誤解・失敗正しい考え方
Consumption Dashboardを請求書として使う表示値は参考情報。正式な課金情報はMicrosoft 365管理センターで確認する
Microsoft 365 Copilot全体の利用量だと思う現時点の対象はCoworkとWork IQ API
「既定で有効」なら設定不要だと思うロール、Manager settings、チームサイズ、従量課金設定が必要
マネージャーは直属部下5人で必ず使えると思う実際の適格性はViva InsightsサービスプランとMinimum team sizeで確認する
ハッシュ化されたIDなら個人データではないと思う組織属性と組み合わせると個人を推測できる可能性がある
一般提供ならエクスポートも正式版だと思うデータエクスポートはPublic Preview
上限は通知だけだと思うポリシー上限に達すると月末までサービスを利用できなくなる
クレジット消費が多い部門は無駄遣いだと判断する業務成果や処理件数と組み合わせて評価する
既定ポリシーを全社に適用するまずはセキュリティグループを使った小規模展開が安全
新サービスの自動追加を見落とす審査が必要な組織では自動追加を無効化する

自社で対応が必要かを判断する基準

自社の状況対応優先度必要な対応
Coworkをすでに利用している高Consumption Dashboard、支出上限、ユーザー別利用量を確認
Work IQ APIでエージェントを開発している高ServiceId別分析、リリース前後のコスト比較、ポリシー確認
従量課金を有効化済みだが利用状況を見ていない高既定ポリシー、対象グループ、アラートを見直す
Coworkを近日導入する予定高パイロットグループ、上限、Discovery設定を先に決める
通常のMicrosoft 365 Copilotだけを利用している低~中Cowork・Work IQ APIが対象でないことを確認し、将来導入に備える
従量課金を利用する予定がない低Discovery設定とCost Managementの状態を確認
マネージャーへチーム利用量を見せたい中~高Manager settings、最小チームサイズ、対象者を設定
個人単位データの取り扱いが厳しい高エクスポート権限、保存先、利用目的、保存期間を明文化

最初に実施する確認項目

Microsoft 365管理者は、次の順に確認すると抜け漏れを防げます。

  1. Microsoft 365管理センターのCost Managementを開く
  2. 従量課金が有効になっているか確認する
  3. 既定ポリシーの対象が全ユーザーになっていないか確認する
  4. CoworkとWork IQ APIのどちらを許可しているか確認する
  5. 月次上限とユーザー単位上限を設定する
  6. 新しいサービスの自動追加設定を確認する
  7. アラートの通知先と対応責任者を決める
  8. Discovery設定でユーザーへの表示範囲を確認する
  9. Viva InsightsのManager settingsを確認する
  10. Insights Analystのグローバルパーティション権限を確認する
  11. Consumption Dashboardで利用データを確認する
  12. 2~4週間分の基準値を取り、部門別の予算と運用ルールを決める

今回の更新は、CoworkやWork IQ APIの機能を増やすものではなく、従量課金型AIを組織的に管理するための更新です。

利用状況の説明にはConsumption Dashboard、支出の制御にはCost Management、詳細分析にはConsumption Queryというように役割を分けてください。すでにCoworkまたはWork IQ APIを利用している場合は、まず既定ポリシーの対象範囲、月次上限、Discovery設定、マネージャーの閲覧範囲、エクスポート権限の5点を確認することが重要です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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