Microsoft 365 CopilotのiPhone・iPad文書作成がチャット中心に変更|影響・設定・料金を解説

iPhone・iPad版のMicrosoft 365 Copilotでは、新しいドキュメントを作成する際の操作が、Copilot Chatを中心とした体験に変わります。作りたい文書の内容をプロンプトで説明すると、Copilotが指示に沿ってファイルを生成する仕組みです。

ロードマップID「500632」は2026年6月9日に更新されていますが、一般提供時期は2025年9月で、現在のステータスは「Launched」です。つまり、2026年6月に提供が始まった新機能ではなく、すでに一般提供されている機能の公式情報が更新されたと理解するのが正確です。(Microsoft)

目次

変更点の要約

公式ロードマップに掲載されている内容を整理すると、次のとおりです。

項目内容
ロードマップID500632
変更内容新規ドキュメント作成をCopilot Chat中心の操作に変更
対象アプリMicrosoft 365 Copilotアプリ
対象端末iPhone、iPad
プラットフォームiOS
対象クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)
リリース段階一般提供
一般提供時期2025年9月
現在の状態Launched
公式情報の更新日2026年6月9日

Microsoft 365ロードマップにおける「Launched」は、対象ユーザーへの展開が完了し、一般提供されている状態を意味します。(Microsoft)

新規ドキュメントの作り方がチャット中心に変わる

今回の変更では、作成するファイルの種類や内容を画面上で順番に選ぶよりも、Copilotに文章で指示する操作が中心になります。

たとえば、次のような流れです。

  1. iPhoneまたはiPadでMicrosoft 365 Copilotアプリを開く
  2. ChatまたはCreateの作成画面を開く
  3. 作成したいファイルの内容をプロンプトで入力する
  4. CopilotがWord、Excel、PowerPointなどのファイルを生成する
  5. 生成されたリンクを開く
  6. Word、Excel、PowerPointの専用アプリで内容を確認・編集する

Microsoftのサポート情報では、Microsoft 365サブスクリプションの対象ユーザーがChatタブで作成内容を指示すると、Copilotがファイルへのリンクを生成すると説明されています。ファイルの編集時には、対応するWord、Excel、PowerPointアプリへ移動します。(マイクロソフトサポート)

Copilotアプリだけで編集が完結するわけではない

注意したいのは、チャットでファイルを生成できても、その後の細かな編集までMicrosoft 365 Copilotアプリ内で完結するとは限らない点です。

MicrosoftはモバイルアプリをAI中心の体験へ移行しており、次のように役割を分けています。

作業主に使用するアプリ
文書の内容を考える、下書きを作るMicrosoft 365 Copilot
Word文書を編集するWord
表や数式を調整するExcel
スライドを編集するPowerPoint
ファイル一覧やフォルダーを管理するOneDrive

Word、Excel、PowerPoint、OneDriveが端末に入っていない場合、生成後の編集やファイル管理で操作が止まりやすくなります。業務端末では、必要な専用アプリもあわせて配布しておくと安心です。(マイクロソフトサポート)

実用的なプロンプトの書き方

「報告書を作って」のような短い指示でも生成はできますが、そのまま業務で使える文書にするには情報が足りません。

最低でも、次の要素を含めます。

  • ファイル形式
  • 利用目的
  • 読み手
  • 構成
  • 分量
  • 必ず含める内容
  • 含めてはいけない内容

Word文書を作る例

営業部長向けの週次報告書をWordで作成してください。A4で1ページ程度にまとめ、「今週の実績」「課題」「来週のアクション」の見出しを入れてください。具体的な数値は推測せず、不足している箇所は[要入力]と記載してください。

Excelファイルを作る例

プロジェクトの進捗管理に使うExcelファイルを作成してください。列は「タスク名」「担当者」「開始日」「期限」「状態」「優先度」「備考」とします。状態は未着手、進行中、完了の3種類とし、入力例を3行追加してください。

PowerPointを作る例

新入社員向けの情報セキュリティ研修資料をPowerPointで作成してください。全6枚とし、1枚目はタイトル、2~5枚目は業務上の注意点、6枚目は確認チェックリストにしてください。専門用語には短い説明を付けてください。

特に重要なのが、推測してほしくない情報を明示することです。売上、日付、顧客名、社内ルールなどをCopilotに補完させたくない場合は、「不明な箇所は空欄にする」「推測せず要確認と表示する」と指定します。

影響を受けるユーザー

この変更の主な対象は、次の条件に該当するユーザーです。

  • iPhoneまたはiPadを利用している
  • Microsoft 365 Copilotアプリを利用している
  • Copilot ChatまたはCreateにアクセスできる
  • Microsoft 365サブスクリプションや組織の対象ライセンスを利用している

公式ロードマップ上のプラットフォームはiOSです。そのため、Android、Windows、Mac、Web版は、このロードマップIDの直接的な対象には含まれていません。

また、対象クラウドはWorldwide(Standard Multi-Tenant)です。GCC、GCC High、DoDなどの政府機関向けクラウドは、この項目の対象として記載されていません。(Microsoft)

設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント

確認項目結論
利用者による設定原則として特別な初期設定は不要
管理者による設定この作成画面だけを切り替える個別設定は案内されていない
アプリ更新App StoreからMicrosoft 365 Copilotアプリを最新版に更新
ファイル移行通常は不要。保存先ではなく、作成・編集の入口が変わる
追加料金ロードマップ上では新しい料金や課金変更の発表なし
ライセンス利用可能な機能はMicrosoft 365とCopilotライセンスの状態に依存
対応期限必須作業の期限は発表されていない
提供状況2025年9月に一般提供、現在はLaunched

アプリは最新版へ更新する

画面が変わっていない場合は、まずApp Storeで更新を確認します。

  1. App Storeを開く
  2. 右上のプロフィール画像をタップする
  3. Microsoft 365 Copilotの「アップデート」をタップする
  4. 更新後にアプリを終了して再起動する
  5. 必要に応じてサインインし直す

ロードマップでは、この機能に必要な具体的なアプリバージョンは示されていません。古いアプリを使い続けるより、組織で承認された最新バージョンに更新するのが確実です。(マイクロソフトサポート)

ファイルの移行作業は基本的に不要

今回の変更は、既存ファイルの保存場所や形式を変更するものではありません。変わるのは、新規ファイルを作るときの入口と操作方法です。

そのため、通常は次のような作業は必要ありません。

  • 既存のWordファイルを移動する
  • OneDriveの保存先を変更する
  • ファイル形式を変換する
  • テンプレートを一括移行する

ただし、社内マニュアルに旧画面のスクリーンショットが掲載されている場合は、手順書や研修資料の更新が必要です。

料金変更は発表されていない

ロードマップID「500632」には、追加料金、新しい有料オプション、価格改定の記載はありません。

一方で、Microsoft 365 Copilotアプリで使える機能はライセンスによって異なります。対象となるMicrosoft 365ビジネスサブスクリプションではCopilot Chatを利用できますが、業務データへのアクセス範囲や優先アクセスなどは、Microsoft 365 Copilotアドオンライセンスの有無によって変わります。(マイクロソフトサポート)

利用できるか判断できない場合は、Copilot画面に表示されるライセンスラベルと、Microsoft 365管理センターのライセンス割り当てを確認します。

管理者が確認すべき設定

Createだけを無効化する設定はない

Microsoft Learnでは、Microsoft 365 Copilotアプリの「Create」は組み込み機能であり、その機能自体は構成できないと説明されています。

そのため、今回のチャット中心の作成体験だけを旧画面に戻したり、特定ユーザーだけ無効化したりする設定は、公開されている管理者向け情報では案内されていません。(Microsoft Learn)

Copilot全体はIntuneで制御できる

Intuneのアプリ構成ポリシーを利用している組織では、次のキーでMicrosoft 365アプリ内のCopilot全体を制御できます。

com.microsoft.office.officemobile.BingChatEnterprise.IsAllowed

値動作
trueCopilotを有効化。既定値
falseCopilotを無効化

これは新規ドキュメント作成だけを止める設定ではありません。Copilot全体に影響するため、変更前に対象ユーザーと業務への影響を確認してください。(Microsoft Learn)

管理者向けの確認リスト

  • Microsoft 365 Copilotアプリが対象端末へ配布されているか
  • Word、Excel、PowerPoint、OneDriveも利用できるか
  • Copilotを無効化するIntune設定が適用されていないか
  • 対象ユーザーに必要なMicrosoft 365ライセンスが割り当てられているか
  • 条件付きアクセスやアプリ保護ポリシーでサインインが遮断されていないか
  • 社内手順書が旧画面のままになっていないか
  • ヘルプデスクが専用アプリへの移動を不具合と誤認しないよう周知されているか

変更後に失敗しやすいポイント

2026年6月9日を提供開始日と誤解する

2026年6月9日は公式情報の更新日です。一般提供時期は2025年9月で、すでにLaunchedとなっています。

Copilotアプリ内で最後まで編集できると思う

Copilotは文書の生成を担当しますが、細かな編集ではWord、Excel、PowerPointへ移動します。アプリが未導入だと、生成後の作業を続けられません。

指示が抽象的すぎる

「プレゼンを作って」だけでは、対象者、枚数、目的、構成が不明です。生成後の修正を減らすには、最初のプロンプトに条件をまとめて入力します。

別のアカウントでサインインしている

個人アカウントと職場アカウントを併用している端末では、意図しないアカウントでCopilotを開いていることがあります。機能が見つからない場合は、現在選択されているアカウントを確認してください。

Android版にも同じ変更があると思う

ロードマップID「500632」の対象はiOSです。Android版の提供状況は、別のロードマップ項目やリリースノートで確認する必要があります。

よくある質問

2026年6月に新しくリリースされた機能ですか?

いいえ。公式データ上の一般提供時期は2025年9月です。2026年6月9日はロードマップ情報の更新日です。

追加料金はかかりますか?

このロードマップ項目では、追加料金や価格変更は発表されていません。ただし、利用できるCopilot機能は契約プランやライセンスによって異なります。

管理者による移行作業は必要ですか?

通常のファイル移行は不要です。確認すべきなのはアプリ配布、ライセンス、Intune設定、社内マニュアルです。

従来のテンプレートは使えなくなりますか?

公式ロードマップは、チャット中心の体験になることを説明していますが、すべてのテンプレート機能が廃止されるとは記載していません。実際に表示される機能は、アカウントやライセンスによって確認してください。

まず実施すべきこと

一般ユーザーはMicrosoft 365 Copilotアプリを更新し、Chatから簡単なWord文書を生成できるか試してください。生成後に専用アプリで編集できることまで確認するのがポイントです。

管理者は、対象端末にMicrosoft 365 Copilotだけでなく、Word、Excel、PowerPoint、OneDriveが配布されているかを確認します。そのうえで、ライセンス割り当て、IntuneのCopilot設定、利用者向けマニュアルを見直せば、今回の変更への対応は完了です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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