Learning Agent in Microsoft 365 Copilotとは?変更点・対象・設定を解説

2026年6月9日に更新されたMicrosoft 365 Roadmap(ID 490154)の要点は、Microsoft 365 Copilot上で業務に合わせた学習を支援する「Learning Agent」が一般提供されることです。

利用者がデータを移行したり、専用ソフトを手動更新したりする変更ではありません。管理者が確認すべきなのは、Microsoft 365 Copilotのライセンス、エージェントの配布範囲、学習コンテンツの接続、追加サービスの契約状況です。

なお、一般提供になったからといって、すべてのMicrosoft 365アプリで同時に使えるとは限りません。Microsoftの現行ドキュメントでは、Microsoft 365 CopilotとTeamsが対応先として案内され、Word、Excel、PowerPoint内のサイドバイサイド表示などは近日提供予定とされています。(Microsoft Learn)

目次

2026年6月9日更新の主な変更点

Learning Agent in Microsoft 365 Copilotは、従業員の役割、スキル、業務上のタスクに応じて、短時間の学習や体系的な学習機会を提示するAIエージェントです。

確認項目内容
Roadmap ID490154
主な変更Learning Agentの一般提供
提供時期2026年6月
リリース段階General Availability
主な対象Microsoft 365 Copilotライセンスを持つユーザー
管理対象Microsoft 365管理センターのエージェント設定
利用者の移行作業特別なデータ移行は案内されていない
管理者の対応ライセンス、配布範囲、コンテンツ、追加サービスを確認

公式ロードマップでは、Learning Agentについて「パーソナライズされたマイクロラーニングと構造化された学習体験を通じて、従業員のスキル向上を支援する機能」と説明されています。ロードマップ上の日付は予定であり、テナントへの反映時期が前後する可能性があります。(Microsoft)

Learning Agent in Microsoft 365 Copilotとは

Learning Agentは、研修サイトを開いてコースを探すだけの仕組みではありません。Microsoft 365 Copilotの会話画面から、現在の仕事に関連する学習を始められる点が特徴です。

例えば、営業担当者には提案書作成や顧客対応、管理職にはフィードバックやコーチング、一般ユーザーにはCopilotのプロンプト作成といった学習を提示できます。

主な機能

機能具体的な活用例
毎日のAIヒント担当業務で使えるCopilotの活用方法を短く学ぶ
タスクベース学習実際の作業を題材に、手順やプロンプトを確認する
スキル評価現在の理解度や不足しているスキルを把握する
マイクロラーニング長い教材から必要な部分を短時間で学ぶ
学習計画目標や難易度に合わせた段階的な学習を進める
ロールプレイ顧客対応や部下へのフィードバックをAI相手に練習する
コンテンツ統合SharePointやViva Learningの教材を学習候補として提示する
利用状況レポート利用率、継続率、学習アクティビティを確認する

提案内容は、ユーザーのロール情報、スキルシグナル、タスク推論などを利用してパーソナライズされます。また、AI Skills Navigatorや一部のスタータープロンプトはプレビュー機能として案内されているため、Learning Agent本体が一般提供されても、すべての機能が同じ提供段階とは限りません。(Microsoft Learn)

Microsoft 365 Copilotで何が変わるのか

Frontierの先行提供から一般提供へ移行する

Learning Agentは、先行してFrontierプログラムで提供されていました。今回の変更では、一般提供としてMicrosoft 365 Copilotライセンスユーザーへの展開が進みます。

Frontierを有効にしていなかった組織でも導入を検討できるようになりますが、管理者が許可または配布しなければ、ユーザーが利用できない場合があります。

学習が日常業務の中に入る

従来の社内研修では、次のような問題が起こりがちです。

  • 研修サイトを開く機会が少ない
  • 自分の業務に関係する教材を探しにくい
  • 一度受講しても実務で使わず、内容を忘れてしまう
  • Copilotのライセンスを配布しても、具体的な使い方が定着しない

Learning Agentでは、Microsoft 365 Copilotの画面で質問し、その場でヒント、教材、練習課題を受け取れます。単なる研修機能ではなく、Copilotの利用定着を支援する仕組みとして捉えると分かりやすいでしょう。

管理者が配布範囲を制御できる

管理者はLearning Agentを組織全体に配布するだけでなく、特定のMicrosoft 365グループを対象にした段階的な導入も可能です。

Microsoft 365管理センターでは、エージェントの許可、割り当て、ブロックなどを管理できます。全社展開の前に、情報システム部門や一部の業務部門で試す運用が現実的です。(Microsoft Learn)

影響を受けるユーザーと管理者

対象主な影響
Microsoft 365 Copilotユーザー業務に関連する学習、評価、ヒントをCopilotから利用できる
Copilot管理者Learning Agentの許可、配布、ブロックを判断する必要がある
グローバル管理者テナントへの展開とユーザー割り当てを行う
ナレッジ管理者学習コンテンツや機能設定を管理する
人事・研修担当者教材、学習目標、利用状況の評価方法を設計する
Copilot Chatのみの利用組織Microsoft 365 Copilotと同じ機能やレポートを利用できるとは限らない
LinkedIn Learningなどの利用組織対応するロールプレイや外部教材を追加できる

特に注意したいのは、無料または基本提供のCopilot Chatと、Microsoft 365 Copilotライセンスが同一ではない点です。Learning Agentの管理レポートはMicrosoft 365 Copilotライセンスに含まれ、Copilot Chatのみのテナントでは利用できないと案内されています。(Microsoft Learn)

一般ユーザーがLearning Agentを使う手順

管理者が利用を許可している場合、次の手順で追加できます。

  1. Microsoft 365 Copilotを開きます。
  2. 「すべてのエージェント」を選択します。
  3. エージェントストアで「Learning Agent」を検索します。
  4. Learning Agentを選択し、「追加」を実行します。
  5. Learning Agentを開き、学びたい業務やスキルを入力します。

管理者があらかじめインストールしている場合は、追加操作をしなくてもエージェント一覧に表示されることがあります。(Microsoft Learn)

最初に試しやすい質問例

  • 営業担当者向けに、今週試せるCopilotの活用方法を3つ教えてください
  • Excelで月次報告を作る業務に役立つ学習を提案してください
  • 顧客から厳しい指摘を受けた場面のロールプレイを始めてください
  • Copilotのプロンプト作成スキルを確認する問題を出してください
  • 1日10分、5日間で学べるAI活用の学習計画を作ってください

「AIについて教えて」のような広い質問よりも、役割、作業内容、学習時間、到達目標を含めると、実務に使いやすい提案を得やすくなります。

管理者が確認すべき設定手順

ライセンスを確認する

まず、対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているか確認します。

Learning Agentそのものとは別に、利用する機能や教材によって次の契約が必要になる場合があります。

  • Viva LearningまたはViva Suite
  • LinkedIn Learning EnterpriseまたはPremium
  • Skillsoft PercipioやCAISY
  • 接続する外部LMSや学習コンテンツサービス

例えば、LinkedIn LearningのAIロールプレイを使うユーザーには、Microsoft 365 Copilotに加えて、対象となるLinkedIn Learning契約が必要です。(Microsoft Learn)

配布対象を決める

Microsoft 365管理センターでLearning Agentを探し、次のいずれかを選択します。

  • 組織全体に配布する
  • 特定のMicrosoft 365グループに配布する
  • ユーザー自身が追加できる状態にする
  • 利用をブロックする

最初から全社展開するよりも、業務内容が明確な部門で試行し、問い合わせ内容や利用率を確認してから広げる方法が安全です。

学習コンテンツを設定する

組織独自の研修資料を使う場合は、Learning Agentの管理画面からSharePointなどのナレッジソースを追加します。

SharePointを追加する場合は、サイトのルートURLを指定します。設定変更がLearning Agentの応答に反映されるまで、最大24時間程度かかる場合があります。(Microsoft Learn)

登録前には、次の点を確認してください。

  • 古い手順書や廃止済みの資料が混在していないか
  • 対象ユーザーの閲覧権限が適切か
  • 機密情報や個人情報を学習ソースに含めてよいか
  • 教材の所有部門と更新責任者が決まっているか

Learning Agentを導入しても、元の教材が古ければ、古い内容が提示される可能性があります。導入前のコンテンツ整理が重要です。

利用状況をレポートで確認する

管理者やナレッジ管理者は、Learning Agentのメニューから「学習レポート」を開き、利用状況を確認できます。

確認できる主な指標は、対象ユーザー数、発見率、アクティブユーザー数、エンゲージメント率、継続利用者などです。CSV形式での出力にも対応しています。

レポートは、プライバシー保護のため一定数以上の利用者が必要です。初回データの表示まで24~48時間程度かかる場合もあります。(Microsoft Learn)

設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント

項目確認すべき内容
設定管理センターでLearning Agentを許可し、対象ユーザーまたはグループを指定する
更新公開情報では、専用クライアントの手動更新は必須とされていない
移行ファイルやユーザーデータの移行作業は案内されていない
Frontier利用組織一般提供版の配布対象、エージェント名、既存ポリシーを再確認する
料金基本利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要
追加料金Viva Learningの高度な機能や外部コンテンツ、ロールプレイは追加契約が必要になる場合がある
期限利用者向けの移行期限や強制対応期限は案内されていない
展開時期2026年6月。テナントによって表示時期が異なる可能性がある

ロードマップにはLearning Agent単体の新しい料金は示されていません。「一般提供になったため、すべての機能が追加料金なしで使える」と判断せず、実際に利用する機能ごとにライセンスを確認してください。

Learning Agentが表示されないときの確認方法

Learning Agentが見つからない場合は、アプリの再インストールより先に、次の順序で確認します。

  1. 対象アカウントにMicrosoft 365 Copilotライセンスがあるか
  2. 管理者がLearning Agentを許可しているか
  3. 自分が配布対象のグループに含まれているか
  4. エージェントストアでLearning Agentを追加したか
  5. テナントへのロールアウトが完了しているか
  6. Microsoft 365 CopilotまたはTeamsで確認しているか
  7. 外部教材やロールプレイに必要な追加ライセンスがあるか

Word、Excel、PowerPoint内に表示されない場合は、設定ミスとは限りません。Microsoftのセットアップ文書では、これらのアプリにおけるサイドバイサイドのLearning Agent体験は近日提供予定とされています。(Microsoft Learn)

導入時に注意したいポイント

一般提供と全機能の提供開始は同じではない

Learning Agent本体が一般提供されても、AI Skills Navigatorやアプリ内連携など、一部機能はプレビューまたは段階展開です。

社内案内では「Learning Agentが使える」と「すべての機能が使える」を分けて説明してください。

個人情報や機密情報の扱いを確認する

Microsoft 365 Copilotとエージェントは、Microsoft 365の権限モデルに従い、ユーザーがアクセスを許可されている情報を基に動作します。一方で、社内の権限設定が広すぎる場合は、Learning Agent導入前から情報管理上の問題が存在する可能性があります。(Microsoft Learn)

Learning Agentの展開に合わせて、SharePointのアクセス権、People Skillsの共有範囲、学習コンテンツの公開範囲も確認しておくと安全です。

導入効果を利用者数だけで判断しない

エージェントを開いた人数だけでは、学習が定着したか判断できません。

管理者は、次の流れを分けて確認してください。

  • Learning Agentを見つけたか
  • 実際に質問したか
  • 教材や評価を利用したか
  • 複数日にわたって継続利用したか
  • 学んだプロンプトや手順を実務で使ったか

Learning Agentは、導入するだけで自動的にCopilot活用率を上げる機能ではありません。対象業務を決め、具体的な質問例を配布し、利用状況を見ながら学習内容を改善することが重要です。

Learning Agent導入で最初に行うこと

Learning Agent in Microsoft 365 Copilotの変更では、大規模なシステム移行よりも、ライセンスと配布設定の整理が重要です。

管理者は、まず小規模な対象グループを決め、Microsoft 365 CopilotライセンスとLearning Agentの配布状態を確認してください。その後、SharePointやViva Learningの教材を必要に応じて接続し、利用レポートで発見率、継続率、実際の学習行動を確認します。

一般ユーザーは、Learning Agentが表示されたら、自分の役割と具体的な作業を含む質問から始めると、実務に直結する学習を得やすくなります。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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