Microsoft 365 Copilot「Researcher Output Formats」の変更点|出力形式・対象・管理者対応

Microsoft 365 Copilotの「Researcher Output Formats」では、Researcherが作成した調査レポートを、PowerPoint、PDF、インフォグラフィック、Audio Overviewとして出力できるようになりました。従来から利用できたWordとCopilot Pagesについても、出力時の操作性が改善されています。

公式ロードマップID「546246」は2026年6月9日に更新され、ステータスは「Launched」です。一般提供時期は2026年4月、対象はWeb版のWorldwide環境とされています。利用者によるデータ移行や、専用の管理者設定を必要とする更新ではありません。管理者は、ライセンス、Researcherへのアクセス、Web検索ポリシー、生成物の共有ルールを確認しておくことが重要です。(Microsoft)

目次

Researcher Output Formatsの変更点

今回の変更により、Researcherの調査結果をコピーして別のアプリで作り直すのではなく、用途に合った成果物へ直接展開しやすくなります。

項目変更前変更後
編集可能な文書WordWord。出力時のUXも更新
共同編集用コンテンツCopilot PagesCopilot Pages。出力時のUXも更新
プレゼン資料手作業で再構成するケースが多いPowerPointへ出力可能
固定レイアウト資料Wordなどから別途PDF化PDFへ出力可能
視覚的な要約別のツールで作成インフォグラフィックとして出力可能
音声による確認読み上げや別ツールを利用Audio Overviewとして出力可能

新たに追加された出力形式は、PowerPoint、PDF、インフォグラフィック、Audio Overviewの4種類です。WordとPagesは廃止されるのではなく、既存の出力形式として操作性が更新されます。(Microsoft)

Microsoft 365 CopilotのResearcherとは

Researcherは、Web上の情報や、ユーザーがアクセスできる社内のファイル、メール、会議、チャットなどを調べ、出典付きの構造化されたレポートを作成する機能です。

通常のCopilot Chatが短い質問や文章作成などの日常業務に向いているのに対し、Researcherは複数の情報源を横断する調査や、複雑な比較・分析に適しています。(マイクロソフトサポート)

利用目的適した機能
メールを短く要約するCopilot Chat
アイデアをすぐに出すCopilot Chat
市場や競合を複数の情報源から調査するResearcher
出典付きの詳細レポートを作るResearcher
調査結果を資料として再利用するResearcher

Researcher Output Formatsは、調査機能そのものを変えるというより、完成したレポートを実務で使える形へ変換する機能を強化した更新と考えると分かりやすいでしょう。

対象ユーザーと展開状況

公式ロードマップに記載されている対象範囲は次のとおりです。

確認項目公式情報
ロードマップID546246
最終更新日2026年6月9日
ステータスLaunched
一般提供時期2026年4月
製品Microsoft Copilot(Microsoft 365)
プラットフォームWeb
クラウド環境Worldwide(Standard Multi-Tenant)
リリースフェーズGeneral Availability

「Launched」は、対象となる顧客へのリリースが完了し、一般提供されている状態を示します。(Microsoft)

直接影響を受けるユーザー

主な対象は、Microsoft 365 Copilotのライセンスが割り当てられ、Web版Microsoft 365 CopilotでResearcherを利用しているユーザーです。

特に次の業務では効果が分かりやすいでしょう。

  • 市場調査や競合調査を行う営業・企画部門
  • 経営会議向けの説明資料を作成する担当者
  • 社内研修やマニュアルを作成する人事・教育部門
  • 顧客向けレポートを作成するコンサルタント
  • 複数の社内資料をまとめるプロジェクト担当者

一方、当該ロードマップにはGCC、GCC High、DoDなどの政府機関向けクラウドは対象として記載されていません。また、Windows、Mac、iOS、Androidの各ネイティブアプリも対象プラットフォームには含まれておらず、Web版として案内されています。(Microsoft)

出力形式ごとの使い分け

出力形式は、完成後に誰がどのように利用するかで選ぶのがポイントです。

出力形式適した用途共有前に確認すること
PowerPoint経営会議、顧客説明、プロジェクト報告スライド構成、文字量、ブランドテンプレート、出典
PDF承認済み資料、社外配布、保存用レポートリンク、出典、ページ崩れ、機密情報
インフォグラフィック研修資料、社内告知、要点の視覚化数値、単位、図の意味、情報の省略
Audio Overview移動中の確認、事前学習、概要の共有数字や固有名詞の読み方、機密情報の扱い
Word内容の修正、レビュー、正式文書の下書き見出し構成、変更履歴、引用表記
Copilot Pagesチーム内の共同編集、調査途中の整理共有範囲、編集権限、最終版の管理方法

PowerPointは説明用に使う

PowerPointは、調査結果を上司や顧客へ説明するときに向いています。ただし、詳細なレポートをスライド化すると、前提条件や例外事項が省略されることがあります。

重要な判断に使う場合は、PowerPointだけを共有するのではなく、元のResearcherレポートや出典も参照できる状態にしておきましょう。

PDFは確定版の配布に使う

PDFはレイアウトが変わりにくいため、承認済み資料や社外配布に適しています。

一方で、PDFになったからといって内容の正確性や公開範囲が自動的に保証されるわけではありません。出力後に、機密情報、リンク、引用元、ファイル名を確認してください。

インフォグラフィックは概要の共有に使う

インフォグラフィックは、複雑な調査結果を短時間で理解してもらう用途に向いています。

ただし、情報量を減らす過程で条件や注意事項が省かれる可能性があります。特に割合、増減率、調査対象期間は、元の数値と照合する必要があります。

Audio Overviewは内容の把握に使う

Audio Overviewは、レポートを読む時間が取れないときや、移動中に概要を確認するときに便利です。

数字、製品名、人名などは聞き間違えやすいため、意思決定や正式な説明ではテキスト版も確認してください。音声ファイルを共有する場合は、会議資料や文書と同じ情報管理ルールを適用します。

一般ユーザー向けの確認手順

実際に利用できるか、次の手順で確認します。

  1. WebブラウザでMicrosoft 365 Copilotにサインインします。
  2. ナビゲーションからResearcherを開きます。
  3. 調査対象、期間、情報源、読み手、必要な結論を入力します。
  4. Researcherが作成したレポートの出典と内容を確認します。
  5. 出力・作成メニューから目的の形式を選びます。
  6. 生成されたファイルを開き、レイアウト、数値、引用、共有範囲を確認します。

UIの名称や配置は更新によって異なる場合があります。ResearcherはMicrosoft 365 Copilotアプリ内から利用し、作成後のレポートを編集、共有、プレゼンテーションや文書の作成に利用できます。(マイクロソフトサポート)

実務で使いやすいプロンプト例

2026年度の国内ゼロトラスト市場について、社内資料とWeb情報を分けて調査してください。経営会議向けに、主要な変化、競合動向、リスク、推奨アクションを整理し、重要な数値には出典と調査日を記載してください。

レポート完成後、同じ内容をPowerPoint、インフォグラフィック、Audio Overviewで出力すると、形式ごとの違いを確認できます。

管理者が確認すべき設定・ライセンス・料金

Microsoft 365 Copilotライセンスを確認する

法人向けResearcherは、対象となるMicrosoft 365 BusinessまたはEnterpriseプランに、Microsoft 365 Copilotのアドオンライセンスを追加したユーザーが主な対象です。(マイクロソフトサポート)

少なくともロードマップID「546246」には、Researcher Output Formats専用の追加料金や、新しい従量課金の記載はありません。そのため、まず次の点を確認します。

  • 対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilotライセンスが割り当てられているか
  • 契約中のプランでResearcherを利用できるか
  • 組織の契約価格や販売店経由の条件に変更がないか
  • 試用版や一時的なライセンスに依存していないか

価格は契約形態や地域によって異なるため、Microsoft 365管理センター、契約書、販売店の見積もりを基準にしてください。

専用の出力形式設定は案内されていない

当該ロードマップには、「PowerPointだけ許可する」「Audio Overviewを無効にする」といった出力形式別の管理設定は記載されていません。

ResearcherとAnalystはMicrosoftが提供するコア機能として展開されています。通常のカスタムエージェントとは管理方法が異なり、ユーザーやグループ単位の細かな割り当てではなく、Microsoft 365 Copilotへのアクセスやテナント全体のガバナンスを確認する必要があります。(Microsoft Learn)

社内データのアクセス権を確認する

Researcherは、ユーザーがもともと閲覧権限を持つMicrosoft 365上の情報を利用します。権限のないファイルへ新たにアクセスできるようになる機能ではありません。

ただし、SharePointやOneDriveで過剰な共有が行われていると、その情報がResearcherの調査対象になる可能性があります。導入前に次の項目を点検してください。

  • 「組織内の全員」など広すぎる共有設定
  • 所有者が不明なSharePointサイト
  • 古いプロジェクトの共有フォルダー
  • 外部ユーザーが残っているファイル
  • 機密ラベルやDLPポリシーの適用状況

Microsoftは、Microsoft Graph経由でアクセスした組織データ、プロンプト、応答を基盤モデルの学習には使用しないと説明しています。(Microsoft Learn)

Web検索ポリシーを確認する

ResearcherでWeb情報を利用できるかは、組織のWeb検索ポリシーにも影響されます。

Web検索が組織で許可されている場合、ユーザーは設定に応じてWeb情報を利用できます。無効になっている場合は、最新の公開情報を十分に反映できない可能性があるため、調査用途と情報管理方針のバランスを検討してください。(マイクロソフトサポート)

更新・移行・期限について

項目確認結果
クライアント更新Web機能として案内されており、ロードマップに個別更新の指示はない
データ移行過去のレポートを移行する手順は記載されていない
旧形式の廃止WordとPagesは廃止ではなく、UX更新の対象
専用設定出力形式専用の管理者設定は記載されていない
追加料金当該ロードマップに専用料金の記載はない
対応期限管理者による移行期限や作業期限は記載されていない
現在の状態Launched、一般提供済み

Microsoft 365ロードマップの日付や対象範囲は変更される可能性があります。運用判断では、ロードマップだけでなく、Microsoft 365管理センターのメッセージセンターとサービス正常性も確認してください。(Microsoft)

Researcherの出力形式が表示されない場合

新しい出力形式が見つからないときは、次の順番で切り分けます。

  1. 対象ユーザーにMicrosoft 365 Copilotライセンスがあるか確認する
  2. Web版Microsoft 365 CopilotでResearcher自体を利用できるか確認する
  3. 別のブラウザやプライベートウィンドウで表示を確認する
  4. 組織のCopilotアクセス制限を確認する
  5. Web検索やエージェント関連のテナントポリシーを確認する
  6. Microsoft 365管理センターのメッセージセンターを確認する
  7. 同じテナントの別ユーザーでも再現するか確認する

Researcherは利用できるものの一部形式だけ表示されない場合は、既存レポートではなく、新しく生成したテストレポートでも確認すると切り分けやすくなります。

利用時の注意点

新しい出力形式は、レポートの再利用を効率化する機能です。内容の正確性を自動的に保証する機能ではありません。

特に次の点に注意してください。

  • 引用元を開き、重要な主張が実際の内容と一致するか確認する
  • 数字、日付、固有名詞は元資料と照合する
  • PowerPointやインフォグラフィックで省略された条件を確認する
  • 音声だけで重要な意思決定を行わない
  • 社外共有前に機密情報とアクセス権を確認する
  • 生成物を正式版とする前に、人によるレビューと承認を行う
  • 元のResearcherレポートと出典を保存しておく

まずは少人数の利用者で、同じレポートをWord、PowerPoint、インフォグラフィックへ出力し、品質と共有方法を比較するのが安全です。管理者はライセンスと情報アクセスを確認し、利用者には「出力後も事実確認が必要」であることを周知してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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