Microsoft 365 Copilot Chatの埋め込み画像対応とは?変更点・影響・管理者の確認事項

Microsoft 365 Copilot Chatは、Word、PowerPoint、PDFに埋め込まれたグラフや図、スクリーンショットを読み取り、回答の根拠として利用できるようになります。これまで以上に、文書の本文だけでなく、画像が示す数値や関係性を含めた分析が可能になる変更です。

公式ロードマップID「560540」は、2026年6月9日(UTC、日本時間では6月10日)に更新されました。対象はデスクトップ環境とWorldwide(Standard Multi-Tenant)で、2026年6月の一般提供が予定されています。更新時点のステータスは「In development」です。(Microsoft)

目次

Microsoft 365 Copilot Chatの変更点

今回の変更では、Copilot Chatがファイル内のテキストだけでなく、埋め込まれた画像も解釈して回答を作成します。

公式情報で明示されている対象は次のとおりです。

項目内容
対象ファイルWord文書(.docx)、PowerPointプレゼンテーション(.pptx)、PDF
読み取る画像グラフ、図、ダイアグラム、スクリーンショットなど
主な変更画像の内容を回答の根拠として利用
対象製品Microsoft 365、Microsoft Copilot(Microsoft 365)
対象プラットフォームDesktop
提供範囲Worldwide(Standard Multi-Tenant)
一般提供予定2026年6月
ロードマップID560540

たとえば、売上報告書に棒グラフが貼り付けられている場合、Copilot Chatは本文の説明だけでなく、グラフから読み取れる増減や傾向も踏まえて回答できるようになります。システム構成図や操作画面のスクリーンショットを含む資料でも、視覚情報を考慮した回答が期待できます。(Microsoft)

画像生成機能ではなく、画像理解機能

今回強化されるのは、ファイルに含まれる画像を理解する機能です。

新しい画像を生成したり、既存画像を編集したりする機能ではありません。「資料に貼られている画像を読み取り、その内容を回答に反映する機能」と考えると分かりやすいでしょう。

また、ロードマップID 560540ではExcelファイル(.xlsx)が対象として明記されていません。Copilot Chat自体はExcelファイルのアップロードに対応していますが、Excel内の埋め込み画像まで同じように解析されるとは断定できないため、実際の環境で確認が必要です。Copilot Chatでは、ファイルをチャットに追加して内容を分析できます。(Microsoft Learn)

どのような業務で役立つのか

画像を含む資料を読む機会が多い業務ほど、今回の変更による効果を得やすくなります。

活用シーン質問例期待できる結果
経営・営業レポート「グラフも含めて売上が減少した部門を整理してください」本文とグラフを組み合わせた要約
アンケート報告書「円グラフから回答傾向を読み取り、上位3項目を説明してください」割合や傾向の抽出
システム設計書「構成図を確認し、通信経路と障害時の影響範囲を説明してください」図を踏まえた構成整理
操作マニュアル「スクリーンショットを見ながら、設定手順を初心者向けに書き直してください」画面内容を反映した手順作成
障害報告書「エラー画面と本文から、原因候補と確認項目を分けてください」エラー表示を含む情報整理

特に大きいのは、作成者が本文で十分に説明していないグラフや図も、質問の対象にできる点です。ただし、Copilotの回答だけで数値や障害原因を確定せず、必ず元資料と照合する必要があります。

影響を受けるユーザーと管理者

一般ユーザー

次のようなユーザーは、業務上の変化を感じやすいでしょう。

  • PowerPointの報告資料を頻繁に確認する人
  • PDFの調査報告書や提案書を読む人
  • 図やスクリーンショットを含むマニュアルを扱う人
  • Copilot Chatで資料の要約や比較を行っている人

従来と同じファイルを使用しても、回答にグラフや画像の情報が含まれる可能性があります。そのため、過去に使用した定型プロンプトについても、回答内容が変わらないか確認しておくと安心です。

Microsoft 365管理者

管理者は、機能そのものをインストールする作業よりも、利用条件と情報管理の確認が重要です。

特に確認したいのは、Copilot Chatの利用対象者、ファイルアップロードの許可状況、Microsoft PurviewのDLPポリシー、機密ファイルの取り扱いルールです。Microsoftのリリース情報では、管理者がCopilot Chatのファイルアップロードを無効化できることも案内されています。(Microsoft Learn)

設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント

確認項目現時点で分かっていること対応
設定今回の画像理解機能専用の設定項目は公表されていないCopilot Chatとファイルアップロードの利用可否を確認
アプリ更新特定バージョンへの手動更新指示はないデスクトップ環境で提供状況をテスト
データ移行ファイル形式や保存場所を変更する移行作業は案内されていない原則として移行計画は不要
料金ロードマップ上では追加料金の案内はない契約中のライセンスと利用モードを確認
期限強制対応期限はない2026年6月の一般提供予定を基準に準備
セキュリティファイル内の画像も処理対象になるDLP、秘密度ラベル、社内規程を再確認

Microsoft 365 Roadmapに掲載される提供時期は予定であり、延期や内容変更の可能性があります。社内への提供開始日を確定する前に、ロードマップの最新ステータスを再確認してください。(Microsoft)

料金は変わるのか

ロードマップID 560540には、追加料金や価格改定の記載はありません。

Microsoft 365 Copilot Chatは、対象となるMicrosoft 365サブスクリプションを利用するMicrosoft Entraアカウント向けに、追加料金なしで提供されます。一方、組織内のファイル、メール、会議、チャットなどを横断的に参照するワークベースの機能や優先アクセスには、Microsoft 365 Copilotライセンスが必要になる場合があります。(Microsoft)

今回の機能が、ライセンスなしのCopilot ChatとMicrosoft 365 Copilotライセンス利用者で同じ範囲まで提供されるかは、ロードマップだけでは判断できません。管理者は、対象ユーザーのライセンスと実際の利用画面を確認してください。

新機能が利用できるか確認する手順

一般提供後は、次の方法で動作を確認できます。

  1. 職場または学校のアカウントでCopilot Chatを開きます。
  2. 「コンテンツの追加」を選ぶか、ファイルをチャット画面へドラッグ&ドロップします。
  3. グラフやスクリーンショットを含むWord、PowerPoint、PDFを追加します。
  4. 画像を対象として明示した質問を入力します。
  5. 回答を元ファイルの画像と照合します。

動作確認には、次のようなプロンプトが適しています。

このファイルについて、本文だけでなく、埋め込まれているグラフ、図、スクリーンショットも確認してください。画像から直接読み取れる事実と、推測した内容を分けて説明してください。

特定の画像を確認したい場合は、ページやスライドを指定します。

5ページ目の棒グラフを確認し、前年から増加した項目と減少した項目を数値付きで整理してください。

8枚目のネットワーク構成図から、各サーバーの接続関係を説明してください。不明確な部分は推測せず、不明と記載してください。

画像について質問しても回答に反映されない場合は、機能の展開状況、ファイルアップロードの制限、ライセンス、ファイル形式を順番に確認しましょう。

精度を高めるためのファイル作成方法

画像理解に対応しても、資料側の品質が低いと正確な回答は得にくくなります。

グラフの文字を小さくしすぎない

軸ラベル、凡例、単位が小さいグラフは、読み取りを誤る可能性があります。資料を作成するときは、拡大しなくても文字を確認できる大きさを意識してください。

タイトルと単位を画像内に入れる

「売上」「件数」「構成比」など、何を示すグラフなのかを画像だけで判断できるようにします。金額であれば円、万円、千円などの単位も明記しましょう。

画像だけに重要情報を閉じ込めない

契約金額、期限、障害の影響範囲など、判断に直結する情報は本文にも記載するのが安全です。Copilotが画像を読み取れることを前提に、重要情報を画像だけで管理する運用は避けてください。

ページや図に識別名を付ける

「図1 システム構成」「グラフ2 月別売上」のように識別できる名前を付けると、プロンプトで対象を指定しやすくなります。

利用時の注意点

画像の読み取り結果が正しいとは限らない

複雑なグラフ、低解像度の画像、文字が重なった図、色だけで区別された凡例などは、誤って解釈される可能性があります。

Copilotに数値を抽出させた場合は、次の点を確認してください。

  • 軸の単位を正しく認識しているか
  • 合計値と内訳が一致しているか
  • 前年比と構成比を混同していないか
  • 図中の矢印や接続方向を逆に解釈していないか
  • 画像内の注記を見落としていないか

機密資料を無条件でアップロードしない

Copilot Chatには、職場アカウント向けのエンタープライズデータ保護が適用されます。ただし、利用者は社内の情報管理規程やファイルアップロードルールに従う必要があります。(Microsoft Learn)

Microsoft Purviewでは、秘密度ラベルが設定されたファイルやメールをCopilotおよびCopilot Chatの処理対象から除外するDLPポリシーを構成できます。機密情報を扱う組織では、一般提供前にポリシーの動作確認を行いましょう。(Microsoft Learn)

Copilotが参照できる範囲を区別する

ユーザーがチャットへ直接追加したファイルと、Copilotが組織内データから検索したファイルでは、必要なライセンスや参照範囲が異なる場合があります。

「ファイルをアップロードできるから、組織内の全ファイルも自動的に検索できる」とは限りません。回答が得られない場合は、ファイルへのアクセス権とCopilotの利用モードを確認してください。

管理者が一般提供前に行うべきこと

まず、代表的なWord、PowerPoint、PDFを用意し、少人数のユーザーで検証します。グラフ、システム構成図、スクリーンショットなど、実際の業務に近い画像を含むファイルを選ぶことが重要です。

検証では、少なくとも次の点を確認します。

  1. 画像を明示した質問に回答できるか
  2. 数値や凡例を正しく読み取れるか
  3. 秘密度ラベルやDLPポリシーが期待どおりに動作するか
  4. ライセンスの違いで利用範囲が変わるか
  5. 誤回答が発生したときの確認手順を利用者へ説明できるか

今回の変更では、大規模な移行作業よりも、利用ルールと検証方法の整備が重要です。管理者はロードマップの最新状況を確認したうえで、ファイルアップロード設定と情報保護ポリシーを点検してください。一般ユーザーは、画像を確認するよう明示したプロンプトを使い、回答を必ず元資料と照合することから始めましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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