2026年6月17日に更新されたMicrosoft Learnの「Manage Copilot Cowork for your organization」では、Microsoft 365 Copilot Coworkの管理方法が、従量課金、モデル、ブラウザー、プラグイン、セキュリティまで含む統合的なガバナンスとして整理されました。Copilot Coworkは一般提供されていますが、Microsoft 365 Copilotライセンスを割り当てるだけでは利用できません。管理者による従量課金の有効化と支出ポリシーの設定が必要です。(Microsoft Learn)
管理者が最初に確認すべきなのは、Microsoft 365管理センターの「Copilot > Cost Management」です。ここで課金方法、対象グループ、月間上限、ユーザー上限、通知を設定します。Coworkを画面に表示する設定と、実際に使えるようにする課金設定は別なので、両方を確認することが重要です。(Microsoft Learn)
Microsoft 365のManage Copilot Coworkで何が変わるのか
今回の更新で重要なのは、Copilot Coworkの管理が単純なオン・オフではなく、次の要素に分かれたことです。
| 確認項目 | 変更・追加された管理内容 | 管理者が行うこと |
|---|---|---|
| 利用許可 | 従量課金の有効化が利用条件 | Cost Managementで課金と支出ポリシーを設定 |
| ユーザーへの表示 | 利用権限とは別に検出可能性を管理 | 利用準備前に表示するかを判断 |
| コスト | Copilot Creditsによる従量課金 | 組織、グループ、ユーザー単位で上限を設定 |
| AIモデル | モデルごとの有効・無効を管理 | 利用を認めるモデルを選定 |
| ブラウザー操作 | Microsoft Edgeを使ったWeb操作を管理 | Cowork Browsingを必要な対象だけに有効化 |
| プラグイン | 配布対象や利用可否を管理 | セキュリティグループ単位で段階展開 |
| コンプライアンス | Microsoft Purviewの対応範囲を明確化 | 監査、秘密度ラベル、eDiscoveryなどを確認 |
Microsoftの変更履歴でも、2026年6月の一般提供に合わせて、モデル切り替え、ブラウザー利用、消費状況の可視化、Purview連携をまとめた管理ガイダンスへ更新されたことが示されています。(Microsoft Learn)
誰に影響するのか
最も大きな影響を受けるのは、Microsoft 365管理者と請求管理者です。利用開始前にAzureサブスクリプションなどの課金方法を決め、どの部門にいくらまで利用を許可するかを設計する必要があります。
セキュリティ担当者は、利用可能なモデル、外部サービスへ接続するプラグイン、Edgeによるブラウザー操作、Microsoft Purviewの対応範囲を確認します。経理やFinOps担当者には、Copilot Creditsの消費状況を継続的に確認する役割が生じます。
一般ユーザーは、次の条件を満たした場合に利用できます。
- Microsoft 365 Copilotライセンスが割り当てられている
- Coworkを対象とする支出ポリシーに含まれている
- 組織がCoworkを利用できる状態にしている
- 必要なモデル、プラグイン、ブラウザー機能が許可されている
Coworkが画面に表示されても、課金設定が完了していなければ、そのまま利用できるとは限りません。この場合、ユーザーから管理者へアクセスを申請できる仕組みになっています。(Microsoft Learn)
管理者が最初に行う設定
従量課金と支出ポリシーを有効化する
基本的な設定手順は次のとおりです。
- グローバル管理者または請求管理者でMicrosoft 365管理センターへサインインする
- 「Copilot > Cost Management」を開く
- 「Get Started」を選択する
- Azureサブスクリプションなどの課金方法を選択する
- ポリシー全体の月間上限を設定する
- 必要に応じてユーザーごとの月間上限を設定する
- 使用量がしきい値に達した場合の通知先を指定する
- 対象となるグループとサービスを選択する
- 内容を確認して有効化する
特定のユーザーだけを対象にしたい場合も、現時点ではセキュリティグループを利用します。個人を直接指定するのではなく、パイロット用グループや部門別グループを事前に作成しておくと管理しやすくなります。(Microsoft Learn)
支出ポリシーでは「新しいサービスやエージェントを利用可能になった時点で自動的に許可する」設定が既定で有効です。変更管理を厳格に行う組織では、この設定を無効にし、サービスごとに審査してから追加する運用が適しています。(go.microsoft.com)
また、作成済みの支出ポリシーに設定した課金方法は後から変更できません。別のAzureサブスクリプションへ切り替える場合などは、ポリシーを削除して作り直す必要があります。初回設定時に請求先を誤らないよう注意してください。(Microsoft Learn)
Coworkをユーザーに表示するか決める
Coworkの表示設定は、次の場所で変更します。
Copilot > Settings > AI experiences enabled by usage-based billing
「Allow users to discover and use AI experiences enabled by usage-based billing in Microsoft 365 Copilot」を有効にすると、ユーザーがCoworkなどの従量課金型AI機能を見つけられるようになります。
ただし、表示設定は利用許可そのものではありません。表示を有効にしても、対象ユーザーに支出ポリシーが割り当てられていなければ、利用申請が表示されるだけの場合があります。社内告知前に、表示対象と課金対象が一致しているか確認しましょう。(Microsoft Learn)
モデル、ブラウザー、プラグインを確認する
| 機能 | 主な管理場所 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| AIモデル | Copilotの設定 | モデル単位で無効化できる |
| ブラウザー利用 | Copilot > Settings > View All > Cowork settings | 「Allow browser access」を有効化 |
| プラグイン | Agents > Tools | 全員、特定グループ、ブロックを選択 |
| 利用状況 | Copilot > Cost Management | ユーザー、グループ、サービス別に確認 |
CoworkではClaude Opus、Claude Sonnet、SonnetとOpusを組み合わせたAdvisor、GPT 5.5などが候補として示されています。ただし、ユーザーに表示されるモデルは組織の設定に依存します。管理者はモデルごとに利用を無効化できます。(Microsoft Learn)
Edgeを使ったローカルブラウザー機能は既定で無効です。利用には最新のMicrosoft Edge、Coworkと同じ職場または学校アカウントでのEdgeサインインが必要です。関連ガイドでは、このブラウザー機能自体はプレビューとして案内されています。(Microsoft Learn)
プラグインはMicrosoft 365 App Storeから組織全体または特定グループへ配布できます。外部サービスへ接続するプラグインでは、ユーザー自身による初回サインインや同意が必要になる場合があります。(Microsoft Learn)
Copilot Coworkの料金とCopilot Credits
Copilot Coworkの利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要ですが、Coworkの利用枠はMicrosoft 365 Copilotの定額料金に含まれていません。実際に行った処理に応じてCopilot Creditsが消費されます。(Microsoft Dynamics Media)
Pay-as-you-goの公式価格は、1 Copilot Creditあたり0.01米ドルです。Microsoftが示しているタスクごとの概算は次のとおりです。
| タスクの規模 | Copilot Creditsの目安 | 0.01米ドルで計算した概算 |
|---|---|---|
| 軽いタスク | 70~200 | 0.70~2.00米ドル |
| 中程度のタスク | 400~600 | 4.00~6.00米ドル |
| 重いタスク | 1,500超 | 15.00米ドル超 |
これは固定料金ではなく、使用するモデル、取得するコンテキスト、ツール呼び出し、処理時間によって変動する計画用の目安です。
支払い方法には、使用分を後払いするPay-as-you-goと、1年分を前払いするCopilot Credit Pre-Purchase Plan(P3)があります。P3には購入量に応じた割引がありますが、未使用分は年間契約の終了時に失効します。(Microsoft Dynamics Media)
実際の予算は、次の式で見積もると現実的です。
対象ユーザー数 × 1人あたりの月間タスク数 × タスクごとの平均Credits × 0.01米ドル
最初から全社展開せず、少人数のセキュリティグループで実測値を取り、軽いタスク、中程度のタスク、重いタスクの比率を確認してから予算を広げる方法が安全です。
課金開始日と確認すべき期限
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月16日 | Copilot Coworkの一般提供と通常の課金を開始 |
| 2026年7月1日 | 対象となるFrontier利用テナントの無償猶予期間が終了 |
| 個別期限なし | データや会話の手動移行期限は公式情報で案内されていない |
2026年3月30日から6月16日までのFrontier期間中に、少なくとも1人がCoworkを使用したテナントは、移行支援として2026年7月1日までCoworkの利用料金が請求されません。対象外のテナントでは一般提供開始時から課金対象となります。(Microsoft)
今回の「移行」は、既存データを別サービスへ移す作業ではなく、プレビュー運用から一般提供後の課金・アクセス管理へ切り替える作業と考えるのが適切です。Frontierで利用していた組織は、猶予期間内に支出上限と通知を設定しておきましょう。
セキュリティとMicrosoft Purviewの注意点
2026年6月17日時点のMicrosoft Purview公式情報では、CoworkのAI対話に対する対応状況は次のように整理されています。
| 対応している機能 | 未対応とされている機能 |
|---|---|
| DSPM、監査 | データ分類 |
| 秘密度ラベル | AI対話に対するDLP |
| 暗号化されたコンテンツの権限制御 | Data Lifecycle Management |
| Insider Risk Management | Compliance Manager |
| Communication Compliance | |
| eDiscovery |
プロンプトや応答、ブラウザータスク、ファイルのアップロード、Coworkが作成した成果物などは、統合監査ログで確認できます。秘密度ラベルを付けた情報を基にWord文書やPowerPoint資料を生成した場合は、ラベルを新しい成果物へ継承できます。(Microsoft Learn)
注意したいのは、Edge上のブラウザー操作に適用されるDLPと、CoworkのAI対話そのものに対するPurview DLPは別の範囲であることです。ローカルブラウザー操作は既存のEdge、条件付きアクセス、Webフィルタリング、DLPポリシーを引き継ぎます。一方、Purviewの対応表では、AI対話に対するDLPは2026年6月17日時点で未対応です。(Microsoft Learn)
Microsoftの一般提供時の案内では、Data Lifecycle Managementは2026年6月22日の一般提供予定、DLPは今後対応予定とされています。運用開始後もPurviewの公式ドキュメントを定期的に確認する必要があります。(Microsoft)
利用できないときの確認ポイント
| 症状 | 主な確認項目 |
|---|---|
| Coworkが表示されない | Microsoft 365 Copilotライセンスと表示設定 |
| Coworkは表示されるが申請画面になる | 支出ポリシーの対象外、または従量課金が未設定 |
| ブラウザー操作が使えない | Cowork Browsing、Edgeのバージョン、サインインアカウント |
| 月の途中で利用できなくなった | ユーザーまたはグループの月間上限 |
| プラグインが表示されない | Agents > Toolsの配布対象、ブロック設定、ユーザー認証 |
| 処理が途中で切断される | プロキシやファイアウォールの長時間接続設定 |
支出上限に達したユーザーは、Creditsが月初にリセットされるまで対象サービスを利用できなくなります。業務を止めたくないユーザーには上限到達前の通知を設定してください。(Microsoft Learn)
厳格なプロキシ環境では、Coworkのサービスエンドポイントへの443番ポート通信と、ストリーミング接続を最低30分維持できる設定も確認が必要です。(Microsoft Learn)
まず少人数のパイロットから始める
Microsoft 365でCopilot Coworkを導入する際は、次の順序で進めると過剰課金や意図しない機能公開を防げます。
- パイロット用のセキュリティグループを作成する
- 月間上限とユーザー上限を設定する
- 使用量通知の送信先を登録する
- 自動追加される新サービスを必要に応じて無効化する
- 使用を認めるモデルとプラグインを限定する
- Edgeブラウザー機能は必要な部署だけで検証する
- 監査ログと秘密度ラベルの動作を確認する
- 実際のCopilot Credits消費量を基に対象を拡大する
今回の変更で最も重要なのは、Coworkを表示させることではなく、誰が、何に、いくらまで使えるかを先に決めることです。まずCost Managementで支出ポリシーを作成し、少人数で利用量とセキュリティを確認してから全社展開へ進みましょう。

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