Microsoft VivaのCopilot識別可能メトリクス出力とは?変更点と管理者の対応

Microsoftは2026年6月15日、Microsoft VivaのCopilot Analyticsに「Identifiable Export metrics in the Copilot Dashboard」を追加する計画を公開しました。管理者が機能を有効化すると、Copilot Dashboardから個人を識別できる行単位のCopilot利用メトリクスをエクスポートできるようになる変更です。

提供予定は2026年8月です。一般ユーザーの操作が大きく変わる機能ではありませんが、管理者はアクセス権、利用目的、保存先、従業員データの取り扱いを事前に整理する必要があります。識別子の種類、追加料金、既定の設定、既存エクスポートとの共存方法などは、現時点では公表されていません。

目次

Microsoft VivaのIdentifiable Export metricsとは

「Identifiable Export metrics in the Copilot Dashboard」は、Microsoft Viva InsightsのCopilot Dashboardに追加される予定のデータ出力機能です。

Microsoft 365ロードマップ ID 562648では、次の内容が案内されています。

項目公開されている内容
機能名Copilot Analytics – Identifiable Export metrics in the Copilot Dashboard
変更内容識別可能な行単位のCopilotメトリクスをエクスポート可能にする
主な用途レポート作成、詳細分析
管理方法テナント管理者が有効化可能
対象サービスMicrosoft Viva
対象環境Worldwide Standard Multi-Tenant
対象プラットフォームWeb
リリース段階Targeted Release、General Availability
提供予定2026年8月
公開日時2026年6月15日
現在の状態開発中

Microsoftの説明は、個人を識別できる行単位のCopilotメトリクスを出力し、レポートや詳細分析に利用できるようにするというものです。機能は管理者がテナントで有効化できる予定です。(Microsoft)

ここでいう「メトリクス」は、Copilotを使用した日数やアプリ別の操作回数などの利用指標を指します。ロードマップ上では、プロンプト本文やCopilotの回答内容を出力する機能とは説明されていません。

現在の匿名化エクスポートとの違い

現在のCopilot Dashboardには、ユーザーレベルのメトリクスを匿名化して出力するパブリックプレビュー機能があります。

現在のエクスポートでは、個人識別子が匿名IDに置き換えられ、過去6カ月分の週次メトリクスが出力されます。これに対し、今回発表された新機能では、行単位のデータを個人と結び付けて分析できるようになることが最大の変更点です。

比較項目現在のエクスポート2026年8月予定の新機能
個人識別匿名IDに置換個人を識別できる形式
データ単位ユーザーレベルの週次集計識別可能な行単位
対象期間過去6カ月未公表
更新頻度週次未公表
カスタマイズ出力内容の変更不可未公表
管理者制御VFAMで無効化・再有効化可能管理者が有効化可能
提供状況パブリックプレビュー2026年8月に一般提供予定

現行機能では、エクスポート対象にMicrosoft 365 CopilotやCopilot Chatの利用日数、プロンプト送信数、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどで実行したCopilot操作数が含まれます。データは完了した週を対象に週次更新されます。(Microsoft Learn)

ただし、新機能で氏名、メールアドレス、社員番号のどれが識別子として出力されるのかは、2026年6月15日時点で公表されていません。現在の匿名化エクスポートを置き換えるのか、2種類から選択できるのかも未発表です。

何ができるようになるのか

識別可能なCopilotメトリクスを扱えるようになると、匿名IDだけでは難しかった利用支援や導入効果の確認が行いやすくなります。

利用が定着していないユーザーを支援する

たとえば、Microsoft 365 Copilotライセンスを割り当てたものの、Copilotをほとんど使用していないユーザーを抽出し、次のような支援につなげられます。

  • 職種別のCopilot研修を案内する
  • WordやTeamsなど、担当業務に適した活用例を共有する
  • 利用開始時に発生している技術的な問題を確認する
  • 導入後のフォローアップ対象者を絞り込む

単に「利用していない」と判断するのではなく、ライセンス割り当て日、研修受講状況、担当業務などと組み合わせて確認することが重要です。

部門や施策ごとの導入効果を検証する

研修や社内キャンペーンの前後で、Copilotのアクティブ日数や操作回数がどのように変化したかを確認できます。

具体的には、営業部門にOutlookとTeamsの活用研修を実施した後、メール作成支援や会議要約の利用が増えたかを追跡するといった使い方が考えられます。

ライセンス配置を見直す

個人別の利用傾向を把握できれば、Copilotライセンスの追加配布や配置見直しの判断材料にもなります。

ただし、短期間の利用回数だけでライセンスを回収すると、繁忙期や担当業務の違いを見落とす可能性があります。少なくとも複数週のデータを確認し、本人や部門責任者へのヒアリングと組み合わせるべきです。

誰に影響するのか

影響が最も大きいのは、一般ユーザーよりも管理者とCopilot Analyticsの利用者です。

対象者主な影響
Microsoft 365管理者機能の有効化、アクセス権、ライセンス条件の確認が必要
AI管理者・Viva Insights管理者データ利用方針、除外対象、組織データとの連携を確認
Copilot Dashboard利用者個人を識別できる詳細な分析が可能になる
Viva Insights AnalystPower BIなどを使った追加分析への活用が想定される
情報セキュリティ・法務・人事個人データの利用目的、保存期間、社内規程の確認が必要
一般ユーザー操作変更は限定的だが、自身の利用メトリクスが識別可能な形で扱われる可能性がある

現行のエクスポート機能は、Copilot Dashboardへのグローバルアクセスを持つユーザーに限定されています。対象には、条件を満たすシニアリーダー、管理者がアクセスを付与したユーザー、グローバルアクセスを持つViva Insights Analyst、Microsoft 365グローバル管理者、グローバルアクセス保持者の代理人などが含まれます。チーム単位のビューだけを持つマネージャーは利用できません。(Microsoft Learn)

新しい識別可能なエクスポートにも同じアクセス条件が適用されるかは、今後公開される正式ドキュメントで確認する必要があります。

管理者がリリース前に確認すべきこと

この機能は、提供開始後に試しながらルールを決めるのではなく、個人識別データを扱う前提で準備しておくことが重要です。

Copilot Dashboardのアクセス権を棚卸しする

最初に、現在誰がCopilot Dashboardへアクセスできるかを確認します。特に見落としやすいのが、シニアリーダーからアクセスを委任されている代理人です。

確認対象は次のとおりです。

  • グローバルアクセスを持つユーザー
  • Microsoft 365グローバル管理者
  • Viva Insights Analyst
  • シニアリーダーとして自動判定されたユーザー
  • リーダーから権限を委任された代理人
  • Microsoft Entra IDグループ経由でアクセスを付与されたユーザー

個人別データを出力できる機能では、「ダッシュボードを閲覧できる人」と「データをダウンロードできる人」を同じ範囲にしてよいとは限りません。新機能の設定項目が公開されたら、エクスポート権限を個別に制限できるか確認してください。

利用目的を先に決める

識別可能なデータは、目的を定めずに収集すると用途が広がりやすくなります。

運用開始前に、少なくとも次の内容を文書化します。

確認項目決めておく内容
利用目的利用促進、研修効果測定、ライセンス最適化など
利用者管理者、分析担当者、部門責任者のどこまで許可するか
対象者全社員か、特定部門やパイロット対象者だけか
保存先SharePoint、Power BI、管理端末など
保存期間何カ月保持し、いつ削除するか
二次利用人事評価や勤怠評価への利用を認めるか
問い合わせ窓口従業員からの照会を誰が受け付けるか

Microsoftは、Viva Insightsについて、従業員の評価、追跡、自動意思決定、プロファイリング、監視を目的とした製品ではないと説明しています。利用回数だけで人事評価や勤務態度を判断する運用は避けるべきです。(Microsoft Learn)

出力ファイルの保護方法を決める

識別可能なエクスポートファイルは、通常の利用状況レポートより厳しく管理する必要があります。

実務では、次の対策を検討します。

  • 出力先を管理されたSharePointサイトまたはPower BIワークスペースに限定する
  • Microsoft Purviewの秘密度ラベルを適用する
  • 外部共有と個人端末へのダウンロードを制限する
  • ファイルへのアクセスを必要最小限のグループに限定する
  • エクスポートと共有の監査ログを確認できる状態にする
  • メール添付やチャットへの直接アップロードを禁止する
  • 保存期限を設定し、不要になったデータを削除する

Excelで加工したコピーや、分析担当者が作成した中間ファイルも保護対象です。元のCSVだけを管理しても、複製されたファイルから情報が漏れる可能性があります。

設定・更新・移行・料金・期限の確認ポイント

設定

公式ロードマップでは、管理者がテナントで機能を有効化できることまでが公表されています。設定画面の名称、必要な管理者ロール、テナント単位またはグループ単位で制御できるかは未発表です。

現行の匿名化エクスポートは、Microsoft 365管理センターのViva Feature Access Managementで管理できます。ただし、新機能の設定方法が同一になるとは限りません。(Microsoft Learn)

更新

対象プラットフォームはWebです。PCへのアプリケーション配布や、Word、Excel、Teamsなどのクライアント更新は案内されていません。

提供開始後は、Viva Insights WebアプリのCopilot DashboardとMicrosoft 365管理センターを確認します。

移行

既存の匿名化エクスポートから新しい形式への移行作業は発表されていません。

次の点は提供開始時に確認が必要です。

  • 匿名化形式と識別可能形式を選択できるか
  • 出力列や列名が変わるか
  • 既存のExcelマクロやPower BIレポートを修正する必要があるか
  • 匿名IDとユーザー識別子を対応付けられるか
  • APIや定期実行による出力に対応するか

既存ファイルをPower BIで取り込んでいる場合は、列追加やデータ型変更によって更新エラーが発生しないよう、検証用レポートを分けておくと安全です。

料金とライセンス

ロードマップには、識別可能なエクスポートに関する追加料金や専用ライセンスの記載はありません。

現行の匿名化エクスポートでは、テナントにMicrosoft 365 CopilotまたはViva Insightsのライセンスが50以上割り当てられていることが前提です。(Microsoft Learn)

この条件が新機能にも適用されるかは未確定です。追加料金がないと断定せず、正式なライセンス要件を確認してから利用対象を決めてください。

提供期限

提供予定は2026年8月ですが、正確な展開開始日と完了日は公表されていません。Microsoft 365ロードマップの日程は変更される場合があります。

また、現時点では次のような期限は発表されていません。

  • 管理者が設定を完了すべき期限
  • 既存エクスポートの終了日
  • 新形式への強制移行日
  • データ変換や再作成が必要になる期限

リリース後の確認手順

機能が表示されたら、すぐに全社で有効化せず、限定した管理者と分析担当者で確認します。

管理者設定を確認する

Microsoft 365管理センターまたはViva Insightsの管理画面で、Roadmap ID 562648に対応する設定を探します。

確認するポイントは、既定値、対象範囲、必要な管理者ロール、設定反映までの時間です。

テストデータを出力する

少人数のパイロット範囲でエクスポートし、次の項目を確認します。

  • 個人を識別する列
  • 対象となるユーザー
  • データの集計単位
  • 対象期間
  • タイムゾーン
  • 更新頻度
  • Microsoft 365 CopilotとCopilot Chatの区別
  • ライセンス未割り当てユーザーの扱い

ダッシュボードの値と照合する

エクスポート値とCopilot Dashboardの値が一致しない場合は、集計期間や完了週の扱いを確認します。

現行のエクスポートは完了済みの週だけを含みますが、ダッシュボードには進行中の期間が含まれることがあります。そのため、単純に合計値を比較すると差が出る場合があります。(Microsoft Learn)

権限と共有をテストする

データを保存した後、権限を持たないユーザーがファイルやPower BIレポートを閲覧できないことを確認します。

リンク共有、ダウンロード、エクスポート、メール転送まで含めてテストすることが重要です。

よくある疑問

いつから使えるようになりますか

Microsoft 365ロードマップでは、2026年8月の提供が予定されています。正確な開始日やテナントごとの展開順序は発表されていません。

自動的に有効になりますか

ロードマップには、管理者が機能を有効化できると記載されています。既定でオンになるか、明示的なオプトインが必要かは未公表です。

一般ユーザーもエクスポートできますか

現行機能では、Copilot Dashboardへのグローバルアクセスを持つユーザーだけがエクスポートできます。新機能の正式な権限要件は、提供開始時のドキュメントで確認が必要です。

プロンプトや回答内容も確認できますか

今回発表されたのはCopilotの利用メトリクスを出力する機能です。ロードマップには、プロンプト本文や回答内容を出力するという記載はありません。

現在の匿名化エクスポートはなくなりますか

Microsoftは、匿名化形式が廃止されるのか、識別可能形式と併用できるのかを公表していません。既存の分析処理を削除せず、正式仕様が公開されるまで維持するのが安全です。

GCCや政府機関向け環境も対象ですか

2026年6月15日時点のロードマップでは、Worldwide Standard Multi-Tenantのみが記載されています。GCC、GCC High、DoDなどは対象として示されていません。

管理者が今すぐ行うべき対応

現時点でクライアント更新やデータ移行を行う必要はありません。まず、Copilot Dashboardのグローバルアクセス保持者と代理人を棚卸しし、識別可能な利用データを扱う社内ルールを整理してください。

そのうえで、2026年8月の提供開始前後にRoadmap ID 562648とMicrosoft 365メッセージセンターを再確認します。正式な設定項目、ライセンス条件、出力列が公開されたら、限定された対象でテストし、セキュリティ・法務・人事部門の承認を得てから有効化する流れが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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