Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Go Service Overviewの変更点|設定・料金・影響を解説

Microsoft 365 CopilotのPay-as-You-Goは、対象となるCopilotサービスを利用量に応じて課金する仕組みです。Microsoft 365 Copilotのライセンスが自動的に従量課金へ切り替わるわけではなく、既定では無効になっています。

利用する場合は、管理者がAzureサブスクリプションを使った「課金ポリシー」を作成し、ユーザーやグループを割り当てたうえで、対象サービスへ接続する必要があります。特に注意したいのは、予算設定が利用停止の上限ではなく、通知のための機能である点です。(Microsoft Learn)

目次

Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Go Service Overviewの変更点

2026年6月15日時点の公式情報では、Microsoft 365 Copilot Pay-as-You-Goについて、対象サービス、課金ポリシー、管理者権限、コスト管理の流れが整理されています。

今回のポイントは、単に新しい料金プランが追加されるという話ではありません。利用対象者、課金先、予算通知、サービスへの接続を、Microsoft 365管理センターで管理する仕組みとして理解する必要があります。

確認項目公式情報の要点実務上の対応
課金方式利用量に応じた従量課金Azureサブスクリプションと費用負担部門を決める
対象サービスCopilot Chat、SharePointエージェントなど利用予定のサービスが対象か確認する
初期状態既定では無効利用しない組織は原則として設定不要
設定単位ユーザーやグループを含む課金ポリシー全社一括ではなく対象者を絞って導入できる
予算管理しきい値到達時のメール通知利用を自動停止する上限ではない
コスト確認Microsoft 365管理センターとAzureポータル月次請求だけでなく日常的に利用状況を確認する
新機能メッセージセンターで案内機能ごとの開始日や対応期限を確認する

Microsoft 365で何が変わるのか

対象サービスを従量課金で利用できる

公式概要では、次のサービスがPay-as-You-Goの対象として挙げられています。

  • Microsoft 365 Copilot Chat
  • SharePointエージェント
  • Microsoft Copilot Retrieval API(プレビュー)

Copilot Studioの従量課金については、別のドキュメントで管理されています。(Microsoft Learn)

ここで注意したいのは、Pay-as-You-GoがMicrosoft 365 Copilotライセンス全体の代替ではないことです。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなどに含まれるすべてのCopilot機能を、従量課金だけで利用できるという意味ではありません。

あくまで、公式にPay-as-You-Goの対象として案内されているサービスを、利用量に応じて使うための仕組みです。

利用対象者と費用負担を分けて管理できる

課金ポリシーには、Azureサブスクリプションと対象ユーザーまたはグループを設定します。これにより、たとえば次のような運用が可能です。

  • 営業部門だけでCopilotエージェントを試す
  • プロジェクト単位で課金先を分ける
  • 一部ユーザーで利用量を確認してから全社展開を判断する
  • 部門ごとに予算通知を設定する

従量課金は、利用量がまだ読めない試験導入や、利用者が限定されるケースに適しています。一方、毎日継続的にCopilotを使うユーザーが多い場合は、通常のライセンスとの費用比較が必要です。

影響を受けるユーザーと管理者

対象主な影響
一般ユーザー課金ポリシーの対象となり、サービスが接続された場合に従量課金対象の機能を利用できる
Microsoft 365管理者課金ポリシーの作成、ユーザー割り当て、サービス接続が必要
請求管理者利用料金、予算通知、Azureへの請求を確認する
Azure管理者Azureサブスクリプションとリソースグループの権限を管理する
Pay-as-You-Goを利用しない組織既定では無効のため、基本的に直ちに行う設定はない

Pay-as-You-Goサービスの閲覧や管理には、グローバル管理者、課金管理者、AI管理者などのロールが利用できます。グローバル閲覧者は読み取り専用です。

実際の設定では、Microsoft 365側の管理者権限に加えて、Azureサブスクリプションとリソースグループに対する所有者または共同作成者の権限も必要になります。(Microsoft Learn)

Pay-as-You-Goを設定する手順

事前に準備するもの

設定前に、次の項目を確認します。

  • Microsoft 365と同じテナントにあるAzureサブスクリプション
  • Azureサブスクリプション内のリソースグループ
  • Azureサブスクリプションとリソースグループの所有者または共同作成者権限
  • 課金管理者、AI管理者、グローバル管理者のいずれか
  • 利用対象となるユーザーまたはグループ
  • 費用を確認する担当者と通知先

Azureサブスクリプションやリソースグループがない場合は、課金ポリシーの作成中にMicrosoft 365管理センターから新規作成することも可能です。(Microsoft Learn)

課金ポリシーを作成する

Microsoft 365管理センターで、次の順に設定します。

  1. 「Copilot」から「Billing & usage」を開く
  2. 「Billing policies」タブを開く
  3. 課金ポリシーを追加する
  4. Azureサブスクリプションとリソースグループを指定する
  5. 対象となるユーザーまたはグループを追加する
  6. 必要に応じて予算と通知を設定する
  7. 内容を確認してポリシーを作成する

1つのテナントには、最大50件の課金ポリシーを作成できます。部門別やプロジェクト別にポリシーを分ける場合は、命名規則も決めておくと管理しやすくなります。(Microsoft Learn)

課金ポリシーを対象サービスへ接続する

課金ポリシーを作成しただけでは、設定は完了しません。

「Billing & usage」の「Pay-as-you-go services」タブで、Microsoft 365 Copilot ChatやSharePointエージェントを選択し、作成した課金ポリシーを接続します。(Microsoft Learn)

設定後にユーザーが利用できない場合は、次の順に確認してください。

  • ユーザーが課金ポリシーの対象に含まれているか
  • 課金ポリシーが対象サービスへ接続されているか
  • Azureサブスクリプションが有効か
  • 必要な管理者権限が付与されているか
  • 「全ユーザー」用ポリシーとユーザー指定ポリシーが競合していないか

「全ユーザー」向けの課金ポリシーからユーザー指定のポリシーへ変更する場合は、既存の全ユーザーポリシーを切断してから、新しいポリシーを接続する必要があります。

料金と予算で確認すべきポイント

料金はAzureサブスクリプションへ請求される

Pay-as-You-Goの利用料金は、設定時に指定したAzureサブスクリプションへ請求されます。実際の課金単位や単価は、利用するサービスに設定されたAzureメーターによって異なります。(Microsoft Learn)

公式概要には、すべての対象サービスへ共通して適用できる固定単価は掲載されていません。そのため、導入前に対象サービスのメーター情報を確認し、想定利用量から費用を試算する必要があります。

予算設定は利用停止機能ではない

Microsoft 365管理センターでは、課金ポリシーに予算を設定し、一定割合に到達したときにメール通知を送れます。

ただし、設定金額を超えてもサービスは自動停止しません。利用は継続され、料金も発生し続けます。(Microsoft Learn)

予算超過を防ぎたい場合は、通知だけに依存せず、次の運用を組み合わせる必要があります。

  • 利用対象者を必要最小限にする
  • 部門ごとに課金ポリシーを分ける
  • 毎週または毎月、利用額を確認する
  • 想定を超えた場合の停止判断者を決める
  • 試験導入期間と評価日をあらかじめ設定する

利用料金の確認場所

Microsoft 365管理センターでは、「Billing」から「Cost Management」を開くと、サービス単位の費用を確認できます。

AzureポータルのMicrosoft Cost Managementでも、詳しい内訳や分析を確認可能です。Azure側の料金情報は即時反映ではなく、サービス利用後に表示されるまで最大24時間程度かかる場合があります。(Microsoft Learn)

設定直後に料金が表示されなくても、すぐに設定失敗と判断せず、翌日まで待ってから再確認してください。

更新・移行・期限について確認すること

Officeアプリの更新作業が中心ではない

今回の公式情報は、WordやExcelなどのクライアントアプリを更新する案内ではありません。主な対応は、Microsoft 365管理センターでの課金ポリシー、対象ユーザー、Azure請求、予算通知の設定です。

公式概要には、Pay-as-You-Goを利用するための一律のクライアント更新要件は記載されていません。

既存のPower Platform側の設定は強制移行ではない

Power Platform管理センターですでにPay-as-You-Goを設定している場合でも、Microsoft 365管理センターに新しい課金ポリシーを作成できます。

両方のポリシーは共存でき、設定場所が複数あっても同じ利用に対して二重に請求されないと案内されています。ただし、管理場所が分かれると確認漏れが起きやすいため、Microsoftは管理を一か所へまとめる方法も案内しています。(Microsoft Learn)

移行する場合は、古いポリシーを削除する前に、次の項目を確認してください。

  • 新しい課金ポリシーに必要なユーザーが含まれているか
  • 対象サービスへの接続が完了しているか
  • コストレポートに利用実績が表示されるか
  • 予算通知の宛先が正しいか
  • 利用者による動作確認が完了しているか

課金ポリシーを削除すると、接続されているサービスも従量課金から切断されます。

一律の移行期限は記載されていない

Service Overviewには、すべての組織に適用される強制移行日や設定期限は記載されていません。

今後Pay-as-You-Goを利用する新機能が追加される場合は、Microsoft 365のメッセージセンターで案内されます。機能ごとに公開日、対象ユーザー、設定期限が異なる可能性があるため、管理者はメッセージセンターを定期的に確認してください。(Microsoft Learn)

無効化しても即時に停止しない場合がある

Pay-as-You-Goを無効にした場合、ユーザーがエージェントを利用できなくなるまで最大2時間かかることがあります。(Microsoft Learn)

緊急停止が必要な場面を想定し、無効化操作だけでなく、対象ユーザーやグループからの除外方法も確認しておくと安全です。

よくある疑問

Pay-as-You-Goは自動的に有効になりますか

いいえ。既定では無効です。管理者が課金ポリシーを作成し、対象サービスへ接続しない限り、有効になりません。

課金ポリシーを作ればすぐ利用できますか

課金ポリシーの作成だけでは利用できません。作成後に「Pay-as-you-go services」タブで対象サービスへ接続する必要があります。

予算額を超えると利用が停止しますか

停止しません。予算は通知用の設定であり、強制的な利用上限ではありません。

一般ユーザーによる設定は必要ですか

通常、課金やポリシーの設定は管理者が行います。一般ユーザーは、自分が対象ポリシーに含まれ、サービスが有効になった場合に機能を利用します。

通常のMicrosoft 365 Copilotライセンスは不要になりますか

Pay-as-You-Goは、対象として案内されているサービスを従量課金で利用する仕組みです。Microsoft 365 Copilotライセンスで提供されるすべての機能を置き換えるものではありません。

管理者が今すぐ確認すべきこと

まずMicrosoft 365管理センターを開き、「Copilot」から「Billing & usage」を確認してください。

Pay-as-You-Goを利用する予定がある場合は、Azureサブスクリプション、管理者権限、対象ユーザー、費用負担部門を先に決めます。そのうえで、少人数のグループを対象に課金ポリシーを作成し、利用実績と費用を確認してから範囲を広げる方法が安全です。

すでに利用している組織は、予算通知を設定しただけで安心せず、Microsoft 365管理センターとAzure Cost Managementの両方で費用を確認してください。新機能の追加や期限については、メッセージセンターを継続的に確認することが重要です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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