Microsoft 365 Copilotの新メトリクスとは?Viva Insightsで見る影響と管理ポイント

Microsoft 365 Copilotの利用状況をViva Insightsで確認している組織にとって、今回の更新のポイントは、Copilotを「使ったかどうか」だけでなく、どのアプリで、どのような用途に使われたかをより細かく把握できるようになることです。

公式ロードマップID 557981「Microsoft Viva: Insights – New Copilot Metrics Available」では、Microsoft 365 Copilotアプリ、Microsoft Edge、OneNoteでのCopilotアクションに加え、Outlook、Word、Excel、PowerPointでの提案返信、翻訳、コーチング、データ整理などの主要ユースケースに関する新しいメトリクスが追加されるとされています。対象はMicrosoft VivaとMicrosoft 365 Copilot、プラットフォームはWeb、クラウドはWorldwide、一般提供予定は2026年6月です。(Microsoft)

この更新は、一般ユーザーの画面が大きく変わるというより、管理者・推進担当・分析担当がCopilotの定着状況を判断しやすくなる変更です。展開後は、Copilot DashboardやViva InsightsのAdvanced Analysisで見ているKPI、社内レポート、部門別の活用状況の読み方を見直す必要があります。

目次

今回の更新で何が変わるのか

今回の「New Copilot Metrics Available」は、Copilot AnalyticsやCopilot Dashboardで確認できる利用メトリクスを拡張する更新です。従来のように「Copilotのアクティブ利用日数」「アプリ別のアクション数」を見るだけでなく、Copilotがどの業務シーンで使われているかをより具体的に追いやすくなります。

Microsoft 365ロードマップ上では、この機能は2026年3月2日に作成され、2026年5月29日に更新されています。日本時間では2026年5月30日前後に確認された更新として扱われるケースがあります。ロードマップ情報は予定日や内容が変更される可能性があるため、実際の展開状況は各テナントのMicrosoft 365管理センターやメッセージセンターでも確認してください。Microsoft 365ロードマップ自体も、リリース日や説明は見込みであり、変更される可能性があると明記しています。(Microsoft)

観点これまでの見方更新後に見やすくなること実務上の意味
利用アプリTeams、Outlook、Wordなど主要アプリ単位で把握Microsoft 365 Copilotアプリ、Edge、OneNoteでのアクションも把握しやすくなるCopilot Chat中心なのか、ノート・ブラウザー・Officeアプリ内活用なのかを切り分けやすい
ユースケースアプリ別の利用量やアクション数が中心提案返信、翻訳、コーチング、データ整理など用途別の傾向を把握しやすい「何を教育すべきか」「どの部門で活用が進んでいるか」を判断しやすい
分析の粒度導入率・利用率の把握が中心業務シナリオ別の定着状況を分析しやすい導入後の効果測定や部門別施策に使いやすい
レポート運用既存KPIを継続利用新旧メトリクスの定義差を確認する必要がある過去比較や経営報告の読み替えが必要になる場合がある

対象となるサービスと利用者

対象サービスはMicrosoft VivaとMicrosoft 365 Copilotです。利用画面としては、Viva InsightsのMicrosoft Copilot DashboardやAdvanced Analysis、Copilot Analytics関連のレポートに影響すると考えるのが自然です。

Microsoft Copilot Dashboardは、Microsoft 365またはOffice 365の法人向けサブスクリプションと有効なExchange Onlineアカウントを持つ顧客が利用できます。ダッシュボードを見るために、有償のViva InsightsライセンスやMicrosoft 365 Copilotライセンスが必須というわけではありません。一方で、ダッシュボードで分析対象となる母集団には、Copilotライセンスが割り当てられている従業員が含まれます。(Microsoft Learn)

つまり、管理者やリーダーが確認すべきポイントは「誰が見られるか」と「誰の利用データが集計対象になるか」を分けて考えることです。たとえば、経営層や部門長がダッシュボードを見られる状態でも、Copilotライセンスの割り当て範囲が限定的であれば、分析結果は全社利用の実態ではなく、ライセンス付与済みユーザーの傾向として読む必要があります。

管理者が確認すべき設定

今回の更新は、Copilotそのものの有効化・無効化を変更するというより、分析画面に表示されるメトリクスが増える変更です。そのため、管理者は新機能を探す前に、Viva InsightsとCopilot Dashboardのアクセス制御、組織データ、プライバシー設定を確認しておくべきです。

確認項目確認する場所・担当見るべきポイント
Viva Insights web appの有効化Microsoft 365管理センター、AI管理者Viva Insights web appが無効だと、Copilot DashboardやCopilot Analytics、Advanced Analysisも使えなくなる
Copilot DashboardへのアクセスMicrosoft 365管理センター、AI管理者対象ユーザー・グループ・委任先が適切か
Insights AnalystロールMicrosoft 365管理センターAdvanced Reportingやカスタムクエリを実行する担当者に必要な権限があるか
最小グループサイズCopilot Dashboard設定部門別比較で小規模チームが表示されない理由を説明できるか
除外リストViva Insights管理設定法務・人事・役員・特定プロジェクトなど、分析対象から除外すべきユーザーがいないか
組織データEntra ID、Viva Insights、Microsoft 365管理センター部門、マネージャー、職種などの属性が正しく入っているか

Microsoft Learnでは、Viva Insights web appは既定でオンであり、これをオフにするとMicrosoft Copilot Dashboard、Copilot Analyticsレポート、Advanced Analysis、管理ツールを含むアプリ全体が無効になると説明されています。また、アクセス変更は反映に24時間程度かかる場合があります。(Microsoft Learn)

Advanced Reportingを使う場合は、Insights Analystロールが必要です。Copilot Analyticsでは、あらかじめ用意されたPower BIテンプレートやカスタムクエリを使って、Copilotの利用状況や業務インパクトをより深く分析できます。Microsoft Learnでは、Advanced Reportingで100を超えるCopilotメトリクスを選択し、フィルターをカスタマイズできると説明されています。(Microsoft Learn)

開発者・データ担当者が注意すべき点

この更新は、アプリ開発者がMicrosoft 365 Copilotの拡張機能を改修するタイプの変更ではありません。ただし、社内でCopilot利用状況のレポートを自作している場合、データ担当者やBI担当者には影響があります。

特に注意すべきなのは、次のようなケースです。

影響を受けやすい運用起こりやすい問題対応策
Power BIでCopilot活用レポートを作っている新しいメトリクスを加えた結果、既存のグラフと定義が混在するメトリクス定義表を作り、旧指標・新指標を分けて管理する
部門別の利用率を毎月報告している展開月だけ数値が増減し、利用実態の変化と誤解される変更月に注記を入れ、少なくとも1〜2か月は旧KPIと併記する
CSVエクスポートやデータ連携を使っている列追加・指標名変更・集計対象の違いで処理が崩れる可能性があるスキーマ固定ではなく、列名マッピングと欠損値処理を見直す
経営向けにROIを説明しているアクション数の増加をそのまま生産性向上と見なしてしまう業務成果データやアンケート、削減時間の仮説と組み合わせる

Copilot Dashboardのエクスポート機能では、過去6か月分の週次Microsoft 365 Copilotメトリクスを、個人識別子を削除し匿名化IDに置き換えた形でダウンロードできます。ただし、利用には50以上のCopilotまたはViva Insightsライセンス、グローバルアクセスなどの条件があります。(Microsoft Learn)

展開前後にやるべき実務手順

今回の更新で重要なのは、機能が表示された後に慌てて見るのではなく、先に現在の分析軸を棚卸ししておくことです。以下の順で進めると、展開後の数値変化を説明しやすくなります。

タイミングやること目的
展開前現在使っているCopilot関連KPIを一覧化するどの数値が変わる可能性があるか把握する
展開前Copilot DashboardとViva Insights web appのアクセス権を確認する必要な人が新メトリクスを見られる状態にする
展開直後Microsoft 365 Copilotアプリ、Edge、OneNoteのメトリクスが見えるか確認する新しい利用経路のデータ取得状況を確認する
展開直後Outlook、Word、Excel、PowerPointのユースケース別データを確認する提案返信、翻訳、コーチング、データ整理などの活用状況を見る
展開後1か月旧KPIと新KPIを併記して比較する数値変動が利用実態なのか、計測範囲の変更なのか切り分ける
展開後2〜3か月部門別の教育施策に反映する活用が進んでいないアプリ・シナリオを重点支援する

Copilot Dashboardのデータは、ライセンス割り当て後、通常7日以内に利用可能になるとされています。また、Advanced AnalysisのCopilot関連データは、分析対象期間が終わってから少なくとも6日後に実行する必要があるケースがあります。展開直後に数値が空白、少ない、または期待と違う場合でも、すぐに「未使用」と判断しないことが重要です。(Microsoft Learn) (Microsoft Learn)

新しいメトリクスをどう活用するか

新しいCopilotメトリクスは、単に利用率を眺めるためではなく、次の教育・展開・ライセンス配分を判断する材料として使うべきです。

Outlookではメール業務の質と速度を見る

Outlookで提案返信、メール要約、コーチング、翻訳などの利用が増えている場合、メール処理や顧客対応の効率化にCopilotが使われている可能性があります。

ただし、アクション数が多いだけでは効果が出ているとは言えません。たとえば営業部門でOutlookのCopilot利用が増えているなら、返信速度、商談進行、顧客対応品質などの業務指標と一緒に見ることで、より実態に近い評価になります。

Excelではデータ整理・分析支援の定着を見る

Excelの「clean data」や分析系のCopilot利用が見えるようになると、データ整形や集計作業にCopilotが使われているかを確認しやすくなります。

経理、営業企画、マーケティング、バックオフィス部門では、ExcelでのCopilot活用が進むと、手作業による表の整形、関数作成、分析の初動にかかる時間を削減できる可能性があります。活用が少ない場合は、単に利用意欲が低いのではなく、対象データがテーブル化されていない、ファイルがローカルに散在している、Copilotで依頼する操作例が共有されていないといった原因も考えられます。

WordとPowerPointでは作成・要約・改善の用途を見る

WordやPowerPointでは、文書作成、要約、構成案作成、プレゼン資料の作成支援などが主な活用シーンになります。新しいメトリクスによって、単にアプリを開いているだけでなく、どの作業でCopilotが使われているのかを追いやすくなります。

たとえば、Wordで下書きや要約は使われているが、書き換えやレビュー系の利用が少ない場合は、「Copilotで文章をゼロから作る」教育だけでなく、「既存文書を改善する」教育を追加する判断ができます。

EdgeとOneNoteでは業務導線の広がりを見る

EdgeでのCopilot利用が見えるようになると、ブラウザー上の情報収集やWebベースの業務アプリ利用中にCopilotが使われているかを把握しやすくなります。OneNoteの利用が見えるようになれば、会議メモ、プロジェクトノート、ナレッジ整理といった継続的な業務コンテキストでCopilotが使われているかを確認できます。

特にOneNoteは、個人メモとチーム知識の中間に位置することが多いアプリです。利用が少ない場合は、OneNote自体の使い方が定着していない可能性もあるため、Copilot教育だけでなく、ノート運用の設計も見直すと効果が出やすくなります。

数値を見るときの注意点

Copilotメトリクスは便利ですが、読み方を誤ると誤った意思決定につながります。特に注意したいのは、合計値、NULL、0、過去比較です。

Microsoft Learnでは、「Total Copilot actions taken」は、個別のViva Insightsメトリクスとしてまだ提供されていないCopilotアクションを含む場合があり、個別メトリクスの合計より大きくなることがあると説明されています。また、このデータギャップは時間とともに解消される予定とされています。(Microsoft Learn)

注意点誤った読み方正しい見方
合計アクション数内訳を全部足せば合計と一致するはず合計には個別メトリクス化されていないアクションが含まれる場合がある
NULL利用していないCopilotライセンスがない、またはデータがまだ利用可能になっていない可能性がある
0データ取得エラーライセンスはあるが、その期間に利用がなかった可能性が高い
展開月の増減利用が急増・急減した計測範囲やメトリクス定義が変わった影響も見る
部門比較数値が低い部門は意欲が低いライセンス配布、業務内容、組織データ、最小グループサイズを確認する

Advanced Analysisのクエリ結果では、NULLはMicrosoft 365 Copilotライセンスがない従業員、または分析期間後6日未満でデータがまだ利用できない場合を示すことがあります。一方、0はライセンスがあるものの、対象の日・週・月にアクティビティがなかったことを示します。(Microsoft Learn)

また、Word、Excel、PowerPointの一部機能レベルのユーザー数やアクション数は、Copilot Chat側のアクション数に統合されることで減少して見える場合があると説明されています。過去比較を行う場合は、機能利用が減ったのか、集計方法が変わったのかを切り分ける必要があります。(Microsoft Learn)

プライバシーと組織データの確認も忘れない

Copilotの活用状況を細かく見られるようになるほど、管理者はプライバシーと集計単位に注意する必要があります。目的は個人の監視ではなく、組織全体の定着状況を把握し、適切な支援を行うことです。

Copilot DashboardとAgent Dashboardの採用・影響ページでは、既定で10人以上のグループに対してグループレベルのメトリクスが表示されます。最小グループサイズは少なくとも5以上で設定できます。小規模チームの数値が表示されない場合は、データ欠損ではなくプライバシー保護の設定が影響している可能性があります。(Microsoft Learn)

組織データも重要です。部門、上司、組織、職種などの属性が正しくないと、部門別・職種別の分析が歪みます。Microsoft Learnでは、Copilot DashboardとAgent Dashboardが既定でMicrosoft Entra IDデータ、ユーザー設定、SMTPアドレスを利用し、PersonId、ManagerId、Organization、Domain、TimeZoneを自動的に取り込むと説明されています。より細かな分析を行う場合は、追加の組織データをアップロードする設計が必要です。(Microsoft Learn)

社内展開で失敗しやすいポイント

今回の更新でよくある失敗は、新しいメトリクスを見て終わってしまうことです。Copilotの分析は、数値を見るだけでは価値につながりません。次のアクションに落とし込む必要があります。

たとえば、Outlookの提案返信やコーチングがほとんど使われていない場合、「メール作成でCopilotを使いましょう」と呼びかけるだけでは不十分です。営業、カスタマーサポート、管理部門など、メール業務が多い部門に対して、実際の業務に近いプロンプト例を用意する必要があります。

Excelのデータ整理系メトリクスが少ない場合は、Copilotの教育より先に、Excelファイルの構造を見直すべきケースがあります。表がテーブル化されていない、列名が曖昧、複数シートに手入力が散在していると、Copilotを使う以前にデータ活用が難しくなります。

OneNoteの利用が少ない場合は、会議メモやプロジェクトノートの運用ルールが定まっていない可能性があります。Copilotの使い方だけでなく、「どこに情報を残すか」「誰が更新するか」「チームでどう参照するか」を決めると、Copilotの価値が出やすくなります。

展開後に確認したいチェックリスト

展開後は、以下を順に確認すると実務への影響を整理しやすくなります。

チェック項目確認内容
ロードマップとメッセージセンターID 557981の状態、展開時期、対象テナントを確認する
Copilot Dashboard新しいアプリ別・用途別メトリクスが表示されているか確認する
Advanced Analysisカスタムクエリで新メトリクスを選択できるか確認する
アクセス権分析担当、推進担当、経営層、部門長が必要な範囲を見られるか確認する
組織データ部門・上司・職種などの属性が正しく反映されているか確認する
既存レポートPower BIやCSV連携で列追加・指標変更に耐えられるか確認する
過去比較展開月に注記を入れ、旧指標と新指標を混同しない
教育施策利用が少ないアプリ・ユースケースに応じたトレーニングを設計する

まとめ:新メトリクスは「利用率の確認」から「定着施策の改善」へ進める材料

今回のMicrosoft Viva Insightsにおける新しいCopilotメトリクスは、Microsoft 365 Copilotの導入効果をより細かく見るための更新です。Microsoft 365 Copilotアプリ、Edge、OneNoteでのアクションや、Outlook、Word、Excel、PowerPointでの用途別利用が見えやすくなることで、組織は「誰が使っているか」だけでなく「何の業務で使われているか」を判断しやすくなります。

管理者は、Viva Insights web app、Copilot Dashboardのアクセス権、Insights Analystロール、最小グループサイズ、除外リスト、組織データを確認しましょう。データ担当者は、Power BIやCSVエクスポート、既存KPIの定義変更に注意が必要です。

次に取るべき行動は、現在のCopilot活用レポートを棚卸しし、展開後に新メトリクスを旧指標と並べて確認することです。そのうえで、Outlook、Excel、Word、PowerPoint、Edge、OneNoteのどこで活用が進み、どこで支援が必要かを見極めると、Copilot導入を単なる利用率管理から、業務改善につながる定着施策へ進められます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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