Microsoft公式の「Internet Explorer (IE) mode troubleshooting and FAQ」を確認するうえで、最初に押さえるべき結論は、IEモードが2026年6月15日に終了したわけではないという点です。
大きな変更は、個人利用などの非エンタープライズ端末で、メニューやツールバーからIEモードへ手動で切り替える入口が削減されたことです。現在は、信頼できるサイトをMicrosoft Edgeの設定画面へ明示的に登録する方式が基本となっています。一方、企業の管理対象端末では、グループポリシーとEnterprise Mode Site Listを使った運用を継続できます。(microsoftedge.github.io)
なお、Microsoft Learnの「Internet Explorer (IE) mode troubleshooting and FAQ」に表示されている最終更新日は2024年7月18日です。2026年6月15日を新機能の配信日やIEモードの終了日と捉えるのではなく、同日時点で確認できる現行仕様と、すでに実施された変更を区別して確認する必要があります。(Microsoft Learn)
Windows / EdgeのIEモードで何が変わったのか
今回の重要な変更点は、IEモードそのものの廃止ではなく、ユーザーが任意のサイトを手軽にIEモードで開く方法が制限されたことです。
| 確認項目 | 非エンタープライズ端末 | 企業の管理対象端末 |
|---|---|---|
| 「IEモードで再読み込み」メニュー | Edge 141以降は原則として表示されない | ポリシー構成により利用可能 |
| IEモードのツールバーボタン | Edge 142で削除 | 適切なIEモードポリシーがあれば影響を受けない |
| IEモードで開く方法 | 設定画面で対象サイトを個別登録 | Enterprise Mode Site Listで管理 |
| 利用可否の決定者 | PCを利用するユーザー | 組織のIT管理者 |
| 推奨される運用 | 必要なサイトだけ登録 | 対象サイトを集中管理し、移行計画を進める |
Microsoftは、Edge 141から非エンタープライズ端末のメニュー項目を削除し、Edge 142ではIEモードのツールバーボタンも削除しました。Edge 142 Stableの公開によって、この変更は完了しています。企業でIEモード用のグループポリシーを正しく構成している場合、従来の管理方式には影響しません。(microsoftedge.github.io)
変更の理由はセキュリティ強化
Microsoftが操作方法を変更した背景には、攻撃者が偽サイト上で「IEモードで再読み込みするように」と利用者を誘導し、Internet Explorerの古いJavaScript実行環境を悪用する攻撃が確認されたことがあります。
IEモードはActiveXや古いドキュメントモードなどを動かせる反面、通常のChromiumベースのEdgeよりも古い実行環境を使用します。そのため、Microsoftは「任意のサイトをすぐIEモードに切り替える」操作を制限し、あらかじめサイトを登録する方式へ変更しました。(microsoftedge.github.io)
この経緯から、Webサイトに表示された案内に従って、見覚えのないURLをIEモードページへ追加するのは危険です。社内システムや機器メーカーなど、提供元が確認できるサイトだけを登録してください。
影響を受けるユーザーと必要な対応
| 対象 | 主な影響 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 個人ユーザー | IEモードのメニューが見つからない | Edgeの設定から対象サイトを登録する |
| 小規模事業者 | PCごとの手動設定が必要になる | 台数が多ければポリシー管理を検討する |
| 企業ユーザー | 設定がグレーアウトしている場合がある | 自分で変更せずIT管理者へ連絡する |
| IT管理者 | ポリシー未設定端末で操作項目が消える | IEモードポリシーとサイトリストを確認する |
| 業務システム担当者 | IE依存機能を継続利用するリスクが高まる | 対象機能を洗い出し、モダンブラウザーへ移行する |
管理対象端末では、「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可する」がグレーアウトすることがあります。また、未登録サイトの手動読み込みを組織が許可していなければ、「IEモードで再読み込み」は表示されません。これは不具合ではなく、組織のポリシーによる動作です。(マイクロソフトサポート)
一般ユーザーがIEモードでサイトを開く手順
Edge 141以降の非エンタープライズ端末では、メニューから切り替えるのではなく、次の手順で対象サイトを登録します。
- Microsoft Edgeのアドレスバーに
edge://settings/defaultBrowserと入力します。 - 「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可する」を「許可」に変更します。
- 再起動ボタンが表示された場合は、Edgeを再起動します。
- 「Internet Explorerモードページ」の「追加」を選択します。
- IEモードが必要なサイトのURLを入力します。
- 登録したサイトを開き直します。
- アドレスバー付近にIEのアイコンが表示されることを確認します。
Edge 141以降の非エンタープライズ端末では、「設定など」のメニューにIEモードの項目がなくても異常ではありません。設定画面へのサイト登録後にページを再読み込みするのが現在の手順です。(マイクロソフトサポート)
設定項目自体が表示されない、または変更できない場合は、次の可能性があります。
- PCが会社や学校によって管理されている
- IEモードの利用がポリシーで禁止されている
- Microsoft EdgeまたはWindowsが更新されていない
- IE関連のWindowsコンポーネントが無効になっている
管理対象端末では、レジストリを変更して制限を回避するのではなく、IT管理者へ対象サイトの登録を依頼してください。
管理者が最初に確認すべき設定
企業でIEモードを使用する場合は、ユーザーごとの手動設定に依存せず、グループポリシーとEnterprise Mode Site Listで管理するのが基本です。
WindowsとEdgeを最新状態にする
Microsoftは、IEモードを正常に動作させるために、WindowsとMicrosoft Edgeの最新更新プログラムをインストールするよう案内しています。更新不足は、IEモードを開けない、診断画面でAPIエラーが出る、Edgeの再インストールを求められるといった問題につながります。(Microsoft Learn)
OSのバージョン名だけで判断せず、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| Edgeのバージョン | edge://settings/help |
| Edgeのインストール範囲 | edge://versionの「実行可能ファイルのパス」 |
| IEモードの診断結果 | edge://compat/iediagnostic |
| サイトリストの取得状況 | edge://compat/enterprise |
| 適用済みポリシー | edge://policy |
InternetExplorerIntegrationLevelポリシーを確認する
IEモードの基本ポリシーはInternetExplorerIntegrationLevelです。グループポリシーでは、次の場所にあります。
管理用テンプレート > Microsoft Edge > Internet Explorer統合を構成する
IEモードを利用する場合は、ポリシー値を「Internet Explorerモード」に設定します。レジストリではSOFTWARE\Policies\Microsoft\EdgeのInternetExplorerIntegrationLevelが対象となり、IEモードの値は1です。このポリシーは動的に反映されないため、変更後にEdgeの再起動が必要です。(Microsoft Learn)
Enterprise Mode Site Listを確認する
IEモードで開くサイトは、Enterprise Mode Site Listに登録します。Edge用とInternet Explorer用の両方のサイトリストポリシーが存在する場合、Edge用サイトリストが優先されます。(Microsoft Learn)
edge://compat/enterpriseでは、次の項目を確認してください。
- サイトリストのURL
- 読み込まれたリストのバージョン
- 最終更新時刻
- 対象サイトの登録内容
- ダウンロードエラーの有無
サイトリストを更新したのに端末へ反映されない場合は、XMLのバージョン番号、キャッシュ、配信先URLへの認証、プロキシやCookie制御を順番に調べます。
FAQで重視されているトラブルシューティング
Microsoft公式FAQでは、特に発生しやすい問題として「ドキュメントモードの誤り」と「ニュートラルサイトの不足」を挙げています。(Microsoft Learn)
画面レイアウトが崩れる、ボタンが動かない
文字や部品の位置がずれる、ボタンを押しても反応しない、画面の一部が表示されない場合は、ドキュメントモードが合っていない可能性があります。
サイトリストの互換モードは、次の順序で試すのが基本です。
- 既定
- IE8 Enterprise
- IE7 Enterprise
- 特定のドキュメントモードを明示指定
最初からIE7や特定のドキュメントモードへ固定すると、同じサイト内にある別のページまで古いモードで表示され、別の不具合を生むことがあります。まずはページやサーバーが指定するモードを尊重できる「既定」を選び、必要な場合だけ段階的に古いモードへ下げます。(Microsoft Learn)
SSOで何度もログインを求められる
SSOの途中で資格情報を繰り返し求められる、ログイン画面を行き来する、認証エラーになる場合は、認証経路にあるニュートラルサイトがサイトリストから漏れている可能性があります。
リダイレクトの途中でアドレスバーのIEアイコンが消える場合は、EdgeモードとIEモードの切り替えによって、セッションやCookieが維持できていないと考えられます。
確認手順は次のとおりです。
edge://net-exportを開きます。- 「Start Logging to Disk」でログ取得を開始します。
- 別タブで問題の操作を再現します。
- ログ取得を停止します。
- NetLog Viewerでログを開きます。
SSO、AUTH、LOGINなどを含むリダイレクト先を確認します。- サイトリストにない認証先URLをニュートラルサイトとして登録します。
- 再度ログイン処理をテストします。
システム構成によっては、複数のニュートラルサイトが必要です。1件追加して改善しない場合は、変更後に新しいログを採取し直してください。共有Cookieの設定は、必要なCookieが特定できている場合に限って検討します。(Microsoft Learn)
よくあるエラーと確認場所
| エラー・症状 | 主な確認ポイント |
|---|---|
| 「管理者特権でMicrosoft Edgeを再インストールしてください」 | Windows Update、Edgeのシステムレベルインストール、IE関連コンポーネント |
| 「Microsoft Edgeを再起動してください」 | Edgeを完全に終了して再起動 |
| 「EMIEサイトリストを取得できませんでした」 | 配信先URL、HTTP認証、Cookie制御 |
| 「このサイトの接続がセキュリティで保護されていません」 | サーバーがTLS 1.0またはTLS 1.1だけに依存していないか |
| 初回起動時だけIEモードにならない | サイトリストのダウンロード完了前にページが開いていないか |
| ポップアップや転送先がIEモードにならない | サイトリストのallow-redirect設定 |
file://リンクを開けない | セキュリティゾーンとIntranetFileLinksEnabledポリシー |
「管理者特権で再インストールしてください」と表示される場合は、edge://versionの実行可能ファイルのパスも確認します。C:\Program Filesから始まればシステムレベル、C:\Usersから始まればユーザーレベルのインストールです。(Microsoft Learn)
TLS 1.0やTLS 1.1が原因の場合、全端末で古いTLSを安易に有効化するのではなく、可能な限りサーバー側をTLS 1.2以降へ更新するのが安全です。
更新・移行・料金・期限で確認すべきこと
| 項目 | 結論 | 実務での確認事項 |
|---|---|---|
| 更新 | WindowsとEdgeの更新が必要 | 更新前にIEモード対象業務をテストする |
| 移行 | IEモードは互換性維持の手段 | ActiveXや古いドキュメントモードへの依存を解消する |
| 料金 | IEモード専用の追加料金は案内されていない | 導入支援やライセンス条件は契約内容を確認する |
| IE11の期限 | デスクトップアプリは2022年6月15日にサポート終了 | IE11を直接起動する運用は廃止する |
| IEモードの期限 | 少なくとも2029年までサポート | 終了の1年前に通知される予定だが、移行は今から進める |
MicrosoftのFAQでは、150以上のWindows 10/11有料シートを持つ対象顧客が、FastTrackを追加料金なしで利用できると案内されています。Microsoft Unified Supportを契約している組織は、既存のサポート窓口へ移行支援を相談できます。対象プランや現在の利用条件は、契約担当者やMicrosoftの窓口で確認してください。(Microsoft Learn)
IEモードは少なくとも2029年までサポートされ、廃止時には1年前に通知される予定です。ただし、これは操作画面やセキュリティ制限が2029年まで変わらないという意味ではありません。実際に、サポート期間中でも手動切り替えの入口はセキュリティ対策として削除されています。(Microsoft Learn)
また、IEモードのサポート期間と、利用しているWindowsのサポート期間は別です。OS、Edge、業務システムのすべてがサポート対象であるかを個別に確認する必要があります。
IEモードに関するよくある疑問
「IEモードで再読み込み」が消えたのは不具合ですか
非エンタープライズ端末のEdge 141以降では、仕様変更でメニュー項目が削除されています。edge://settings/defaultBrowserから必要なサイトをIEモードページへ追加してください。
企業の管理対象端末では、管理者がInternetExplorerIntegrationLevelなどのポリシーを構成しているか確認します。
IEモードはWindows 11でも使えますか
Windows 11上のMicrosoft Edgeでも利用できます。ただし、IEモードはWindows向けの機能であり、macOS、Android、iOSではサポートされていません。(Microsoft Learn)
Internet Explorerを削除しても問題ありませんか
IE11のデスクトップアプリが使えないことと、IE関連コンポーネントが不要であることは同じではありません。Microsoftの前提条件では、IEモードに必要なWindows機能を有効にしておくことが求められています。トラブルを避けるため、組織で検証せずに関連機能を無効化しないでください。(Microsoft Learn)
2029年まで移行しなくてもよいですか
2029年は移行開始の目安ではなく、互換性を確保するための猶予期間として考えるべきです。次の機能を使っているシステムから優先的に改修します。
- ActiveXコントロール
- IE独自のドキュメントモード
- Browser Helper Object
- 古いTLSプロトコル
file://によるファイル共有への直接アクセス- IE固有の認証、ポップアップ、Cookie処理
まず実施すべき3つの対応
- 一般ユーザーは、IEモードへ追加しようとしているURLが正規の社内サイトや提供元サイトであることを確認します。
- 管理者は、
InternetExplorerIntegrationLevel、Enterprise Mode Site List、edge://compat/iediagnosticの3点を確認します。 - システム担当者は、IEモード対象サイトを一覧化し、利用人数、業務重要度、IE依存機能、改修予定日を記録します。
IEモードは、古い業務システムを直ちに停止させないための重要な互換機能です。しかし、手動切り替えUIの削除が示すように、安全性を理由とした制限は今後も追加される可能性があります。動作している間に対象サイトを管理下へ置き、トラブル対応と並行してモダンブラウザーへの移行を進めることが重要です。

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