Microsoft Edge の拡張機能「Reward Sleet」が、削除しても Edge を再起動するたびに復活してしまい困っている方は少なくありません。この記事では、同期機能が原因で“勝手に再インストール”される仕組みをわかりやすく解説しつつ、「二度と復活させない」ための具体的な削除手順と、Outlook や Microsoft アカウントへの影響、最後に確認すべき安全チェックポイントまでを一通りまとめます。
Reward Sleet とは何か?何が危険なのか
Reward Sleet は、かつて Microsoft Edge アドオン ストアから入手できた拡張機能ですが、現在はマルウェア判定を受けてストアから削除されています。Microsoft Q&A コミュニティでも「削除しても再インストールされる」「マルウェアと通知された」という報告があり、問題のある拡張として扱われています。
公開されている情報から推測される主な挙動は次のようなものです。
- ユーザーの検索クエリや閲覧 URL を外部に送信する可能性
- 検索結果ページやショッピングサイトの広告を差し替える可能性
- バックグラウンドで通信を行い、ブラウザの動作を重くする
特に問題なのは、拡張機能を削除しても、Edge を再起動すると再びインストールされてしまう点です。これは「PC 本体にしつこく残っている」だけではなく、Microsoft アカウントの「Edge 同期」機能を通じてクラウドから再配布されていることが原因です。
勝手に再インストールされる原因:Edge の同期仕様
Microsoft Edge には、Microsoft アカウントでサインインすると、ブックマークや履歴、拡張機能などを複数デバイス間で同期する機能があります。このとき拡張機能も「同期対象」となっており、ある PC で追加した拡張が、別の PC にも自動的に配布されます。
Reward Sleet のような問題拡張を一度でもインストールしてしまうと、以下のようなループが発生します。
- PC A で拡張機能 Reward Sleet をインストール
- 「拡張機能同期」がオンのため、クラウド(Microsoft のサーバー)に拡張の情報が保存される
- PC A で拡張を削除しても、クラウド上にはまだ拡張情報が残っている
- Edge を再起動すると、クラウド側の情報が「正」とみなされ、再び拡張が配布される
そのため、ローカルで消しても復活する→クラウド側の同期データを含めて削除する必要があります。
手っ取り早く理解したい人向け:恒久削除の全体像
まずは、やるべきことを俯瞰しておきましょう。細かい操作は後半で詳しく解説します。
| 手順 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 拡張機能の同期を停止 | アドレスバーに edge://settings/profiles/sync を入力し、[拡張機能]の同期をオフにする。 | 同期を切らないと、クラウド側の悪性拡張が自動的に再配布される。 |
| ② 拡張機能をアンインストール | edge://extensions/ を開き、「Reward Sleet」を削除。 | 削除後に Edge を一度終了→再起動して、復活しないか確認。 |
| ③ クラウド上の同期データをリセット | ①②のあと、再度 edge://settings/profiles/sync 最下部の[データをリセット](Reset sync)を実行。 | サーバー側に残った拡張データも消え、再インストールの根を断てる。 |
| ④ ローカルプロファイルから残骸を削除(必要時のみ) | edge://version の Profile Path からプロファイルフォルダを開き、Extensions 配下の該当 ID フォルダを削除。 | 通常は①〜③で十分。残る場合のみ行う最終手段。 |
| ⑤ Process Monitor で原因調査(再発時) | Sysinternals の Procmon を使い、どのプロセスが拡張を生成しているかトレースする。 | 専門的な作業。必要に応じてログをフォーラムやサポートに共有。 |
| ⑥ FRST+Fixlist でクリーンアップ(上級者向け) | Farbar Recovery Scan Tool でシステム全体を解析し、専用の Fixlist で悪質残骸を一掃する。 | 誤った設定はシステムに影響するため、信頼できる手順に従う。 |
詳細手順:Reward Sleet を恒久的に削除する
① Edge の拡張機能同期をオフにする
まず最初に行うべきなのは、「同期の蛇口を締める」ことです。これをしないまま拡張を削除しても、クラウドから何度でも送り込まれてしまいます。
- Microsoft Edge を起動します。
- アドレスバーに
edge://settings/profiles/syncと入力して Enter キーを押します。 - 「同期の設定」画面が開いたら、一覧の中から[拡張機能]を探します。
- トグルスイッチがオン(青)になっている場合はクリックし、オフ(グレー)に変更します。
この時点で、新たに拡張がクラウドから送られてくることはなくなります。ただし、すでに PC 上に残っている Reward Sleet は手動で削除する必要があります。
② Edge から Reward Sleet をアンインストールする
次に、Edge が認識している拡張機能を通常の手順で削除します。
- アドレスバーに
edge://extensions/と入力し、拡張機能の一覧を開きます。 - 一覧の中から「Reward Sleet」を探します。
- 拡張カードの中にある[削除]ボタンをクリックします。
- 確認ダイアログが表示されたら「削除」を選択します。
削除できたら、一度 Edge を完全に終了→再起動してみてください。このタイミングで再び Reward Sleet が現れるようであれば、クラウド側・ローカル側に残っている情報をさらに処理する必要があります。
③ Microsoft クラウド上の同期データをリセットする
Reward Sleet が何度も復活する一番の理由は、クラウドに「Reward Sleet をインストールしている状態」が保存されたままになっていることです。これをリセットしてしまえば、「復活の種」はなくなります。
- 再度、アドレスバーに
edge://settings/profiles/syncと入力して同期設定を開きます。 - ページの一番下までスクロールします。
- [データをリセット](Reset sync)というボタンをクリックします。
- 注意書きを確認し、実行を確定します。
この操作により、サーバー側に保存されている Edge の同期データ(履歴・設定・拡張の構成情報など)がリセットされ、「Reward Sleet を持った状態のプロファイル」が消去されます。
注意点として、同期データのリセット後は、他デバイスの Edge と再度同期を行う際に、ブックマークや設定等の再構築が必要になる場合があります。ただし、危険な拡張を残し続けるリスクよりは、同期を一度クリーンにしてしまう方が安全です。
④ ローカルプロファイルの Extensions フォルダから手動削除
ここまでの手順で解決するケースがほとんどですが、環境によっては Edge のローカルプロファイルに拡張の残骸が残り、影響を与えることがあります。その場合は、プロファイルフォルダから該当拡張のフォルダを直接削除します。
- アドレスバーに
edge://versionと入力して Enter キーを押します。 - ページ中ほどにある「Profile Path」(プロファイル パス)の欄を探し、そのパスをドラッグしてコピーします。例:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Edge\User Data\Default - エクスプローラー(Windows キー + E)を開き、アドレスバーにコピーしたパスを貼り付けて Enter キーを押します。
- 開いたフォルダの中にある
Extensionsフォルダを開きます。 - 中には、長い英数字のフォルダ名が複数存在します。
edge://extensions/画面で Reward Sleet の拡張 ID(例:lgmhefogfjdpcnbnmgpfilfkmbnminfjのような文字列)を確認し、
同じ ID 名のフォルダを探して削除します。
これで、ローカルプロファイル上の Reward Sleet の実体ファイルが物理的に取り除かれます。削除後は Edge を再起動し、拡張一覧に Reward Sleet が再び現れないか確認します。
⑤ それでも再発する場合:Process Monitor で原因プロセスを特定
ごく一部のケースでは、ブラウザ以外のソフトウェア(アドウェア・クリーナーと称するツール、あるいは別のマルウェア)が Reward Sleet を再度書き込んでいる可能性もあります。その場合は、Microsoft 純正の解析ツールである Process Monitor(Procmon) が役立ちます。
大まかな流れは以下の通りです。
- Procmon(Process Monitor)をダウンロードし、ZIP を展開します。
procmon64.exeを右クリックし、「プロパティ」→ブロック解除(表示されている場合)を実行します。- 再度
procmon64.exeを右クリックし、「管理者として実行」を選びます。 - ライセンス同意画面が出た場合は承認して進めます。
- ログ取得を開始した状態で、Reward Sleet を削除→Edge を終了→Edge を再起動し、拡張が復活したタイミングでログ取得を停止します(Ctrl + E)。
- Ctrl + S でログを
.PMLファイルとして保存し、どのプロセスがExtensionsフォルダに書き込みを行っているかを解析します。
Procmon のログ解析は少しハードルが高いため、必要に応じてセキュリティ系フォーラムやサポート窓口にログを共有し、アドバイスをもらうのが現実的です。
⑥ FRST(Farbar Recovery Scan Tool)+Fixlist でのクリーンアップ
さらに踏み込んだ対処として、マルウェア解析の現場でよく使われるツール FRST(Farbar Recovery Scan Tool) を用いたクリーンアップ方法もあります。
FRST は、レジストリ・サービス・スケジュールタスク・ブラウザ設定など、Windows 全体の状態を詳細にログとして出力し、「Fixlist」と呼ばれるスクリプトに従って不要項目を自動削除できるツールです。
- 正しい Fixlist を作成できれば非常に強力ですが、誤った設定を削除するとシステムに重大な影響が出る可能性があります。
- 一般ユーザーが自己判断で実行するのではなく、信頼できる専門家やサポートが提示した Fixlist のみを使用することを強く推奨します。
Reward Sleet のような拡張がどうしても消えない場合は、FRST ログを取得して、セキュリティコミュニティに相談するのが安全です。
Outlook や Microsoft アカウントは感染しているのか?
多くのユーザーが不安に思うのが、「Outlook のメールや Microsoft アカウント本体が感染したのでは?」という点です。
結論から言うと、Reward Sleet はあくまで Edge の拡張機能として動作するものであり、Outlook のメールボックスや Microsoft アカウントの設定そのものを書き換えるタイプのマルウェアではありません。
問題となるのは次のような範囲です。
- ブラウザ上で閲覧している情報(Web メール画面・Web サイトの内容)の盗み見・改ざん
- 検索キーワードやアクセス先 URL などのブラウジングデータの収集
- 広告の差し替えなど、ブラウザ上の表示内容の変更
つまり、Edge の同期データをリセットし、拡張機能を削除すれば、アカウント側に「感染が残り続ける」ということはありません。とはいえ、安全確認のために次のようなチェックは行っておきましょう。
- Microsoft アカウントの「セキュリティ」ページで、見覚えのないサインイン履歴やデバイスがないか確認する
- Outlook で不審な送信履歴(スパム送信など)がないか確認する
- パスワードを長く複雑なものに変更し、可能であれば多要素認証(MFA)を有効化する
動作が重い・起動が遅いのは何が原因?
Reward Sleet に限らず、問題のある拡張がインストールされていると、次のような影響が出ます。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処の方向性 |
|---|---|---|
| Edge の起動が遅い | 拡張機能が起動時に大量の処理・通信を行っている。 | 不要拡張を無効化・削除し、キャッシュをクリアする。 |
| タブを開くだけで CPU 使用率が高い | 拡張がページ内容を常時スキャンし、外部に送信している可能性。 | タスク マネージャーや拡張の無効化で挙動を確認し、問題の拡張を特定して削除。 |
| Edge のプロセスが多数残り PC が重い | 同期ループや拡張のエラーによりプロセスが正常終了しない。 | 同期を一度オフにし、拡張整理後に再度オンにする。Windows を再起動。 |
Reward Sleet の削除と同期リセット(①〜③)が完了しても改善しない場合は、次の観点も確認しておきましょう。
- スタートアップに不要なアプリが登録されていないか(タスク マネージャーの[スタートアップ]タブなど)
- ウイルス対策ソフトが複数同時に常駐していないか(Windows Defender と他社製 AV の二重起動など)
- 他のブラウザ拡張(広告ブロッカーなど)が過剰に入っていないか
PC 全体のマルウェア感染チェックも忘れずに
Reward Sleet 自体は拡張機能ベースですが、同時に別のアドウェアやマルウェアが入り込んでいる可能性もゼロではありません。念のため、Windows 全体のセキュリティチェックも行っておくのが安心です。
Windows Defender / 他社製ウイルス対策でフルスキャン
- Windows 11 / 10 に標準搭載されている Windows セキュリティ(Windows Defender) でフルスキャンを実施します。
- 他社製ウイルス対策ソフトを使用している場合も、最新版に更新したうえでフルスキャンを実行します。
- 検出がゼロであれば、少なくとも既知マルウェアの感染可能性は低いと判断できます。
ブラウザ以外の“不審な常駐”がないかチェック
- タスク マネージャーで、見慣れない常駐プログラムが CPU やメモリを消費していないか確認する。
- インストール済みアプリ一覧から、心当たりのないツールバー、広告ツール、最適化ツールなどを削除する。
- スタートアップ登録された不要アプリを無効化する。
これらの対処を行うことで、Reward Sleet 以外の「おまけマルウェア」も同時に排除し、PC 全体の安定性・安全性を高めることができます。
よくある疑問と回答
| 疑問 | 回答 |
|---|---|
| Outlook / Microsoft アカウントが感染している? | いいえ。Reward Sleet は Edge の拡張機能として動作しており、アカウントやメールボックス自体にウイルスが常駐するわけではありません。同期データをリセットし、拡張を削除すれば影響は残りません。 |
| なぜマルウェア認定されたの? | ブラウザ保護機構が、コード内の不審な自動検索・データ送信・権限濫用などを検知し、「望ましくない拡張」と判断したためと考えられます。具体的な内部コードは公開されていませんが、検索クエリの送信や広告改ざんといった挙動が要因と推測されます。 |
| PC を初期化しないとダメ? | 通常は本記事の手順(同期オフ→拡張削除→同期リセット→必要ならプロファイル削除)で十分です。どうしても不安な場合や、他のマルウェアも多数検出される場合のみ、バックアップを取ったうえで初期化を検討してください。 |
| 他のブラウザ(Chrome / Firefox)は大丈夫? | Reward Sleet は Edge 拡張としてインストールされます。Chrome 等には別途拡張を入れない限り影響しませんが、「似た名前の拡張」をインストールしていないか確認し、不要なものは削除しておきましょう。 |
| Edge の同期を今後も使って大丈夫? | 問題の拡張を削除し、同期データをリセットした後であれば、同期機能自体を使っても問題ありません。ただし、新しい拡張をインストールする際は評価・レビュー・開発元をよく確認し、不要な拡張を増やしすぎないことが重要です。 |
最終チェックリスト:ここまで出来ていればほぼ安全
最後に、Reward Sleet からの再感染・自動復活を防げているか、チェックポイントを整理します。
- Edge の拡張一覧に「Reward Sleet」が無い
→edge://extensions/を開き、名前・アイコンともに残っていないか再確認。 - 拡張の同期をオンに戻しても復活しない
→ 一度同期をオンに戻して Edge を再起動し、それでも Reward Sleet が現れないか確認。 - 同期データをリセット済みである
→edge://settings/profiles/sync最下部の「データをリセット」を実行済みである。 - ローカルの Extensions フォルダに Reward Sleet の ID フォルダが残っていない
→edge://versionの Profile Path 配下Extensionsを確認し、問題の ID フォルダが削除されている。 - Microsoft アカウントのサインイン履歴に不審なものが無い
→ 自分が使っていない地域・時間帯からのサインインがないか確認。 - Windows Defender または導入済み AV のフルスキャンで検出ゼロ
→ 既知マルウェアの感染はほぼ否定できる状態。
これらを満たしていれば、Reward Sleet 拡張による再感染リスクは実用上ほぼ排除できていると考えて問題ありません。今後は、ブラウザ拡張をインストールする際に「本当に必要なものだけを厳選する」「開発元・評価をよく確認する」という習慣を身につけることで、同様のトラブルを未然に防ぐことができます。

コメント