新しく買ったノートPCだけ、WD My Cloud Home にアクセスできず「ネットワーク資格情報の入力」が出続けるととても不安になりますが、多くの場合は「どのパスワードを求められているのか」と「Windows側のネットワーク設定」がズレているだけです。本記事では、旧PCではつながるのに新PCだけダメという典型的なケースを例に、原因の考え方と具体的な解決手順を丁寧に解説します。
WD My Cloud Homeが新しいPCから接続できない症状を整理する
まずは、よくある状況を整理しておきます。
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 接続できないPC | 新しく購入したノートPCのみ接続不可 |
| 表示される画面 | エクスプローラーで My Cloud Home を開こうとすると「ネットワーク資格情報の入力」が表示される |
| 他のPCからの接続 | 古いデスクトップPCや別のノートPCからは問題なくアクセスできる |
| 資格情報マネージャー | 古いPCには My Cloud Home 用の資格情報エントリがあるが、パスワードの中身は確認できない |
| WD Discovery の表示 | 旧PCの WD Discovery / My Cloud Home デスクトップアプリでは「Direct」などと表示されている |
この状態で多いのが、次のような勘違いです。
- WindowsのサインインパスワードやPINを入力してしまう
- Wi‑Fiのパスワードを入れてしまう
- どのID/パスワードを使えばいいのか分からない
ポイントは、「Windowsが聞いているのは、My Cloud Home に対して設定したユーザー情報」であって、PCそのもののパスワードではない、という点です。
何のパスワードを聞かれている?4種類の「似て非なる」認証情報
WD My Cloud Home やWindows環境では、似たような「IDとパスワード」がたくさん出てきます。混乱しやすいので整理してみましょう。
| 認証情報の種類 | どこで使うか | 今回のダイアログで入力すべきか |
|---|---|---|
| Windowsサインイン用アカウント (Microsoftアカウント/ローカルアカウント) | PCにログオンするとき | × 使いません |
| Wi‑Fiのパスワード | 家庭用ルーターの無線LAN接続 | × 使いません |
| WD My Cloudアカウント(WDアカウント) | My Cloud Home のWeb画面やモバイルアプリにサインインするとき | △ ローカルネットワークアクセスの設定に使う |
| ローカルネットワークアクセス用 ユーザー名+パスワード | 同一LAN内のPCからSMB(ファイル共有)でアクセスするとき | ◎ Windowsの「ネットワーク資格情報」画面で入力する |
My Cloud Home は、ファームウェア 8.12 以降で「ローカルネットワークアクセス」という機能を備えており、同一LAN内のPCから SMB プロトコルで直接アクセスできるようになっています。このときに使うのが「ローカルネットワークアクセス用のユーザー名とパスワード」で、WDアカウントとは別物です。
つまり、Windowsが「ネットワーク資格情報の入力」を求めているときに必要なのは、通常この「ローカルネットワークアクセス用のユーザー名とパスワード」です。これを確認し、必要であれば作り直すのが最初の一歩になります。
解決の全体像
この記事で取るルートは、次の3本柱です。
- WD My Cloudアカウントのパスワードをリセットして確実にサインインできる状態にする
- My Cloud Home の設定画面から「ローカルネットワークアクセス」を有効にし、ローカルユーザーのパスワードを再設定する
- 新しいPC側でネットワークを「プライベート」にし、正しい資格情報を登録する
これを順番に行えば、「新しいPCだけMy Cloud Homeにつながらない」というケースの多くは解消できます。
手順1:WD My Cloudアカウントのパスワードをリセットする
まずは My Cloud Home の管理画面に確実に入れるよう、WDアカウント(My Cloudアカウント)のパスワードをリセットしておきます。これはクラウド側のアカウントで、ローカルネットワークアクセスの設定にも必要です。
WDアカウントのパスワードリセット手順
- ブラウザーで WD の My Cloud Home サービスのログインページ(例:
home.mycloud.comなど)を開きます。 - 「サインイン」画面で、My Cloud Home 設定時に使ったメールアドレスを入力します。
- 「パスワードをお忘れですか?」(Forgot password)リンクをクリックします。
- メールに届くパスワードリセット用のリンクを開き、新しいパスワードを設定します。
- 一度サインインして、メールアドレスと新パスワードで正しくログインできることを確認します。
ここで設定したパスワードは、後続の作業(ローカルネットワークアクセスの設定や、別PC・スマホのアプリ)でも使うので、メモアプリやパスワードマネージャーなどに控えておきましょう。
手順2:My Cloud Homeで「ローカルネットワークアクセス(SMB)」を設定する
次に、My Cloud Home 本体側の設定を確認します。最近の My Cloud Home では、クラウドサービスに加えて「ローカルネットワークアクセス(Local Network Access)」という機能が提供されており、同一LAN上のPCから直接SMBで共有フォルダーにアクセスできます。
ローカルネットワークアクセスの有効化手順
- 新PCまたは旧PC、スマホなど、同じ家庭内ネットワークに接続された端末でブラウザーを開きます。
- My Cloud Home のWebアプリ(例:
home.mycloud.com)にアクセスし、先ほどリセットした WDアカウントでサインインします。 - 画面右上の設定(Settings)から、My Cloud Home → デバイスの管理(Manage Device)のような項目を開きます。
- 「ローカルネットワークアクセス」または「Local Network Access」のスイッチをオンに切り替えます。
- ユーザーごとにローカルユーザー名とローカルパスワードを設定します。
- 例:ユーザー名:
taro、パスワード:自分で決めた強力なパスワード - このユーザー名+パスワードが、Windowsの「ネットワーク資格情報の入力」で求められる情報になります。
- 例:ユーザー名:
- 設定を保存して、画面を閉じます。
WD公式のヘルプでも、「ローカルネットワークアクセス用のログインとパスワードは、WDアカウントとは別の専用のもの」と明記されています。 ここを勘違いすると、いつまでたっても接続できません。
手順3:新しいPCから正しい資格情報でアクセスする
エクスプローラーから My Cloud Home を開く
- 新しいPCを、My Cloud Home と同じルーター(同じSSIDのWi‑Fi、同じLAN)に接続します。
- Windowsのエクスプローラーを開きます。
- 左側のナビゲーションからネットワークをクリックします。
- しばらく待つと、ネットワーク機器の一覧に MYCLOUD-XXXX のような名前で My Cloud Home が表示されるはずです。
- My Cloud Home をダブルクリックすると、「ネットワーク資格情報の入力」ダイアログが表示されます。
- ここで、手順2で設定したローカルネットワークアクセス用のユーザー名とパスワードを入力します。
- ユーザー名:
taroなど(場合によってはMYCLOUD-XXXX\taroのように指定) - パスワード:ローカルネットワークアクセス用に設定したパスワード
- 「資格情報を記憶する」にチェックを入れると、次回以降の入力が不要になります。
- ユーザー名:
- OKを押し、フォルダー一覧が開ければ成功です。
資格情報マネージャーで保存内容を見直す
古いPCからの設定を真似したい気持ちはありますが、Windowsの資格情報マネージャーではパスワードの中身は表示できません。代わりに、「古い情報を消して正しい情報を入れ直す」という考え方をします。
- Windowsでコントロール パネルを開きます。
- ユーザーアカウント → 資格情報マネージャー → Windows 資格情報を選びます。
- 一覧の中から、My Cloud Home に関連しそうな項目(例:
MYCLOUD-XXXXや NASのIPアドレスが書かれているもの)を探します。 - 古い、または不明な資格情報があれば削除します。
- 必要に応じて「Windows 資格情報の追加」から新規に登録します。
- インターネットまたはネットワークのアドレス:
MYCLOUD-XXXXまたは IPアドレス - ユーザー名:ローカルネットワークアクセス用ユーザー名
- パスワード:同パスワード
- インターネットまたはネットワークのアドレス:
これで、新しいPCからも古いPCと同じように My Cloud Home にアクセスできるようになるはずです。
手順4:Windowsのネットワークを「プライベート」に設定する
資格情報が正しくても、Windows側のネットワーク設定が「パブリック」になっていると、ネットワーク探索やファイル共有がブロックされてしまうことがあります。特に新しいノートPCでは、初期設定でパブリック扱いになっていることが多いので確認しましょう。
Windows 11でネットワークをプライベートに変更する
- 設定アプリを開きます。(Windowsキー+I)
- ネットワークとインターネットをクリックします。
- 接続中の回線(Wi‑Fi または イーサネット)をクリックします。
- プロパティを開き、「ネットワーク プロファイルの種類」をプライベートに変更します。
ネットワーク探索とファイル共有をオンにする
- 同じく設定 → ネットワークとインターネットから、共有の詳細設定を開きます。
- プライベート ネットワークの項目で、以下をオンにします。
- ネットワーク探索を有効にする
- ファイルとプリンターの共有を有効にする
Windows Defenderファイアウォール側の確認
- コントロール パネルでシステムとセキュリティ → Windows Defender ファイアウォールを開きます。
- 左メニューから「Windows Defender ファイアウォールを介したアプリまたは機能を許可」をクリックします。
- 一覧から「ネットワーク探索」「ファイルとプリンターの共有」を探し、プライベート列にチェックが入っているか確認します。
これらの設定をまとめると、次のようになります。
| 設定項目 | 場所 | 推奨値 |
|---|---|---|
| ネットワークプロファイル | 設定 → ネットワークとインターネット → Wi‑Fi/イーサネット → プロパティ | プライベート |
| ネットワーク探索 | 設定 → ネットワークとインターネット → 共有の詳細設定 | プライベートネットワークでオン |
| ファイルとプリンターの共有 | 同上 | プライベートネットワークでオン |
| ファイアウォールの許可設定 | コントロール パネル → Windows Defender ファイアウォール → 許可されたアプリ | ネットワーク探索とファイル共有をプライベートで許可 |
手順5:関連サービスの状態を確認する
Windowsの一部サービスが停止していると、ネットワーク上のNASが見つからないことがあります。以下のサービスが自動(または自動(遅延開始))かつ実行中になっているか確認します。
- Function Discovery Provider Host
- Function Discovery Resource Publication
- SSDP Discovery
- UPnP Device Host
確認方法の一例:
- Windowsキーを押して「サービス」と入力し、「サービス」アプリを開きます。
- 一覧から上記サービスを探し、スタートアップの種類と状態を確認します。
- 必要に応じて、右クリック → プロパティ からスタートアップの種類を「自動」に変更し、サービスを開始します。
うまくいかない場合の追加チェックポイント
名前解決の問題を避けるためIPアドレスでアクセスしてみる
PCが MYCLOUD-XXXX という名前をうまく解決できていない場合もあるので、IPアドレスで直接アクセスしてみます。
- ルーターの管理画面を開き、接続中の機器一覧から My Cloud Home のIPアドレス(例:
192.168.1.50)を確認します。 - Windowsのエクスプローラーのアドレスバーに
\\192.168.1.50のように入力して Enter を押します。 - 同様に「ネットワーク資格情報の入力」が出たら、ローカルネットワークアクセス用のユーザー名・パスワードを入力します。
IPでつながるのに名前(\\MYCLOUD-XXXX)ではつながらない場合、名前解決周り(DNS/NetBIOS/mDNSなど)の問題の可能性が高くなります。その場合は、IPアドレスでネットワークドライブを割り当ててしまうのも一つの手です。
来客用Wi‑Fiや別VLANになっていないか確認する
新しいノートPCだけ別のSSID(ゲストネットワークなど)に接続していると、My Cloud Home が見えない場合があります。特に最近のメッシュWi‑Fiルーターは「ゲストはローカルネットワークの機器にアクセス不可」という設定がデフォルトになっていることも多いです。
- 旧PCが接続しているSSIDと、新PCのSSIDが一致しているか
- ルーターの設定で「APアイソレーション」や「クライアント間隔離」が有効になっていないか
これらを確認し、必要であれば同じネットワークに接続し直してから再度試してみてください。
サードパーティ製セキュリティソフト・VPNの影響
一部のインターネットセキュリティソフトやVPNクライアントは、同一LAN内のファイル共有通信(SMB)をブロックする機能を持っています。WDコミュニティでも、サードパーティ製ファイアウォールが My Cloud へのアクセスを妨げていた例が報告されています。
- セキュリティソフトの「ファイアウォール」機能を一時的に無効化して試す
- VPNを切断した状態で試す
- それでつながる場合は、My Cloud Home のIPアドレスを除外設定に追加する
常用する前に、例外ルールをきちんと作ることをおすすめします。
SMBバージョン(SMB1は基本的に使わない)
古いNAS製品では SMB1.0 を有効にしないとつながらないケースがありましたが、SMB1は深刻な脆弱性が知られており、Windows 10 / 11 では標準で無効になっています。一方、My Cloud Home 用には SMBローカルアクセス機能が追加されており、現在は SMB2/3 を使うことが推奨されています。
そのため、My Cloud Home に接続する目的だけで SMB1 を有効にすることは基本的におすすめしません。どうしても必要な場合は、ネットワーク全体のセキュリティリスクを理解したうえで、最小限の範囲にとどめましょう。
「Direct」表示について:古いPCの設定が新PCを邪魔することはある?
古いPCの WD Discovery や My Cloud Home デスクトップアプリの画面に「Direct」と表示されていると、
- 「旧PCがMy Cloud Homeを占有していて、新PCが入れないのでは?」
と不安になるかもしれません。
しかし、この「Direct」は、クラウド経由ではなく同一LAN内から直接接続できている状態を示すための表示であり、他のPCからの接続をブロックするような機能ではありません。旧PCが「Direct」だろうと「Relay」だろうと、新しいPCが同じLANから正しく認証できていれば、同時にアクセスできます。
なお、WDは My Cloud Home 向けのデスクトップアプリ(WD Discovery に含まれる My Cloud Home Desktop App)について、2023年6月でサポートを終了しており、今後はローカルネットワークアクセス(SMB)やWebアプリ/モバイルアプリの利用が推奨されています。 そのため、新しいPCでは WD Discovery に頼るのではなく、ここまで紹介してきた SMBローカルアクセスの設定を整える方が長期的には安全・安定です。
旧PCの設定を参考にするときのコツ
「旧PCではつながっているのだから、その設定を見れば何とかなるはず」と考えるのは自然です。完全に同じ情報は分からなくても、次のポイントを確認するとヒントになります。
旧PCの資格情報マネージャーを見る
- 旧PCでコントロール パネル → 資格情報マネージャー → Windows 資格情報を開きます。
MYCLOUD-XXXXや NASのIPアドレスが書かれたエントリを探します。- ユーザー名に、どのような形式が使われているかを確認します。
- 例:
MYCLOUD-XXXX\taro、taro、名.姓など
- 例:
パスワードそのものは見えませんが、「どのユーザー名で認証しているのか」が分かるだけでも、新PC側の入力の手がかりになります。
ネットワークドライブの割り当て状況を確認する
旧PCで My Cloud Home の共有フォルダーがネットワークドライブとして割り当てられている場合は、その設定も参考になります。
- エクスプローラーを開き、左のPC(または「このPC」)をクリックします。
- ネットワークドライブの一覧に My Cloud Home の共有があれば、右クリック → プロパティで接続先パス(例:
\\MYCLOUD-XXXX\ユーザー名)を確認します。
新PCでも同じパスを使ってネットワークドライブを割り当てると、運用が分かりやすくなります。
ケース別:よくあるつまずきパターンと対処
ケースA:ローカルネットワークアクセス自体がオフだった
My Cloud Home を初期設定したときに、ローカルネットワークアクセスを有効化していなかった場合、同一LAN内でも SMB でのアクセスはできません。旧PCはクラウド経由(Webアプリや旧デスクトップアプリ)でアクセスしていて、新PCだけ直接SMBでアクセスしようとしている…というミスマッチが起きることもあります。
この場合は、必ず My Cloud Home のダッシュボードでローカルネットワークアクセスを有効にし、ローカルユーザーを作成してください。
ケースB:新PCだけ来客用Wi‑Fiに接続していた
来客用Wi‑Fi(ゲストネットワーク)は、「インターネットには出られるが家庭内の機器にはアクセスできない」という設定になっていることが多く、NASへのアクセスが完全に遮断されます。
- 旧PCが接続しているSSID(ネットワーク名)
- 新PCが接続しているSSID
この2つが一致しているかを必ず確認し、異なる場合は旧PCと同じSSIDに接続し直してください。
ケースC:VPN常時接続で社内ネットワークにトンネルしていた
リモートワーク環境などで、会社のVPNクライアントを常時オンにしていると、LAN内のNASが見えなくなることがあります。その場合は、いったんVPNを切断した状態で My Cloud Home にアクセスできるかを確認し、
- 自宅でNASを使うときはVPNオフ
- 社内リソースにアクセスするときだけVPNオン
といった運用に切り替えるのが現実的です。
まとめ:ポイントは「正しい認証情報」と「プライベートネットワーク」
新しいPCからだけ WD My Cloud Home に接続できず、「ネットワーク資格情報の入力」画面に悩まされる場合、次の2点を押さえることでほとんどのケースは解決します。
- My Cloud Homeのローカルネットワークアクセス用ユーザー名とパスワードを正しく設定し、その情報を新PCに入力する
- 新PCのネットワークを「プライベート」にし、ネットワーク探索・ファイル共有・ファイアウォールの設定を適切に見直す
加えて、
- 来客用Wi‑Fi/別SSIDに接続していないか
- サードパーティ製セキュリティソフトやVPNがブロックしていないか
- IPアドレスでアクセスしたときにどうなるか
といった点をチェックしていけば、「旧PCだけはつながるのに新しいPCだけダメ」というモヤモヤをかなりの確率で解消できます。
WD純正の My Cloud Home デスクトップアプリ(WD Discovery 経由)は既にサポート終了となっているため、これから新しいPCで環境を整えるのであれば、ローカルネットワークアクセス(SMB)を軸にした構成に移行しておくと、Windows 11 以降でも長く安定して使えるでしょう。

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