Microsoft 365のSharePointストレージPAYGOとは?料金・設定・2026年6月変更点

Microsoft 365のSharePointストレージに、容量超過分だけを支払えるPAYGO(従量課金)方式が追加されます。従来のように追加容量を事前購入するだけでなく、実際にテナントのストレージ上限を超えた分をAzureサブスクリプションへ請求できる仕組みです。

結論として、一般ユーザーによる更新作業やデータ移行は基本的に必要ありません。対応が必要なのは、SharePointの容量を管理する担当者と、Azure課金を管理する担当者です。2026年6月9日更新時点では、パブリックプレビューが2026年6月、一般提供が2026年9月に予定されています。(Microsoft)

目次

Microsoft 365のSharePointストレージPAYGOで何が変わるのか

今回追加される「Microsoft 365 SharePoint Storage」は、SharePointテナントに割り当てられたストレージクォータを超えた容量だけを従量課金するサービスです。

主な変更点は次のとおりです。

項目内容
Roadmap ID506743
新しい選択肢SharePointストレージの超過分をPAYGOで支払える
課金先接続したAzureサブスクリプション
課金対象SharePointテナントのストレージクォータ超過分
パブリックプレビュー2026年6月
一般提供2026年9月予定
対象環境Web、Worldwide Standard Multi-Tenant
有効化管理者による設定が必要

これまでのOffice 365 Extra File Storageでは、必要になると予測した追加容量を事前に購入する必要がありました。PAYGOでは、実際の超過使用量に合わせて料金が変動します。

ただし、Office 365 Extra File Storageが廃止されるわけではありません。事前購入型とPAYGOは併用できるため、自社の予算管理方法に合わせて選択できます。(Microsoft Learn)

なお、Microsoft 365 Roadmapに掲載される提供時期は予定であり、今後変更される可能性があります。(Microsoft)

影響を受けるユーザーと管理者

直接影響を受けるのは、主に次の担当者です。

  • SharePoint管理者
  • Microsoft 365グローバル管理者
  • Azureサブスクリプションの管理者
  • IT予算やクラウド費用を管理する経理・調達担当者
  • Microsoft 365 Archiveを利用している組織

一般ユーザーに、新しいボタンや操作手順が追加されるわけではありません。Word、Excel、Teams、SharePointサイトの利用方法も基本的には変わりません。

一方、管理者にとっては、容量不足時の対応が「追加容量の購入」だけでなく、「PAYGOを有効化して超過利用を許可する」という選択肢に広がります。

2026年6月時点のパブリックプレビューは商用テナントが対象です。教育機関、GCC、21Vianetが運営する中国向けMicrosoft 365では利用できないと案内されています。(Microsoft Learn)

PAYGOの料金と計算方法

Microsoftが公開している米ドル価格では、Microsoft 365 SharePoint Storageの料金は次のとおりです。

SharePointテナントのクォータを超えた容量1GBにつき、月額0.20米ドルです。請求書上は、1GBあたり1日0.00667米ドルとして計算されます。(Microsoft Learn)

月を通して同じ超過容量を使用した場合の目安は次のとおりです。

クォータ超過量月額の目安
100GB20米ドル
500GB100米ドル
1,000GB200米ドル

課金対象になるのは、テナント全体のストレージ使用量ではなく、ライセンスや追加ストレージによって確保しているクォータを超えた部分だけです。

たとえば、利用可能なクォータが5TBで、実際の使用量が5.3TBなら、概算では超過した約300GBが課金対象になります。

日本円での請求額は、契約形態、税、Azure請求時の換算などによって変わる可能性があります。導入判断では、Microsoft 365管理センターや契約パートナーに表示される実際の価格も確認してください。

PAYGO・追加容量・Microsoft 365 Archiveの選び方

SharePointの容量不足を解消する方法は、PAYGOだけではありません。データの利用状況によって使い分けることが重要です。

選択肢向いているケース注意点
Microsoft 365 SharePoint Storage容量の増減が大きい、短期間だけ超過する月額費用が変動する
Office 365 Extra File Storage必要容量が安定しており、固定費として管理したい使用しない容量まで購入する可能性がある
Microsoft 365 Archive更新しない古いサイトやデータを保持したい日常的に編集するデータには向かない
ファイル整理・削除不要ファイルや重複データが多い保持ポリシーや監査要件の確認が必要

Microsoft 365 Archiveの公示価格は、条件を満たすアーカイブデータについて1GBあたり月額0.05米ドルです。アクティブストレージのPAYGO価格より低いため、利用頻度の低いサイトをアーカイブし、継続的に利用するサイトだけを通常のSharePointストレージに残す方法が有効です。(Microsoft Learn)

Microsoft 365 SharePoint StorageとMicrosoft 365 Archiveを併用した場合は、データがアクティブかアーカイブ済みかに応じて課金が最適化されます。(Microsoft Learn)

PAYGOを設定する前の確認手順

PAYGOを有効にする前に、現在のストレージ使用量と増加傾向を確認します。

SharePointの使用量を確認する

  1. SharePoint管理センターを開きます。
  2. 「アクティブなサイト」を選択します。
  3. 画面上部で、使用済みストレージと利用可能な合計容量を確認します。
  4. ストレージ使用量の多いサイトを特定します。
  5. 過去3~6か月の増加量から、今後の超過容量を見積もります。

SharePoint管理センターのストレージ表示には、直近24~48時間の変更が反映されていない場合があります。設定直前の数値だけで判断せず、数日間の推移を確認してください。(Microsoft Learn)

設定に必要な権限と環境を確認する

Microsoft 365 SharePoint Storageを設定するには、主に次の準備が必要です。

  • SharePointを含むMicrosoft 365ライセンス
  • Microsoft 365と同じテナントにあるAzureサブスクリプション
  • Azureリソースグループ
  • SharePoint管理者またはグローバル管理者の権限
  • Azureサブスクリプションとリソースグループに対する所有者または共同作成者権限

日常運用では、権限の強いグローバル管理者を常用せず、必要最小限の管理者ロールを利用するのが安全です。(Microsoft Learn)

Microsoft 365 SharePoint Storageの設定方法

設定はMicrosoft 365管理センターから行います。

  1. Microsoft 365管理センターを開きます。
  2. 「課金」から「従量課金制」に進みます。
  3. 「課金ポリシーを追加」を選択します。
  4. 課金に使用するAzureサブスクリプションを選択します。
  5. Azureリソースグループとリージョンを指定します。
  6. 必要に応じて予算と通知先を設定します。
  7. 課金ポリシーを作成します。
  8. 「サービス」タブで「Microsoft 365 SharePoint Storage」を選択します。
  9. 作成した課金ポリシーを接続します。
  10. 接続状態が「接続済み」になったことを確認します。

設定後は、Microsoft 365管理センターの「課金」から「従量課金制」を開き、現在の支出を確認できます。Azure Cost Managementから使用量とコストを監視することも可能です。(Microsoft Learn)

既存の追加ストレージから移行する必要はあるか

既存のSharePointサイトやファイルを別の場所へ移動する作業は案内されていません。PAYGOはストレージ基盤を変更する機能ではなく、超過容量に対する課金ポリシーを接続する仕組みです。

Office 365 Extra File Storageを契約している場合も、すぐに解約する必要はありません。次の順序で見直すと安全です。

  1. 現在購入している追加容量と実使用量を確認する
  2. PAYGOを有効化する
  3. Azure側で課金データが取得できることを確認する
  4. PAYGOと事前購入型の月額を比較する
  5. 必要に応じてExtra File Storageの数量を調整する

追加ストレージを減らすと、その分だけテナントのクォータも低下します。PAYGOが有効なら新たな超過分が従量課金されるため、追加容量の削減前に費用を再計算してください。

導入時に注意したいポイント

予算を設定しても課金は自動停止しない

Microsoft 365管理センターで設定する予算は、支出を通知するための目安です。予算の100%に達しても、サービスや課金は停止しません。

想定外の請求を防ぐには、50%、80%、100%など複数の通知基準を設定し、IT部門だけでなく経理担当者にも通知する運用が必要です。(Microsoft Learn)

従来の容量警告に依存しない

Microsoft 365 SharePoint Storageへ登録している間、テナントはクォータ内として扱われます。そのため、従来のクォータ関連メールやSharePoint管理センターのバナー通知は表示されません。

容量警告の代わりに、PAYGOの予算アラートとAzure Cost Managementによる監視へ切り替えてください。(Microsoft Learn)

PAYGOを切断する前に超過状態を解消する

テナントがクォータを超えた状態でPAYGOを切断すると、通常のクォータ適用が直ちに再開されます。サイトの書き込みなどに影響する可能性があるため、次のいずれかを先に実施します。

  • 不要データを削除する
  • 追加ストレージを購入する
  • 利用頻度の低いサイトをアーカイブする
  • PAYGOを継続したまま使用量を減らす

サイト単位の上限としては使えない

PAYGOの課金対象は、基本的にテナントのクォータ超過量です。特定のサイトだけにPAYGO予算を割り当てる仕組みではありません。

部門別に費用を管理したい場合は、サイトごとの使用量を定期的に取得し、社内の配賦ルールを別途用意する必要があります。課金ポリシーの予算も、個別サイトではなくポリシー単位で設定されます。(Microsoft Learn)

マルチジオ環境は計算単位を確認する

マルチジオテナントでは、2026年6月以降、各geoのストレージクォータと使用量に基づいて課金されると案内されています。地域ごとに容量が偏っている組織は、テナント全体の合計だけでなく、各geoの超過量も確認してください。(Microsoft Learn)

管理者が今やるべきこと

現時点で、既存の追加ストレージからPAYGOへ強制移行する期限は案内されていません。まずは次の順番で導入可否を判断します。

  1. SharePoint管理センターで現在の使用量を確認する
  2. 月ごとのストレージ増加量を把握する
  3. PAYGO、追加容量、Archiveの費用を比較する
  4. Azureサブスクリプションと管理権限を準備する
  5. 予算アラートと経理部門への連絡方法を決める
  6. パブリックプレビューで請求データを確認する

容量が一時的に増える組織や、今後の使用量を予測しにくい組織ではPAYGOが有力です。一方、使用量が安定しており、毎月の費用を固定したい組織では、Office 365 Extra File Storageを継続する方が管理しやすい場合があります。

重要なのは、容量不足になってから設定するのではなく、現在の消費ペースと費用上限を確認したうえで課金方法を決めることです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

コメント

コメントする

目次