Microsoft 365のSharePoint容量について、「あとどれくらい使えるのか」「いつ追加購入が必要になるのか」を判断しにくいと感じる管理者は少なくありません。
2026年6月11日に更新された公式情報によると、SharePoint Storage Reportでは、テナント全体の使用量・空き容量・割り当て容量に加え、ストレージの増加傾向や将来予測、推奨される対策を確認できます。主に管理者向けの変更であり、一般ユーザーによる設定変更やデータ移行は必要ありません。(Microsoft Learn)
管理者は、まずMicrosoft 365管理センターの「レポート」からSharePoint Storage Reportを開き、使用率と増加速度を確認してください。データはリアルタイムではなく48~72時間ごとに更新され、使用量がクォータの80%を超えるとバナー通知が表示されます。(Microsoft Learn)
Microsoft 365のSharePoint Storage Reportで確認できる変更点
今回の公式情報で明確になっているポイントは、単に現在の容量を表示するだけでなく、ストレージ管理の判断まで支援する構成になっていることです。
| 確認項目 | 表示・案内される内容 | 管理者が判断できること |
|---|---|---|
| 合計使用量 | 使用済み容量、合計クォータ、空き容量 | 現在の余裕がどれくらいあるか |
| 使用状況の傾向 | 過去の増加傾向と将来の使用量見積もり | 追加容量が必要になる時期 |
| 最適化の提案 | バージョン履歴、非アクティブサイト、ライフサイクル管理 | 購入前に削減できる容量があるか |
| おすすめリソース | サイト容量制限やバージョン履歴制限の設定方法 | 容量増加を抑える具体策 |
| 警告表示 | クォータの80%を超えた場合のバナー | 調達や整理を始めるタイミング |
SharePoint Storage Reportは、次の3つの管理上の疑問に答えるためのレポートと位置付けられています。
- SharePointストレージがどれだけ使用され、どれだけ残っているか
- ストレージがどの程度の速さで増えているか
- 追加購入を遅らせる、または計画するために何をすべきか
従来のように「容量が少ないことに気付いてから対処する」のではなく、増加傾向を見ながら、整理と追加購入を事前に計画する使い方が重要です。(Microsoft Learn)
SharePoint Storage Reportの影響を受けるユーザー
SharePoint管理者とMicrosoft 365管理者
最も直接的な影響を受けるのは、SharePointの容量、サイト、ライセンスを管理している担当者です。
ストレージが増えている原因を調査し、次のいずれを選択するか判断する必要があります。
- 不要なファイルやバージョンを整理する
- 非アクティブサイトをアーカイブする
- サイトごとの容量制限を設定する
- 追加ストレージを購入する
- SharePointライセンス数を見直す
情報システム部門や調達担当者
将来の使用量見積もりを、予算申請や契約更新時の判断材料として利用できます。
例えば、合計クォータが10TB、使用済み容量が8.2TB、月間純増量が150GBなら、単純計算で残り期間の目安は次のようになります。
1.8TB ÷ 150GB/月 = 約12か月
実際には利用量が一定とは限りませんが、予算承認や追加契約に必要な期間を逆算する材料になります。
サイト所有者
管理者から、不要ファイルの削除やサイト継続利用の確認を求められる可能性があります。
ただし、SharePoint Storage Reportが追加・更新されたこと自体によって、サイト所有者が直ちに設定を変更する必要はありません。
一般ユーザー
一般ユーザーのSharePoint画面やファイル操作に、直接的な変更は基本的にありません。
ただし、管理者が容量対策としてバージョン履歴制限やアーカイブを適用すると、過去バージョンの保持期間や非アクティブサイトへのアクセス方法が変わる場合があります。
Educationテナント
SharePoint Storage Reportは、Education以外のテナント向けです。教育機関のテナントでは、OneDrive、SharePoint、Exchangeをまとめて管理する「プールされたストレージレポート」を確認します。(Microsoft Learn)
SharePoint Storage Reportを表示する手順
- Microsoft 365管理センターにサインインします。
- 左側のメニューから「レポート」を選択します。
- 「レポート」が表示されない場合は「すべて表示」を選択します。
- 「使用状況」を選択します。
- レポート一覧から「SharePoint」を選択します。
- SharePointレポート画面で「ストレージ」タブを開きます。
使用状況レポートを表示するには、SharePoint Administrator、Global Administrator、Reports Readerなどの対応する管理ロールが必要です。日常的な確認のためだけにGlobal Administratorを付与するのではなく、必要最小限の権限を使用するのが安全です。(Microsoft Learn)
SharePoint Storage Reportの見方
合計使用量で現在の余裕を確認する
「合計使用量」には、主に次の値が表示されます。
- テナント全体の使用済みストレージ
- テナントに割り当てられた合計クォータ
- 現在利用できるストレージ
最初に確認すべきなのは、使用量そのものではなく使用率と残容量です。
例えば、使用済み容量が5TBでも、合計クォータが20TBなら緊急性は高くありません。一方、使用済み容量が2TBでも、合計クォータが2.2TBなら早急な対応が必要です。
使用状況の傾向で容量不足の時期を予測する
「使用状況の傾向」では、過去のデータを基にストレージの増加傾向と将来の使用量見積もりを確認できます。
管理者は、次の判断に利用できます。
- 容量整理だけで契約更新まで持たせられるか
- 追加購入の申請をいつ開始すべきか
- 一時的な増加か、継続的な増加か
- 新規プロジェクトや移行作業の容量を確保できるか
なお、履歴傾向はすべてのサイトの使用状況を表すため、テナントレベルのクォータ消費を示すストレージバーと数値がわずかに異なる場合があります。(Microsoft Learn)
最適化の提案から次の対策を選ぶ
レポートでは、次のようなストレージ管理策が案内されます。
- サイトストレージ制限の設定
- バージョン履歴制限の設定
- 非アクティブサイトのアーカイブ
- サイトライフサイクル管理ポリシーの作成
- 追加ストレージの購入
- Microsoft Graph Data Connectによる詳細分析
重要なのは、表示された対策をすべて実施するのではなく、容量増加の原因に合ったものを選ぶことです。
設定・更新・移行・料金・期限で確認すべきこと
| 項目 | 確認結果 | 管理者の対応 |
|---|---|---|
| 設定 | レポート閲覧のための個別有効化設定は案内されていない | 表示権限とテナント種別を確認する |
| データ更新 | 48~72時間ごと | 削除直後や購入直後の数値で判断しない |
| 移行 | レポート利用のためのデータ移行は不要 | 既存サイトやファイルをそのまま管理する |
| 料金 | レポート閲覧自体の追加料金は明記されていない | アーカイブ、追加容量、管理機能の費用を別途確認する |
| 期限 | 公式ページに対応期限や移行期限の記載はない | 80%警告と残り利用可能月数を社内基準にする |
2026年6月11日はMicrosoft Learnページの更新日であり、すべてのテナントに対する新たな移行期限や強制対応日として案内されているわけではありません。公式ページには、ロールアウト期限や管理者による必須作業期限は記載されていません。(Microsoft Learn)
料金が発生する可能性があるケース
SharePoint Storage Reportを見るだけで追加費用が発生するとの記載はありません。一方、レポートを見た後に実施する対策には、料金が発生する場合があります。
追加ストレージを購入する場合
SharePointの容量を増やす方法として、追加ストレージの購入やSharePointライセンスの追加があります。
Microsoftのストレージ計画ガイドでは、一般的なテナント容量について、1TBを基本として対象ライセンスごとに10GBが追加される考え方が示されています。ただし、実際の容量は契約プランによって異なるため、Microsoft 365管理センターに表示される合計クォータを基準にしてください。(Microsoft Learn)
「Office 365 Extra File Storage」は1GB単位で追加できます。価格や契約期間、更新日はMicrosoft 365管理センターの購入画面で確認します。CSPやボリュームライセンス経由で契約している場合は、販売店や契約担当者への確認が必要です。(Microsoft Learn)
従量課金のストレージを利用する場合
2026年6月時点では、商用テナント向けの「Microsoft 365 SharePoint Storage」がパブリックプレビューとして案内されています。これは、テナントのクォータを超えた使用量に対して従量課金する仕組みです。
Education、GCC、21Vianet環境など、一部のテナントは対象外です。正式提供状況や価格は変更される可能性があるため、導入前に最新の管理センター表示と契約条件を確認してください。(Microsoft Learn)
アーカイブやライフサイクル管理を使う場合
非アクティブサイトのアーカイブにはMicrosoft 365 Archive、サイトライフサイクル管理にはSharePoint Advanced Managementなどのサービスが関係します。契約状況によっては、追加ライセンスや従量課金が必要です。(Microsoft Learn)
容量が増えている場合の対応手順
使用率と残り期間を記録する
次の3つを月次で記録します。
- 使用済み容量
- 空き容量
- 月間の純増量
残り期間の目安は、次の式で計算できます。
空き容量 ÷ 月間純増量 = 容量上限までの残り月数
算出した残り月数が、社内の予算承認や契約手続きに必要な期間を下回る場合は、容量が残っていても追加購入の検討を始めます。
容量を多く使っているサイトを特定する
SharePoint Storage Reportはテナント全体の判断に向いていますが、容量増加の原因となっているサイトを特定するには、次の情報も併用します。
- SharePoint管理センターの「アクティブなサイト」
- Microsoft 365管理センターの「SharePointサイト使用状況」
- サイト使用状況レポートのCSVエクスポート
- バージョンストレージ使用状況レポート
- Microsoft Graph Data Connect
SharePointサイト使用状況レポートでは、サイトURL、所有者、最終アクティビティ、ファイル数、使用済み容量、割り当て容量などをサイト単位で確認できます。(GitHub)
不要データを安全に整理する
容量削減では、単純にファイルを削除するだけでなく、次の順番で確認します。
- 長期間利用されていないサイトを確認する
- 大容量サイトの所有者に継続利用を確認する
- 不要なファイルバージョンを調査する
- サイトと第2段階のごみ箱を確認する
- 保持ポリシーやeDiscoveryホールドを確認する
- 削除できないデータはアーカイブを検討する
保持ポリシーやホールドの対象となっているデータは、ユーザーが削除してもストレージから直ちに消えない場合があります。容量削減の前に、Microsoft Purview側の保持設定も確認してください。(Microsoft Learn)
再発防止の設定を行う
容量を整理した後は、再び急増しないように設定を見直します。
- サイト容量管理を自動または手動に設定する
- 組織、サイト、ライブラリ単位でバージョン履歴制限を設定する
- 非アクティブサイトの確認フローを作る
- 新規サイト作成時の所有者と保存期間を決める
- 月次または四半期でStorage Reportを確認する
バージョン履歴を削減するときの注意点
SharePointでは、同じファイルの過去バージョンが容量を大きく消費することがあります。ただし、バージョン履歴制限を変更すれば、既存の過去バージョンがすぐ削除されるとは限りません。
組織の既定値は主に新しく作成されるライブラリへ適用されます。既存バージョンを削減するには、使用量レポートを確認したうえでトリミング処理を実行する必要があります。
また、トリミングジョブで削除されたバージョンは、ごみ箱を経由せず完全に削除される場合があります。復元可能性、監査、保持義務を確認せずに一括削除しないことが重要です。(Microsoft Learn)
SharePoint Storage Reportとサイト使用状況レポートの違い
| レポート | 主な用途 | 適した場面 |
|---|---|---|
| SharePoint Storage Report | テナント全体の容量、増加傾向、将来予測 | 予算計画、容量不足の予測 |
| SharePointサイト使用状況レポート | サイト単位の容量、ファイル数、活動状況 | 容量を多く使うサイトの特定 |
| SharePoint管理センターのアクティブなサイト | 各サイトの設定や容量制限の管理 | 実際の設定変更や所有者確認 |
SharePoint Storage Reportだけで原因調査まで完結させようとすると、どのサイトを整理すべきか判断できません。
Storage Reportで全体傾向を把握し、サイト使用状況レポートで対象を絞り、SharePoint管理センターで設定を変更するという使い分けが効率的です。
SharePoint管理者が今すぐ行うこと
最初に、Microsoft 365管理センターの「レポート」からSharePoint Storage Reportを開き、次の3点を記録してください。
- 現在の使用率
- 利用可能な残容量
- ストレージの増加傾向
使用率が80%を超えている場合や、残り期間が社内の調達リードタイムを下回る場合は、容量上位サイトの特定を開始します。そのうえで、バージョン整理、非アクティブサイトのアーカイブ、追加ストレージ購入の順に比較してください。
今回の変更で一般ユーザーによる移行作業は必要ありません。管理者に求められるのは、容量不足が発生してから対応するのではなく、SharePoint Storage Reportを定期的に確認し、整理と費用を事前に計画することです。

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