「Outlook:Export support for data files in Mac Outlook」は、Outlook for MacからPST形式のデータファイルをエクスポートできるようにする変更です。2026年8月にプレビュー、同年9月に一般提供が予定されています。
ただし、現時点では開発中です。対象として明記されているのはGCC、GCC High、DoDであり、一般法人向けテナントへの提供、操作手順、対象データ、追加料金などは公表されていません。今すぐ設定を変更する必要はなく、管理者は対象環境を確認したうえで、プレビュー開始後に移行テストを行うのが現実的です。(Microsoft)
Outlookの「Export support for data files in Mac Outlook」とは
Microsoftは2026年6月16日、Microsoft 365 Roadmapに「Outlook:Export support for data files in Mac Outlook」を追加しました。ロードマップIDは「566203」です。
公表されている内容を整理すると、次のとおりです。(Microsoft)
| 項目 | 公式情報 |
|---|---|
| 対象サービス | Outlook |
| 対象プラットフォーム | Mac |
| 変更内容 | Outlook for MacでPSTファイルのエクスポートをサポート |
| 現在の状態 | 開発中 |
| プレビュー予定 | 2026年8月 |
| 一般提供予定 | 2026年9月 |
| 対象クラウド | GCC、GCC High、DoD |
| ロードマップID | 566203 |
提供時期は月単位で示されており、具体的な開始日は発表されていません。また、Microsoft 365 Roadmapの日程は予定であり、開発状況によって変更される可能性があります。(Microsoft)
Mac版Outlookで何が変わるのか
今回の変更によって、Outlook for MacからメールデータなどをPST形式で書き出せるようになる予定です。
PSTは、Windows版Outlookで広く使われているOutlookデータファイルです。Windows環境への移行や、PSTに対応したシステムへのデータ受け渡しが必要な場面では、Mac側から直接PSTを作成できるメリットがあります。
現在はOLM形式でのエクスポートが基本
現行の公式サポート情報では、Outlook for Macのエクスポート形式はOLMです。さらに、OLMエクスポート機能はLegacy Outlook for Macでのみ利用できると案内されています。メール、連絡先、予定表、タスク、メモなどをOLMファイルへ保存できます。(マイクロソフトサポート)
一方、Legacy Outlook for Macには、Windows版Outlookで作成したPSTファイルを読み込む機能があります。つまり、これまでは「PSTをMacへ取り込む」ことはできても、「MacからPSTを書き出す」ことは公式機能として提供されていませんでした。(マイクロソフトサポート)
| 操作 | 現在 | 変更後の予定 |
|---|---|---|
| MacからOLMへエクスポート | Legacy Outlook for Macで対応 | 継続可否は未発表 |
| PSTをMacへインポート | Legacy Outlook for Macで対応 | 変更有無は未発表 |
| MacからPSTへエクスポート | 未対応 | 対応予定 |
| New Outlook for Macでの提供 | 詳細未発表 | 詳細未発表 |
今回のロードマップには、New Outlook for MacとLegacy Outlook for Macのどちらに実装されるかが明記されていません。「New Outlookで利用できる」と断定しないよう注意が必要です。
PSTエクスポートで便利になる利用シーン
PSTエクスポートへの対応は、特にMacとWindowsが混在する組織で役立ちます。
MacからWindowsへOutlookデータを移行する
従来は、Macで作成したOLMファイルをWindows側でそのまま利用できないため、別の移行手段や変換作業が必要になる場合がありました。
Macから直接PSTを作成できれば、次のような移行を簡略化できる可能性があります。
- MacからWindows PCへの端末移行
- Mac利用者のメールデータをWindows環境へ引き継ぐ
- OutlookデータをPST対応ツールへ渡す
- 退職者や異動者のローカルデータを保管する
ただし、フォルダー構成、添付ファイル、予定表、連絡先、タスクなど、どの項目までPSTへ出力されるかは未発表です。実際の移行手順を決める前に、プレビュー版で検証する必要があります。
OLM変換ツールへの依存を減らす
現在、OLMをPSTへ変換するために外部ツールを利用している組織では、Microsoftの標準機能へ切り替えられる可能性があります。
ただし、標準機能が次の要件を満たすかは分かっていません。
- 複数メールボックスの一括出力
- 共有メールボックスの出力
- 特定フォルダーだけの選択
- パスワード付きPSTの作成
- 大容量PSTへの対応
- 差分エクスポート
- コマンドや管理ツールによる自動化
既存ツールをすぐに廃止せず、出力内容と処理時間を比較してから判断してください。
影響を受けるユーザーと管理者
今回の変更で直接影響を受けるのは、Mac版Outlookを利用し、PST形式でのデータ移行や保管が必要なユーザーです。
特に影響が大きいのは、次の担当者です。
- MacとWindows間の端末移行を行うIT管理者
- 退職・異動時のメールデータを回収する担当者
- Outlookの問い合わせを受けるヘルプデスク
- ローカルデータの保存ルールを管理する情報セキュリティ担当者
- OLM変換ツールを運用している担当者
一方、ロードマップ項目に記載されている対象クラウドはGCC、GCC High、DoDです。一般法人向けのWorldwide Standard Multi-Tenantは、今回の項目には記載されていません。 一般のMicrosoft 365 BusinessやEnterprise環境で利用できるとは、現時点では断定できません。(Microsoft)
設定・更新・移行・料金・期限で確認すべきこと
設定
PSTエクスポートを有効または無効にする管理者設定は、まだ公表されていません。ユーザー側のメニュー位置も未発表です。
Windows版のNew OutlookにはPSTエクスポート機能がありますが、Mac版でも同じ画面構成になるとは限りません。Windows版の手順をそのまま案内資料へ転用しないようにしてください。(マイクロソフトサポート)
アプリの更新
対応するOutlookのバージョン番号やビルド番号は未発表です。
配信開始後は、次の順序で確認します。
- Outlook for Macのバージョンを記録する
- Microsoft AutoUpdateで更新を確認する
- Outlookのファイルメニューやツールメニューを確認する
- PST形式が選択肢に表示されるか確認する
5.表示されない場合は、テナントと更新チャネルが対象か確認する
「エクスポートの項目があるか」だけで判断してはいけません。従来のOLMエクスポートと、新しいPSTエクスポートを区別して確認してください。
データ移行
移行テストでは、ファイルを作成できたかだけでなく、移行先で正しく利用できるかまで確認します。
| 確認対象 | チェック内容 |
|---|---|
| メール | 件数、既読状態、添付ファイル、文字化け |
| フォルダー | 階層、フォルダー名、空フォルダー |
| 予定表 | 件数、繰り返し予定、タイムゾーン |
| 連絡先 | 件数、ふりがな、複数メールアドレス |
| 容量 | 元データとPSTのサイズ差 |
| 移行先 | Windows版Outlookなどで開けるか |
| セキュリティ | 保存場所、アクセス権、削除方法 |
移行先での検証が完了するまで、元のメールボックスやOLMファイルを削除しないでください。
料金とライセンス
ロードマップには、追加料金や必要ライセンスの記載がありません。したがって、「既存ライセンスだけで必ず利用できる」「無料で追加される」とは断定できません。(Microsoft)
正式提供前に、Microsoft 365管理センターのメッセージセンターやライセンス条件を確認してください。管理者は管理センターの「正常性」から「メッセージセンター」を開き、組織に関係する変更情報を確認できます。(Microsoft Learn)
期限
利用者が対応しなければならない期限や、OLM機能の廃止日は発表されていません。
2026年8月はプレビュー予定月、9月は一般提供予定月であり、移行期限ではありません。既存運用を急いで変更する必要はありません。
管理者が今から準備しておくこと
対象テナントか確認する
最初に、自社環境がGCC、GCC High、DoDのいずれかに該当するか確認します。一般法人向けテナントの場合は、別のロードマップ項目や追加発表が出るまで待つ必要があります。
現在のエクスポート運用を整理する
次の情報を一覧にしておくと、PST対応後の比較が容易になります。
- OLMを作成している部署と利用者
- OLMからPSTへの変換方法
- 利用中の変換ツールと契約費用
- 退職者データの保管期間
- エクスポートファイルの保存場所
- ファイルの暗号化と削除方法
プレビューでは実データをいきなり使わない
プレビュー開始後は、テスト用メールボックスで検証します。
少量のメールだけでなく、添付ファイル、サブフォルダー、日本語の件名、繰り返し予定、連絡先などを含むデータを用意してください。大容量メールボックスを利用している場合は、処理時間とファイルサイズも測定します。
PSTの保管ルールを決める
PSTは持ち運び可能なローカルファイルです。保存場所を誤ると、メールや添付ファイルをまとめて持ち出されるリスクがあります。
少なくとも、次のルールを決めておきましょう。
- 個人のクラウドストレージへ保存しない
- 管理された暗号化ストレージを使用する
- ファイルの所有者と利用目的を記録する
- 保存期限を決める
- 不要になったPSTを確実に削除する
- 外部への受け渡し方法を制限する
PSTの作成機能は、Microsoft 365の保持ポリシーや組織向けバックアップを置き換えるものではありません。ユーザーが作成したローカルファイルを、正式なバックアップや監査記録と同一視しないことが重要です。
よくある疑問
PSTエクスポートはすでに利用できますか
2026年6月19日時点では開発中です。プレビューは2026年8月、一般提供は2026年9月に予定されています。(Microsoft)
New Outlook for Macで使えますか
現時点では分かりません。ロードマップにはMacが対象と記載されていますが、New OutlookとLegacy Outlookの区別は示されていません。
メール以外に予定表や連絡先も出力できますか
対象データの詳細は未発表です。現在のOLMエクスポートでは複数の項目を扱えますが、新しいPSTエクスポートが同じ範囲に対応するとは限りません。
OLMファイルは使えなくなりますか
OLMの廃止やサポート終了は発表されていません。既存のOLM運用を直ちに変更する必要はありません。
一般企業向けMicrosoft 365でも利用できますか
今回のロードマップ項目で明記されているのはGCC、GCC High、DoDです。一般法人向けテナントへの提供は未確認です。
追加料金は必要ですか
追加料金や対象ライセンスは公表されていません。正式提供時のメッセージセンターとライセンス情報を確認してください。
まずは対象環境の確認とプレビュー検証を進める
「Outlook:Export support for data files in Mac Outlook」は、Mac版OutlookからPSTを直接作成できるようにする変更です。MacとWindowsが混在する組織では、データ移行や既存のOLM変換作業を簡略化できる可能性があります。
ただし、対象データ、操作画面、対応バージョン、ライセンス、一般法人向けテナントへの提供は未発表です。管理者はロードマップID「566203」を継続確認し、2026年8月のプレビュー開始後に、テストデータで出力内容と移行先での互換性を検証してください。

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