Outlook for MacのPSTインポート対応とは?2026年6月の変更点と確認手順

Outlook for Macの「Import support for data files in Outlook」は、Windows版Outlookで作成したPSTファイルをMac版Outlookへ取り込めるようにする変更です。Microsoft 365ロードマップの項目IDは「405754」で、2026年6月15日に更新され、ステータスは「Launched」、一般提供時期は2026年6月とされています。(Microsoft)

2026年6月16日に公開されたOffice for Mac バージョン16.110では、メール、予定表、連絡先などをPSTファイルからインポートできることも正式に案内されました。WindowsからMacへの移行や、過去メールの復元がしやすくなる変更です。(Microsoft Learn)

ただし、PSTのエクスポートまで今回の機能に含まれるわけではありません。また、OLMファイルの入出力やインポート後の保存先は、利用中のバージョンと画面で確認する必要があります。

目次

Outlookの「Import support for data files in Outlook」で変わること

今回の変更では、Outlook for Macにデータファイルのインポート機能が追加されます。

主な変更点は次のとおりです。

確認項目内容
対象アプリOutlook for Mac
対象OSMac
PSTファイルOutlook for Macへのインポートに対応
OLMファイルロードマップではインポートとエクスポートの両方をサポートすると案内
取り込める主なデータメール、予定表、連絡先、その他のメールボックスデータ
プレビュー2026年4月
一般提供2026年6月
ステータスLaunched
対象環境Worldwide、GCC、GCC High、DoD

Microsoft 365ロードマップでは、PSTファイルのインポートに加え、OLMファイルについてはインポートとエクスポートの両方が説明されています。(Microsoft)

一方、Office for Mac バージョン16.110のリリースノートで明示されているのは、PSTファイルのインポートです。OLMの入出力を業務で利用する場合は、ロードマップの記載だけで利用可能と判断せず、実際のOutlookに対象メニューが表示されるか確認してください。(Microsoft Learn)

従来版Outlook for Macとの違い

従来のOutlook for Macには、以前からPSTやOLMをインポートする機能がありました。しかし、Microsoftの既存サポートページでは、この機能を「従来のOutlook for Macのみ」と説明していました。(マイクロソフトサポート)

そのため、今回の変更は実質的に、現在のOutlook for Macで不足していたデータ移行機能を補うものと考えられます。従来版へ切り替えてインポートする手間を減らせる点が、利用者にとって大きなメリットです。

PSTファイルとOLMファイルの違い

PSTとOLMは、どちらもOutlookのデータを保存するために使われますが、主に作成する環境が異なります。

ファイル形式主な用途想定される移行
PSTOutlook for Windowsのメール、予定表、連絡先などを保存WindowsからMacへの移行
OLMOutlook for Macのメール、予定表、連絡先などを保存Macから別のMacへの移行やアーカイブ

Windows版Outlookで保存した過去メールをMacへ移したい場合は、PSTファイルを使用します。Macの買い替えやプロファイル移行では、OLMファイルを使用するケースがあります。(マイクロソフトサポート)

なお、PSTやOLMは単なるメールファイルではありません。予定表や連絡先なども含まれる可能性があるため、移行後はメールだけでなく各データを個別に確認する必要があります。

誰に影響する変更なのか

特に影響が大きいのは、次のような利用者や管理者です。

  • Windows版OutlookからMac版Outlookへ移行するユーザー
  • 退職者や旧PCのPSTアーカイブをMacで確認したいユーザー
  • Macの入れ替えやOutlookプロファイル移行を担当する管理者
  • PSTやOLMの持ち出しを制限している組織
  • 従来版Outlook for Macから現在のOutlookへ移行したいユーザー

反対に、Outlook on the webやスマートフォン版Outlookだけを利用している場合、この変更による直接的な影響はほとんどありません。Windows版OutlookのPST対応を変更する機能でもありません。

また、この機能はMac上でユーザーがデータファイルを取り込むための機能です。多数のPSTファイルを複数ユーザーのExchange Onlineメールボックスへ一括移行する管理者向けサービスとは異なります。

設定・更新・移行・料金・期限で確認すべきこと

導入前に確認すべきポイントを整理すると、次のようになります。

項目確認内容
設定Outlookにインポートメニューが表示されるか、組織の管理ポリシーで禁止されていないか
更新Outlook for Macがバージョン16.110以降になっているか
移行PSTの原本を保管し、コピーを使って少量のデータからテストする
保存先インポート後のデータがMac内だけに保存されるのか、メールボックスへ同期されるのか
料金当該ロードマップに追加料金や専用アドオンの記載はないが、利用中のライセンスで提供されるか確認する
期限強制移行日、廃止日、対応期限は案内されていない

Outlookをバージョン16.110以降へ更新する

PSTインポートは、2026年6月16日公開のOffice for Mac バージョン16.110、ビルド26061317で案内されています。(Microsoft Learn)

更新するには、Officeアプリのメニューから「ヘルプ」→「更新プログラムの確認」を開き、Microsoft AutoUpdateを実行します。組織管理のMacでは、管理者が更新バージョンを固定していることがあるため、ユーザー側で更新できない場合があります。(Microsoft Learn)

Microsoftは機能を段階的に展開することがあります。そのため、バージョン16.110へ更新しても、すぐに全ユーザーへインポート機能が表示されるとは限りません。

なお、Office for Mac バージョン16.78以降のインストールには、少なくともmacOS Montereyが必要です。古いmacOSを使用している場合は、OutlookだけでなくOSの更新可否も確認してください。(Microsoft Learn)

追加料金よりもライセンスと更新チャネルを確認する

ロードマップ項目405754には、追加料金や専用ライセンスの記載はありません。PSTを1回インポートするたびに料金が発生するような機能ではありません。(Microsoft)

ただし、Office for MacのリリースノートはMicrosoft 365サブスクリプション版や一部の永続ライセンス版に共通しており、すべての新機能が全ライセンスで提供されるとは限らないことも案内されています。契約プランだけで判断せず、次の3点を確認してください。(Microsoft Learn)

  • Outlook for Macのバージョン
  • Officeのライセンス種別
  • 組織で設定されている更新チャネル

対応期限や強制移行はない

今回の発表は新機能の一般提供であり、既存機能の廃止ではありません。ロードマップには、PSTを一定日までに移行しなければならないといった期限は記載されていません。(Microsoft)

PSTやOLMを利用していないユーザーは、急いで作業する必要はありません。

一般ユーザーがPSTをインポートする前の確認手順

本番データをいきなり取り込まず、次の順番で確認すると失敗を減らせます。

Outlookのバージョンを確認する

Outlook for Macの「Outlookについて」から、バージョンが16.110以降になっているか確認します。

古い場合はMicrosoft AutoUpdateを実行します。更新後も機能が表示されない場合は、OutlookとMacを再起動し、段階的な展開を待つか管理者へ確認してください。

PSTファイルのコピーを作成する

インポートには原本ではなくコピーを使用します。

移行中に問題が起きても元のPSTを残せるよう、次のように分けて保管してください。

  • 原本:変更せずバックアップとして保管
  • 作業用:Outlookへインポートするコピー
  • テスト用:一部データだけを含む小さなPST

Windows版Outlookを利用できる場合は、転送前にPSTを開き、メールやフォルダーが正常に表示されることも確認しておきます。

Outlookのインポートメニューを開く

Outlook for Macのメニューバーにある「ファイル」、またはリボンの「ツール」から「インポート」を確認します。

画面構成は更新状況によって異なる場合があります。インポート画面が表示されたら、OutlookデータファイルまたはPSTファイルを選択し、作業用のPSTを指定します。

従来版Outlook for Macの公式手順では、「ファイル」→「インポート」からPSTを選択する流れが案内されています。(マイクロソフトサポート)

インポート後のデータを確認する

完了メッセージだけで成功と判断せず、次の項目を確認します。

  • フォルダー階層が維持されているか
  • メール本文と添付ファイルを開けるか
  • 送信日時や受信日時にずれがないか
  • 予定表の時刻や繰り返し予定が正しいか
  • 連絡先の氏名、メールアドレス、電話番号が入っているか
  • 日本語のフォルダー名や件名が文字化けしていないか

同じPSTを繰り返しインポートすると、データが重複する可能性があります。本番では、テスト結果を確認してから一度だけ取り込むのが安全です。

Web版やスマートフォン版でも見えるか確認する

特に重要なのが、インポートしたデータの保存先です。

既存の従来版Outlook for Macの手順では、インポートした内容は「このコンピューター上」に表示されると案内されています。これはMac内のローカルデータであり、サーバー側メールボックスとは扱いが異なります。(マイクロソフトサポート)

今回のロードマップとリリースノートには、新機能での詳細な保存先が明記されていません。インポート後はOutlook on the webやスマートフォン版Outlookも開き、同じメールや予定表が表示されるか確認してください。

Macでしか表示されない場合、そのデータはローカルに保存されている可能性があります。複数端末で利用したい場合は、メールボックス側への移動や別の移行方法を検討する必要があります。

管理者が確認すべき設定

組織で管理しているMacでは、Outlookの更新だけでなくインポート制御も確認します。

DisableImportポリシーを確認する

Outlook for Macには、PSTやOLMなどのアーカイブファイルをインポートできないようにする管理設定があります。

主な設定値は次のとおりです。

設定内容
ドメインcom.microsoft.Outlook
キーDisableImport
データ型Boolean
falseインポートを許可する既定値
truePSTやOLMなどのインポートを禁止
適用方法構成プロファイル

この設定は構成プロファイルを必要とし、Microsoft IntuneやJamf ProなどのMDMから管理できます。ユーザーのOutlookにインポートメニューが表示されない場合は、更新状況と併せてDisableImportを確認してください。(Microsoft Learn)

OLMのエクスポートについては、DisableExportという別の設定も用意されています。機密情報の持ち出しを制限している組織では、両方の設定を確認する必要があります。(Microsoft Learn)

全社展開前に代表的なPSTでテストする

管理者は、次のような特徴を持つPSTを選び、少人数で先行検証すると安全です。

  • 容量が大きいPST
  • 日本語フォルダーを含むPST
  • 階層が深いPST
  • 添付ファイルが多いPST
  • 予定表や連絡先を含むPST
  • 古いOutlookで作成されたPST

所要時間、インポート後の容量、検索の状態、データの保存先を記録してから対象ユーザーを広げます。

多数のPSTを移行する場合はPurviewを検討する

多数のユーザーや大量のPSTをExchange Onlineメールボックスへ取り込む場合、Mac版Outlookで1ファイルずつ操作する方法は適していません。

Microsoftは管理者向けに、Microsoft PurviewのインポートサービスとネットワークアップロードによるPST一括取り込み手順を提供しています。組織全体の移行では、ユーザー操作によるインポートと管理者向け一括移行を使い分けてください。(Microsoft Learn)

利用時に注意したいポイント

PSTのエクスポート対応とは限らない

今回のロードマップが明示しているのは、PSTファイルをOutlook for Macへインポートする機能です。PSTへのエクスポートまで利用できると解釈しないようにしてください。

バックアップ目的でPSTを作成したい場合は、実際のエクスポート画面で対応形式を確認する必要があります。

OLM対応は実際の画面で確認する

ロードマップではOLMのインポートとエクスポートが説明されていますが、バージョン16.110のリリースノートはPSTインポートのみを明記しています。(Microsoft)

OLMを使ったMac間移行を予定している場合は、対象バージョンで次の両方をテストしてください。

  • OLMを作成できるか
  • 作成したOLMを別の環境へ取り込めるか

インポート直後は検索できないことがある

PSTやOLMから新しいデータを取り込んだ直後は、macOSのSpotlightによるインデックス作成が終わっていないことがあります。

メール自体は表示されていても検索結果が出ない場合は、すぐに再インポートせず、インデックス作成の完了を待ってから検索し直してください。Microsoftも、インポート後に検索結果が表示されない原因としてインデックス作成を挙げています。(マイクロソフトサポート)

PSTやOLMだけをバックアップにしない

PSTやOLMは移行やアーカイブに利用できますが、ファイルが破損した場合に備え、別の保存先にも複製しておく必要があります。

特に業務メールを保存する場合は、次の点も決めておきます。

  • バックアップを保管する期間
  • 保存先の暗号化
  • 閲覧できる担当者
  • 退職者データの取り扱い
  • ローカルファイルへの機密情報保存を許可するか

まず1台のMacでPSTインポートを検証する

「Import support for data files in Outlook」により、Outlook for MacでPSTを扱うために従来版へ戻る必要は減ります。WindowsからMacへの移行や、過去メールの確認を行うユーザーには実用性の高い変更です。

最初に行うべきことは、対象MacをOutlook for Mac バージョン16.110以降へ更新し、インポートメニューと管理ポリシーを確認することです。その後、PSTのコピーを使って1台でテストし、メール、予定表、連絡先、保存先、他端末との同期状態を確認してから本番移行へ進みましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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