Teams Phone Agent Analytics V3.3.1の既知の制約|空白・Per Call・言語設定の対処法

Teams Phone Agent Analytics V3.3.1でレポートが空白になる、Per Dayを選んでもPer Callに戻る、日本語を選んだのに英語で表示される場合は、Power BIの故障や設定ミスとは限りません。これらは、V3.3.1で追加されたTeams Phone Agent向けレポートの既知の制約です。

最初に確認すべき点は、日付範囲を実際にデータが存在する期間へ直すこと、レポートレベルをPer Callで使用すること、言語を英語(AU/UK/US)のいずれかにすることです。Teams Phone Agent Analyticsは現時点でプレビュー機能として提供されており、Auto AttendantやCall Queueのレポートと同じ感覚では使えない部分があります。(Microsoft Learn)

目次

Teams Phone Agent Analytics V3.3.1の既知の制約

Microsoftが公開しているTeams Phone Agent Analyticsの主な既知の制約は、次の3点です。

発生する現象原因対処
レポート全体が空白になる日付スライサーで、利用可能なデータ範囲外の日付を選択している着信実績が確実にある日へ日付範囲を変更する
Per Dayを選んでもPer Callへ戻るTeams Phone AgentレポートはPer Callのみ対応Per Callで読み込み、必要ならPower BI側で日別集計する
日本語を選んでも英語になる対応ロケールが英語3種類に限定されているEnglish(United States)など対応言語を明示的に選ぶ

対応しているレポート言語は、English(Australia)、English(United Kingdom)、English(United States)の3種類です。それ以外を選択すると、English(United States)が使用されます。(Microsoft Learn)

V3.3.1でTeams Phone Agentレポートが追加された

Teams Auto Attendant & Call Queue Historical Reports V3.3.1は、2026年7月20日に公開されました。このバージョンでは、Teams Phone Agentの通話分析レポートがプレビューとして追加されています。(Microsoft Learn)

V3.3.1のPower BIテンプレートには、主に次のレポートが含まれます。

  • Cloud Teams Phone Agent Analytics
  • Cloud Auto Attendant Analytics
  • Cloud Call Queue Analytics
  • Cloud Agent Timeline Analytics

Teams Phone Agent Analyticsでは、着信元、利用状況、通話結果、カテゴリ、通話開始日時などを確認できます。予約、質問への回答、オペレーターやCall Queueへの転送といった処理結果も分析対象です。(Microsoft Learn)

ただし、Teams Phone Agentレポートは追加されたばかりのプレビュー機能です。既存のAuto AttendantやCall Queueレポートと、対応する集計レベルや言語が同じとは限りません。

Teams Phone Agent Analyticsが空白になる場合の直し方

最初に日付範囲を見直す

Teams Phone Agent Analyticsでは、日付スライサーに実際のデータ提供範囲外の日付が表示されることがあります。その範囲を選択すると、エラーではなく空白のレポートになる場合があります。Microsoftは、日付をサポート対象範囲内へ変更することで解消すると案内しています。(Microsoft Learn)

空白になった場合は、次の順番で切り分けます。

  1. Power BIテンプレートがV3.3.1であることを確認する
  2. Report LevelをPer Callにする
  3. 日付を、着信実績が確実にある1日へ絞る
  4. Time Rangeを終日に広げる
  5. Teams Phone AgentまたはResource Accountの選択を確認する
  6. Power BIの更新を実行する
  7. データが表示されたら、日付範囲を少しずつ広げる

最初から数週間や数か月を指定するのではなく、前日など、通話があったことを確認できる短い期間から試すのが確実です。

Microsoftの既知の問題には「利用可能な日付範囲へ変更する」と記載されていますが、この説明では固定の日数は示されていません。そのため、「直近30日なら必ず表示される」といった決め打ちは避け、実データが存在する日を基準に確認します。(Microsoft Learn)

当日の最新通話だけが表示されない場合

Teams Phoneの履歴データは、通常、通話終了から約30分以内に利用可能になります。ただし、データの反映に数時間かかる場合もあります。また、新しいデータを見るにはレポートの更新が必要です。(Microsoft Learn)

直前の通話だけが表示されない場合は、次を確認してください。

  • 通話がすでに終了しているか
  • Power BIでデータを更新したか
  • 当日ではなく前日のデータが表示されるか
  • 日付だけでなくTime Rangeにも通話時刻が含まれているか

前日の通話は表示され、直近の通話だけが表示されない場合は、日付範囲の問題ではなくデータ反映待ちの可能性があります。

権限と表示名も確認する

Teams Phone Agent Analyticsで表示対象となる名称は、利用者の権限構成によって異なります。

Voice Applications Policyがない管理者や、履歴レポート権限が限定されている管理者では、Resource Account名を基準にレポートします。一方、適切な履歴レポート権限が設定された管理者やAuthorized Userでは、Teams Phone Agent名を基準に表示されます。(Microsoft Learn)

「Teams Phone Agentの名前で検索しても見つからない」という場合は、次を確認します。

  • Teams Phone Agentに割り当てたResource Account
  • Voice Applications Policyの履歴レポート権限
  • 対象ユーザーがAuthorized Userとして割り当てられているか
  • CQDアクセスロールによる権限が適用されていないか

また、Teams Phone Agent Analyticsは、現時点ではQueuesアプリの利用者向けには提供されていません。Power BIレポートが表示されない場合は、利用経路も確認が必要です。(Microsoft Learn)

Per Dayを選んでもPer Callへ戻る理由

Teams Phone Agent Analyticsは、Per Callレベルのレポートだけをサポートしています。Per Dayを選択しても、自動的にPer Callへ戻ります。これは設定が保存されない不具合ではなく、V3.3.1時点の仕様です。(Microsoft Learn)

レポートレベル内容Teams Phone Agentでの対応
Per Call通話ごとの個別レコードを取得する対応
Per Day日ごとの集計結果を取得する非対応
Per Day選択時Teams Phone AgentレポートではPer Callへ戻る仕様どおり

Per Callでは、個別の通話レコードをPower BIへ取り込みます。また、選択したUTC Offsetに基づいて、通話時刻をローカルタイムで表示できます。(Microsoft Learn)

日別集計が必要な場合の実務的な対応

日ごとの着信数や処理結果を確認したい場合は、Per Callで取得したデータをPower BI側で集計します。

実務では、次のような集計ページを別途作成すると管理しやすくなります。

  1. Start Timeから日付部分だけを取り出す列を作る
  2. 日付を行に配置したテーブルまたはグラフを作る
  3. 通話レコード数を日別にカウントする
  4. Call Resultをカテゴリ別に集計する
  5. 平均通話時間を日別に集計する
  6. Teams Phone Agent名またはResource Account名で絞り込めるようにする

日別に確認すると有効な指標は、次のとおりです。

指標確認できること
Incoming Calls日ごとの総着信数
Calls Contained転送せずTeams Phone Agent内で完了した通話数
Percent Contained総通話に対する自己完結率
Avg. Call Seconds平均通話時間
Call Result予約成功、質問回答、転送、切断などの内訳
Category利用された音声コマンドや問い合わせ分類

日付列を作る前に、レポートで使用するUTC Offsetを決めておくことが重要です。途中でUTC Offsetを変更すると、日付境界付近の通話が別の日へ移動し、日別集計結果が変わる可能性があります。

Per Callでは15万行の上限にも注意する

Teams Phone Agent AnalyticsはPer Callのみで動作するため、通話量が多い環境では行数上限の影響を受けやすくなります。

MicrosoftのPower BIテンプレートでは、各レポートタブが取得できるデータは15万行に制限されています。長い日付範囲を指定して上限を超えた場合、すべての通話が表示されていなくても通知されない可能性があります。(Microsoft Learn)

次のような場合は、行数上限を疑います。

  • 短期間では正しいが、月間表示にすると件数が不自然に少ない
  • 日付範囲を広げても総通話数がほとんど増えない
  • 特定の日以降の通話が欠けている
  • Teams側の実績とPower BIの件数が大きく異なる

最初の対処は、日付範囲を短くすることです。MicrosoftはPower Query EditorでReportRowCountLimitを変更する方法も案内していますが、取得件数を増やすほど更新時間や処理負荷も大きくなります。まずは週単位や日単位に分割して取得する運用が安全です。(Microsoft Learn)

日本語を選んでも英語になる理由

Teams Phone Agent Analyticsが対応しているレポート言語は、次の3種類です。

  • English(Australia)
  • English(United Kingdom)
  • English(United States)

日本語を含む未対応の言語やロケールを選択すると、English(United States)が既定値として使用されます。(Microsoft Learn)

日本語環境では、暗黙的なフォールバックに任せるより、最初からEnglish(United States)を選ぶ方が設定状態を判断しやすくなります。

Power BIのメニューだけ日本語になることがある

レポートの言語設定と、Power BI Desktop自体の表示言語は別です。

Microsoftの説明では、選択した言語はレポート部分に適用され、Power BIのコンポーネントやツールチップには適用されません。Power BI Desktopは、既定ではWindowsの表示言語を使用します。(Microsoft Learn)

そのため、日本語版Windowsでは次のような混在表示になる場合があります。

  • Power BIのリボンや設定画面は日本語
  • Teams Phone Agentレポートの項目名は英語
  • 一部のツールチップやファイル名も英語

これは文字化けやローカライズ失敗とは限りません。Teams Phone Agent Analytics固有の対応言語制限と、Power BI Desktopのアプリケーション言語が別々に適用された結果です。

空白以外の症状を切り分ける判断表

症状可能性が高い原因確認する項目
レポート全体が空白日付が利用可能範囲外日付を着信実績のある1日に変更
直前の通話だけないデータ反映待ち時間を置いて更新
Per Dayが維持されないTeams Phone AgentはPer CallのみPer Callで使用
日本語にならない日本語ロケール非対応English(United States)を選択
対象Agentが一覧にない権限または名称の違いAuthorized User、Policy、Resource Accountを確認
長期間の件数が少ない15万行の取得上限日付範囲を短縮
Queuesアプリで見つからないTeams Phone Agentレポート未対応Power BI Desktopで確認

複数の症状が同時に発生する場合もあります。たとえば、日付範囲を修正してレポートが表示されても、長期間へ広げた途端に15万行の上限へ達することがあります。問題を一度に切り分けるには、Per Call、英語(US)、短い日付範囲、対象Agentを1件という最小構成から始めるのが有効です。

運用前に確認したい追加の注意点

最新のPower BI Desktopを使用する

Microsoftは、Power BI Desktopについて最新バージョンのみをサポートすると案内しています。古いPower BI DesktopでV3.3.1テンプレートを開いている場合は、レポート側の問題を調査する前にPower BI Desktopを更新します。(Microsoft Learn)

V3.3.1のテンプレートか確認する

ファイル名はTeams Auto Attendant & Call Queue Historical Reports V3.3.1.pbitです。既存のPBIXファイルを使い続けている場合、元になったテンプレートがV3.3.1より前である可能性があります。V3.3.1より前のテンプレートには、Teams Phone Agent Analyticsが含まれていません。(Microsoft Learn)

監査や給与計算の根拠には使わない

この履歴レポートは、Voice Applications Analytics Collectorの診断テレメトリを使用しています。ネットワーク障害、ファイアウォール、プロキシ設定などの影響で、すべてのテレメトリが受信されない場合があります。

Microsoftは、このレポートを監査、コンプライアンス、給与関連のレポート用途に使用することをサポートしていません。運用改善や傾向分析には活用できますが、完全性が必須となる正式な証跡として扱うべきではありません。(Microsoft Learn)

V3.3.1を安定して使うための設定方針

Teams Phone Agent Analytics V3.3.1を使い始める際は、次の設定を標準にすると問題を切り分けやすくなります。

  • テンプレートはV3.3.1を使用する
  • Power BI Desktopを最新化する
  • Report LevelはPer Callに固定する
  • LanguageはEnglish(United States)を選ぶ
  • UTC Offsetを組織の標準時刻に固定する
  • 最初は着信実績のある1日だけを指定する
  • 表示後に日付範囲を段階的に広げる
  • 長期間の分析では15万行の上限を確認する
  • 日別集計はPer Callデータから別ページで作成する
  • 監査や給与計算の正式データには使用しない

空白レポートでは、最初に日付範囲を修正してください。Per DayからPer Callへ戻る動作と、日本語から英語(US)へ切り替わる動作は、V3.3.1時点では仕様どおりです。これらを前提にPower BIの初期設定と運用手順を統一すれば、不具合調査に時間をかけず、Teams Phone Agentの利用状況や通話結果の分析へ進めます。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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