Teams Phoneの通話転送操作が改善されることで、Windows/Mac版のMicrosoft Teamsでは、通話中に「Transfer」と「Consult transfer」をより迷わず選びやすくなります。特に注意したいのは、既定の転送動作が「相手が出るまで待つ転送」ではなく、すぐ相手へ渡す「ブラインド転送」寄りになる点です。受付、代表電話、コールキュー、部署代表番号を扱うユーザーは、使い方そのものよりも「どの場面でRing Backをオンにするか」「Consultを使うべき場面はどこか」を先に決めておくと混乱を防げます。Microsoft 365 Roadmapでは、Teams Phoneの通話転送体験をデスクトップ版で改善し、転送手順を減らし、転送先候補を見つけやすくする更新として案内されています。(Microsoft)
Teams Phoneの通話転送操作が改善で何が変わるのか
今回のTeams Phoneの通話転送操作改善は、単にボタンの見た目が変わるだけではありません。現場で迷いやすかった「今すぐ転送するのか、相手に確認してから転送するのか」を、通話中の操作画面でより直接選びやすくする変更です。
Microsoft 365 Message Centerの情報では、対象はWindows/Macのデスクトップ版TeamsでTeams Phoneを使うユーザーです。変更内容として、TransferとConsult transferが通話コントロール上の別々の上位アクションになり、転送先候補が表示され、既定の転送動作がブラインド転送に変わるとされています。ロールアウトはTargeted Releaseが2026年6月上旬、General AvailabilityはWorldwideで2026年6月下旬開始予定とされています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
| 変更点 | これまで迷いやすかった点 | 実務上の影響 |
|---|---|---|
| TransferとConsult transferが別ボタン化 | 転送メニューを開いてから種類を選ぶ必要があった | 受付や一次対応者が素早く操作しやすくなる |
| 転送先候補の表示 | 毎回名前を検索する必要があった | よく転送する相手を選びやすくなる |
| 既定がブラインド転送寄りに変更 | 相手が出ない場合の戻り動作を誤解しやすい | 重要な電話ではRing Backを意識して使う必要がある |
| 管理者の事前操作は不要 | 管理センターで有効化が必要か迷う | 基本的には展開後にユーザー教育を行うのが中心 |
重要なのは、Teams管理センターで新しい転送UIを細かく有効化するというより、Microsoft側の展開によってユーザー画面が変わるタイプの更新だという点です。Message Centerでは、ロールアウト前に必要な管理者操作はない一方で、ユーザーへの周知、社内手順書の更新、ヘルプデスクの準備が推奨されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)
「Transfer」と「Consult」は何が違うのか
Teams Phoneの通話転送で最も混乱しやすいのが、「Transfer」と「Consult」の使い分けです。日本語で考えると、Transferは「そのまま転送」、Consultは「確認してから転送」と理解すると分かりやすくなります。
| 操作 | 使う場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| Transfer | 担当者が明確で、すぐ渡してよい電話 | 相手が応答しない場合の扱いに注意 |
| Consult | 担当者に先に状況を伝えたい電話 | 発信者は保留されるため、保留時間が長くならないようにする |
| Ring Back | 相手が出なかったら自分に戻したい電話 | 毎回オンにする意識が必要な場合がある |
| Voicemailへの転送 | 担当者不在時に留守電へ渡す | 顧客対応では事前ルールを決めておくとよい |
Microsoft Supportの手順では、通話中にTransferを選び、候補または検索で転送先を選択できます。相手が組織内ユーザーでTeamsまたはSkype for Businessを使っている場合は、応答がないときに通話を戻すRing backをオンにできます。(Microsoft サポート)
一方、Consultを使う場合は、通話中のコントロールでConsultを選び、転送先を選んでから、通話またはチャットで相手に確認します。Microsoft Supportでは、Consult then transferはTeams for the webでは利用できないこと、Enterprise VoiceまたはBusiness Voiceライセンスを持つユーザーが利用できることも示されています。(Microsoft サポート)
実際の使い方:よくある転送シーン別の判断基準
代表電話を担当部署へつなぐ場合
代表電話や受付で「営業部につないでください」と言われた場合、担当部署や担当者が明確で、相手が電話を受けられる前提ならTransferで十分です。
ただし、顧客からの問い合わせ、クレーム、折り返しが難しい電話では、Ring Backをオンにする運用をおすすめします。ブラインド転送のまま渡すと、相手が出なかった場合に発信者が不満を感じたり、社内で「誰が対応中なのか」が分からなくなったりするためです。
担当者が対応可能か分からない場合
相手が会議中かもしれない、内容を先に伝える必要がある、顧客をいきなり転送すると失礼になりそうな場合はConsultを使います。
たとえば、以下のようなケースです。
- 「契約更新の件で、前回の担当者に確認したい」と言われた
- 顧客が急いでいて、担当者が出られるか先に確認したい
- 受付から専門部署へ渡す前に、問い合わせ内容を共有したい
- コールキューから二次対応者へ引き継ぐ前に、対応可否を確認したい
Consultを使うと、元の発信者を保留にしたまま、転送先の相手に通話またはチャットで確認できます。相手が対応できることを確認してから転送するため、顧客対応の品質を保ちやすくなります。
よく同じ人へ転送する場合
今回の改善では、転送ダイアログに過去の転送履歴に基づく候補が表示されます。よく転送する相手が候補として出るため、毎回名前を検索する手間が減ります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
ただし、候補は万能ではありません。Message Center情報では、候補はユーザーのプライマリ回線に紐づくもので、代理応答や共有回線として行った転送は含まれないとされています。代表電話、共有回線、代理応答が多い部署では、「候補に出ない=転送できない」ではないと周知しておく必要があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)
設定場所で迷うポイント
転送ボタンの改善は、基本的にユーザー側の新UIとして展開される
今回のTeams Phoneの通話転送操作改善は、ユーザーがTeams管理センターで個別にオンにする設定ではなく、Microsoft Teamsのデスクトップ体験として展開される更新です。そのため、「管理センターのどこで新しいTransferボタンを有効化するのか」と探すよりも、まず自分のテナントで展開済みか、Teamsクライアントが更新されているかを確認するのが現実的です。
Microsoft 365 Roadmap自体も、商用機能のリリース予定日や説明は見込みであり、情報は変更される可能性があると明記しています。Targeted Releaseがある場合は、まずTargeted Releaseから表示が始まり、その後Standard Releaseへ進むという扱いです。(Microsoft)
Ring Backは「転送時に選ぶ安全策」と考える
Ring Backは、相手が応答しない場合に通話を自分へ戻すための機能です。今回の変更ではブラインド転送が既定になるため、従来の「相手が出なければ戻るだろう」という感覚で操作しているユーザーほど注意が必要です。
社内ルールとしては、次のように分けると現場に定着しやすくなります。
| 電話の種類 | 推奨操作 |
|---|---|
| 社内の軽い取次ぎ | Transfer |
| 顧客、取引先、問い合わせ窓口からの電話 | Ring BackをオンにしたTransfer、またはConsult |
| クレーム、緊急性の高い電話 | Consult |
| 担当者不在が分かっている電話 | Voicemail転送または折り返し受付 |
| コールキューからの二次対応 | 事前に部署ルールを決めてConsultまたはRing Backを使う |
Web版・モバイル版・Teams Phoneデバイスでは画面が違う可能性がある
今回のRoadmap ID 561028に紐づく改善は、Windows/Macのデスクトップ版Teams Phoneユーザーが中心です。Web版、モバイル版、認定Teams Phoneデバイスでは、同じタイミング・同じ画面で使えるとは限りません。
特にMicrosoft Supportでは、Consult then transferはTeams for the webでは利用できないと説明されています。社内マニュアルを作るときは、「Teamsデスクトップ版の手順」と「スマートフォン・Web・電話機の手順」を混ぜないようにしましょう。(Microsoft サポート)
導入前に確認したい前提条件
Teams Phoneの通話転送操作を使うには、Teamsアプリが入っていれば十分というわけではありません。社内通話だけでなく外線や代表番号を扱う場合は、ライセンス、電話番号、PSTN接続、通話ポリシーが関係します。
Microsoft Learnでは、Teams Phone Standardはクラウドボイスメール、通話転送、自動応答、コールキュー、発信者IDなどのPBX機能を提供するアドオンライセンスとして説明されています。また、外部の電話番号と発着信するには、Teams Phoneに加えてPSTN接続オプションが必要です。(Microsoft Learn)
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| Teams Phoneライセンス | 対象ユーザーにTeams Phone Standardなど必要なライセンスが割り当てられているか |
| PSTN接続 | Calling Plan、Operator Connect、Teams Phone Mobile、Direct Routingなどの方式が決まっているか |
| 電話番号 | ユーザー、代表番号、リソースアカウント、コールキューの番号設計が済んでいるか |
| Teamsクライアント | Windows/Macのデスクトップ版Teamsが更新されているか |
| コールフロー | 代表電話、部署転送、時間外、留守電、キュー転送の手順が文書化されているか |
| ユーザー教育 | Transfer、Consult、Ring Backの使い分けを説明しているか |
PSTN接続については、Microsoft Learnが複数の方式を示しています。Microsoft Calling PlanはMicrosoftをPSTN事業者として使う方式、Operator Connectは認定通信事業者を使う方式、Teams Phone MobileはSIMの番号をTeams番号として扱う方式、Direct Routingは認定SBCを使って任意のPSTN事業者と接続する方式です。(Microsoft Learn)
| 方式 | 向いている組織 |
|---|---|
| Microsoft Calling Plan | Microsoft管理のシンプルな構成にしたい中小規模環境 |
| Operator Connect | 通信事業者を選びつつ、Teams管理センター中心で運用したい組織 |
| Teams Phone Mobile | 携帯番号とTeams番号を統合したいモバイル中心のユーザー |
| Direct Routing | 既存PBX、既存通信契約、アナログ機器、複雑な拠点構成を維持したい組織 |
失敗しやすいポイント
「転送が速くなる」だけで案内すると誤解される
今回の改善は、操作が速くなる一方で、ブラインド転送が既定になる点が現場での誤解につながりやすい変更です。単に「転送が簡単になります」と案内すると、受付担当者が重要な電話まで即時転送してしまう可能性があります。
社内周知では、次の一文を入れると実務に落とし込みやすくなります。
「相手が確実に出るか分からない電話、顧客対応、クレーム、代表番号からの取次ぎでは、ConsultまたはRing Backを使ってください。」
候補に出る相手だけが転送先だと思ってしまう
転送先候補が表示されるようになると、初心者は「候補に出ていない人には転送できない」と勘違いしがちです。実際には、検索欄から名前を入力して転送先を探せます。
共有回線や代理応答を多用する部署では、候補表示の仕様を過信しないことが重要です。候補は時短のための補助であり、正式な転送先一覧ではありません。
コールキューや自動応答の設計ミスは、この改善だけでは解決しない
Teams Phoneの通話転送操作が改善されても、コールキューのルーティング、時間外設定、ボイスメール、担当者不在時の扱いが整理されていなければ、現場の混乱は残ります。
たとえば、次のような問題はUI改善だけでは解決しません。
- 転送先部署が複数あり、誰に渡すべきか決まっていない
- 担当者不在時に留守電へ送るのか、受付へ戻すのか決まっていない
- コールキューから別のキューへ転送する手順が属人化している
- Direct Routing環境で番号変換やボイスルーティングの設計が複雑になっている
- 代表番号の対応履歴をどこに残すか決まっていない
通話転送の改善を機に、操作マニュアルだけでなく、コールフロー図も見直すと効果が出やすくなります。
管理者と現場リーダーが先にやるべき準備
Teams Phoneの通話転送操作改善は、管理者が何かを有効化して終わるタイプの変更ではありません。現場が電話を受ける瞬間に迷わないよう、先に「判断基準」を決めることが大切です。
| 準備 | 具体的にやること |
|---|---|
| 影響ユーザーの洗い出し | 受付、代表電話担当、営業事務、サポート窓口、コールキュー担当を確認する |
| 操作確認 | Transfer、Consult、Ring Back、Voicemail転送を実際に試す |
| 手順書更新 | 「…メニューから転送」など旧UI前提の説明を修正する |
| 周知文作成 | 変更点よりも「どの場面でどの転送を使うか」を伝える |
| ヘルプデスク準備 | 「画面が変わった」「転送先候補が出ない」「電話が戻らない」への回答を用意する |
| コールフロー確認 | 代表番号、コールキュー、時間外、担当者不在時の処理を再確認する |
社内向けの短い案内文としては、以下のようにまとめると伝わりやすくなります。
Teams Phoneの通話中画面で、TransferとConsultが選びやすくなります。すぐ相手へ渡す場合はTransfer、相手に確認してから渡す場合はConsultを使ってください。顧客や重要な電話で相手が出ないと困る場合は、Ring Backをオンにしてから転送してください。
うまく運用するための現場ルール例
通話転送は、機能そのものよりも「現場ルール」が重要です。特に代表電話や問い合わせ窓口では、担当者ごとに判断が違うと、顧客体験に差が出ます。
| シーン | 推奨ルール |
|---|---|
| 相手部署が明確で通常問い合わせ | Transferで転送 |
| 担当者の在席が不明 | Consultで確認してから転送 |
| 顧客が急いでいる | Consult、またはRing Backをオンにして転送 |
| クレーム・契約・請求関連 | 原則Consult |
| 担当者が不在 | 留守電、折り返し受付、代理担当へ転送のいずれかを事前に決める |
| よくある転送先 | 候補表示を使いつつ、候補にない場合は検索する |
このように、ボタン名ではなく業務シーンでルール化すると、初心者でも判断しやすくなります。
Teams Phoneの通話転送操作改善で確認すべきこと
Teams Phoneの通話転送操作が改善されると、TransferとConsultを選びやすくなり、よく使う転送先も見つけやすくなります。一方で、既定の転送動作がブラインド転送寄りになるため、顧客対応や代表電話ではRing BackとConsultの使い分けを明確にしておく必要があります。
まず確認すべきことは、対象ユーザーがWindows/Mac版TeamsでTeams Phoneを使っているか、Teams PhoneライセンスとPSTN接続が整っているか、社内手順書が旧UI前提になっていないかの3点です。そのうえで、受付・サポート・代表番号担当者に「すぐ転送する電話」と「確認してから転送する電話」の判断基準を共有しましょう。
機能の改善をそのまま受け入れるだけでなく、自社のコールフローに合わせて転送ルールを整えることで、通話の取りこぼしや誤転送を減らし、Teams Phoneをより安心して運用できます。

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