Teams Workflowsのリストフォームとは?開始方法・活用例・導入時の注意点

Teams Workflowsの「リストフォーム」は、ワークフローを実行する前にフォームを表示し、後続処理に必要な情報を利用者から収集する機能です。たとえば、申請名、金額、希望期限、対応内容などを入力してから、承認依頼やTeams通知、タスク登録を開始できるようになります。

ただし、2026年9月3日時点ではMicrosoft 365ロードマップ上のステータスは「開発中」です。ロードマップIDは「568932」で、2026年9月の提供開始が予定されています。対象にはTargeted Releaseと一般提供が含まれるため、組織によって表示される時期が異なる可能性があります。

この記事では、Teams Workflowsをリストフォームから開始するための準備、提供後に想定される設定手順、Microsoft FormsやMicrosoft Listsとの使い分け、管理者が確認すべき注意点を解説します。

目次

Teams Workflowsのリストフォームとは

Teams Workflowsは、Microsoft TeamsとほかのMicrosoft 365サービスを接続し、定型業務を自動化するためのアプリです。実際のワークフローはPower Automateのクラウドフローとして動作します。

今回追加予定のリストフォームでは、利用者がワークフローを開始するときに入力画面を表示し、その場で必要な情報を集められるようになります。

Microsoftが公開している情報は次のとおりです。

項目内容
機能名Microsoft Teams: Collect information with list form in Workflows
ロードマップID568932
概要後続のワークフロー実行に必要な情報をフォームで収集して開始する
ステータス開発中
提供予定2026年9月
対象クラウドWorldwide Standard Multi-Tenant
対象プラットフォームDesktop、Mac、Web、Android、iOS
リリース区分Targeted Release、General Availability

これまでのTeams Workflowsでは、自動実行やTeamsメッセージを起点とした実行が中心でした。新機能が提供されれば、特定のメッセージを選択しなくても、利用者がフォームに条件を入力して業務処理を開始する使い方がしやすくなります。

Microsoft Listsのフォームとは限らない

「リストフォーム」という名称から、Microsoft Listsの入力フォームを直接起点にする機能だと考えるかもしれません。

しかし、現時点の公式ロードマップでは、製品として記載されているのはMicrosoft Teamsだけです。説明にもMicrosoft ListsやSharePointとの直接連携は記載されていません。

したがって、現段階では次のように整理するのが安全です。

  • Workflows内でワークフロー開始時に表示する入力フォーム
  • フォームで集めた情報を後続処理に利用する仕組み
  • Microsoft Listsへの保存は、必要に応じて後続のPower Automateアクションで実装する
  • Microsoft Listsの既存フォームをそのまま呼び出せるかは、正式な操作手順の公開を待って判断する

Microsoft Listsとの自動連携を前提に設計を始めるのではなく、まずは「Teamsから手動でワークフローを起動するための入力画面」として捉えると、仕様変更の影響を抑えられます。

Teams Workflowsをリストフォームから開始する方法

2026年9月3日時点では詳細な設定画面や正式なボタン名が公開されていません。そのため、以下では現在のTeams Workflowsの操作方法を基に、提供後に行う作業を整理します。

TeamsでWorkflowsアプリを開く

Microsoft Teamsを開き、左側のメニューから「アプリ」を選択します。

検索欄に「Workflows」と入力し、Workflowsアプリを開きます。必要に応じて左側のアプリバーに固定しておくと、利用者がワークフローを見つけやすくなります。

現在のTeamsでは、Workflowsアプリの「作成」画面からテンプレートを選ぶか、「フローの作成」を選択してPower Automateデザイナーを開けます。(Microsoft Learn)

リストフォーム対応のワークフローを選ぶ

機能提供後は、Workflowsのテンプレートまたは新規作成画面に、フォームから開始するための選択肢が追加されると考えられます。

確認するときは、次のような意味を持つ項目を探します。

  • 情報を収集してワークフローを開始する
  • フォームから開始する
  • Collect information with a form
  • List form
  • 手動実行時に入力を求めるトリガー

正式な名称は変更される可能性があります。2026年9月になっても表示されない場合、設定ミスとは限りません。Targeted Releaseから段階的に展開された後、標準リリースの組織へ提供される可能性があるためです。Microsoft 365ロードマップの日付は予定であり、提供時期は変更されることがあります。(Microsoft)

フォームで収集する項目を設計する

画面上でフォームを作り始める前に、必要な入力項目を整理します。

たとえば、備品購入申請を自動化する場合は、次のような項目が考えられます。

入力項目必須設定設計時のポイント
申請件名必須一覧や通知で内容を識別できる名称にする
品名必須商品名やサービス名を入力させる
金額必須税込・税抜のどちらかを明記する
購入理由必須承認者が判断できる程度の説明を求める
希望期限任意緊急度と混同しないようにする
緊急度任意通常、急ぎ、至急など選択肢を限定する
参考情報任意URLや管理番号などを入力させる

入力項目は多ければよいわけではありません。ワークフローの処理条件や通知内容に使わない項目は、原則として削除します。

利用可能な入力形式やファイル添付の対応状況は、正式提供後に確認が必要です。未確認の機能を前提として業務手順を決めないようにしてください。

フォームの入力値を後続処理へ割り当てる

フォームの次に、実際に行う処理を追加します。

備品購入申請であれば、次のような流れにできます。

  1. 利用者がTeamsでワークフローを選択する
  2. フォームに品名、金額、理由、希望期限を入力する
  3. 金額によって承認ルートを分岐する
  4. 承認者へ承認依頼を送る
  5. 申請内容をSharePointリストへ登録する
  6. Teamsの担当者チャネルへ通知する
  7. 申請者へ受付結果または承認結果を知らせる

たとえば、10万円未満は所属長のみ、10万円以上は所属長と管理部門の承認を必要とする条件分岐を設定できます。金額基準はあくまで例であり、実際には組織の決裁規程や会計ルールに合わせます。

フォーム項目を作成したら、Power Automate側で各入力値を次のような場所へ割り当てます。

  • Teams投稿のタイトルや本文
  • 承認依頼の詳細
  • Outlookメールの件名や本文
  • Plannerタスクのタイトル、期限、説明
  • SharePointリストの各列
  • 条件分岐で判定する値

数値を条件分岐に使う場合は、文字列ではなく数値として扱えるかを確認します。日付についても、タイムゾーンや表示形式の違いによって意図しない日になることがあるため、テストが必要です。

接続先サービスへサインインする

Teams Workflowsからテンプレートを作成すると、使用するコネクタへのサインインを求められます。

承認、Teams、Outlook、Planner、SharePointなど、ワークフロー内で使用する接続をすべて確認してください。Microsoftの手順でも、フローを正常に実行するには各コネクタへサインインする必要があるとされています。(Microsoft Learn)

実運用では、作成者個人の接続だけに依存しないことも重要です。作成者の異動や退職、パスワード変更によって接続が無効になると、業務ワークフローが停止する可能性があります。

少なくとも、次の情報を管理台帳へ残しておきます。

  • フローの所有者
  • 共同所有者
  • 使用している接続
  • 通知先のチームとチャネル
  • 保存先のリストやファイル
  • ライセンスの種類
  • エラー発生時の担当者

保存して複数の条件でテストする

完成後は、正常な入力だけでなく、入力漏れや想定外の値でもテストします。

特に確認したいのは次のケースです。

  • 必須項目を空欄にした場合
  • 金額の境界値を入力した場合
  • 非常に長い文章を入力した場合
  • 承認者が不在または無効なアカウントの場合
  • SharePointリストへの登録権限がない場合
  • スマートフォンから実行した場合
  • 同じ利用者が短時間に複数回実行した場合
  • コネクタの接続が期限切れになった場合

ロードマップ上ではAndroid、iOS、デスクトップ、Mac、Webが対象です。ただし、フォームの表示や入力操作が端末ごとに同じとは限らないため、実際に利用する端末で検証してください。

Teams Workflowsのリストフォームが向いている業務

リストフォームは、毎回入力内容が変わる手動開始型の業務に向いています。

社内申請の受付

備品購入、アカウント発行、掲載依頼、出張申請など、利用者が必要事項を入力して処理を開始する業務です。

フォーム送信後に承認、台帳登録、担当者通知を連続して実行できます。

問い合わせや障害のエスカレーション

問い合わせ内容、対象システム、影響範囲、緊急度を入力し、担当チームへ通知します。

緊急度が高い場合だけメンションを付けたり、別のチャネルへ通知したりする条件分岐も可能です。

Plannerタスクの作成

利用者がタスク名、担当者、期限、説明を入力し、指定したPlannerプランへタスクを登録します。

自由記述だけで依頼を受けるよりも、期限や担当者の入力漏れを減らしやすくなります。

定型報告の送信

日報、作業完了報告、点検結果、イベント実施報告などをフォームで受け付け、TeamsチャネルやSharePointリストへ記録します。

ただし、大量の回答を集計するアンケートや外部向け調査では、Microsoft Formsを使う方が管理しやすい場合があります。

Microsoft FormsやMicrosoft Listsとの違い

Teamsで情報を収集して自動処理する方法は、リストフォームだけではありません。開始方法と記録の残し方によって使い分けます。

方法開始のきっかけ向いている用途主な注意点
Teams WorkflowsのリストフォームTeams上で利用者が手動実行社内申請、タスク作成、担当者への依頼2026年9月3日時点では開発中
Microsoft Forms+Power Automateフォーム回答の送信アンケート、受付窓口、URL共有フォームとフローを別々に管理する
Teamsメッセージ+Adaptive Card選択したTeamsメッセージメッセージのタスク化、問い合わせ処理元のメッセージが必要
Microsoft Lists+Power Automate項目の作成や変更台帳管理、進捗管理、履歴を残す業務リストの列設計と権限設計が必要
自動または定期実行フローイベント発生や指定時刻通知、同期、定期集計利用者が実行時に条件を入力しにくい

Microsoft Formsは、回答送信をトリガーとしてメール通知、承認、Excelへの登録などを自動化できます。(マイクロソフトサポート)

Teamsの既存機能では、選択したメッセージからクラウドフローを開始し、Adaptive Cardで追加情報を収集できます。フォーム内の入力項目にはIDを設定し、その値を後続の処理で参照できます。(Microsoft Learn)

Microsoft ListsやSharePointを中心に運用する場合は、項目の作成や更新をトリガーとして承認、ファイル移動、通知などを実行できます。(Microsoft Learn)

選び方の基準

利用者がTeams内でその都度情報を入力し、すぐに処理を始めたい場合は、Teams Workflowsのリストフォームが候補になります。

外部を含む多人数から回答を集めたい場合は、Microsoft Formsが適しています。

申請データを一覧表示し、ステータスや担当者を継続的に管理したい場合は、Microsoft ListsまたはSharePointリストを中心に設計します。

Teamsの会話そのものを起点にしたい場合は、選択したメッセージとAdaptive Cardを組み合わせる方法が適しています。

提供前に使える代替方法

リストフォームがまだ表示されない場合でも、既存機能を使って近い仕組みを作れます。

TeamsメッセージとAdaptive Cardを使う

Teamsコネクタの「For a selected message」トリガーでは、選択したメッセージからフローを開始できます。

トリガーにAdaptive Cardを追加すれば、利用者からタスク名や補足説明などを収集できます。入力値は後続の処理で参照可能です。(Microsoft Learn)

この方法は、問い合わせや依頼がTeamsメッセージとして投稿される業務に向いています。

Microsoft Formsから開始する

Microsoft Formsで入力フォームを作成し、「新しい応答が送信されたとき」をPower Automateのトリガーに設定します。

回答内容を取得した後、承認依頼、Teams通知、SharePointリストへの登録などを追加します。(マイクロソフトサポート)

利用者にフォームのURLを配布する必要はありますが、Teams Workflowsの新機能を待たずに運用を開始できます。

管理者が確認すべき設定

Workflowsアプリが許可されているか

Workflowsアプリは、Microsoft Teams管理センターで有効になっている必要があります。

利用者がTeamsでWorkflowsを検索できない場合や、ワークフローを実行できない場合は、アプリの許可状態やアプリセットアップポリシーを確認します。(Microsoft Learn)

フローが作成される環境を確認する

TeamsのWorkflowsアプリから作成したフローは、組織の既定環境に作成されます。Power Automateポータルからも確認できます。(Microsoft Learn)

開発環境、検証環境、本番環境を分けている組織では注意が必要です。重要な業務フローを既定環境で直接作ると、環境戦略やDLPポリシーと合わない可能性があります。

本格導入前に、次の点を管理者と確認してください。

  • 既定環境での作成を許可するか
  • 利用できるコネクタ
  • DLPポリシー
  • フローの所有者と管理方法
  • 監査ログや実行履歴の保管方針
  • 個人情報や機密情報の保存先

条件付きアクセスをそろえる

TeamsからPower Automateフローへアクセスするときは、TeamsとPower Automateの間でトークン交換が行われます。

TeamsとPower Automateに異なる条件付きアクセスポリシーを設定していると、フローの表示や実行時に認証エラーが発生する場合があります。MFA、利用規約、準拠デバイスなどの要件は整合させておく必要があります。(Microsoft Learn)

Power Automateのライセンスを確認する

必要なライセンスは、後続処理で使用するコネクタによって変わります。

標準コネクタだけを使用するフローであれば、Microsoft 365ライセンスの範囲で利用できる場合があります。一方、インスタントフローでプレミアムコネクタを使用する場合は、原則として実行する各利用者にPower Automate Premiumライセンスが必要です。

利用者全員へPremiumライセンスを割り当てない場合は、フローへProcessライセンスを割り当てる構成も検討します。(Microsoft Learn)

リストフォーム部分だけを見て「追加料金は不要」と判断せず、SQL Server、Dataverse、HTTP、カスタムコネクタなど、後続処理を含めてライセンスを確認してください。

リストフォーム設計で失敗しやすいポイント

入力項目を増やしすぎる

申請に関係する情報をすべてフォームへ詰め込むと、入力負担が増えて利用されなくなります。

フォームでは処理開始に必要な最低限の情報だけを集め、利用者名、メールアドレス、所属など取得可能な情報は自動取得する設計を検討します。

自由記述だけで条件分岐する

「緊急」「至急」「急ぎ」などを自由記述にすると、条件分岐が不安定になります。

処理条件に使う項目は、選択肢や真偽値、数値など、判定しやすい形式にします。

フォームを記録台帳として扱う

リストフォームはワークフローを開始する入口です。入力結果を長期保存し、検索、集計、進捗管理したい場合は、SharePointリストやDataverseなどの保存先を別途用意します。

フォーム送信後に保存処理を入れなければ、必要な業務記録を一覧管理できない可能性があります。

通知だけ作って処理状況を残さない

Teamsチャネルへ投稿するだけでは、対応済みか未対応かを管理しにくくなります。

継続的な対応が必要な業務では、PlannerタスクやSharePointリスト項目も同時に作成し、担当者とステータスを管理します。

提供予定月に全員が使えると思い込む

Microsoft 365の新機能は段階的に展開されます。Targeted Releaseの利用者へ先に提供され、標準リリースの利用者には後から表示される場合があります。

2026年9月になった時点で表示されなくても、すぐにTeamsの再インストールや設定変更を行うのではなく、ロードマップのステータスと管理センターのメッセージを確認してください。(Microsoft)

リストフォームが表示されない場合の確認項目

提供開始後も機能が見つからない場合は、次の順番で確認します。

  1. Microsoft 365ロードマップID「568932」のステータスを確認する
  2. 自組織がTargeted Releaseか標準リリースかを確認する
  3. TeamsでWorkflowsアプリが許可されているか確認する
  4. Workflowsアプリを開き直し、作成画面とテンプレートを検索する
  5. Web版Teamsとデスクトップ版Teamsの両方で確認する
  6. Power Automateの既定環境に作成権限があるか確認する
  7. 必要なコネクタへサインインできるか確認する
  8. 条件付きアクセスやDLPポリシーでブロックされていないか確認する

ロードマップ上で「Launched」または「Rolling out」になっていない段階では、利用者側の操作だけで機能を有効化できない可能性があります。

Teams Workflowsのリストフォーム導入に向けて準備すること

Teams Workflowsのリストフォームは、申請や依頼をTeams内で開始し、その場で必要事項を入力できる機能です。承認、通知、タスク作成、台帳登録と組み合わせれば、利用者が複数のアプリを行き来する手間を減らせます。

現時点では開発中のため、まずは次の準備を進めるのが現実的です。

  • 対象とする業務を一つに絞る
  • フォームで収集する最低限の項目を決める
  • 承認ルートと通知先を整理する
  • 記録を保存するリストやシステムを決める
  • 使用するコネクタとライセンスを確認する
  • Workflowsアプリと既定環境の管理方針を確認する
  • 提供前に必要であればMicrosoft FormsやAdaptive Cardで試作する

正式提供後は、いきなり全社展開せず、少人数のTargeted Release利用者で入力、権限、モバイル表示、ライセンス、エラー時の動作を検証してから対象範囲を広げると安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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